転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0428話

 フェイトとラカンの戦い。フェイトに対してまるでMSやPTのような巨大な装甲を纏った腕で放った一撃を命中させ、仕留めたと思った次の瞬間にはラカンが霞のように消えていき、最後に残ったのは何故か無傷のフェイトだった。

 

「む、無傷アルか!?」

 

 古菲が自らのアーティファクトである神珍鉄自在棍を構えながら叫ぶ。

 そして……

 

「フェイト……アーウェルンクスゥゥゥッッッ!」

 

 ネギがそう叫び、その身体が闇へと覆われていく。

 ちぃっ、感情に引きずられたか! だが、一瞬。ほんの一瞬だけラカンらしき存在がネギの前に現れたかと思うと何かを告げ、同時にネギの動きがその瞬間に止まった。

 その隙を逃さずに瞬動を使い、ネギの背後へと移動して同時にその首筋へと手刀を叩き付ける。

 

「がっ!」

 

 呻き声を上げながら、そのまま地面へと倒れこむネギ。

 幸い、その身体は闇の魔法の暴走状態ではなく元の年齢詐称薬を使った状態へと戻っていた。

 そして一瞬だけ見えたはずのラカンの姿は既に何処にも見えなくなっていた。

 ……奇跡って奴か何かか?

 

「おいっ、アクセル!?」

「落ち着け。今のネギを暴走させる訳にはいかないだろう」

「そりゃそうだけど、けどじゃあフェイトはどうするんだよ」

「何とかしてみせるさ。……古菲、もし戦いになればネギや長谷川にも被害が及ぶかも知れない。こいつら2人の護衛は任せたぞ」

「……分かったアル」

 

 古菲の言葉を背に受け、一歩踏み出す。

 

「へぇ、この状況で僕とやりあうのかい?」

「このまま見逃すとは思えないしな」

「そうだね。そう言えば君には僕の従者が世話になってたんだったね。そのお礼くらいはしないと」

「……その様子じゃ、やっぱりあの調とかいう女はそっちに戻ってるようだな」

「まぁね。……さぁ、やろうか」

 

 フェイトがそう言って、俺へと意識を集中させたその瞬間。これ見よがしに俺は右腕を上げ、そこへとさらにフェイトの意識を集中させる。そして……

 

「何っ!?」

 

 その背後から突然現れた鳥、リス、虫の炎獣が、フェイトの横へと浮かんでいた巨大な鍵へと3匹同時に体当たりを仕掛けてこちらへと飛ばしてくる。

 

「加速」

 

 目論見通りに鍵が弾かれたその瞬間、精神コマンドの加速と同時に瞬動を使い鍵との距離を瞬時に0にしてそのままキャッチ。次の瞬間には空間倉庫へと収納し終わっていた。

 

「っ!?」

 

 そして鍵を炎獣に吹き飛ばされたのを見て同じく瞬動を使い鍵を追っていたフェイトが放った拳は顔を僅かに傾けて回避し、同時にその手を握……ろうとした所で素早く手を引き戻される。

 ちぃっ、さすがに俺の握力は何度もぶつかっているだけあってお見通しか。

 仕返しとばかりに俺の首筋へと向けられて放たれた拳。だが、俺はそれを回避もせずにそのまま迎え入れ……フェイトから放たれた拳は俺の喉を貫通し、炎と化して砕け散る。

 

「しまっ」

 

 俺が物理攻撃を完全に無効化するというのを忘れていたのか、あるいはあの鍵を奪われて動揺していたのかもしれないが、どのみち俺のチャンスには違いない。

 自らの失態に微かに眉を寄せたフェイトへ、先程の礼だとばかりに喉へと右手を伸ばし……その喉へと触れて握りつぶそうとしたその瞬間、瞬動を使われて後方へと素早く距離を取られる。

 

「……そうそう同じ手は食わない、か」

 

 京都での戦闘ではフェイトの喉の肉を抉り、ゲートポートでの戦闘ではフェイトの仲間らしき存在の鳩尾の肉を抉り取った。同じような攻撃を何度か見ていた為に、咄嗟に俺の狙いを悟ったのだろう。

 

「君のその馬鹿げた身体能力には今まで幾度となく痛い目にあっているからね」

 

 お互いに距離を取って睨み合う。

 今の攻防、正直まさかフェイトが俺の物理攻撃無効化能力を忘れているとは思わなかった為に、俺まで意表を付かれて逆にこっちから攻めきる事が出来無かった。それ程のあの鍵の存在は大きいという訳か。

 にしても、小さいとは言っても俺の白炎から作られた炎獣3匹の体当たりを食らっても溶けもしないというのは……やっぱり何らかのマジックアイテムと見るべきなんだろうな。

 

「僕の鍵は……どこに消えたのかな?」

「さぁ? 俺が触ったその瞬間にいきなり消えたからな。てっきりお前が何かをしたとばかり思ってたが、違うのか?」

 

 こんな言い訳で誤魔化せるとは思わないが、まさか馬鹿正直に俺が空間倉庫なんて物を持っていると教える必要もないだろう。

 そして案の定感情を感じさせない、いつもながらの無表情な目でこちらへと視線を向けてくるフェイト。

 

「そんな事で誤魔化せるとでも?」

「さて、どうだろう……なっ!」

 

 俺のその合図と共に、先程鍵を弾いた後は素早く身を隠していたリス、鳥、虫の炎獣3匹にその他にもネギに隠れて放った炎獣達が四方八方からフェイトへと襲い掛かる。

 

「ふん、確かに一度は不意を突かれたけど、いると知っていればこの程度の相手をどうにかするのはそう難しい話じゃないんだよ」

 

 そう言いながら、手を大きく横薙ぎに一振りするフェイト。同時に、その背後に浮かんでいた巨大な針がそれぞれ20本程が周囲一体へと放たれて炎獣へと突き刺さり石化させてそのまま砕かれる。……なるほど、あの針はフェイトお得意の石化魔法な訳か。ネギを目隠しに放たれた炎獣全てをあっさりと失ったのは痛いが、それでもあの針がどういうものかという情報を得られたのだから差し引きではプラスといった所か。

 

「君のこの炎獣とか言ったかな。確かにこれは色々と応用の効く厄介な能力ではあるけど、だからと言ってそれを知っていれば対抗手段は幾らでもあるんだよ。そもそも……」

 

 そこまで言いかけ、何故かそこで言葉を止めるフェイト。

 何か動きがあったのか?

 

「残念、時間切れらしいね。引き上げの合図が来てはこれ以上戦う時間もない。……まぁ、いいか。君と接触する度に僕にはこれまでなかった何かを感じ取れるようになっている。この感覚……これを整理する為にもここは大人しく退かせて貰うよ。でも、いいかい? 僕達は君達と違ってこの世界を守る為に動いている。それを邪魔するという事は、即ちこの魔法世界が滅亡へと突き進んでいるんだという事を良く覚えておくといい」

「その辺に関しては、何かを色々と考えてるんだろうさ」

 

 チラリ、とネギの方へと視線を向ける。

 正直、魔法に関しての理論や応用なんかは俺よりもこのネギの方が圧倒的に詳しいというのは事実なのだ。そうでも無ければ闇の魔法の2重装填なんて思いつきはしないだろう。いや、実際に見てからならコロンブスの卵的なものだと理解は出来るのだが。

 

「ネギ・スプリングフィールド……その子供が君にそんなに期待されるような存在だとは思わないけど。まぁ、いい。このまま進めばいずれまた出会う時は来るだろう。君との決着は今日みたいに時間制限の無い、思う存分戦える場所で迎えたいものだ。その日が来るのを楽しみにしているよ。あの鍵は取りあえず今日の所は預けておくけど、いずれ利子と一緒に取り立てさせて貰うからね」

 

 そう言いつつ水のゲートを展開してそこへと沈み込み、フェイトの姿は俺達の前から消えていくのだった。

 

「何とかなった……のか?」

 

 フェイトが消えた水溜まりへと視線を向けながら長谷川が恐る恐る呟く。

 その言葉に頷きながら、古菲へと視線を向ける。

 

「古菲、ネギを頼めるか? ……いや、無理か」

「たはは。申し訳ないアル」

 

 ネギが元の子供の状態なら古菲も問題無く持てるのだろうが、今はナギバージョンでその分背も大きくなっている。当然古菲よりも背が高いのでそんな状態でネギを任せるというのはさすがに無理があるだろう。

 

「しょうがない。俺がネギを担ぐから、古菲は周囲の警戒を頼む。フェイトが退いたとは言っても、まだ闇の人形が残っている可能性は高いからな」

「うむ、そっちは任せるアルよ」

 

 古菲が頷くのを見て、ネギを右手は自由に使えるように左肩にネギの腹を当てるような形で持ち上げる。

 

「良し、早いとこ合流地点に行くぞ。他の奴等がどうなってるか気になるしな」

「そうだな。頼むぞアクセル、古菲。ネギ先生がこの状態の今、頼れるのはお前達2人だけだ」

「大丈夫アルよ。次に何かあったら私が倒すアル」

 

 そう決意を固めた古菲だったが、合流場所までは特に敵に遭遇せずに無事辿り着けたのだった。

 

 

 

 

 

「大丈夫です。私の考えが正しければきっと……いえ、必ず消えてしまった人達を元に戻す方法があります! この世界のグレートグランドマスターキーを手に入れる事が出来れば!」

 

 集合場所である貨物搬入口へと到着した俺達を出迎えたのは、宮崎の決意に満ちたそんな叫びだった。

 その場にいるのは俺の従者でもあるあやか、千鶴、円、美砂。そしてそれ以外の俺達の関係者も殆どが揃っている。記憶を失っているという綾瀬もまたこちらに合流しているが、ナギの大ファンだった褐色の少女の姿は無く、そのお付きだったらしい少女と猫系の獣人だけだ。

 宮崎のその言葉に聞き入っていて静まり返っていた場所へと突然俺達が現れたのが悪かったのだろう。巨大な手裏剣と大太刀を構えた長瀬と桜咲が反射的に切っ先をこちらへと向けてくる。

 幸いなのは円やあやかといった攻撃力の高いアーティファクトを持っている2人が過剰反応をしなかったという事か。

 

「おわっ、何だよお前等!?」

 

 その過剰とも言える反応に長谷川が叫び、現れたのが俺達だと知った2人もその武器を収める。

 

「やけに剣呑だが……何かあったのか?」

「ああ。俺達が所属していた拳闘士団のメンバーが何人か完全なる世界の奴等に消されたんや。それとトレジャーハンターの2人も同様らしいわ」

 

 泣いている夏美を抱きしめている千鶴を見ながら小太郎がそう告げ、だがその消えたという表現に疑問が残る。

 

「おい、それは……例えば身体が霞のように消えていったとかそういうのか?」

「ちゃうらしいわ。なんつーか、まるで漫画とかのビームを食らったみたいに穴を開けられたらしいで」

 

 となると、ラカンが消えていったのとは違うのか?

 

「アクセル君、ご無事でしたのね。良かったですわ。……ネギ先生はどうなされましたの?」

 

 あやか、円、美砂の3人がこちらへと近寄ってくるのを見ながらネギを床へと下ろす。

 

「まぁ、色々あってな。それよりも早乙女はまだ来ないのか?」

「ええ、どうやら外で激しくやり合ってるらしくて。念話を使おうにも妨害されてて繋がっても途切れ途切れな状態のようです」

「なら取りあえずは戦闘能力が無い奴は長瀬のアーティファクトである天狗之隠蓑に……ん? おい、ちょっと待て」

「なんですの?」

 

 微かに聞こえてきたその音。それはここ数日で聞き覚えのある音だ。即ち……

 

「どうやら心配はいらなかったようだな。お出迎えだ」

「え!? じゃあ早乙女さんが?」

「ああ。搬入口をから離れろ! 早乙女が来たぞ!」

 

 俺の声が周囲へと響き、搬入口付近にいた面子が急いでこちらへと走ってくる。そして……

 

「ちょっ! 早乙女の奴速度を落とさないでそのまま突っ込んでくるわよ!」

 

 円の声に搬入口から外へと視線を向けると、確かにそこでは速度を一切落とさずにこちらへと突っ込んでくるグレートパル様号の姿があった。そしてその理由もまた、グレートパル様号の背後を見ればすぐに分かる。何しろあの黒い触手に追われているのだから、確かに速度を落とすような真似は出来ないだろう。何しろそんな事をすれば触手に巻き付かれて雲の中へと引きずり込まれたオスティア駐留艦隊の二の舞なのだから。あの距離だと数分程度でここに突っ込んでくるといった所か。

 

「しょうがない、グレートパル様号は俺が何とか受け止める。円、あやか、小太郎。お前等は遠距離攻撃で触手の先端だけでいいから何とかしてくれ」

「わ、私が!? ……うん、分かった。やってみる」

「分かりましたわ、私にお任せ下さい」

「はっ、アクセルに頼られるとは思いもしなかったわ。俺に任せとけ」

「他の連中は千鶴の守護領域に……いや、長瀬の天狗之隠蓑の中に入った方が安心だな。その上で長瀬は一応避難していてくれ」

「むっ、出来れば拙者もそちらを手伝いたかったのでござるが……皆の安全には代えられないでござるな」

 

 長瀬が無念そうにしながらも頷き、戦闘能力の無い者達をその天狗之隠蓑へと収納していく。そんな中、1人の人物が前へと進み出る。

 

「……さて、アクセル。遠距離を攻撃するというのなら私を忘れて貰っては困るんだがな」

「龍宮!? お前、何でここに……現実世界に残ってたんじゃなかったのか?」

「学園長に雇われて高畑先生と一緒にこっちに来てたのさ。だからその姿のアクセルもTVできちんと見てるよ。大会でも大分稼がせて貰ったしな」

「……まぁ、その辺に関してはいいとして。ならお前も攻撃組に入ってくれ。それと千鶴は悪いが不測の事態に備えて守護領域の展開を」

「ええ、任せて頂戴」

 

 そう頷いた千鶴だったが、その声に天狗之隠蓑に入ろうとしていた夏美が勢いよく振り向く。

 

「ちょっ、ちづ姉!? 幾ら何でもこんな所に残るのは危険すぎるよ!」

「あらあら、でも小太郎君もこっちに残るのよ?」

「小太郎君は小太郎君なんだから問題無いけど、ちづ姉は小太郎君とは違うでしょ!?」

「……何か俺、微妙な扱いやな」

 

 夏美の声を聞きつつ落ち込む小太郎だったが、当の夏美はそんな事に気が付かずに千鶴との会話を続けていた。

 

「でもね、夏美ちゃん。私がいればいざという時に皆が安全なのも事実なのよ」

「それは……でも……」

「ほらほら、私はアクセル君がいるから大丈夫よ。もう時間は無いから急いで」

「……分かった……絶対に危ない真似をしないでね!」

 

 最後にそう叫び、天狗之隠蓑の中へと入っていく。

 

「……あれってどう見ても死亡フラグじゃないか? しかも村上じゃなくて私達の」

 

 どこからともなく取り出した狙撃銃を手にしながら苦笑を浮かべる龍宮だった。

 

「さて、フラグや云々はともかく……来るぞ。それぞれ準備はいいな?」

 

 グレートパル様号が速度を殆ど殺さずに……否、殺せずに突っ込んでくるのを目にしながら混沌精霊としての力を使い、影へと干渉していく。そして作り出されたのは高密度に圧縮された影精をこれでもばかとばかりに練り込んだ影槍を組み合わせた物。イメージとしてはSEED世界でムウと一緒にアラスカから脱出した時にアークエンジェルへと突っ込んでいったスカイグラスパーを受け止めてくれたネットバリアーだ。あの様子をイメージしながらひたすらに影精を練り込み、圧縮していく。

 どちらかと言えば炎の魔法を得意とし、操影術はサブとしてきた俺だが混沌精霊になった今ならそのくらいは出来る筈だ。

 そして……グレートパル様号が貨物搬入口から突入してくる!

 飛行魚の先端が見えた瞬間、影で作ったネットバリアーを展開してその突っ込んで来た飛行魚を受け止め、同時に念動力を最大出力で展開。少しでもその速度を緩める。早乙女の方でもこの事態を予想していたのか、機体を横にして可能な限り速度や衝撃を殺していた。

 

「ぐっ、がぁぁぁっ!」

 

 出せる限りの最大出力で念動力を発動し続けたのは実際には数秒程度だが、少なくても俺には数分近くにも感じられた。そしてそのおかげもあってグレートパル様号は特に損傷を受ける事もないままにその物資搬入口への入港を完了したのだった。

 また、視界の端ではあやかが氷の魔法を使って触手の先端を凍らせ、そこに龍宮が狙撃銃を撃ち込んで粉々に砕き、あるいは小太郎の狗神が触手を食い千切り、円から途切れる事無く放たれる火球が触手を燃やしてこちらへと向かっていた触手はどうにか撃退する事に成功するのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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