転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0033話

 モントーヤ博士の葬式から4ヶ月程が経ち、レモンもヴィンデルを上手く説得出来たらしくテスラ研へと出張して転移装置を開発する科学者達の一員として働いていた。

 週に3~4回程シャドウミラーとしての連絡事項やら何やらでこちらに通信を送ってくるが、大抵は開発がなかなか進まないと愚痴られる事が多い。

 ……そういえば、その開発者の中心メンバーにヘリオス・オリンパスというのがいるらしいんだが、これって確かギリアムの偽名だったよな。

 いや、この世界で使ってる名前なんだし、別に偽名という訳じゃないのか。

 ギリアムは原作だと後1年ちょっとであちらの世界に転移する筈なので、レモンにはそれまでに出来るだけ空間転移技術のノウハウを習得して欲しいものだ。

 

 エクサランス開発の方はそれなりに順調らしい。

 基本的にはやはりラージとミズホで開発を進めているらしいのだが、ラウルやフィオナが時々妙に鋭い所を突いてくる、とラージからのメールに書かれていた。

 理由は不明だが、フィオナが今まで以上にエクサランスの開発に熱心になっているようだ。

 原作通りコックピットが脱出装置兼小型戦闘機になるってアイディアも、フィオナがテストパイロットとしての意見で提案して採用されたらしい。

 フレーム換装システムに関しては取りあえず没になったとは言え、最初に作った設計図を基に地上戦闘用のフレームから作る事になったようだ。

 地上戦闘用のフレームって確か右手にでかいハサミを持ってる奴だったと思う。……何かでかいハサミを装備している機体というとビルトビルガーを思い出すな。

 何はともあれ、開発は頑張って欲しい所だ。

 で、俺はと言うと。

 

「ヴィンデル、入るぞ」

 

 ヴィンデルの部屋を軽くノックし、さっさとドアを開けて執務室へと入っていく。

 部屋の中では眉を顰めたヴィンデルがこちらを見ていた。

 

「アクセル、ノックをしてもこちらの返事を聞く前に入ってくるのではノックの意味がないではないか」

「どうせ書類仕事しているだけだろ? 気にするな。俺は気にしない」

 

 溜息を吐き、2枚の書類を俺の方へと渡す。

 

「これは?」

「アクセル・アルマー中尉、任務だ」

「中尉?」

 

 渡された書類を良く見てみると、片方は俺が少尉から中尉に任命すると書かれているものだった。

 

「俺が中尉、ねぇ」

 

 原作の方でのアクセルの階級はどうだったか? その辺は確か全く表現されていなかった筈だ。ヴィンデルが大佐だというのは自分で名乗っていたので覚えているのだが。

 まぁ、散々原作ブレイクしまくってしまった以上、俺の階級がどうでもそう大差はないか。

 

「で、任務は?」

「以前言っていた汚職政治家に関係する件で、ニューヨークにあるマフィアの事務所に忍び込んでの証拠集めだ」

 

 そっち系の任務か。俺はどちらかと言えば戦闘向けなんだが。

 

「そう面倒そうな顔をするな。お前に任せるのは理由がある。まず、この任務での殺しは一切禁止とする」

「は? それは相手に見つかったりした場合でもか?」

「そうだ。マフィアのメンバーを殺せば騒ぎが大きくなる。そうすると結局問題の政治家にもその騒ぎが聞こえて警戒されてしまうからな」

「だが、証拠集めなんだろう? つまりは裏帳簿やらコンピュータやらを盗んでくるという事だよな? そんな事があれば、その政治家にも連絡が行くんじゃないのか?」

 

 マフィアを殺して政治家に連絡が行くのも、汚職政治家の証拠品を盗んで連絡が行くのも一緒だと思うんだが。

 そんな俺の疑問に、ヴィンデルは首を振って否定する。

 

「確かに証拠品が無い事に気が付けばいずれは政治家に連絡も行くだろう。だがそれは証拠品が無い事に気が付いてから、だ。また自分の不手際を知られたくない為に、まずは自分達でどうにかしようとするだろう。その分の時間があればその間に政治家の方をどうにか出来るかもしれない」

「なるほど。という事は、コンピュータごと盗ってくるのは駄目か」

「そうだな。データをディスクか何かにコピーして来るというのがベストだ。さすがに裏帳簿やら契約書やらはそのまま持ってくるしかないと思うが、そちらでもダミーの紙を置くなりしてくれると助かる」

 

 コンピュータを丸ごと空間倉庫に入れて、という特脳研の時と同じ手は使えないか。

 

「了解した。所でその汚職政治家の名前は?」

「アルバート・グレイだ」

「あぁ、あの」

 

 原作ではカール・シュトレーゼマンの操り人形になっていたが、エアロゲイターに攻撃された時にあっさりと見捨てられていた3流政治家だったと思う。

 口調が一々相手を見下しながら話す奴で、その点では幼年学校時代のジーベルと似たようなものだ。

 

「了解。あの3流政治屋を表舞台から消す為ならちょっと頑張ってみようかね」

「お前も案外言うものだな」

 

 苦笑を浮かべつつ見送るヴィンデルに軽く敬礼をして、執務室を出て行く。

 まずは忍び込むのに必要な各種道具を技術班に用意して貰わなくちゃいけないか。

 俺はレモンと仲がいい為か、技術班に所属している奴らからはそれなりに敬意を払われている。

 その事をレモンに教えた時には『私を一体何だと思ってるのかしら?』とか言って、時々見る肉食獣の笑みを浮かべていた。

 そんな笑顔をするからこそ、整備員達に恐れられるんだと思うんだが。

 もっとも恐れられているだけかと言うと、ちょっと違う。その能力の高さや何だかんだで面倒見の良い所から慕われてもいる。ただそれが純粋な尊敬ではないだけで。あえていうなら畏れ敬うという事で畏敬、か?

 そんな事を思いつつ、整備員達や科学者が集まっている技術班の待機部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

「ここか」

 

 ニューヨークの夜に紛れるようにして、俺はそこにいた。

 着ているものは、特脳研に忍び込んだ時と同じ闇に紛れる為の黒いボディスーツに赤外線探知や暗視装置、ズーム機能に映像保存機能。その他諸々の機能が詰め込まれたレモンお手製の特製バイザーだ。テスラ研で得た技術を使って作ったらしく、使い心地をレポート提出するようにと言われている。

 もっとも、技術班員達は自分達の代わりに俺が使うという事で大喜びだったが。

 にしてもレモンの奴、なんでこんなピンポイントに使えそうな装備品を用意してあったんだ? ヴィンデルから俺がこの任務を命令されると知っていたのか?

 まぁ、使えるんだし問題は無い。データの方はともかく、紙の資料はこのバイザーにある映像保存機能を使えばダミーなんかは必要無いんだし。

 ちなみに、他の道具類は持っていない。何せ俺には空間倉庫というものがあるので細々としたものはそっちに全部突っ込んである。

 おかげで多少ではあるが、動きやすい。

 

「さて、まずは集中」

 

 精神コマンドの集中を使用。

 ちなみにこの集中の効果は1分程集中力を上げるというものだった。

 より正確にはものごとの違和感を察知すると言えばいいのだろうか。

 原作のように無条件で1ターンの間、回避・命中が30%アップというものではなく、その違和感を覚えてそれを基に行動した結果、回避や命中を上げるというものだ。

 そんな曖昧な効果故か、加速なんかと同じように生身でも気軽に使える精神コマンドと言ってもいいだろう。

 集中を使った効果により上がった集中力で周囲の違和感を探る。

 

「よし、特に何も無いな」

 

 マフィアの事務所はオフィス街の一画にある為、夜の現在は周囲が暗闇に包まれている。

 これが日本のヤクザとかなら繁華街に事務所があるんだろうが、堂々と組名を看板に掲げて存在する事の出来る日本と違い、ニューヨークではそんな真似は出来ない。

 そんな真似をしていればすぐに警察なりなんなりが突入してくるだろう。

 集中の効果で増した集中力により、周囲に警備をしている人物がいないというのは確認できた。

 もっとも、俺の違和感を察知する能力よりも高い隠蔽能力を持った人物がいないとも限らないが、そこまで考えては何も出来なくなる。

 周囲の闇に紛れるようにして、2階建てのその建物へと近づいていく。

 

「よし、スライム」

 

 空間倉庫からスライムの触手を出し、液体状にして事務所の探索を進める。

 全部屋の探索が終わるまで1分弱。建物の影に潜むようにして隠れていたが、幸い誰か来るという事もなく探索は終了した。

 

「中に人は誰もいないが、赤外線が設置されている部屋が2階に1部屋だけあり、と」

 

 ほぼ間違い無くその部屋に大事なものがあるのだろう。赤外線が張られているのは部屋の中の高さ1m程の場所だけにネズミなんかの小動物が引っ掛かる恐れも無い。つまり赤外線に接触するのはほぼ確実に侵入者という事になる。

 

「ま、もっともそこにあると分かっていれば引っ掛かるなんて事は無いんだが」

 

 事務所の換気扇から進入させたスライムを使い、近くにある窓の鍵を開けて中へと侵入する。

 スライムで確認はしたが、一応念の為にバイザーのスイッチを入れ赤外線を見逃さないようにしておく。

 そしてそのまま2階へと移動し、問題の部屋の前まで呆気なく到着する。

 

「幾ら何でも簡単すぎる気がするが」

 

 仮にも政治家と癒着して悪さをしているマフィアだ。その事務所がこれ程手薄なのはちょっと疑問に感じる。

 

「まぁ、アルバート・グレイみたいな三流と組んでいるのを考えると、このマフィアも三流なのかもしれないが」

 

 小さく呟き、ドアを体が入る程度に小さく開ける。

 この部屋の赤外線の位置からいって、ドアを大きく開けると接触する事になるからだ。

 ドアの中へと体を滑り込ませ、すぐにドアを閉め部屋の中を確認する。

 バイザー越しに視界に入ったのはスライムで偵察した通り床から1m程上の位置に赤外線が張られている光景だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:12
PP:60
格闘:154
射撃:172
技量:164
防御:161
回避:189
命中:211
SP:238
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
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    ???
    ???
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    ???

撃墜数:18

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