転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0438話

「何とかなったか」

 

 溜息を吐きながら周囲を見回す。デュナミス達が待ち受けていたこの部屋は、俺達の戦闘の影響でかなりの破損を受けていた。その結果として焔、環、暦の3人は捕らえられてネギの眠りの魔法で月詠同様にぐっすりと眠らされ、少なくても今日一杯は絶対に起きないという保証をネギがしている。

 

「じゃ、ここも片付いた事やし俺等は人質救出に出向くとするわ」

「気をつけて行けよ。フェイトに遭遇したとしても夏美のアーティファクトでやり過ごして決して攻撃を仕掛けないようにな。今のお前はまだ力不足だ」

「分かってるわ。悔しいけど奴に関してはアクセルに任せるしかないやろ」

 

 小太郎がそう言い、楓の天狗之隠蓑から出て来た人質救出班である2班の面々と共に栞に教えられた道順に従って去っていく。

 そしてそんな人質救出班の面々が出て行った後で天狗之隠蓑から長谷川や近衛達が姿を現す。

 

「……で、こいつらを長瀬の天狗之隠蓑に入れるって? 本当に大丈夫なのかよ? 中に入ってる私達は戦闘力って意味じゃ殆どゼロに等しいんだぜ?」

「千雨さんの言いたい事も分かりますが、念入りに睡眠の魔法を掛けてあるのでこの墓守人の宮殿にいる間……と言うか、最低でも数日は目が覚めないと思います。なのでゲートポートで現実世界に帰る時にこっちに置いていけばいいかと」

「……本当の本当に大丈夫なんだな? 何かの拍子に目を覚ますなんて事はないんだろうな?」

 

 念には念を、というつもりなのか重ねて尋ねてくる長谷川に、余程の自信があるのか笑みを浮かべながら頷くネギ。それを見てようやく安心したのだろう。安堵の表情を浮かべながら焔達3人と共に天狗之隠蓑の中へと戻っていく長谷川。

 

「さて、じゃあ怪我をしてる人はウチが回復するえー。まずは一番怪我が酷いネギ君からやね」

 

 近衛が治癒魔法を使い、ネギの怪我を回復していく。

 

「次はせっちゃんやな」

「お願いします、このちゃん」

「ではその次は拙者で」

 

 長瀬がその後に続き、10分程で全員の回復が終わる。

 ちなみに俺は怪我をしてないので回復魔法の世話にはなっていない。

 と言うか、俺の場合は魔力を使えば多少の怪我は回復するしな。

 一番大きいダメージを受けていたのがデュナミスに影槍らしきもので攻撃を受けたネギだったので、治療自体は程なく終わり俺達も次の行動へと移る事になる。

 

「デュナミスを倒した以上、残るのはフェイトと墓所の主、それと調の合計3人だな」

「……栞さんの話では魔法世界全体にリライトを使う為の儀式が行われるのは、この墓守人の宮殿最上階のさらに上にある外層部で行われているらしいので、そうなるとフェイトもグレートグランドマスターキーも恐らくはそこにあると思います。……行きましょう」

 

 ネギの言葉に頷き、この部屋の奥にある階段へと視線を向ける。

 

「まさに世界崩壊の危機って奴だな。いや、小太郎達が神楽坂を救ってくれればその時点で危機は回避出来るんだろうが」

「そうだね。でもどのみち僕達はリライトで消された人達を元に戻す為にも、グレートグランドマスターキーは絶対に必要なんだ」

「ほな、私は楓の天狗之隠蓑に戻るから後は頼むなー」

 

 そう言って近衛は天狗之隠蓑の中へと戻り、俺達は奥の階段を上り儀式上へと向けて進んでいく。

 

「それにしても、本拠地だというのにこれ程に人数が少ないというのは違和感があるでござるな」

 

 虚空瞬動で空を蹴りながら誰にともなく呟く長瀬。

 その言葉を聞き、空中を飛びながら口を開く。

 

「だが、調から得た情報ではそれ以外の戦力はいない筈だ。残るのはグランドマスターキーで召喚された……っ!? 避けろ!」

 

 咄嗟に感じた悪寒そのままに口に出し、ネギ達も反射的に動いたのを目にしながら俺もまた同様に羽を大きく羽ばたかせてその場所を移動する。すると次の瞬間にはつい一瞬前まで俺達のいた空間を雷と水が通り過ぎていった。

 

「……どうやら長瀬の勘が当たっていたようだな。奥の手というのがあったらしい」

「正直、嬉しくないんでござるが。ふらぐ、という奴でござろうか」

「2人共、そんなことを話してる場合じゃ……え?」

「そんな、何で……」

 

 桜咲が話している途中で、そしてネギが信じられないとばかりに思わず呟いたその理由。それはたった今攻撃を仕掛けてきた相手の姿を確認したからだった。

 

「クィントゥム。風のアーウェルンクスを拝命」

「セクストゥム。水のアーウェルンクスを拝命」

 

 フェイトに通じる無表情さにその顔立ち。片方は男で片方は女だが、どう考えても目の前に立ち塞がっているその2人はフェイトの関係者以外の何者でもなかった。

 

「フェイトの同類、か。さて、どうする?」

 

 正直、このメンバーでフェイトと同レベルの敵とまともにやり合えるとしたら俺とネギくらいだろう。桜咲と長瀬には悪いが、あの2人では目の前にいるフェイトの関係者には敵わないと思われる。

 ……まぁ、それもこの目の前にいる風と水のアーウェルンクスとやらがフェイトと同レベルだと仮定しての話だが。

 

「……ん?」

「アクセル君?」

 

 アーウェルンクス2人と向き合いながら、ふと何かが引っ掛かる。違和感……そう、違和感と言ってもいいだろう。何が引っ掛かった?

 水と雷を操る目の前の2人へと視線を向け……そして気が付く。

 そう。今こいつ等は何と名乗った? 風のアーウェルンクスと水のアーウェルンクス。そしてフェイトが得意としているのは地の魔法だ。そうなると……

 

「気をつけろ。こいつらが風と水。そしてフェイトが土だとすると最低限火のアーウェルンクスとやらもいる筈だ」

 

 フェイトと同レベルの者が他に3人。どこが戦力不足だと言いたくなるような過剰戦力だ。

 

「しょうがない、か。刹那さん、楓さん」

「そうですね。それしか手はないかと」

「うむ、拙者にも異存は無いでござる」

 

 何やら無言のままに視線で語り合っていた3人を代表してネギが俺へと視線を向けてくる。

 

「アクセル君。この2人は僕達が押さえるから、アクセル君は先に進んでくれないかな。ここにこの2人が出て来た以上は完全なる世界の儀式も大詰めを迎えている筈だし、ならこの中で一番強いアクセル君を先に進めて僕達はここで彼等の相手をするのがいいと思うんだ」

「なるほど、確かにその解答は正し……っ!? ちぃっ、話くらいはさせて欲しいんだがな!」

 

 クィントゥムと名乗った男が幾筋にも広がる雷を俺達へと向かって放ってくる。そしてその攻撃を回避して散った俺達へと迫るのはセクストゥムと名乗った女だ。

 

「はああぁぁっ! 斬空閃!」

 

 セクストゥムへと向かい、太刀を振り下ろす桜咲。その太刀から気を斬撃として飛ばし、セクストゥムの進路を妨害する。

 

「行って下さい、アクセルさん! ここは私達に任せて!」

 

 羽を使い、ふわりと桜咲の横へと着地しながら言葉を返す。

 

「そうは言うが、お前程の実力者ともなれば向こうとの力量差は理解しているだろう」

 

 放たれた水の弾丸を混沌精霊としての力を使って作りだした炎で蒸発させていると、長瀬が俺の後ろへと現れる。

 

「確かに刹那1人では奴に対抗出来ぬでござろう。だが、拙者と2人なら話は別でござるよ」

「それに、ネギ先生もいます」

 

 チラリと、空間全てを使って雷速瞬動を使い縦横無尽に駆け巡っては拳を交えているネギとクィントゥムへと視線を向ける。

 ……なるほど。確かにネギが向こうを1人で押さえて、桜咲と長瀬の2人がセクストゥムを押さえるのならいけるか。

 

「分かった。なら俺は先に行かせて貰う。だが、これだけは言っておく。ここで誰か1人でも死ぬということは、即ちその時点で俺達の負けになるというのを忘れるなよ」

「承知でござるよ」

「お嬢様を悲しませる訳にはいきませんからね」

 

 2人の返事を聞き、小さく頷いてから呟く。

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、同時に瞬動を使用して一気にセクストゥムとの間合いを縮め……

 

「やらせません」

 

 巨大な水のキューブの様な物を放つその攻撃を、瞬動状態から無理矢理に羽を羽ばたかせて進行方向を変えて紙一重で回避する。同時にセクストゥムの影に干渉して影槍を30本程突き出し、それに対処している隙を突いてセクストゥムの横を通り過ぎる。置き土産に特大の火球を1つ生成し、爆発。

 爆音が周囲へと響き渡る中。その爆風すらも追い風にしながら墓守人の宮殿を上層へとひたすらに昇っていく。

 周囲には既に召喚魔の姿も無く、しんと静まり返っている。そんな中をひたすらに昇っていき……近くにあった柱へと向かって大きく手を振るう。

 轟っ! と俺の手から放たれた幾つもの炎球。それが柱へと命中する寸前に炎による障壁が現れ、俺の炎球を受け止めた。

 

「ふんっ、こんな雑魚を片付ける事も出来無いとはな。やはり我よりも性能に劣るか」

 

 自信あり気に姿を現したのは、やはりと言うべきか予想通りと言うべきか、フェイトに似た顔立ちをしている男だった。妙に自信あり気に見えるが……

 

「フェイトの量産型か」

 

 羽を使って態勢を整え、上空から相手を見下ろす。

 

「フェイト? あぁ、テルティウムの事か。そうだな、我はクァルトゥム。火のアーウェルンクスを拝命した者だ。お前は……そうか、人間では無いな。なら殺害禁止の命令に従うまでもないだろう。その身をここで焦がして消し炭へと変えてくれる」

 

 傲慢な笑みを浮かべながら呪文を唱え始めるクァルトゥム。

 

『契約に従い我に従え炎の精霊。集い来たりて……紅蓮蜂!』

 

 魔法が発動すると同時に、数十匹の蜂がその手から放たれる。だが……

 

「生命ノ宴」

 

 右手を白炎と化し、そこから作られたのは数十匹どころか、数百匹の虫の炎獣。それらが群れをなしてクァルトゥムへと襲い掛かっていく。

 

「なっ! ば、馬鹿な!? なんだ貴様は!?」

「ふん、自分で言っただろう? 人間じゃない、とな。それが答えだよ」

 

 クァルトゥムの放った蜂全てを撃墜し、それでも尚存在している虫型の炎獣100匹以上。それらが俺の命令に従い、獲物であるクァルトゥム目掛けて突き進む。

 

『GYAAAAAAAAA!』

 

 数匹であれば小さいその鳴き声も、100匹近くなればそれは大合唱とも言える大きさになる。そんな声を響かせながら迫る炎獣から必死に逃げ惑うクァルトゥム。

 

「ええいっ、くそっ! この我がこんな無様な……」

 

 咄嗟に身を躱し、突き進んできた虫が柱へとぶつかりってその熱で貫通していく。その様子を見ていたクァルトゥムは頬を引き攣らせながらも呪文を唱える。

 

『九つの鍵を開きて レーギャルンの果てより出て来たれ……燃え盛る炎の神剣!』

 

 その呪文と共に現れたのは巨大な剣だった。長さ10m程度はあるだろうその剣を大きく振り回し、虫型の炎獣を文字通りに一網打尽に叩きつぶす。

 ……が、それは同時にこの墓守人の宮殿を支えているであろう柱も数本程纏めて斬り飛ばしていた。

 

「はっはっはっは! 我にこの魔法を使わせるとはなかなかに腕が立つ。だが、ここからは己の身の程というものを知って貰おうか!」

 

 偉そうに宣言をしているが、自分達のアジトでもある墓守人の宮殿を破壊してる事に関してはどうなんだろうな。

 振り下ろされた巨大な剣を回避しながら、内心でそう思いつつ目の前のこいつが本当にフェイトの同型なのかどうか微妙に呆れる。確かに力は持っているだろう。あの蜂といい、この巨大な剣といい、その威力は大した物であるのは認めざるを得ない。だが、力を持つ者の重みとでもいうべきものをこいつからは一切感じられない。あえて言うなら力を持って有頂天に……否、その力に酔っているような印象すら受ける。それ故に力の総量自体はフェイトと変わらないとしても、一向に脅威を感じるような事は無かった。

 

「蝿の如く逃げ惑っているだけか!」

 

 袈裟懸けにその巨大な剣を振り下ろされ、喉に魔力を込めながらその一撃を回避。同時に念動力を使いクァルトゥムの動きを止める。

 

「ば、馬鹿な!? 何をした貴様ぁっ!?」

 

 巨大な剣を振り下ろした状態で動きを強制的に止められて狼狽するクァルトゥム。

 

「直撃」

 

 しかしその言葉に応える必要性も感じられずに精神コマンドの直撃を使用。

 

「ガァッ!」

 

 同時に喉に溜めた魔力を使い、口から永久石化光線を吐き出す。

 

「どんな攻撃だろうと我の魔法障……」

 

 恐らくは自信満々に魔法障壁で攻撃は効かないとでも宣言するつもりだったのだろう。だが精神コマンドの直撃を使っている以上はそんなものに意味は無い。実際、クァルトゥムは尊大な笑みを浮かべたまま永久石化光線を正面からまともに食らい、一瞬にして石化するのだった。

 

「……造物主とやらも何を考えてこんな性格にしたんだろうな」

 

 これならまだ、あの水や風の方が手強かっただろうに。

 石化したクァルトゥムをそのままそこへと放り出し、墓守人の宮殿を上へと昇って行く。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:20
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:393

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