転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0442話

 目の前にいる存在。それは魔法世界を創りだしたと言われている造物主だろう。

 ……何故ここにいる? 奴は確かナギ・スプリングフィールドに倒された筈。

 いや、だが今はそんな事を考えている場合じゃない。とにかく場所が拙い。ここが現実世界なら奴と戦ってもどうにか出来る自信はあるが、ここは奴に創り出された魔法世界。まさに奴の庭も同然の場所だ。

 チラリと上空に浮かんでいる麻帆良が目に入る。そこでは召喚魔や落下している瓦礫等を迎撃したり破壊している量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとメギロート。そしてエルアインスの姿が見えていた。他にもヴァイスセイヴァーやラピエサージュ、ヴァイサーガの姿もある。レモンやコーネリア、エキドナも出撃しているらしい。

 なるほど、ここは魔法世界とは言っても現実世界との狭間か。なら何とかなるかもな。

 そう判断した俺だが、次の瞬間には再び唖然とさせられる。

 

「……ふむ、どうやら復活出来たか」

 

 そう言いながらデュナミスが姿を現し、同時に石化した筈の火のアーウェルンクスであるクァルトゥムまで姿を現したのだ。それも無傷で。

 

「貴様は……そうか、我に恥を掻かせた礼はさせてもらおう」

 

 ……さすがに造物主も入れて3人相手は厳しい……か?

 一旦距離を取るべく、フェイトの着ている服の襟首を無造作に掴み後方へと跳躍する。

 

「ぐっ!」

 

 何やらフェイトが呻いているが、先程の攻撃を考えるとこいつも既に奴等に敵として認識されているだろう。なら敵の敵は味方だし、フェイトの実力なら足手纏いにはならない筈だ。……まぁ、全力を出して俺と戦った今の状態では厳しいだろうが。

 そしてそれは俺も同様だ。フェイト程疲労している訳では無いにしろ、大分体力を削られているというのは事実なのだ。この状態で奴等とやり合うというのは正直厳しいのは間違い無い。……レモン達が来ている以上は、麻帆良に戻れば恐らくグロウセイヴァーもあるんだろうが……

 そう思った時だった。戦闘の流れがこちらに向いたのは。

 

「アクセル君!」

「アクセル、無事か!?」

 

 ネギと小太郎の声。そして同時に長瀬、桜咲、古菲、綾瀬といった戦闘が可能な面々が儀式場に姿を現したのだ。そして更に幸運は続く。

 

『おいおいおいおい、レモンに言われて来て見れば何が起きてるんだ、一体? ん? おい、もしかしてそこの角だったり羽だったり尻尾があるのがアクセルだったりするのか?』

 

 テスラ・ドライブを使い空を飛んで量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが5機のメギロートを従えてこの場に姿を現したのだ。

 そしてその量産型ゲシュペンストMk-Ⅱから聞こえて来る声は聞き間違いようもなくムウの声だ。

 

「ムウ、メギロートに俺の向こうにいる3人に対して攻撃をするよう命令しろ。ネギ! 聞こえているな! 俺の記憶を追体験したなら知ってると思うが、あの虫型の機体――メギロート――は無人機だが味方だと考えてもいい。奴等に対する攻撃命令を出すから、お前等は被害を受けないように援護に徹しろ。俺が戻って来るまでにメギロートが全機やられたら防衛戦にでも徹して何とか持ち堪えろ。それと、この状況は神楽坂の能力も影響している筈だ。出来れば意識を取り戻すようにしておけ。分かったな!」

「うん、分かった! アクセル君が戻ってくるまでなら何とかしてみせるよ!」

 

 ネギの声を聞き、フェイトの襟首を掴んだまま羽を羽ばたかせてムウの操縦する量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの掌の上へと着地する。

 

「ムウ、地上に戻ってくれ。俺の機体も持ってきてるんだろう?」

『あ、ああ。それは確かだが……お前さん、本当にアクセルなんだよな? いや、顔には面影があるけど』

「まぁ、そうだな。こっちの世界で色々とあってな。おもにこいつのせいだが」

 

 襟首を掴まれて不満そうな顔をしているフェイトへと目を向ける。

 

「……僕のせいとだけは言い切れないと思うんだけどね」

「俺がこの姿になったのは京都でリョウメンスクナノカミを吸収して、麻帆良に侵入した爵位持ちの悪魔であるヘルマンを吸収したからなんだがな?」

「それは確かに僕のせいかもしれないけど、闇の魔法の暴走は君自身の選択だろう? おまけに、精霊を喰らってその暴走を乗り越えて文字通りの意味で人外に転生するとか」

『あー……話している内容は良く分からないが、多分そこの坊主の言ってる方が正しいように感じるのは俺だけじゃないと思う』

 

 ムウの声を聞き、どこか勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべるフェイト。……こいつ、無表情じゃなくなったと思ったら途端に生意気になったな。

 そんな風に思いながらメギロートを見ると、既にデュナミスやクァルトゥムとの戦闘を始めている。

 さすがに幾つもの星を滅ぼしてきた戦闘AIと言えども魔法を使うような存在と戦うのは初めてな為か、どこか手こずっているように見える。それでもクァルトゥムが放った爆発する蜂をドーナツ状のサークルレーザーで纏めて消滅させ、その尖った角で突き刺そうとしたり、あるいはデュナミスが創り出した闇人形をその強靱極まりない口で噛み千切ったりしてそれなりに互角の戦いはしているのだが。

 だが、それもデュナミスとクァルトゥムがこれまで魔法ではなく科学で作られた機体相手に戦闘経験がない為に面食らっているのだろう。そしてその隙を突くかのように放たれるネギ達の援護に手を割かれているというのもデュナミス達が苦戦している原因の1つだと思われる。

 造物主が様子見をしているのと、メギロートが5機いるというのも大きいだろうが。

 

『にしても、折角あの魔法使いの爺さんに魔法を掛けて貰ってこの中に突入出来るようになったっていうのに、ただの足代わりとか……』

「爺さん?」

『ああ。なんでもこの麻帆良って場所の学園長らしいぞ。この場所には普通の状態では入れないとかで、何かの魔法を使ってくれた。……にしても、魔法とか本当にあるとはねぇ』

「それこそ平行世界なんだからしょうがないだろう。俺が元々いた世界なんか宇宙人が攻めてきたり、地球に生命が産み出された時から見守っていたとかいう化け物とかも現れたんだから、それに比べれば魔法程度そう驚く事でもない」

 

 造物主達をメギロートに任せ、魔力のフィールドを突破しながら俺と会話をするムウ。フェイトは先程の笑みは口から消して俺とムウの会話に耳を傾けている。

 墓守人の宮殿に突入する時には台風で言う無風状態のような場所から突入したにも関わらず洒落にならない程に揺れたというのに、今のこの状態は普通に空を飛んでいるのと変わらない程度の揺れしかない。だからこそこうやって話している余裕もあるんだが……そういう魔法を簡単に使えるところは麻帆良最強の魔法使いの面目躍如といった所か。

 

『にしても外見が10歳くらいになったって聞いてたから見るのを楽しみにしてたのに、実際に見ると角とか羽とか尻尾とか……』

「残念だったな。まぁ、見たいなら後で見せてやるよ。この身体になったおかげで色々と特殊能力も身につけたしな。……どのみちこの騒ぎが片付いてからになるだろうが……来るぞ!」

 

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの進行方向に現れたのは、いわゆるガーゴイルのような形をした召喚魔が3匹程。あるいは造物主なりデュナミスなりの命令を受けているのか、まっすぐに俺やフェイトへと向かって来る。

 だが……

 

『何をしている貴様ぁっ! さっさと下に行って自分の機体を受け取ってこい!』

 

 そのガーゴイルは、そんな叫びと共に放たれた赤みがかったビームにより一瞬にして消滅する。量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのメガ・ビームライフルだ。

 

「今の声は……イザークか? あいつまで来てるのか」

 

 ホワイトスターには量産型Wがいるとは言っても、こっちに向かっている人数が多すぎないか? いや、こいつ等がいるという事は当然ゲートも展開されているんだろう。何かあったらすぐにあっちへと戻れる準備は整っているという訳か。

 

『奴さんはアクセルが模擬戦の約束をすっぽかしたって怒ってたぞ。まぁ、心配もしていたようだが』

『ふざけるな! 俺はこんな奴の事は少しも心配していない! それよりもこいつの機体はそろそろ準備が整っている筈だから戯れ言をほざいてないでさっさとゲートに向かえ!』

 

 外部スピーカー越しにムウと会話をしつつも、イザークの乗る量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはメガ・ビームライフルで降り注ぐ瓦礫を消滅させ、ネオ・プラズマカッターを振るっては召喚魔を纏めて消滅させる。あるいは上空にスプリットミサイルを発射しては瓦礫と召喚魔を纏めて消滅させていた。

 さすがイザーク、元ザフトの赤服といった所か。

 

『了解了解。さっさとゲートに向かうとしますか。……にしてもお前さん、今のアクセルの姿を見ても何も驚かないんだな。普通は驚くと思うんだが』

『ふんっ、元々この男がまともな存在では無いというのは最初から知っていただろう。それが羽や角が生えたとしてもそう驚く事でもない』

「アクセル・アルマー、君って一体どういう存在だと思われてるんだい?」

 

 イザークのその台詞を聞き、どこかジト目で俺へと視線を向けるフェイト。

 いや、それを俺に聞かれてもな。俺は俺だとしか言いようがないんだが。

 

『よし。護衛のイザークも来た事だし、敵の攻撃を心配する必要も無くなった。ここからは一気に行くぞ』

 

 ムウの声が響き、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのテスラ・ドライブの出力が上がりその速度が増す。

 何しろ掌の上には俺とフェイトがいて、風圧で吹き飛ばされないようにもう片方の手で覆っているのだ。使える武器といったらスプリットミサイルとスラッシュ・リッパーくらいしかない今のムウでは慎重にならざるを得なかったのだろう。メギロートがいれば護衛を任せる事も出来たのだろうが、造物主の押さえに置いてきてしまったからな。

 その為、イザークという護衛を得た今は速度を増して、どんどんと麻帆良のとある部分へと向かっている。

 ……学園結界が機能していない?

 本来なら人外の存在と化した今の俺ならエヴァのように学園結界で能力を抑えられてもおかしくない筈だ。だが今の俺は魔法世界で活動していたままの万全の状態だ。何故だ? と一瞬考えたものの、恐らく瓦礫や召喚魔に対抗する為にエヴァの力を借りようとして解除したのだろう。そんな風に考えている間にもムウの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは女子寮の横を通り過ぎて以前何度か立ち寄った事もあるその丘へと到着した。その丘の上にはゲートが展開されており、マリューと量産型W、魔法先生達の姿も何人か見える。

 

「おいおい、何もこんな所にゲートを展開しなくてもいいだろうに」

 

 思わず呟いたその言葉に、隣にいたフェイトが興味深そうに尋ねてくる。

 

「……ゲート? それは僕達の知ってるゲートとは別物なのかい?」

「あ? ああ。全くの別物だよ。俺の言ってるゲートってのは科学の力で作られた限定的な空間転移装置で、魔法の力なんてものは一切関係無い。ただ、効果は似ているかもな。このゲートシステムってのを展開した場所と次元の狭間にある俺達の本拠地を転移装置で繋ぐって代物だから」

 

 そうして話している間にも丘の真上に到着した量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはテスラ・ドライブを使いながら地上へと降り立つ。

 

「アクセル!」

 

 まず最初に聞こえてきたその声は、どこか柔らかい声質を持つ声だ。その声を発したマリューが着地した俺へと飛びつき強引に唇を重ね、数秒程舌を絡めた後にその柔らかい身体で力一杯抱きしめてくる。馴染みのあるマリューの香りと、マリューの豊満な胸が俺の胸板でグニュリという感じで潰れるその感触に思わず懐かしいものを感じていた。

 

「馬鹿っ、あんまり心配させないでよね!」

 

 ぎゅうううっと最後に力一杯抱きしめ、それからようやく離れる。そして俺の姿を改めて眺めて一言。

 

「随分と派手になったわね」

「……って、それだけか?」

 

 自分で言うの何だが、今の俺はどこからどう見ても悪魔とか魔族とか呼ばれるような格好をしてるんだと思うが。現に幼児状態の俺しか知らない魔法先生達は唖然とした目で俺を見ているし。マリューから付けられた口紅を近右衛門に苦笑を浮かべながら渡されたハンカチで拭きとりながらマリューとの会話を続ける。

 

「どんなに姿が変わってもアクセルはアクセルよ。私が……いえ、私達が恋人の貴方を見間違う訳ないでしょ?」

 

 そう言いながら頬を撫でてくるマリューのその様子には苦笑を浮かべるしか無かった。

 何やら瀬流彦が『え? あれ? 恋人ってあのコーネリアって人じゃないの?』とか呟いてるのが俺の耳には聞こえてきたが、取りあえずはスルーしておく。

 

「フォフォフォ。何はともあれ、良く戻ってくれたなアクセル君。色々と詳しい話を聞きたい所じゃが、こっちでも色々とあってそれどころじゃないんじゃよ」

 

 近右衛門の言葉に改めて魔法先生達の方へと視線を向けると、確かにそこにはいつもいるような戦闘向きの人員は存在しない。瀬流彦にしても、攻撃魔法はそれ程得意じゃないという話を聞いた事があるし……恐らくはこの騒ぎで麻帆良に被害が出ないように街中に散らばっているのだろう。

 

「魔法の隠蔽も大変だな」

「何、映画撮影として処理させておるよ。どういう訳か知らないが、敵の召喚魔は人間を相手にすると武装解除の攻撃しかしてこなくての。おかげで何とか誤魔化せておる」

「それはそうだよ。僕達には人間を相手にした殺傷は許可されていないしね」

 

 近右衛門の疑問に答えたのは空気を読んだのか俺とマリューのやりとりを沈黙して見守っていたフェイトだった。

 

「アクセル君、彼は?」

「フェイト・アーウェルンクス。完全なる世界の一員だったが、俺が降した」

 

 完全なる世界という単語が出た所で魔法使い達の顔が強張ったが、残念ながら今はそれどころではないのだ。

 

「フェイト、俺はネギ達の援軍に行ってくる。お前は学園長達に俺の計画を話しておいてくれ。マリュー、グロウセイヴァーは?」

「ちょっと待って頂戴。……ええ、そうよ。いいわ、送って頂戴」

 

 ホワイトスターと通信をしていたのだろう。再び転移フィールドが展開されたと思うと、次の瞬間そこには俺の愛機でもあるグロウセイヴァーの姿があった。

 

「オーバーホールは完了しているわ。一応、部品の総取っ替えをしたから暫くはアクセルの操縦にも何とか耐えてくれる筈よ。……気をつけてね」

 

 最後にもう一度唇を重ね、通信を使って他の面々のフォローへと回るマリュー。

 その後ろ姿を見ながら、俺もまたグロウセイヴァーの姿に異様な物を感じているらしい魔法使い達を尻目に、そのコックピットへと向かう……前に、指をパチンッと鳴らして全身を炎に包み込んで20代の人の姿へと戻る。

 何しろ、角はともかく羽やら尻尾やらがあっては碌にコックピットに座る事も出来無い。

 

「ほう、それがお前が魔法世界で身につけた力か」

 

 そう声を掛けて来たのはエヴァだった。どこか興味深そうに俺とグロウセイヴァーを見比べている。

 

「お前の記憶と実際に見るのとでは大違いだな。……少し待て」

 

 一瞬だけ精神を集中させ、何らかの魔法を俺とグロウセイヴァーへと掛けるエヴァ。

 

「あの墓守人の宮殿に行くのだろう? そのまま突っ込む訳にも行かないだろうしな。一種の魔法障壁を張ったからあの中にも突破出来る筈だ。……色々と聞きたい事もあるのだが、それはこれが片付いてからだな」

「悪いな、詳しい話はフェイトから聞いてくれ」

 

 乗降ワイヤーを使い、グロウセイヴァーのコックピットへ。

 懐かしい感覚に陥りながらも、グロウセイヴァーを起動させていく。

 

「グロウセイヴァー、アクセル・アルマー、出るぞ!」




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:20
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:393

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