転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0451話

 学園長室での会談が終わり、その場で解散しようとしたエヴァへと俺が提案した内容。それは、エヴァをホワイトスターに招待するというものだった。

 エヴァに掛けられている登校地獄。これは麻帆良の外に出られないようにするというものだが、もしエヴァの向かう先がこの世界の麻帆良の外ではなく次元の狭間にあるホワイトスターだとしたら? あるいはもっと進んで考えて、ホワイトスターを通して他の世界には移動出来るのか? 昨日思いついた事がこれだ。

 

「……なるほど。確かに魔法に関してはあくまでもこの世界のもの。魔法世界のような異界ならともかく、純粋に別世界に渡る可能性を考えている筈も無いか。いいだろう、アクセル。お前の思惑に乗ってみよう。構わんな、ジジィ?」

「うーむ……そうじゃな、構わんぞい。ただし、登校地獄がある以上は明日の授業に遅刻しないようにな」

「ふんっ、忌々しい呪いだ。はやく乗っ取られているあの馬鹿をどうにかしてやらんとな」

 

 なるほど、ナギ・スプリングフィールドが造物主に乗っ取られているという情報は既にネギから伝わっている訳か。

 エヴァを自由にするという近右衛門の発言に背後に控えていた魔法先生達は微かに眉を顰めてはいたものの、特に何を言うでもなく沈黙を守る。まぁ、魔法使い達にしても魔法世界を救う為のブルーマーズ計画を実行する為には俺達シャドウミラーの協力が必要不可欠だと理解しているからこそだろうが。

 

「ほら、アクセル。さっさとゲートとやらまで行くぞ!」

「マスター、そんなに急いでは危険です」

 

 エヴァがはしゃいで学園長室を出て行き、ペコリと頭を下げた茶々丸がその後を追っていく。

 その後ろ姿を見送っていたエザリアは不思議そうな顔を俺へと向けてくる。いや、エザリアだけじゃなくイザークもか。昨日会わなかったのか?

 

「アクセル・アルマー。あの少女は一体?」

「そう言えば、昨日もいたが妙に偉そうな子供だな」

「くっくっく。まぁ、確かに外見だけで考えればそういう感想になってもおかしくはないが……一応あれでも600年を生きた真祖の吸血鬼なんだよ」

 

 俺の言葉を聞くと学園長室の中がシン、と静まり返る。

 魔法使い達はともかく、雪広財閥と那波重工から出向してきている2人も信じられないといったような表情を俺へと向けている。

 

「吸血鬼? ……いや、魔法があるのだからそういう存在がいるのも当然というべきか」

 

 唖然と呟くエザリアの声だけが学園長室へと響くのだった。

 

「ま、そういう事だ。そもそも俺自身が既に人間じゃないんだからその辺を余り深く気にしすぎないようにした方がいい」

「人間では無い? 確か先程も……」

「その話に関してはゲートの前でも言ったが取りあえずは今夜だ。……俺はこれからホワイトスターに戻るが、お前達はどうする?」

 

 背後にいるあやか達4人へと視線を向ける。

 

「残念ですが、私と千鶴さんは彼等と打ち合わせがあるのでご一緒出来ません」

 

 あやかの言葉に千鶴が残念そうに頷く。

 ならば円と美砂は? と視線を向けると、こちらも残念そうに首を振る。

 

「何だかんだで半月近くも桜子を放って置いたから、暫くは親孝行ならぬ親友孝行をしないとね」

「ま、そういう訳で私達はこれからカラオケに行くのよ。……本当ならアクセル君も誘って行きたかったんだけど、色々あるみたいだししょうがないか。それに約束の18歳まで後3年。しっかりと女として磨いておかないといけないし……ね」

 

 中学生とは思えないような、ゾクリとする色気を持った流し目を向けてくる美砂。

 これ、本当に後3年経ったら魔性の女と化してるんじゃないだろうか。

 

「ではあやかお嬢様、事務所の方を用意してありますのでそちらで他の者とも顔合わせを」

「千鶴お嬢様、私達も行きましょう」

 

 そうして俺達はその場で解散し、俺、エザリア、イザーク、量産型Wの3人は再び案内兼監視の瀬流彦に連れられてゲートまで戻るのだった。

 尚、俺達より先に出たエヴァと茶々丸だったが、結局は駅で電車を待っている所に追いつくという事になったのは微妙に内緒にしておきたい出来事だ。

 

「お帰りなさいませ、隊長」

 

 ゲートで俺達を出迎えたエキドナに軽く頷き、瀬流彦へと視線を向ける。

 

「どうだ? どうせならお前も一度ホワイトスターに来るか?」

「うーん。そうしたい所だけど、僕にも色々と仕事があるからね。残念ながら今回は遠慮させて貰うよ」

「下っ端は大変だな」

「シャドウミラーとかいう所のリーダーであるアクセル君にそう言われるのは何か微妙な感じがするけどね」

「おいっ、早くしろ! ホワイトスターとやらに行くんだろう!」

「マスター、そんなにお出かけするのが嬉しいなんて……まるで子供のような」

「ええいっ、このボケロボ! いらん事を言うな!」

 

 そんなやり取りを聞きつつ、瀬流彦は女子寮の管理人室へと向かっていく。どうやらあそこが魔法使い達が俺達を出迎えたり、あるいはゲートの監視や近付く者達を阻止する為の拠点となっているらしい。

 ……幼児状態の俺ならともかく、瀬流彦のような成人した男が女子寮に入るとか妙な目で見られないといいが……

 そんな風に思っていると、茶々丸のゼンマイを巻いて仕置きを完了したエヴァに急かされてゲートを起動させる。

 

「……いいか、行けるかどうかはまだ不明だし、もし向こうに転移が可能になったとしても呪い的にどういう不具合が起きるか分からない。その辺、十分気をつけろよ」

「ああ、問題無いからやってくれ」

「……マスター……」

「ふんっ、心配するな。私は闇の福音だ。この程度の事でどうこうなる程に柔な身体はしていない」

「アクセル隊長?」

 

 エヴァと茶々丸のやり取りを見ていたエキドナに尋ねられて、苦笑しながら口を開く。

 

「この2人もホワイトスターに転移してくれ。……いや、違うな。3人だ」

 

 そう告げる視線の先にはフェイトの姿。

 

「エヴァンジェリンが君の本拠地に行くようだし、僕も一緒に行っても構わないかな? 君達に協力する以上はその本拠地を見ておきたいしね」

「ああ、問題無い。俺としてもお前には一度ホワイトスターに来て貰いたかったしな。エキドナ、頼む」

「了解しました。転移先座標、リュケイオスとのリンク接続……接続固定。転移先座標への座標軸固定完了。転移フィールド生成開始……生成完了。では、行きます。転移開始」

 

 エキドナの言葉と共に転移フィールドが俺達を包み込み……次の瞬間には俺達の姿は麻帆良からホワイトスターの転移区画に転移を完了していた。

 そしてホワイトスターに到着した俺がまずやる事は1つだ。

 俺の近くにいるエヴァへと視線を向ける。

 

「……どうだ?」

「問題無い。というよりも、学園結界が無い為か全盛期の力を取り戻せているな。だが妙な違和感がある。これは……」

 

 右手を握ったり開いたりしながら呟くエヴァ。そんなエヴァへと周囲を見回していたフェイトが口を開く。

 

「このホワイトスターという場所には精霊の数が殆どいないらしい。恐らく魔法を使うにしても、僕達の世界にいる時とは桁違いの魔力を消費する事になると思うよ」

「ふむ、ここが次元の狭間にあるというのと関係があるのかもな。茶々丸、お前はどうだ? 身体の動きに何か違和感はないか?」

「私は問題ありません」

 

 茶々丸が頷き、その様子にエヴァがほっと安堵の息を吐く。

 だが、俺はそれよりもフェイトの言葉が気になった。

 

「フェイト、今言ってた事は本当か?」

「精霊が少ないというのなら本当だよ」

「それが原因か……」

 

 フェイトの言葉に、思わず納得した。そして不思議そうな顔で俺を見ている3人へと昨日の件についてする。

 

「昨日ホワイトスターで『火よ灯れ』の魔法を使ったんだが、魔力をもの凄く大量に消費してな。それこそ『燃える天空』レベルに消費したんだ」

「……何? 私はそこまで消費をしているような気はしないが。アクセル、『火よ灯れ』を使ってみろ」

 

 エヴァの言葉に頷き、人差し指を立てて呪文を唱える。

 

『火よ灯れ』

 

 その呪文と共に魔法が発動し、俺の人差し指の先に炎が灯る。それを確認してステータスを確認すると……

 

「何?」

 

 そこに表示されているのは、15消費されているSPの数値だった。

 昨日は間違い無く40近く消費したというのに、今度は15で発動しただと?

 それでも麻帆良にいた時はSP消費1程度だったから消費SPが15倍になっているのだが……

 

「アクセル?」

「いや、麻帆良にいた時よりも多く魔力を消費はしたが昨日よりも少ない消費で発動した。ちょっと待ってくれ、もう1度」

 

 人差し指の先に灯っていた炎を一旦消し、再び魔法を発動する。

 

『火よ灯れ』

 

 そしてステータス画面のSPへと視線を向けると、今度は25の消費。

 

「……1回1回消費する魔力が違う……のか?」

「どうしたのだ? しっかりと説明しないと何を言っているのか理解出来ないぞ」

「あー、すまん。簡単に言うとだ。『火よ灯れ』を使ってみたんだが1回ごとに消費魔力が大きく変わるという事が分かった。まぁ、どのみち大量に魔力を消費するというのは間違いじゃないんだが……これはちょっと困ったな」

 

 そんな風に考えた時だった。

 

「ア、ア、ア、ア、アクセル隊長! 今手から火が出てませんでしたか!?」

 

 通りかかった技術班の1人が俺の『火よ灯れ』を見て驚き、興奮し、掴みかかってきたのだ。

 

「アクセル隊長が行方不明になってた時に行ってた世界って魔法の世界だという話は本当だったんですね!? 魔法ってどういう原理で動いているんでしょうか? どういう種類があるんですか? 俺達にも使えるんですか?」

「落ち着け」

 

 目の前にある男の頭頂部へと軽く拳を落とす。

 ……ゴキャッ! とかいう音が聞こえた気がするがきっと気のせいだろう。

 

「ぐっ……」

 

 頭を抑えて踞っている男と、それを呆れたような目で見ているフェイトにエヴァ。

 その呆れたような視線が俺に向けられている気もするがそれもまた気のせいだろう。

 

「魔法や俺が転移した世界に関しては、今日の夜に主だった者達を集めて説明する予定だ。その時に詳しい話をしてやるから今は我慢しろ。ここでお前に説明したら他の技術班の奴等も来て、1人ずつ個別に説明していく事になりそうだしな」

「……分かりました。ですが夜には絶対に魔法について教えて下さいよ!」

 

 鬼気迫る、というのは恐らくこういう表情を言うんだろうなと思いつつも頷いて仕事に戻らせる。

 そして視線を向けたのはエヴァとフェイトの2人だ。

 

「……そういう訳で、希望者にたいして魔法の講習をしてくれると助かるんだが」

「ちょっと待て。何で私がそんな面倒臭い真似をしないといけないんだ」

「エヴァンジェリンの意見に同感だね。僕としてもブルーマーズ計画で色々と忙しくなるんだから、今日1日ならともかく皆が魔法を使えるようになるまでそれに付き合うなんて事は出来無いよ」

 

 うーん、やっぱりそうなるか。フェイトは元々ブルーマーズ計画で忙しいのは分かっていたんだが、エヴァは……いや、待てよ?

 

「なぁ、エヴァ。もし魔法の講習をしてくれるというのなら、これからホワイトスターに来る為のフリーパスを渡してもいいんだが……どうする?」

「ぐっ、アクセル貴様……卑怯だぞ」

「まぁ、別に俺は正義の魔法使いじゃないし。と言うか、魔法世界では大魔王とか呼ばれてたしな」

「面倒事は御免なんだがな」

 

 そう呟くエヴァへと、トドメの一言を放つ。

 

「ホワイトスターに転移出来たという事は、まだ試してはいないが他の平行世界にも転移出来るという可能性があるんだがな。……まぁ、今の所安全に行けるのはSEED世界という世界くらいだが。ギアスの世界は日本がエリア11としてブリタニア帝国って所に占領されてるし。それでも、そのSEED世界は自由に行き来できるようになる……かもしれないぞ? それにその世界では俺達シャドウミラーは戦勝国だからな。日本中どころか世界中。あるいは月や宇宙にも出掛けられるというおまけ付きだ」

「ぐ、ぐぐ……」

「それにSEED世界に繋がっているゲートの出口はオーブという日系の島国だから、食べ物も日本の物があるし。……さて、どうする?」

「……分かった。引き受けよう」

 

 よし、エヴァの一本釣り完了っと。

 それが決まった以上は取りあえずホワイトスターの案内でもするかね。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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