転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0458話

「お待ちしてましたわ、アクセル君」

 

 俺が3-Aに行って別れを告げてから数日。俺の姿は再びネギまの世界にあった。

 ただし、ネギまの世界ではあっても麻帆良ではない。麻帆良から少し離れた位置にある研究所の1つだ。もっとも外観は寂れた工場のようにしか見えないが。そこで俺は、あやか、千鶴の2人から出迎えを受けていた。

 

「予想外に早かったな」

 

 視線の先にあるのは雪広財閥が所有する研究所だ。寂れた工場のように見える周囲に俺達以外の人通りは殆ど無く、一番近くの街まで車で20分程度は掛かる。そんな埼玉にしては珍しい程の僻地に建っている建物であり、端から見ればそれ程重要な施設には見えないだろう。

 だがこの研究所に敷かれている警備態勢はネギま世界でも有数のものだったりする。何しろフェイトが手を回した魔法使いや、長瀬の親族でもある甲賀忍者達までもが協力をしているのだ。

 

「ええ。何しろニュースで取り上げられましたからね」

「そうねぇ。私のおうちの方でも色々とあったみたいだし」

 

 あやかが頷き、千鶴が笑みを浮かべている。

 特に千鶴の場合は笑みは笑みでも苦笑であり、それだけで実家の方であった色々というのがどういう類のものなのかは想像出来た。

 

「俺としても早いに越した事はないからな。じゃあ早速行くか」

「ええ、ご案内しますわ」

 

 あやかが笑みを浮かべて頷き、近くにいた数人のボディーガードと共に施設の中へと入っていく。ご丁寧にIDを通さないと扉が開かない仕組みになっている辺りは僻地にあるというのに警備がしっかりしている。

 

「実際の所、反応はどうなんだ?」

 

 研究所の敷地内を歩きながらあやかへと尋ねる。

 

「火星のテラフォーミングなんて案を提出するだけに、何か大発見があったんだと思われているようです。その為にハッキングやら企業スパイやらで色々と忙しい事になってますわ」

「……大丈夫なのか?」

「ええ。ハッキングの方については長谷川さんの協力を得てますし、長瀬さんに紹介された方達もいますので……ハニートラップの類が厄介ですが、逆に考えればそういう人を今のうちに排除出来たのは幸運だったと言わざるをえませんね」

「私の方も似たような感じよ。中には何を考えたのか麻帆良に入って来て私達を誘拐しようと考える人達もいたけど……」

「ご愁傷様だな」

 

 麻帆良を守っている魔法使い達は色々と信念や性格的に問題があったりするが、関西呪術協会の強硬派や麻帆良に眠る貴重な魔法書等の奪取を狙うようなフリーの魔法使いを相手に戦ってきただけあって、現実世界での戦闘力だけなら一級品だ。その辺の犯罪者が誘拐を企んだとしてもあっさり失敗に終わるだろう。

 

「ええ。まさにご愁傷様状態でしたわ。瀬流彦先生に心を読まれる魔法を使われて組織の情報を軒並み読み取られて……という流れですわね」

 

 その組織がどうなったのかは聞かなくても想像が付く。恐らく近右衛門辺りから警察なりなんなりに手を回して逮捕させたか、あるいはもっと単純にガンドルフィーニやグッドマンのような実戦派の魔法使いに壊滅させられたか。

 ……グッドマンは脱げてなきゃいいんだが。

 

「その一件があってからは麻帆良での安全は確保されましたが、さすがに麻帆良の外に出ると……」

 

 チラリ、と周囲を囲むように存在している黒服のボディーガードへと視線を向けるあやか。まぁ、そもそも雪広財閥や那波重工の経営者の娘なんだからこのくらいは普通なんだろうが。

 

「麻帆良が異常なんだがな」

「それは分かってますが、一度麻帆良での自由な生活を体験してしまってはこっちに馴れるのが大変ですわ」

 

 あやかにしろ千鶴にしろ、そうは言いつつもボディーガードを遠ざけないのはやはり自分達が誘拐されたりした時にどういう影響を与えるのかを分かっているのだろう。

 ……まぁ、この2人はその辺の犯罪者がどうこう出来る相手じゃないんだが。それもこのネギま世界でなら尚更に。

 

「さぁ、ここですわ」

 

 会話をしているうちに敷地内の一番奥にある建物へと到着する。

 

「ちょっと待っててね」

 

 千鶴がそう断り、入り口にある装置に指紋、声紋、眼球のチェックをしてようやく扉が開かれた。

 

「さ、行きましょ。中で関係者の人達が待ってるわ」

 

 予想していたよりも厳しいチェックシステムに感心しながら建物の中へと入っていく。

 人気の殆ど無い通路を10分程進み、やがて高さ20mはあろうかという巨大な扉のある部屋が見えてくる。あやかが入り口にあったように指紋、声紋、眼球のチェックを済ませるとその扉が開いていき……

 

『お待ちしておりました、我等が救世主!』

 

 建物の中に入った途端に並んでいた技術者や白衣を着た研究者達に揃ってそう声を掛かられる。

 ……いや、救世主ってなんだよ救世主って。麻帆良以外でもネギま世界だとこんなノリなのか。

 そう思いつつも、一団の中から白衣を着た中年の男が近付いてくる。

 

「ようこそ、先進技術研究所へ」

「……先進技術研究所?」

「ええ。まさか異世界からの人型ロボットを研究するなんてのを表沙汰にする訳にはいきませんので、そういう名目になっている訳です。……では早速ですが提供して貰えるロボットをお願い出来ますか?」

「それは構わないが……場所はここでいいのか?」

「ええ。雪広財閥と那波重工、両方の研究者と技術者がここで一緒になって研究をしますので」

 

 男の言葉に周囲を見回すと色々な機器が設置されており、納得出来る話だった。

 まぁ、今まで見た事も無いようなロボット――MS――を解析するんだから、雪広財閥と那波重工が2つに分かれて別々にやるよりは、1つに纏まって協力して進めた方が効率がいいという事なんだろう。

 これが対立している企業とかならそういう話にはならなかっただろうが、幸か不幸かその2つは既にテラフォーミング計画によって一蓮托生となっているしな。

 周囲にいる研究者は技術者達の強い視線に押され、苦笑を浮かべながら少し離れた場所へと移動する。

 そして脳裏に空間倉庫のリストを展開し、ストライクダガーを選択。

 すると、次の瞬間には俺の横に空間倉庫の穴から出されたストライクダガーが立っていた。ただし連合軍が使っていた時と多少違う点がある。まず一目で見て分かるのが武装されていないという事だろう。正確には手に持つ武器であるビームライフルとビームサーベルを持っていないという所だが。

 代わりにと言っては何だがその手にはシールドを持ち、頭部に装備されているイーゲルシュテルンはそのままだ。

 基本的にはテラフォーミング用に使う機体なので、いざという時に機体を守るシールドや宇宙空間でのスペースデブリ等を破壊するイーゲルシュテルンのみを装備している。また、ビームサーベルを撤去した代わりにバックパックにはパラシュートパックを装備している。

 

「これが……」

 

 唖然として呟く男を前に、もう1機ストライクダガーを空間倉庫から出す。

 それにしても、ストライクダガーには驚いているけど俺の空間倉庫については驚いてないんだな。……考えられる可能性としては既に魔法やシャドウミラーの存在について知らされているという事か。まぁ、ここにいるのはストライクダガーを解析する為に集められた面子なんだからその辺の事情を知らされていて当然と考えるべきか。

 

「凄い……凄いですよ、この機体は! お嬢様、早速解析に入りたいと思いますが構いませんか!?」

 

 興奮しながら白衣の男が千鶴へと声を掛け、その様子に笑顔を浮かべながらも頷く千鶴。

 

「ええ、もちろん構わないわ。けど、皆怪我をしないように気をつけてね」

「はい、もちろんです。おーい、まずはこの2機をトレーラーで運ぶぞ。運転できる奴はクレーンの準備をしてくれ! 1機目は下半身から、2機目は上半身から調べていく。同時に、OSの方もチェック入れるから担当者はそれぞれ自分の担当を決めてくれ」

 

 忙しく指示を出しながらも、白衣の男の顔は激しい好奇心に目を輝かせていた。恐らくこいつはうちの技術班の奴等と上手い具合にやっていけるんだろうなぁ、と思う程に。

 

「アクセル君、これ以上ここにいたら皆の邪魔になると思うから私達は食堂の方にでも行きましょうか」

 

 好奇心に突き動かされるようにしてトレーラーやらクレーンやらを運んでくる技術者、科学者の様子を見ている俺に千鶴がそう声を掛けてくる。

 確かにここにいても邪魔になるだけだな。それに魔法世界から戻って来てあやかや千鶴とゆっくり話す時間も無かったし、丁度いいと言えば丁度いい。

 

「そうだな、俺も久しぶりに2人と話したいしな」

「あらあら、アクセル君ったら大人の姿になった途端女を喜ばせるのが上手くなったんだから」

 

 少女……というよりは女と言ってもいい笑顔で千鶴が頷き、その隣ではあやかもまた笑顔を浮かべている。

 

「さぁ、行きましょうアクセル君。今日はアクセル君の為にとっておきの紅茶を用意したんですのよ。きっと喜んで頂けますわ」

「確かに俺はどちらかと言えば紅茶派だが、缶紅茶でも満足する程度の紅茶派なんだがな」

 

 そう思いつつも、この3人でのやり取りをひどく懐かしく感じながらあやかと千鶴の2人に両手を引っ張られて食堂へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「へぇ、随分と立派な食堂だな」

 

 あやか達に連れてこられた食堂を見回し、思わず呟く。

 そこに広がっているのはいわゆる社員食堂と言うような類の物ではなく、どちらかと言えばレストランと表現するのが正しいような食堂だった。

 ……まぁ、レストランはレストランでもファミレスの方だが。

 

「ええ、この施設は正直な所雪広財閥や那波重工の今後に関わってくる非常に重要な施設なので、外見はともかく中身は研究者の方達が気持ちよく過ごせるように出来る限り手を加えさせて貰いました」

 

 いや、手を加えたって……まだ俺が魔法世界から戻って来てそれ程経ってないのに。

 そう思ったのだが、よく考えてみればヘルマンが女子寮にある俺達の部屋を破壊した時の修復速度を考えればそれ程不思議ではないのかもしれない。それに魔法使いや忍者の類もいるしな。

 

「どうぞ、アクセル君。ダージリンのセカンドフラッシュですわ」

 

 食堂の椅子に座るとすぐにあやかに紅茶を淹れて貰い、一口飲む。

 俄紅茶通の俺だったが、そんな俺でも十分に美味いと感じる事が出来る。

 

「美味いな」

「そ、そうですか。良かったですわ」

「あらあら、あやかったら。ねぇ、アクセル君。あやかったらアクセル君に自分で淹れた紅茶を飲んで貰うんだって頑張って練習したのよ?」

「ちょっ、千鶴さん! 何もそんな事を言わなくても!」

「頑張ったあやかにはご褒美が必要でしょう。いい女を目指す第一歩よ」

「……千鶴さん」

「ほら、折角だからアクセル君に何かおねだりしてみたら?」

 

 千鶴のその言葉に、期待するような視線を向けてくるあやか。

 

「あー……何か希望があるか?」

「その、あ、あ、あ……頭を撫でて下さいまし」

 

 照れくさいのか頬を赤く染めてそう言ってくるあやか。いやまぁ、そのくらいはいいんだが……そこまで照れられると俺の方も恥ずかしくなってくるんだが。

 そう思いつつも、目を閉じて俺の手を待ち受けているあやかをそのままに出来る筈も無く、そっと手を伸ばしてその金髪を撫でる。

 

「……あ」

 

 頭を撫でられる感触にか、思わず声を漏らすあやか。

 考えてみれば当然なんだが、あやかは基本的に3-Aでは委員長という役職やその世話焼きな性格もあってクラスの皆に頼られる方だ。頭を撫でられるというのは殆ど経験がないんだろう。

 そう思いつつあやかの頭を撫でていると、不意に左肩に重さを感じる。そちらへと視線を向けると、何故か頭を俺の方に寄り掛からせている千鶴の姿が。

 

「あやかばかりだと不公平でしょ? だから私も……ね?」

 

 いつもは大人っぽい笑みを浮かべている千鶴だが、今は年齢相応の笑顔だ。

 その様子に苦笑を浮かべ、3人でゆっくりと過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 あ、技術者、科学者達は食堂に一度も来なかった。最初は俺達に気を使っていたのかとも思ったのだが、実は単純にストライクダガーの解析に夢中になっていたというオチだった。……本当に、うちの技術班と仲良くやれそうな奴等だな。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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