転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0459話

 先進技術研究所にストライクダガー2機を譲渡してから数日。俺の姿は再び先進技術研究所――通称先技研――にあった。

 ただし、今日用があるのはここの研究者や技術者達ではない。純粋に、この敷地が必要だったからここに来たのだ。

 

「準備はいいか?」

 

 俺は隣に立っているグッドマンへと尋ねる。今日は珍しくいつも連れているお供の2人の姿は無く、ここにいるのは純粋にグッドマンだけだ。何しろ多少とは言っても麻帆良から離れた場所にあるこの先技研まで出張って来て貰うのだから、それ程の人数を連れてくる訳にもいかなかい。ブルーマーズ計画を立ち上げた雪広財閥と那波重工の子供が通っているという関係で麻帆良に結構な人数のスパイやら何やらが入り込んでいるらしいから人手の問題もある。……以前誘拐を企んだ者達がどうにかなった程度では見せしめとして足りなかったと言う訳か。それに俺の用事に関してはそれなりの腕を持つ魔法使いが1人いれば十分だったという理由もある。

 そのグッドマンは真面目な表情を浮かべて頷く。

 

「ええ、問題ありません。そちらの準備がいいのなら早速行いたいと思いますが、構いませんか?」

「やってくれ」

 

 グッドマンに頷くと、素早く呪文を唱えて認識阻害の結界を作りあげる。ただしその規模は人間用のサイズではなく、まさしくこの先技研全体をすっぽりと覆うサイズのものだ。

 

「……認識阻害の結界、展開完了です」

「無理をさせて悪いな」

「いえ。元々私はMM出身の魔法使いなのですから、魔法世界の消滅に関しては他人事ではありません。私に出来る事があれば何でも仰って下さい。いつでも力になりますので」

 

 今の認識阻害の結界で大量に魔力を消費しただろうに、それでも尚気丈に微笑むその様子に俺も頷く事で返答の代わりとした。

 そのまま脳裏に空間倉庫のリストを展開。トリニティゲインを選択する。

 すると次の瞬間、俺の隣には40mを越える特機が姿を現していた。

 

「これが……アクセルさん達シャドウミラーの戦力……」

 

 唖然とした様子でトリニティゲインの威圧的とも取れるその姿を見守るグッドマン。

 ちなみに、グッドマンは俺が20代だと知ってからは君付けではなくさん付けで呼ぶようになっている。

 今回の目的は、このトリニティゲインで火星まで転移してテラフォーミング用のメギロートを解き放ってくる事だ。本来であれば認識阻害の結界にデフォで覆われている麻帆良でやれば良かったのだが、あそこは学園結界のおかげで俺の力を著しく制限するのでこの先技研で行われる事になった。

 ……ちなみに、技術班の同類と思われるここの研究者や技術者達に関しては今回の件を秘密にしている。でないと色々と五月蠅い事になりそうだったし。

 

「じゃあ、俺は早速行ってくる。この認識阻害の結界はどのくらいの時間保つ?」

「残念ながら私の魔力では数時間が精々ですね」

 

 さすがに数時間で火星まで行って戻って来るというのは不可能だろう。いや、無理をすれば出来るだろうが、メギロートがきちんと機能するかどうかのチェックも必要だし。そうだな……

 

「なら、帰りに関しては気にしなくてもいい。ホワイトスターに直接転移するからな」

 

 リュケイオスとアギュイエウスの間はリンクしているので、ホワイトスターから火星に直接転移するのは無理でも火星からホワイトスターに直接転移するのは可能なのだ。

 

「分かりました。……それにしても火星から直接次元の狭間にあるというアクセルさん達の本拠地に転移して戻れるとか、魔法よりも随分とファンタジーに感じますね」

 

 どこか呆れたような表情をしているグッドマンだった。

 

「行きすぎた科学は魔法とそう大差無いみたいな事を何かで見たが、そんなものだろう」

 

 混沌精霊の力を使い、空中へと浮かび上がる。

 乗降ワイヤーを使わなくてもコックピットに乗れたり、いちいちパイロットスーツを着なくてもいいというのは混沌精霊になった利点だな。

 

「ではご武運を期待してます」

「ああ。転移フィールドに巻き込まれないように気をつけろよ」

「はい。施設の方に避難する許可は雪広さんから貰ってますのでご心配なく」

 

 軽く一礼して去っていくグッドマンを見送り、トリニティゲインのコックピットへと潜りこむ。トリニティゲインは基本的にソウルゲインをメインベースにしてカスタマイズされた機体なので、操縦系統はソウルゲインのままだ。つまりダイレクレト・フィードバック・システムと、コックピットにいるパイロットの動きをそのままトレースするダイレクト・アクション・リンク・システムの2つが搭載されている。何が言いたいのかと言えば、ようはコックピットの中で俺が動いた動きそのままに機体が動くという事だ。

 

「……よし、随分と久しぶりだが特に異常はないな。……あぁ、いや違うのか」

 

 俺が麻帆良に、しかも魔法世界に行っていたのを合わせると9ヶ月近い日数が経っているんだが、ホワイトスター側では1ヶ月弱だって話だったな。

 そんな風に考えつつもシステムXNを起動させていく。ホワイトスターにある量産型としてのリュケイオスではなく、同時にグロウセイヴァーに搭載している量産型のさらに簡易型でもない。本物の、オリジナルであるシステムXN。アギュイエウスだ。

 

「システムXN、アギュイエウス起動。転移先の座標を入力。まずは地球に見つからないように月の裏側だな。転移フィールド生成開始。……転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 その言葉と共に転移フィールドが生成され、次の瞬間にはトリニティゲインは月の裏側に位置する宇宙空間に存在していた。

 

「おっと、万が一があるからな。ASRS起動」

 

 ネギま世界の科学技術で月の裏側に位置するトリニティゲインを捉える事は出来無いと思うが、念の為にレモンに急遽搭載してもらったASRSを起動する。これで万が一、億が一にも見つかる可能性は無いだろう。一応ASRSを起動したまま周囲の様子やトリニティゲインの状態を確認し、特に異常が無い事が判明してから再び転移を開始する。

 

「さて、続けて行くとするか。ASRSカット。システムXN、アギュイエウス起動。転移先座標を入力。一気に火星までだな。転移フィールド生成開始。……転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 再びの転移。そして次の瞬間には、トリニティゲインは火星の上空へと姿を現していた。眼下に広がるのは赤い惑星。青い惑星である地球とはまるで正反対だな。

 そんな風に思いつつも、再びシステムXNを起動する。

 

「システムXN、アギュイエウス起動。転移先座標を入力。転移フィールド生成開始。……転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 最後の転移。そして次の瞬間にはトリニティゲインは火星の大地へと立っていた。

 

「火星、か。まさか俺が来る事になるとは思わなかったが……」

 

 地球の麻帆良から転移を開始して10分も掛からずに火星まで辿り着くというのは、確かにグッドマンの言う通りファンタジーに近いよな。

 そんな風に苦笑しつつも、トリニティゲインのコックピットを開けてそのまま火星の大地へと姿を現す。

 普通の人間であればどう考えても自殺行為だが、幸い俺は混沌精霊であり普通の人間では無い。

 

「……あぁ、そういう風に考えると初めて火星の大地に足跡を刻んだ人間というのは俺じゃ駄目なのか」

 

 そんな風に思わず苦笑しつつも、早速作業に取り掛かる。

 まずはトリニティゲインを空間倉庫の中へと収納してから脳裏に空間倉庫のリストを展開し、目的のコンテナを選択する。次の瞬間には俺の横に700m近い大きさの巨大なコンテナが出現していた。

 そしてコンテナの扉を開けると中には大量のメギロートの姿があり、扉が開けられたのを確認したのか先頭にいるメギロートから起動していく。

 ガッシャガッシャと足音を立てつつコンテナの外へと姿を現すと、レモンにテラフォーミング用にされたプログラムに従い四方八方へと飛び散っていくメギロート。その数、およそ100機。ホワイトスターの生産プラントによって作り出されたテラフォーミング用の第一陣だ。

 

「さて、後はこのまま上手く行けばいいんだが……」

 

 呟き、止むこと無くコンテナから出て来ているメギロートの様子を確認し、最後の1機が出て来たところでその後を追う。

 ちなみにコンテナはそのままだ。一応メギロートはエネルギーが少なくなってきたらあのコンテナに帰還し、エネルギーを充填してから再びテラフォーミングの作業に戻るというのを繰り返す事になっている。

 このコンテナは、いわゆるメギロートの基地のようなものなのだ。

 ……いや、基地と言う程に上等な物ではない。せいぜい休憩所といった所か。

 そんな風に思いながらメギロートの後を追っていくと、やがて一面の荒野の中で移動を停止してその体内から何かを吹き出している。

 確かレモンから聞いた話だと火星を暖める為に温室効果を発揮する為の炭化水素の気体だとかなんとか。もちろん技術班が作っただけあってその効力は通常の物とは比較にならない程に高いらしい。

 

「……ふむ、大体予定通りに動いているか」

 

 地球とは違う火星の大気だが、メギロートは特に支障なく動いているように見える。まぁ、それも当然か。そもそも宇宙でも何の問題も無く動いているんだから火星でもそれ程不具合はないのだろう。

 その後も他のメギロートの様子を何機か見回ってみるが、その殆どが何の支障もなく火星の大地に穴を掘ったり、あるいは巨大な岩を破壊したりしている。

 中にはいずれ訪れるであろうストライクダガーのパイロット達の為の基地建設の為の敷地を均している機体の姿もあった。

 

「一目で分かるような問題は無し、と」

 

 呟き、再び空間倉庫からトリニティゲインを取り出してそのコックピットへと乗り込んで早速アギュイエウスを起動する。

 

「リンク装置、起動……正常稼働確認。リンク先座標固定完了。転移フィールド生成開始。転移先はリンクシステムに連動……OK。転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 転移フィールドがトリニティゲインを包み込み……次の瞬間にはトリニティゲインはホワイトスターの転移区画に姿を現していた。

 そのままさっさと機体から降りて、いつも通りに空間倉庫へと収納する。

 さて、まずはレモンにメギロートの件を報告に……

 

「アクセル君!」

 

 そう思った瞬間、唐突に声を掛けられる。

 声のした方へと振り向くと、そこにいたのは白衣と眼鏡と三つ編み。つまりは葉加瀬だった。

 

「葉加瀬、今日もこっちに来てたのか」

「当然です。このホワイトスターというのは凄いですね。……いや、凄すぎると言うべきでしょうか。学ぶべき事が多すぎてもういっそ私もシャドウミラーに所属したいくらいです!」

 

 がしっと言うか……どちらかといえばぐわぁしっ! とでも言うような勢いで俺へと掴みかかってくる葉加瀬。その目は興奮と好奇心に輝いており技術班の同類だというのを否応なく理解する。

 

「あー、こっちに来たって事は俺の新型機に関しての開発だと思うんだが……魔力タンクの方はどうなっている?」

「そっちは大体目処が付きましたので、細かい所はネギ君に任せています。それよりもアクセル君はどこに行ってたんですか? さっきの巨大ロボットは一体?」

「ちょっと火星にな。テラフォーミング用に調整されたメギロートの第一弾を放ってきた」

 

 その言葉に唖然とした表情を浮かべる葉加瀬。

 

「え? だって……この短期間で火星まで行って帰ってきたんですか?」

「まぁ、シャドウミラーは平行世界間を渡り歩く組織だからな。特に葉加瀬がさっき見たトリニティゲインに組み込まれているアギュイエウスに関して言えば地球から火星まで10分と掛からずに移動可能な訳だ。で、そのアギュイエウスはホワイトスターに設置してあるリュケイオスとリンクしているからどこからでもこのホワイトスター内に転移出来る。つまり帰りの時間に関してはほぼ0な訳だ」

「す、凄い、凄い、凄いです! 火星と地球の間をほぼタイムロス無しで移動出来るなんて!」

「いや、だからタイムロス無しなのは帰りに……しかもこのホワイトスターに戻って来る時限定なんだがな」

「それでも火星に到着するまで10分とか。その辺のコンビニ感覚じゃないですか! ……あれ? でもじゃあ、何で魔力タンクを運ぶ為に宇宙艦が必要なんですか? 技術班の人やレモンさん、マリューさんから聞いた話だと結構な数を集めているんですよね?」

 

 俺と話していてその辺が疑問に思ったのか、尋ねてくる葉加瀬。

 

「さすがに俺1人に魔力タンクを運ばせる役を任せると言うのは危険だろう。そうそう無いとは思うが、俺が麻帆良に転移させられたように行方不明になったりしたら魔法世界の崩壊を止める事が出来なくなる」

「あぁ、なるほど。確かにそう考えればアクセル君1人に頼るのは危険かもしれませんね。ちょっと転移装置というのに驚いて興奮してしまいました」

 

 あははー、とばかりに笑って誤魔化す葉加瀬に苦笑を浮かべつつ気になっていた事を尋ねる。

 

「それで、グレートグランドマスターキーを新型機に使う為の技術的問題はどうなっている?」

「その辺に関しては、技術班の皆さんやレモンさん、マリューさんに対して超さんから教えて貰った技術を講義しています。……とは言っても、どちらかと言えば私の方が皆さんから教えて貰ってる方が圧倒的に多いんですが……」

「それはしょうがないだろう。俺達は幾つもの大戦を経験して来たし、その際に貪欲に敵の技術を吸収してもいる。蓄積している物が違いすぎるんだよ」

「そうなんですよねぇ……麻帆良を卒業したら、本気で私もここに所属してみたくなりました」

「……まぁ、葉加瀬がそれを望むのなら俺としては歓迎するが、それでもせめて高等部を卒業してからの話だな。あやか達に関しても同じような条件を付けている訳だし」

「そですねー。……あ、そう言えばアクセル君の新型機、T-LINKフレームの方は目処が付いたとかで近い内に骨組みを開始するそうですよ」

「ほう、予想以上に早いな」

 

 ただ、そうなるとアギュイエウスを組み込む予定だからトリニティゲインを使えるのは残り少ないという事か。

 その後は、葉加瀬と3-Aに関しての話をしたり、逆にSEED世界の話をしたりするのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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