転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0460話

 火星のテラフォーミングにメギロートを放ってから1週間程。俺はSEED世界の月にあるダイダロス基地にやってきていた。DESTINYでレクイエムを装備していたあの基地だ。幸い既にロゴスの首根っこは押さえており、同時にブルーコスモスもほぼ壊滅状態である為にレクイエムに関してはまだ開発すらもされていないのは監視として派遣されている量産型Wからの報告で掴んでいる。

 直径100km近いクレーターに作られているダイダロス基地のすぐ外側に転移して姿を現したトリニティゲインで、基地の中へと入っていく。

 既にこの時間に基地に向かうというのは連絡済みであった為に特に攻撃されたりせずに基地の格納庫へと侵入する事に成功する。

 ……いや。無事に、というのは少しおかしいか。戦勝国であるシャドウミラーのリーダーである俺がこのダイダロス基地に姿を現すという事で、まだ残っていたブルーコスモスの残党が奇襲を企んでいたのだから。まぁ、その残党に関しては監視要員として派遣されているメギロートと量産型Wによって既に始末されているが。

 トリニティゲインを格納庫の中へと入れ、コックピットを開いて乗降ワイヤーで降りていく。……ちなみに、俺が混沌精霊になって物理攻撃無効化の能力を得ているというのはシャドウミラーとオーブの間で一応機密とされている。何か有事の際に大きなアドバンテージになるからな。その為にわざわざ必要の無いパイロットスーツを着ているのだ。

 

「お待ちしてました、アクセル・アルマー殿」

 

 格納庫へと降り立った俺を出迎えたのは中年で茶色の髪をした男だった。ふっくらしていると言うか、太り気味であり、どこかコミカルな雰囲気を醸しだしている。

 てっきりDESTINYに出て来たダイダロス基地の司令官が姿を現すかと思っていたのだが……ジブリールと知り合いみたいだったしブルーコスモス狩りにでもやられたか?

 そんな風に思いつつ、ヘルメットを取って小さく頷く。

 

「俺の事に関しては知っているようだな」

「勿論です。シャドウミラーの指導者であるアクセル殿を知らない人はこの基地には殆どいませんとも」

 

 それだと俺を知らないのが数人はいるという事になるんだが。

 

「私はダイダロス基地の指令を命じられているサニー・デジールといいます」

「今日はよろしく頼む。それで早速だが準備の方は?」

 

 俺がこんな月の裏側までわざわざ来たのは、何もレクイエムのチェックとかそういうのではない。ネギま世界の火星をテラフォーミングするのに必要な宇宙艦を受け取る為だ。オーブやエザリアを通して連合軍やザフトに要求した宇宙艦を譲渡する準備が整ったので、それを受け取る為にこのダイダロス基地までやって来たのだ。

 

「はい、全て準備は整っていますが……その、艦を動かす人員は……」

 

 サニーの言葉に小さく首を振る。

 

「その辺に関しては問題無い。ちょっと見ててくれ」

 

 そう断り、周囲を見れば連合軍の軍人やプラントからローラシア級を運んできたザフトの姿もある。

 今回用意されているのは、あくまでも譲渡される艦船の第一陣。連合軍からは旧型のマルセイユⅢ世級が3隻に、現役のコーネリアス級が1隻。ザフトからはローラシア級が1隻にナスカ級が1隻の合計6隻だ。それだけの宇宙艦を譲渡するというのに、確かにそれを動かす為の人員がいないというのは不思議に思われるのはしょうがない。

 周囲にいる連中の視線を受けつつ、無重力状態の中を移動してトリニティゲインの足へと接触し……

 

「収納」

 

 その一言で、つい一瞬前まで確かにそこに存在していた筈の40mを越える特機がまるで幻だったかのように消え去る。

 

「こ、これは……」

 

 唖然としているサニーや周囲の兵士達の様子に笑みを浮かべつつ口を開く。

 

「空間倉庫と言われる、俺の持っている特殊能力の1つだ。これがあれば戦艦だろうがMSだろうが戦車だろうが問題無く個人で持ち運び出来る訳だ」

 

 ……生きている人間は収納出来無いので持ち運びは出来ても戦艦の利用は出来ないんだがな。

 

「なんともはやまぁ……見事としか言いようがありませんな」

「理解して貰えたところで、早速案内してもらえるか?」

「は、はい。只今。おい、車を回せ」

 

 サニーの言葉に従い基地内で使われているエレカが回される。

 この辺はホワイトスターと変わらないよな。まぁ、ホワイトスターで使われているのはエレカではなく、空中を飛ぶエアカーだが。

 そしてエレカが来るのを待っていると、ザフトの中から1人こっちへと近付いてくる人影が視界に入る。パイロットスーツが白いという事は、隊長格だな。

 

「失礼します。今回ザフトから譲渡されるローラシア級とナスカ級を運んで来たザフトの代表を務めているパルーデ・アッセといいいます」

 

 ザフト式の敬礼をして来るパルーデに小さく頷く。

 

「こっちの無茶な要求に応えて貰って感謝する」

「いえ、ザフトとしてもユニウス条約で規定された以上の戦力をこのまま民間に払い下げをするよりは……という意見が大半でしたので」

 

 連合軍にしろプラントにしろ、ユニウス条約で持てる戦力の上限が決められた事によりそれ以外の戦力は廃棄しなければいけなくなった。もちろんただ廃棄するのではなく民間に売り払えるような物は売り払うだろうが、戦勝国である俺達に多少安くても譲渡した方がコネ的な意味で得策だと判断しただろう。

 

「そうか。プラントの方は戦後どうなっている?」

「それなりに平穏な状態を保っていますね。カナーバ議長の政策が受け入れられていますし、ラクス様も後援についてますので」

 

 そんな風に会話をしていると、連合軍の兵士が運転しているエレカがやってくる。

 

「さぁ、話はエレカに乗ってからにしましょう。早速ですが譲渡予定の艦船がある場所へとご案内します」

 

 サニーに案内されてエレカに乗ってダイダロス基地内の通路を移動する。

 とは言っても俺が降り立った場所も格納庫であり、向かう先も格納庫だ。ただ宇宙艦が停泊しているのが6隻という事もあってかなり広い格納庫なのだが。

 エレカで10分程移動すると、やがてその巨大な格納庫へと辿り着く。

 

「さて、アクセル殿。この6隻でよろしいですな?」

「こちらの注文通り武装に関しては……」

「連合軍の方は間違い無く取り外しております。使用可能なのはイーゲルシュテルン程度となっております」

「ザフトの方も同じく。ローラシア級、ナスカ級共にCIWSのみとなっています」

「助かる」

 

 2人に礼を言い、エレカから降りてまずは一番近くにあるマルセイユⅢ世級の装甲へと触れる。

 

「収納」

 

 その言葉と共に、つい今まで目の前にあった連合軍の旧式の輸送艦はトリニティゲインの時と同様にその姿を消したのだった。

 

『おおおおおおお』

 

 格納庫にいた連合軍、ザフト両方から驚きの声が上がるのを聞きながら残り2隻のマルセイユⅢ世級、コーネリアス級、ローラシア級の順番に空間倉庫へと収納していく。さすがにこうも立て続けに宇宙艦が姿を消していくと驚きも麻痺するのか、次第に驚きの声も小さくなっていったが。

 そして最後の一隻であるナスカ級へと手を触れ……。

 

「収納」

 

 そう呟くが、何故かナスカ級はそのまま格納庫へと残ったままであり空間倉庫に収納されていない。

 ……何だ? まさか空間倉庫内が一杯になったとか? いや、まさか。何しろジェネシス数個分の大きさを持つホワイトスターですら収納出来たのだから、まだまだ余裕がある筈だ。

 

「アクセル殿? どうしましたか?」

 

 サニーがそのふくよかな顔付きで不思議そうにこちらへと視線を向けており、その隣ではパルーデもまた同様の視線をこちらへと送っている。

 ……待て。そのパルーデを見て、再度ナスカ級へと視線を向ける。確か空間倉庫に収納出来るのは生き物以外だ。つまり、このナスカ級の中に何らかの生き物が乗っていた場合は収納出来無い。

 

「……パルーデ」

「はい、なんでしょう?」

 

 そう声を返してくるパルーデには不審な点はない。つまりは無関係、か?

 

「いや、どうやら無関係らしいな。サニー、悪いが兵士を用意してくれ」

「は? はぁ、それは構いませんが……何人くらいでしょう?」

「30……いや、50人程度いれば十分だろう。武器も完全装備でな」

「……アクセル殿? 私達の譲渡するナスカ級に何か不審な点でも?」

 

 ここに至ってようやく何が起きているのか理解したのか、パルーデが真面目な顔をしてそう尋ねてくる。その表情には何かを隠しているといった様子も無く、本人は全く何も知らないというのは間違い無さそうだ。これが演技だったりしたら、軍人よりも俳優の方が向いているな。

 

「言い忘れていたが、俺の空間倉庫には1つだけ欠点があってな」

 

 通信装置で部下へと指示を出しつつサニーが俺の話に注意を向けているのを感じる。まぁ、連合軍にしてみれば謎の多いシャドウミラーの指導者である俺の情報を手に入れる絶好の機会だし、無理もない。

 

「生き物。それが動物であれ人間であれ。生きている存在は空間倉庫に収納出来ない訳だ。つまり……」

 

 チラリと目の前にある、空間倉庫に収納出来ないナスカ級へと視線を向ける。

 その時にはパルーデも俺が何を言いたいのか分かったのだろう。徐々に顔色を失っていく。

 

「そ、それはつまり……ナスカ級の中に何かが、あるいは誰かが存在していると?」

「そういう事になるだろうな。……お、来たか」

 

 呟きながら視線を向けるのは、この格納庫へと入ってくる複数の車両。そのどれもに銃を持った兵員が満載されている。いや、中にいる奴を見つけるだけなら俺のスライムを使えば一発なんだが、魔法やスライムといった能力に関しては極力秘密にしておいた方がいいとレモン達にも言われてるしな。それにこいつらは今は友好的だが、それはあくまでも俺達が戦勝国だからこそだ。こっちの持っている力の秘密なり何なりは知られないに越した事はない。

 

「アクセル殿、準備は整いましたが……」

「ああ、艦の中に突入させてくれ。一応内部にいるのはテロリストの類と想定する。……構わないよな?」

 

 視線をパルーデへと向けると、苦虫を噛み潰したような表情で頷いている。

 

「仕方ありません。もし本当にテロリストなのだとしたら、対処の方はお任せします。出来れば私達の手で片付けたいのですが、ここは連合軍の基地ですからそちらに従います」

 

 パルーデが頷き、サニーが兵隊達に突入命令を出す。

 その命令に従い、車両から降りて整列していた100人近い兵隊達が次々にナスカ級の中へと突入していく。

 

「いや、取りあえず50人程度って言わなかったか?」

「一応念には念をと思いまして。何しろもし潜んでいるのがコーディネーターだとすると、色々と厄介な事態になりますし」

 

 そのふくよかな顔を深刻そうな表情へと変えてそう返してくる。

 まぁ、戦争でコーディネーターの優秀さは嫌という程に見せつけられたんだから無理もない。ファーストガンダムですらジオンと連邦の国力差は30倍程度だというのに、このSEED世界ではプラントと地球の国力差は数十倍から数百倍だ。連邦とジオンどころじゃない程に国力差が開いていたのに、実際に戦争が起こった後はほぼ互角に戦い、最終的には俺達の介入があったとは言ってもプラント側が有利な終戦協定を結ばされたのだから。

 

「まさか、そんな……」

 

 パルーデはパルーデで、自分が責任者だというこの作業でテロリストに乗り込まれていたというのがショックだったらしくどこか落ち着かない様子だ。

 そして……

 パァンッ! パパパパパァンッ!

 ナスカ級から聞こえてくる複数の銃声。

 やはりテロリストが潜んでいた、か。

 

「ザラ派だと思うか?」

「ええ、恐らく。と言うか、それしか考えられないかと」

「まぁ、連合軍にもブルーコスモスのような類がいた以上は何とも言えませんな」

 

 数分程銃声が聞こえてきてはいたが、俺とサニー、パルーデが話しているとやがて銃声は途絶えて連合軍の軍人がナスカ級から姿を現す。

 100人程度の軍人がいたというのに、戻って来たのは大体80人程。そしてザフトのパイロットスーツを着て浮いている死体を10人程引きずっていた。

 

「20人もやられるとは……敵の練度を褒めるべきか、うちの奴等の練度が低いと言うべきか」

 

 そう嘆いているサニーの前で、連合軍の軍人がテロリスト達からパイロットスーツのヘルメット部分を取る。

 そして俺はその中の1人に目を止めた。

 青い髪に、鼻に真一文字に走る傷跡。その人物にどこか見覚えがあったからだ。

 そう、それは本来の歴史であればデュランダルから秘密裏に援助を受けてユニウスセブンを地球へと降下させる、C.E.世界のコロニー落としとも取れる作戦を行ったザラ派のリーダーでもある元ザフトのパイロット、サトーだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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