転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0036話

「これが俺達の基地か」

 

 基地の周囲を見回すと自然が目に入ってくる。

 と言うか、自然しか目に入ってこない。

 熱帯雨林のど真ん中に作られた秘密基地、という印象だ。

 基地としてはかなり小規模な基地で、大きさ的にはテスラ研よりも小さいくらいだ。

 テスラ研でギリアムに遭遇するという心臓に悪いイベントをこなしてから5ヶ月。ようやくシャドウミラー専用の基地に俺達は到着していた。

 基地自体はあれから4ヶ月程で完成したのだが、まさか技術班の引っ越しに1ヶ月も掛かるとは思ってもいなかった。

 北米から南米への引っ越しとなるんだし、しょうがないと言えばしょうがないのだが。

 正直、技術班自重しろと思った俺は悪くない筈。

 もっとも、テスラ研で転移装置の開発も大詰めを迎えているこの時期にレモンもラングレー基地とテスラ研を行ったり来たりと忙しかったようだが。

 ヴィンデルとしてもこの引っ越しに集中したかったのか、特殊処理班としてもこの5ヶ月は数回の任務しかなかった。

 

「アクセル隊長、レモンの姐さんが呼んでますぜ?」

 

 俺を呼びに来たマルティンだが、何故かレモンを姐さん呼ばわりしている。

 俺はこいつらの隊長で、ヴィンデルは少佐だ。実際にこいつらは俺を隊長と呼ぶし、ヴィンデルは少佐と呼ぶ。なのに、何故かレモンは階級の中尉ではなく姐さん呼ばわりだ。いや、姐さんと呼ぶのにふさわしいか? と問われれば、YESと答えてしまうのだが。

 

「分かった。場所は研究所でいいんだな?」

「はい、ヴィンデル少佐も呼ばれているようですんで何か重要な話があるんじゃないかと」

 

 さて、何の話だろうな。

 そんな風に思いつつ、レモンの研究所へと向かう。

 正直、このエクアドル基地が出来て何が変わったかと言えば、俺はレモンの研究室と答えるだろう。

 ラングレー基地でもそれなりに広い研究室を持っていたレモンだが、この基地で使っている研究所は以前の数倍、50畳程の広さと言えば分かりやすいだろうか。

 

「レモン、呼んだと聞いたが?」

 

 研究室のドアを開けて、レモンに声を掛ける。

 そこには丁度レモンとヴィンデルの姿があった。

 

「あら、早かったわね。丁度いいからヴィンデルと一緒に話を聞いて頂戴」

 

 レモンの言葉に頷き、応接セットのソファへと腰を掛ける。

 

「さて、アクセルも来た事だし話を始めて貰えるか? 私もこの基地の責任者として色々と忙しいのでな」

 

 実際、この基地で誰が1番忙しいかと言えば、ヴィンデルと答える者が多数だろう。シャドウミラー隊指揮官としてだけではなく、このエクアドル基地の司令官としての事務仕事もあるのだから。

 エクアドル基地が特殊部隊1部隊の為の基地という事で、かなり小規模とは言え事務仕事はある程度の量がある。

 ヴィンデルの言葉に頷き、レモンが口を開く。

 

「私達の基地を得た事で、ラングレー基地では無理だった研究を進められるようになったわ。そこでT-LINKシステムの研究に着手してみたいけどどうかしら?」

「いや、機体のパワーアップに繋がるんだから俺としては大歓迎だが、大丈夫なのか?」

 

 現在のレモンはWナンバーズに、時流エンジン、テスラ研のアギュイエウスと大きなものでもこの3つを同時進行で研究している。細かな研究や開発も含めるとどれ程の数になるのか想像も出来ない。そこにT-LINKシステムを新たに研究・開発すると言われても機体のパワーアップに関する喜びよりもレモンの体に対する心配の方を強く感じる。

 

「私もアクセルと同意見だな。そんなに大量の研究を同時進行してお前の健康は大丈夫なのか?」

 

 ヴィンデルも俺と同意見らしく、レモンの体を心配している。

 だが、レモンはそんな俺達の懸念をあっさりと否定した。

 

「大丈夫よ。Wナンバーズの子達は疑似経験を体に慣れさせる期間だからそれ程手間は掛からないし、アギュイエウスは私の担当は大体目処がついたからこっちも時間はそれ程掛からない。そうすると、時流エンジンとT-LINKシステムの2つを同時進行させるくらいは可能よ。それにグロウセイヴァーには時流エンジンとT-LINKシステムの両方を装備させるのよ? その調整の為にも同時進行が望ましいわ」

「そういうものなのか?」

 

 科学者としてのレモンの知識や技術力を考えるにそれ程不思議な事でもない、のか?

 

「それにT-LINKシステム自体はアクセルが特脳研から持ってきてくれた資料で殆ど完成している状態だから、それにテスラ研の方で得た技術を流用すれば比較的短期間でなんとかなる筈よ。と言っても、グロウセイヴァーの専用装備くらいしか開発は出来ないと思うけど」

「T-LINKシステムの装備というと、念動フィールドとか機体制御関係か?」

 

 特脳研で見たレポートと、原作知識を併せて考えてみる。

 T-LINKシステムは原作では念動フィールドでバリアに使用したり、ガンダムでいうサイコミュみたいに機体制御に使用したり、T-LINKナックルやT-LINKソードみたいに念動フィールドを武装に流用したりと、かなり万能なシステムだ。

 それが現在のグロウセイヴァーにも使えるのなら、確かに凄い事にはなりそうだが。

 正直、レモンの健康状態に問題が無いのなら是非頼みたい。

 同じ事をヴィンデルも思ったのか、俺の方を見て頷く。

 

「そうだな。レモンが大丈夫だというのならアクセルの機体強化の為にも是非頼みたい」

「任せて。ただ、テスラ研の方は目処がついたと言っても完全に問題無いと言う訳じゃないから、以前程じゃないけどあっちに行く必要もあるわね」

「その辺はお前の匙加減に任せる」

「俺はそっち関係は特に何も出来ないからな。護衛やら話し相手が必要なら言ってくれ」

「そう? なら期待させて貰おうかしら」

 

 微笑を浮かべるレモン。

 数秒、その笑顔に見とれるものの、すぐに我に返る。

 

「さて、折角3人が集まったんだ。何かあるのなら今のうちに話しておいた方がいいか?」

 

 確かに折角3人で集まったのだし、この機会に相談できる事は相談しておいた方がいいだろう。

 

「まずは私からだな。アクセル、シャドウミラーは基地を得た事である程度人数を増やす事が可能になった。そこで特殊処理班を増やそうと思うのだが」

「まぁ、確かにこれだけの基地を与えられたとなるとこれからの任務も増えるだろうしな。俺としては問題無いが、どのくらい増やすんだ?」

「現在の特殊処理班はお前を入れて5名だ。これに追加してもう5名増やして2小隊制にしたいと思う」

 

 特殊処理班の数が倍になると言われると驚くが、5人が10人になるのならそれ程問題ないか。

 

「俺としては異論ないが、目星はついているのか?」

「隊員に関してはこちらである程度絞り込んでおいたが、小隊長が務まる人材がなかなか、な。アクセルの方で誰か推薦できる人物はいないか?」

 

 特殊処理班の小隊長を任せられる人材、ねぇ。ぱっと頭の中に思い浮かんだのはバリソンとユーリアの2人だ。

 ただし、ユーリアは宇宙軍なのでこちらに引っ張ってくるのは難しいだろう。あちらの世界ではトロイエ隊の隊長をやってただけあって能力的には文句無しなのだが。

 となるとバリソン、か。

 

「そうだな。士官学校で俺と同期だったバリソンを推薦させてもらおうか。少なくても能力的には問題無い筈だ」

「ふむ、士官学校で打ち合わせをしている時に何度か聞いた名前だな。現在はどこにいるか分かるか?」

 

 士官学校の会議室での打ち合わせの際に雑談の中で何度かバリソンの事を喋った覚えがあるが、ヴィンデルもそれを覚えていたようだ。

 

「確かアフリカの方でDC残党と戦っている筈だ。詳しい部隊なんかは分からないから、スカウトするんならそっちで調べてくれ」

「分かった。こちらで打診してみよう」

 

 取りあえず特殊処理班増員の話は解決だな。

 

「さて、次の話だが……アクセル」

 

 真剣な表情でこちらへと視線を向けるヴィンデル。その顔には真剣な表情の他にもどこか悔しさのようなものが浮かんでいるように見える。

 嫌な予感を胸に覚えながらも、話を促す。

 

「アルバート・グレイの件、覚えているな?」

「ああ、もちろん」

 

 モントーヤ博士の暗殺を指示した男だ。忘れる訳がない。

 だが、ここでその話題を出しつつ悔しそうな表情を浮かべるという事は。

 

「残念だが、こちらで提出した証拠が握りつぶされた」

「握りつぶされた? あれ程明確な証拠が多数ありながらか?」

 

 裏帳簿にはアルバート・グレイ名義の口座がしっかりと明記されていたし、コンピュータの中に入っていた情報を考えても、とても言い逃れが出来る状況ではない筈だ。

 そもそも3流の政治屋であるアルバート・グレイがあれだけの証拠がある状態から逃げ延びられるとはとても思えない。

 となるとアルバート・グレイ以外の誰かが裏から手をまわしたか?

 

「誰が動いた?」

 

 短く聞いた俺に、すかさずヴィンデルが答える。

 

「カール・シュトレーゼマン」

「ちょっと、そんな大物がなんで動いているの?」

 

 俺とヴィンデルの会話を聞いていたレモンが思わず口を挟む。

 だが確かにレモンの言う事ももっともだ。

 連邦政府安全保障委員会の副委員長とEOT特別審議会議長を兼任しているカール・シュトレーゼマンは連邦政府の親玉と言ってもいい。正確には腐った政治屋共の親玉というのが正しいが。

 ちなみに、この世界ではメテオ3が地球に来る事は無かったが、インスペクターの残していった技術の関係でEOT特別審議会がきちんと存在している。

 

「なるほど、つまりアルバート・グレイはカール・シュトレーゼマンの操り人形だった訳か」

 

 原作でも確かそういう関係だった筈だ。恐らくこちらの世界でも同様なのだろう。

 

「そうらしいな。連邦政府上層部の腐敗は少しずつだが確実に広がってきている。そのうち連邦軍にも広がる可能性が高い」

 

 苦々しげに吐き捨てるように口に出すヴィンデルを見つつ、溜息を1つ。

 

「その辺は俺達が心配したってしょうがない。シャドウミラーが動く事でその辺を少しでも抑制出来ると信じるしかないだろ」

 

 もっとも、抑制が出来ないから結局はシャドウミラーの反乱に繋がる訳だが。

 

「そうだな。取りあえずこの話はここまでだ。他に何か話しておく事はあるか?」

「俺は特にないな」

「私も同じよ」

「では、今回はこれで終わるとしよう。レモン、T-LINKシステムの開発を頼む。アクセルはいつでも出撃できるように訓練を怠りなくな」

 

 ヴィンデルの言葉で、シャドウミラーの幹部会は終わった。




名前:アクセル・アルマー
LV:13
PP:85
格闘:158
射撃:176
技量:168
防御:165
回避:193
命中:215
SP:246
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
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   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:21

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