転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0466話

「……レモン、どうした? あまり食が進んでいないようだが」

 

 コーネリアが何かを悩んだ顔をしながらフォークを使って皿の上でジャーマンポテトのジャガイモを転がしているレモンへと声を掛ける。

 クラーケンのテストパイロットをしてから1週間程。ここ数日は何かを考えているレモンだったが、今日はいつも以上に上の空といった様子になっていた。

 

「あ、ううん。ごめんなさい。何でも無いわ」

 

 コーネリアの声で我に返ったレモンがそのままジャガイモへとフォークを刺して口へと運ぶ。

 

「あら美味しいわね」

「……珍しく誤魔化すのが下手だな」

 

 既に食事を終えていたコーネリアが、紅茶を口に運びながら苦笑を浮かべる。

 

「アクセルの新型機に使う予定の動力炉の件でしょ。結構な時間魔法球に入って何かやってたみたいだけど……」

 

 マリューがロールキャベツを口に運びながらそう告げる。

 ちなみに、俺が魔法世界で買った魔法球に関しては既にホワイトスターに設置されている。内部に取り込んだセイラン家の別荘の中に色々と研究に使う機材等が持ち込まれており、技術班が結構な頻度で使っているらしい。他にも機体の部品を設計する為の機械や、それを組み立てる為のスペースとかも増設されていっているらしい。

 ……年齢に関してとかどう考えてるんだろうな。いやまぁ、技術班だしその辺はあまり深く考えてなさそうだが。その点、時の指輪の力により20代で年齢が固定されているレモン、マリュー、コーネリアの3人は魔法球を使うのに躊躇無く結構な頻度で使っている。マリューの話を聞く限りではレモンは今日も魔法球に入っていたようだが……

 

「そうなのよ。動力炉の問題がちょっとね」

「プラズマジェネレーターと時流エンジンじゃ駄目なのか?」

 

 思わずレモンにそう尋ねる。

 グロウセイヴァーはその2つで出力不足が起きた事は殆どないのだが……

 

「うーん、確かにグロウセイヴァーならそれでもいいんだけど……ねぇ、アクセル。グロウセイヴァーでアインストの親玉と戦った時の事を思い出して。あの時エネルギー切れになったって言ってたでしょう? それに加えて新型機は機体の骨組み、装甲。その全てをT-LINKフレームで形成するのよ? 前にマリューも言ってたけど、T-LINKシステムとPS装甲を組み合わせたT-LINKフレームは予想以上の性能を発揮しているわ。ただ、その代わりと言う訳じゃないけど消費するエネルギーも相当な量になりそうなのよ。それこそ新型のプラズマジェネレーターと時流エンジンじゃ賄えないくらいに」

「……なるほど。戦闘途中にPS装甲がダウンしてしまうというのは俺も何度か経験したが、気持ちのいいものじゃないしな」

「貴男ねぇ……気持ちいいとかそういう問題じゃないでしょうに」

 

 呆れたように溜息を吐きながら、パンを千切って口へと運ぶレモン。

 

「でもレモン、現状で一番可能性が高いのは結局プラズマジェネレーターと時流エンジンなんでしょう?」

「そうね。SEED世界の核エンジンは核分裂エンジンという時点で問題外だし、かと言って向こうの技術を知る為にエヴァに頼んで用意して貰った精霊エンジンとやらは、それこそネギま世界以外では出力が極端に落ちるし……かと言ってギアス世界のKMFのユグドラシルドライブに関してはエネルギー切れが早すぎて使い物にならないし」

 

 憂鬱そうに顔を両手で覆うレモン。……これは相当のスランプだな。

 まぁ、ユグドラシルドライブが駄目だってのは俺も同感だ。何しろキュウシュウ戦役を見れば分かるように、消耗が激しすぎる。今レモンが挙げた中で言うのなら、やっぱりプラズマジェネレーターと時流エンジンがベストだろう。だが、その2つでも足りないとなると……

 

「一応、解決手段が無い事も無いんだがな……」

 

 ポツリと呟いたその声に、レモンがガバリと起き上がって視線をこちらへと向けてくる。

 

「それは本当かしら?」

「あ、ああ。とは言っても色々と危ない橋を渡りそうになるが……」

 

 その言葉に微かに眉を顰めながらも、続きを促してくる。

 

「まず大前提として、俺達がこの次元の狭間にくる羽目になったアインストの親玉との戦いの前にいたドルムのある世界に転移する必要がある。そして俺達が手に入れられなかった技術の1つであるブラックホールエンジン。これが一応本命だな。ヒュッケバイン系統の数機に使われた技術だから、マオ社にその技術は確実にあるしな。そして俺達にはあの世界で商売に関してこれ以上ない伝手がある」

「……ローズ、ね」

「そうだ。俺達がこの次元の狭間に来てからあっちの世界がどうなったのかは分からないが、それでもあのローズの事だ。今も元気に商売をしているだろう」

 

 まぁ、OG外伝辺りになればもう商売人というよりは裏の世界の女帝みたいな感じになっていたが。

 

「そして大穴。……と言うよりもホワイトスターの技術がある以上、俺個人としてはこれを本命にしたいんだが」

「……何?」

「トロニウム」

「っ!? アクセル、貴男本気!?」

 

 俺の口から出たその単語に、思わず叫ぶレモン。

 だが俺は当然とばかりに頷く。

 

「勿論だ。結局一番問題なのは出力の問題なんだろう? ならトロニウム・エンジン以上の物は無い筈だ」

「けど!」

 

 バンッとテーブルを叩くレモン。そんなレモンの様子に呆気に取られていたコーネリアとマリューだったが、やがて同じ技術者と言うことでマリューが口を開く。

 

「ちょっと落ち着きなさいよ。その、トロニウムってのが何なのか私達にも説明して頂戴」

「そうだな。2人だけで分かっているようだが、出来れば私も教えて欲しい」

「……トロニウム。元々はこのホワイトスターを作ったエアロゲイターが、地球の技術を発展させる為に送り込んで来た隕石の中にあったものよ。大きさ自体は1粒1cmあるかどうかという程度だけど、その内部には膨大なエネルギーを秘めているわ。それこそ、確かにこれを無事に制御出来たらエネルギー不足なんてものとは完全に縁が無くなるでしょうね」

「……凄いじゃない」

「確かに凄いわ。けど、それだけにその制御も難しいのよ。考えてみて頂戴。1粒で宇宙戦艦30隻分を超えるエネルギーを内包しているような物質なのよ? もしそのトロニウムを使った動力炉のトロニウム・エンジンが暴走したりしたら……」

 

 レモンのその言葉にトロニウムというものがどれ程に危険な存在なのかを理解したのだろう。コーネリアとマリューの2人は血の気の引いたような顔で俺へと視線を向けてくる。

 

「3人には悪いが、俺としてはトロニウムを本命にするのを諦めるつもりはない。それに何も俺だって何の勝算もなく言ってる訳じゃないしな」

「……勝算?」

 

 レモンの言葉に頷く。

 

「これから俺がトロニウム・エンジンをどうにか出来ると思える勝算を説明する。もしそれを聞いた上でもトロニウム・エンジンを使うのを危険だと思うのなら言ってくれ。さすがに俺も勝算を話した上で却下されるのなら諦めるしかないからな」

「……いいわ。言ってみて」

 

 3人を代表してレモンが促してくる。

 

「まず1つ目。知っての通り今の俺は人間では無く混沌精霊という種族だ。物理攻撃の類は基本的に無効化する。その為、例えトロニウム・エンジンが暴走したとしても生き残れる確率は普通の人間よりも数段上だし、いざとなればお前達が俺の記憶を追体験した時に見たように影のゲートという手段もある」

 

 俺の説明を3人が理解したのを見て説明を続ける。

 

「2つ目。さっきレモンも言ったが、トロニウムという存在はエアロゲイターからもたらされたものだ。そしてこのホワイトスターはエアロゲイターが作った宇宙要塞。つまりはトロニウムに関しての情報も向こうの地球よりも大量に、そしてより詳細に残っている筈だ」

 

 コーネリアとマリューの視線がレモンへと向けられ、その視線に答えるように頷くレモン。

 

「3つ目。トロニウム・エンジンというのは基本的にはT-LINKシステムとのリンクレベルが高い場合、出力が安定するという特性がある。つまり、向こうの世界でも最高クラスの念動力者だった俺が使うとなると暴走の危険性は限りなく低くなると思われる」

 

 この件については原作知識なのでレモンも知らなかったのだろう。珍しく驚きの表情を隠さずに俺へと視線を向けている。まぁ、これに関しては原作知識だから無理もないが。念動力LV.10の本領発揮だな。

 

「4つ目。3つ目に付随する内容になるが、トロニウム・エンジンはフルドライブすると出力が安定するという性質も持っている。つまりフルドライブに持っていくまでは他の動力炉をメインとして使い、フルドライブが可能になったら動力炉を切り替えるといった手段もありだろう。幸いトロニウム・エンジンは非常に小型だという話だしな」

 

 個人的にはトロニウム・エンジン、ブラックホールエンジン、時流エンジンの3つを考えているが……この辺はまた後でだな。

 

「そして5つめ。これが最後にして最大の理由だが……俺の機体を開発、設計するのがレモンとマリューだって事だ」

『……え?』

 

 その言葉が余程意外だったのだろう。レモンとマリューの2人が揃って間の抜けた声を出す。

 

「俺の最愛の恋人達が、俺の為に作ってくれる新機体だぞ? 何よりも俺があらゆる平行世界内で最も信頼している技術者達なんだ。それを信用しないで何を信用しろって言うんだよ」

「あ……」

「その……」

 

 レモンにしては珍しく顔を真っ赤に染めながら俯き、マリューは逆に頬を赤く染めながらも非常に嬉しそうに微笑んでいた。

 

「……アクセル、その中に私が入ってないのがちょっと不満なんだが」

 

 コーネリアがそう言いつつも笑みを浮かべ、俺へとしな垂れかかってくる。

 

「もちろんコーネリアの事だって愛しているさ。お前達程のいい女を恋人に持てた事は俺の人生の中でも最大にして最強の幸運だったと思うぞ」

「……わよ」

 

 俺の言葉を聞いていたレモンが何やら小さく呟く。

 

「レモン?」

「……分かったって言ったのよ。そこまでアクセルに信頼されて、愛されて。それで奮い立たないようならアクセルの恋人として胸を張って名乗れないわ」

「そうね。私達が作った機体ならきっとアクセルを裏切るような事にはならない。そういう機体を必ず作りあげて見せるわ」

「……じゃあ?」

「ええ。アクセルの新機体に関してはトロニウム・エンジンで行きましょう。それよりもまだ他に何か隠している事があるんでしょう? 特に他の動力炉に関してとか」

 

 未だに頬を赤く染めたままだが、それでも悪戯っぽい視線を俺へと向けてくるレモン。

 その様子に苦笑を浮かべつつ頷く。

 

「ああ。先にも言ったが、トロニウム・エンジンは非常に小型だ。つまり時流エンジン。……そしてブラックホールエンジンの3つを積み込めないかと思ってな」

 

 その言葉に、数秒程ポカンとした様子を見せて薔薇の咲いたような笑みを浮かべるレモン。その隣ではマリューもまた笑みを浮かべ、俺にしな垂れかかっているコーネリアもまた同様だった。

 

「ふっ、ふふふ。そうね。ここまで来たらもうどんなシステムだろうと私達が作りあげて見せるわ。そうなると戦闘当初はブラックホールエンジンがメインで時流エンジンを補佐、トロニウム・エンジンをサブとして使って、T-LINKシステムやトロニウム・エンジンがフルドライブ可能になったらメインとサブを入れ替える。……そういう感じでいいのね?」

「そうだな、それで頼む」

「でもレモン、新型機の内部に3つも動力炉を使うとなると機体の大きさがアクセルの要望に応えるのはちょっと難しいんじゃない? 確か20m以内という事だったけど……」

 

 マリューが小首を傾げてレモンへと尋ねるが、そのレモンは不敵な笑みを浮かべてみせる。

 

「大丈夫よ。何回か言ったけどトロニウム・エンジンは元々小型でそれ程場所を取らないの。時流エンジンに関しても私が研究を進めてより高性能・小型化に成功しているわ。一番の問題は今まで触れた事の無いブラックホールエンジンだけど……これに関してはさすがに入手してから組み込むしかないから何とも言えないわね。でもヒュッケバインというPTサイズの物に組み込まれている動力炉なんだから、その辺も問題は無い筈よ」

 

 こうして、夕食は自然と終了して俺の新型機について話を進めていたのだが……

 

「けど、そもそもマーカーもないのにアクセル達が元いた世界にはどうやって転移するんだ?」

 

 コーネリアのこの言葉で一瞬だけリビングが静まり返ったのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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