転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0469話

「あ、2人ともこっちこっち」

 

 俺の隣に座っている美砂が店に姿を現したあやかと千鶴へとそう声を掛ける。

 その隣で円がお好み焼きをヘラで人数分に切り分けているのを見ながら、俺も手を挙げて2人を迎える。

 ここは麻帆良の外にあるお好み焼き屋で、美味い店と評判らしい。実際店中にソースやマヨネーズの焦げるいい匂いが充満しており、食欲を掻き立てる。人気店と言うだけあって客の数もかなり多いしな。

 最初は超包子辺りにしようかと思ってたんだが、学園結界のせいで俺が窮屈そうにしているのは嫌だと円や美砂に言われて急遽この店に来る事になったのだった。

 ……しかし、20代の俺に円、美砂。この3人は人からはどういう風に見えたんだろう。あ、ちなみに桜子に関しては一応誘ったんだが折角だから恋人同士で過ごせと言われて遠慮された。……まだ恋人同士じゃないんだが。

 

「お待たせしましたわ。あら、美味しそうですわね」

「はい、あやか。千鶴も。今焼いているのは豚玉だけどいいわよね?」

 

 ヘラで切り分けたお好み焼きを皿に乗せてあやかと千鶴へと渡す円。

 そして2人は円に礼を言いつつ箸を使ってお好み焼きを口へと運ぶ。

 

「美味しいわね。夏美ちゃんと小太郎君にお土産として買って帰ろうかしら」

「そうですわね、今日は私達だけで来てしまいましたし……」

 

 こうして久しぶりに5人で一時を過ごしていると魔法世界を思い出すな。

 ……茶々丸がエヴァの世話で今日は来られなかったけど。

 そんな風にお互いの近況やら世間話やらをしながら新しく注文したシーフードミックス等のお好み焼きを食べ、やがてそれが一段落した頃に自然と4人の視線が俺へと集まってくる。

 

「それで、今日は急にどうしたんですの?」

 

 代表としてそう尋ねてくるあやか。何だかんだ言いつつも皆の纏め役をやってるのはあやからしいと言うべきか。取りあえず認識阻害の魔法を使ってから説明をする。

 

「あー。そうだな。実は近い内にまた別の世界に渡る事になってな。その報告だな」

 

 その一言を発した時、周囲では他の客の楽しそうに笑う声やお好み焼きを焼いている音が聞こえて来る。そんな中で一瞬だけ俺達の席が静寂に包まれた。

 

「……何で? アクセル君はブルーマーズ計画があるのに、何でまた別の世界に行かなきゃいけないの? 今までだって他の世界に行ったら決まって揉め事……っていうか、戦争とかに巻き込まれてたじゃない」

 

 持っていたヘラを皿の上に置き、美砂が真剣な目で俺へと視線を向けてくる。

 その視線は真剣に俺の事を心配しているというのが分かる。分かるのだがそれを取りやめる訳にはいかないのだ。

 

「安心しろ……って言っても、ちょっと信用が無いかもしれないがな。向かう先は今までのように未知の世界じゃなくて、俺が元いた世界だ」

「元いた? それってアクセル君達が反乱を起こした?」

 

 円の言葉に小さく首を振る。

 

「いや、その後に転移した世界だ。俺達が本拠地として使っているホワイトスターを手に入れた世界」

「それで、何でその世界に行く必要があるの?」

 

 生半可な理由では納得しない、とばかりに美砂が俺へと視線を向けてくる。それは他の3人も同様であり、周囲にはお好み焼き屋とは思えない程の緊張感が漂っている。

 

「色々と理由はあるが、ブルーマーズ計画に使う宇宙艦の推進装置に……」

 

 そこまで口に出し、小さく首を振る。

 

「いや、お前達を騙すような真似はしたくないな。ホワイトスターで俺の新型機を作っているのは記憶を追体験した以上は知ってるな?」

「うん。アクセル君の反応に付いていけなくなったからだよね」

「ああ。それで、その新型機の動力炉に使う為のトロニウムという物質と、補助動力炉として使うブラックホールエンジンの技術データを手に入れる為にな。それと最初に言ったブルーマーズ計画の宇宙艦に使う推進装置に関してと言うのも一応目的の内ではある。ただ、今も言ったように本命は俺の新機体の動力炉なんだがな」

 

 黙って俺の説明を聞いていた4人だが、やがて再び美砂が口を開く。

 

「……どうしても、行かなきゃ駄目なの?」

「ああ」

「私が一緒に行くって言ったら……」

「駄目だ」

 

 きっぱりと断る。

 

「お前達も知っての通り、このネギま以外の世界では基本的に魔法を使う為に消費する魔力は数十倍程度になったりする時がある。そんな所に魔法しか自衛手段の無いお前達を連れて行く訳には行かないのは分かるだろう?」

 

 アーティファクトもあるが、それだって魔法の一種と言えなくもない。向こうの世界でどんな不具合を起こすのか分からないのだ。

 

「美砂さん、ここでアクセル君を引き留めてもアクセル君の負担になるだけです。私達が目指しているいい女と言うのは、この場合気持ちよく送り出す事だと思いますわ」

 

 美砂へと告げるあやか。

 

「そうだね、私も本当はアクセル君が心配だから出来れば一緒に行きたいんだけど……信じて待ってる事にするわ」

 

 円が真剣な表情を浮かべつつも微笑を浮かべながら頷く。

 

「あらあら、言いたい事は殆ど言われてしまったわね。……アクセル君、くれぐれも気を付けて。アクセル君の事は信じているけど、怪我をしたら泣く子がいるというのも忘れないで頂戴。……私も含めて、ね」

 

 笑みを浮かべている事の多い千鶴の真面目な表情。

 

「……ああ。お前等も分かってると思うが、俺は存外に頑丈に出来てるからな。それに向かう世界は既に行った事のある世界だ。色々と危ない面はあるが、だからと言って必ず何かが起きる訳でも無い」

 

 OGsの世界で次に何か起きるとすればOG外伝だろうが……その辺が向こうの世界でどこまで進んでいるかだな。個人的な希望を言えばOG外伝終了済みだと嬉しいんだが。

 

「だから……な? 美砂もあまり心配するな。折角の5人での食事なんだ。笑って見送ってくれないか?」

 

 少し震えている美砂の手をそっと握りしめる。

 

「……うん。分かった。台所に出る黒い害虫並にしぶといアクセル君なんだし、信じてあげる。確かにあやかの言う通り、ここで駄々をこねるのはいい女のやる事じゃないしね」

 

 まだ多少心配そうに瞳を揺らしつつも、そっと俺の手を握り返してくる美砂。

 

「あのさぁ。美砂だけを贔屓するのはどうかなーと思うんだけど」

 

 そう言いつつも、口元に笑みを浮かべている円。

 

「いや、それよりも黒い害虫に例えられた俺が可哀想だと思って欲しいな」

 

 その一言により、やがて重苦しかった雰囲気も消えて行き次第にいつもの空気へと戻ってくる。あやか達にしても、俺を止める事は出来無いと理解して気持ちよく送り出してくれようとしているのだろう。

 

「そ・れ・よ・り・も。向こうの世界に行って、また新しい女を作ってきたりしないでしょうね?」

 

 新しくミックスのお好み焼きを鉄板に乗せながら、先程までは心底心配そうにしていた仕草は一切見せずに美砂がそう聞いてくる。

 

「いや、もちろん俺だってそうそう惚れっぽい訳でもないし……多分」

「何でそこで自信がないのよ」

「あらあら、アクセル君ったら相変わらず惚れっぽいわね」

 

 円の突っ込みに千鶴がいつもの如くニコニコと微笑んでいる。

 

「でもアクセル君がそういう惚れっぽい人じゃなければ、私達はアクセル君に受け入れて貰えなかった訳ですし……それを考えると全否定出来ませんわね」

「あやか、アスナに突っ込まれてたしねぇ。ハーレム要員云々って」

「あ、あれはアスナさんが悪いんですわ! 全く、自分が高畑先生に振られたからって私を羨んでいて……」

 

 照れ隠しなのか何なのか、豚玉をヘラで口へと運びながら頬を紅くするあやか。

 その後も、店の閉店時間である午後11時近くまで5人で食べて、飲んで、遊ぶのだった。……中学生が4人もいたのに店にその辺を聞かれなかったのは、あやか、千鶴、美砂の3人は大人と間違われてもおかしくない外見をしており、同時にそれを意識してか服装もどちらかと言えば大人っぽいものを着ていたからか。4人の中では年下に見られがちな円にしても、それはあくまでも他の3人に比べてであり、端から見れば18歳程度には見えるのだから。この辺は魔法世界で色々な経験を積んだ為だったりするんだろうな。

 

 

 

 

 

 そしてお好み焼き屋での騒ぎから10日。俺の姿はホワイトスターの転移区画にあった。周囲にはレモン、コーネリア、マリュー。そして当然の如くあやか、千鶴、円、美砂が。ホワイトスターの魔法担当としてエヴァにお付きの茶々丸。その他にも色々なメンバーが集まっている。そう、あれから数日後には元の世界の座標を何とか特定していよいよ今日転移する事になったのだ。当然、いざという時の為に俺の空間倉庫にはグロウセイヴァーやトリニティゲイン、ASRS装備のソルプレッサ、向こうの世界では広く普及しているガーリオン・カスタム。そしてローズことミツコ・イスルギとの取引材料でもあるストライクダガー、ガン・ルゥ、各種マジックアイテムの類も空間倉庫に収納済みだ。そして……

 

「ほら、ぼーやから頼まれた物だ。全く、私を使いっ走りにするとはな」

 

 不機嫌そうなエヴァから放り投げられたソレを受け取り、視線を移す。俺の手の中にあるのは鷲の両翼に天秤が付いているマジックアイテム。そう、強力極まりないマジックアイテムでもある鵬法璽だ。

 実は昨夜、ミツコ・イスルギと取引に関して悩んでいた所でふとこの鵬法璽の存在を思い出したのだ。そもそも人との約束と利益のどちらを取るかの選択があった場合、躊躇無く利益を取るのがローズだ。つまり短期的なギブ&テイクならまだしも、長期的な約束に関してはあまり信用出来ない。その為にこれを使わせて貰おうと思い、急いでネギへと携帯で連絡をしてエヴァに持ってきてもらったのだ。これがOGsの世界で使えるかどうかは微妙な所だが、ホワイトスターやSEED世界でもマジックアイテムは使用可能だったので魔力の消費量に関して考えなければ使えるんじゃないかと思っている。

 

「悪いな」

「フンッ、お前がいないとこの長い人生詰まらなくなるからな。精々気を付ける事だ」

 

 そう言い、他の者達とも言葉を交わしていよいよ時間となる。

 

「……アクセル、準備はいいわね?」

「ああ、やってくれ」

「気を付けて」

 

 その言葉と共にレモンの唇が重ねられ、数秒程して離れていく。

 

「行くわよ。リュケイオス、起動……正常稼働確認。転移先座標固定完了。転移フィールド生成開始、転移フィールド生成完了。……転移!」

 

 レモンのその言葉と共に転移フィールドが生成され、次の瞬間には俺の姿はホワイトスターから消えていた。

 

 

 

 

 

 目の前に映るのは一面の森。どうやら何処ぞの森の奥深くに転移してきたらしい。

 周囲に誰もいない場所に転移出来たのは不幸中の幸いと言うべきか……一応このOGsの世界では転移反応を検知出来たりするのだが、それはあくまでも直接その場にいた時に限った筈だ。なら俺が転移した反応に関しても見つかりはしないだろうが……

 

「どのみち、森の奥深くなんだからイスルギ重工に連絡を取る……」

 

 轟っ!

 

「……何だ?」

 

 俺が言葉を最後まで発する間もなく、かなり遠くの方から聞こえてきた爆音。そして続けざまに同様の音が聞こえてくる。

 これは、戦闘音か?

 

「結局トラブルに巻き込まれる訳か。……いや、でもこの戦闘に俺は直接関わってないんだからSEED世界の時のように問答無用でっていうのよりはまだマシか」

 

 呟きながら『戦いの歌』を使用し、音の聞こえてきた方へと走り出す。

 生えている木々を避けながら進み、ステータス画面を表示する。するとやはりと言うか何と言うか、『戦いの歌』程度の魔法でSPを30近くも消費されている所を見ると、やはりこのOGsの世界でも魔法はネギま世界と同じようには使えないらしい。それでもまだ俺の場合は莫大なSPがある為にそれなりに使えるが。

 そんな風に考えつつ、やがて森の切れ目へと到着した俺が目にしたのは……

 

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ?」

 

 思わず呟く。だが、シャドウミラーで使ってる機体ではないというのに、テスラ・ドライブを装備して空を飛んでいるその光景は、それが通常の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱではないのが明らかだった。そしてその隣には見覚えのある女騎士を模したかのような特機。即ち……

 

「アンジュルグ」




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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