転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0037話

「アクセル、久しぶりだな」

 

 俺に声をかけてきたのは、士官学校の同期生であるバリソンだった。

 エクアドル基地に引っ越して来て1ヶ月。ヴィンデルの交渉が実ったのか、今日からバリソンがシャドウミラーに配属される事になったのだ。

 

「ああ、久しぶりだ。アフリカはどうだった?」

「DC残党が予想以上に多くてな。他にもゲリラや独立派のテロリストも居て、配属当初は気の休まる暇も無かったよ」

 

 確かに士官学校を卒業したばかりの少尉がそんな場所に配属されるときついだろう。

 とは言っても、別にシャドウミラーが楽だという訳では決してないのだが。

 

「ま、これからはお前も特殊処理班の一員だ。頑張って俺を楽にさせてくれよ」

「いや、ここは先輩としての度量を見せるべく俺を気遣うべきじゃないか?」

 

 そんな事を言っていると、マルティンが近づいてきて声をかけてくる。

 

「隊長、そちらは?」

「俺の士官学校の時の同期でバリソンだ。特殊処理班の第2小隊を率いる事になる。バリソン、こっちはマルティン。俺の小隊のまとめ役みたいなものだな」

「マルティン曹長です。よろしくお願いします」

「バリソン少尉だ。シャドウミラーに来たばかりで何かと分からない事もあると思うがよろしく頼む」

 

 互いに敬礼をして挨拶を済ませ、マルティンがこっちへと視線を向ける。

 

「隊長、そろそろ任務の時間ですのでレイディバードの方に」

「あぁ、もうそんな時間か。分かった、すぐに行く」

「早速俺も仕事か?」

 

 俺とマルティンの会話にバリソンがそう尋ねてくるが、今回の出動は俺の小隊だけだ。

 

「いや、今回の出撃は俺の小隊だけになっている。バリソンはまず自分の小隊員と挨拶でもしていてくれ」

「そうか? 分かった。ちなみに相手は?」

「オーストラリア近海にDC残党と思われるキラーホエールが見つかったという情報が入ってな。その確認と、もし実在するなら殲滅だ」

 

 キラーホエールは、DCで製造された原子力潜水母艦だ。ハガネやヒリュウ改のようにISA構想、すなわち『空母の役割を果たす機動戦艦と、そこに搭載された人型機動兵器による電撃戦』を実現した艦船で、DC残党としてはかなりの大物となる。

 

「もっとも本当に実在していれば、だがな」

 

 口の中でボソリと呟く。

 ヴィンデルからの情報によれば、今回のキラーホエール発見の報は正直あまり信頼出来ない筋からのものらしい。

 だが、何故か軍上層部からの強い圧力があり、ヴィンデルとしても仕方なく俺達を派遣する事になった訳だ。

 そもそも、何故嘘か本当かどうかも不明なこの状況で特殊処理班である俺達が出撃する流れになる? シャドウミラーの実行部隊である俺達が出撃するのなら標的がきちんと存在していると判明してからだろう。

 

「特殊部隊は特殊部隊で色々と大変らしいな」

 

 俺の様子を見ていたバリソンから声をかけられる。

その表情から、大体の事情を読み取ったといった所か。

 

「しょうがないさ。軍人なんだし上からの命令にはそうそう逆らえない」

 

 余程の証拠があればまだしも、何の証拠もないこの状況で上層部に逆らったりしたらシャドウミラーの反乱が3年近くも前倒しになってしまう。

 

「ん? 証拠?」

 

 自分が内心で思ったその単語に何かを感じる。

 あるいは、念動力が何らかのインスピレーションを与えてくれたのかもしれない。

 証拠を闇に葬られて間一髪の所を脱したアルバート・グレイだが、はたしてそれで一安心という事で終わるだろうか? 少なくても、俺の原作知識ではそんな殊勝な奴ではない。自分を追い詰めようとした相手に対して執拗に報復を行うだろう。

 だが、それにしたって証拠を盗んでから半年近く経ったこの時期に何故?

あるいは、自分を追い詰めた相手が俺達シャドウミラーだと判明するのに時間が掛かった? 後ろ盾であるカール・シュトレーゼマンを頼らないで、自分だけで調査した場合は半年という時間は辻褄が合うような気がする。

 

「隊長? 急がないと時間に遅れますぜ?」

「っと、悪い。今行くよ。じゃあな、バリソン。戻ってきたらまた話そう」

「ああ。そっちも任務頑張ってくれ」

 

 バリソンに軽く手を振り、レイディバードへと向かう。

 今回の任務がガセだった場合は、今思いついた事をヴィンデルに話しておこうと決心しながら。

 

 

 

 

 

 今回の出撃は俺の小隊のみなので機体数は5機丁度。つまりレイディバード1機での出撃だ。

 本来なら2機のレイディバードを使用して捜索範囲を広げたい所だが、何せレイディバードは基本的に輸送機で碌な武装が付いてない。もし本当にキラーホエールが存在した場合は海の藻屑になってしまう可能性が高い。

 そういう訳で、結局はレイディバードを前線基地としながらADやPTで潜水艦の探索をする事になる。

 ちなみに、マルティンの量産型アシュセイヴァーも技術班がテスラ・ドライブを装備してくれたので、俺の小隊は全機空中移動が可能になっている。

 

「隊長、こちらフルスト。キラーホエールらしきものは確認できませんでした」

 

 レイディバードに戻ってきたフルストからの報告の通信が届くが、発見出来なかったか。

 索敵仕様のフルストの機体でも見つけられないとなると、アルとボビーは余程の幸運が無い限りは期待出来ないだろう。

 キラーホエールの探索は基本的に俺とマルティン。アルとボビーとフルストの2組に分かれて行っている。

 武装が碌に付いていないという理由でレイディバード1機で来たので、まさか護衛も無しに全機が索敵に出る訳にもいかないのだ。

 なので1時間交代で護衛と探索を交互に行っている。

 

「隊長、アルとボビーも帰還しました」

 

 フルストから残り2人の帰還の通信が入る。

 

「どうだった?」

「駄目ですね。アルが一瞬見つけたかと思ったらしいですが、普通のタンカーだったらしいですし」

「了解。じゃあ次は俺達だな。マルティン、出るぞ!」

 

 マルティンに通信を送り、グロウセイヴァーをレイディバードから発進させる。

 後に続くように、マルティンの量産型アシュセイヴァーも飛び出してきた。

 マルティンの機体と並んで飛びながら、通信を送る。

 

「3人から捜索済み地域のデータは受け取ってるな?」

「大丈夫です」

「じゃあ俺はフルストの後を継ぐ。お前はアルの後を頼む」

「了解」

 

 マルティンからの返事を聞き、俺はグロウセイヴァーをフルストが捜索していた場所へと飛ばす。

 

 

 

 

 

「無駄足だったか」

 

 結局キラーホエールの影すらも捉える事なく俺達はエクアドル基地へと戻ってきていた。

 格納庫に機体を搬出し整備と補給を整備員に頼んだ後、俺はヴィンデルの執務室へと向かっていた。

 報告書の提出と、出撃前に感じた事の確認の為だ。

 

「ヴィンデル、いいか?」

「アクセルか。構わん」

 

 ドアをノックし、部屋に入るといつもの如く書類仕事をしている……いつもの? いや、その顔は微妙に苦々しげな表情を浮かべている。

 

「どうした? いつも鉄面皮のヴィンデルらしくもない」

「いや、多分お前がここに来た事の同じ理由だ」

「俺が?」

「今回の作戦についてだろう? キラーホエールの姿は影も形もなかった。違うか?」

「いや、確かにその通りだったが」

 

 ヴィンデルは怒りを吐き出すように溜息をついてから、口を開いた。

 

「任務に行く前にも言ったが、今回の作戦は信憑性が非常に薄いものだった。その理由が判明したんだが」

「アルバート・グレイ、か」

 

 その名前に眉をピクリとさせて聞き返してくる。

 

「気づいていたのか?」

「いや、作戦開始前にふと脳裏に浮かんだ。そこから連想ゲームのようにしていった結果その名前が出てきた。念動力のせいかもしれんがな」

「念動力か、羨ましい事だ。そんな真似が出来るのなら私も是非欲しい所だが」

 

 珍しいヴィンデルの愚痴に思わず苦笑を浮かべる。

 

「まぁ、俺達みたいな特殊部隊だ。政治家なんかの腐った面を見るのはしょうがないだろうさ」

「ふぅ。実際に無駄足を踏まされたアクセルにそう言われては、私としても収めるしかないか」

 

 手のひらで顔を隠すようにしてその表情を隠すヴィンデル。

 これは相当きてるな。基本的に実直な軍人であるだけにここ最近の政府や軍上層部の腐敗に思う所があるのだろう。

 俺としても、友人でそれなりに長い付き合いがあったモントーヤ博士を殺された恨みは忘れてはいない。今は無理だろうが、仇を取る事が出来るようになったらいずれこの手で、とは思っている。




名前:アクセル・アルマー
LV:13
PP:85
格闘:158
射撃:176
技量:168
防御:165
回避:193
命中:215
SP:246
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:21

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