転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0476話

 ホワイトスターにある俺達の家。そこの居間に俺達の姿はあった。

 俺達。すなわちこの家の住人である俺、レモン、コーネリア、マリュー。そして客人でもあるスレイだ。

 今はマリューの用意してくれた夕食を食べ終わってそれぞれがソファへと座りゆったりとしている。

 ちなみに今日の夕食はマリューの料理と、エザリアがネギま世界の超包子から買ってきたのを分けて貰った小籠包や餃子、焼売の入った点心セットというメニューだった。

 

「……あの小籠包は非常に美味かったな。是非ここに治療を受けに来たら兄様にも食べて貰いたい」

 

 スレイのしみじみとした言葉に思わず笑みを浮かべるマリュー。

 

「そうね。もしスレイさんやそのお兄さんがシャドウミラーに所属するのなら、いずれあのお料理を作った人を紹介出来るかもしれないわね」

 

 そう言いつつも、スレイに関してはネギま世界やSEED世界についての情報はまだ伏せたままだ。本当にシャドウミラーに所属する事になったのならいずれは教えてもいいかもしれないが、今はまだお客さん的な扱いだな。

 実はマリュー、何度かネギま世界に行って四葉から料理を習っていたりする。

 何度か俺が四葉の料理を褒めたので対抗心が湧き上がったらしい。

 

「それにしても……」

 

 呟きながら、チラリと俺の方へと視線を向けてくるスレイ。

 

「何だ?」

 

 俺もまたソファへと腰を下ろし、レモンとマリューを両隣に侍らせながら紅茶を口に運んでいる。

 コーネリアに関しては俺の向かい、スレイの隣に座って紅茶を飲んでいた。俺の好みが影響されているのか、この家では基本的に紅茶、日本茶の類が一般的でコーヒーの類は滅多に飲まれない。……フェイトとかが時々来る時もあるし、レモンやマリューが仕事中の眠気覚ましとして飲む時もあるので、一応豆の状態だったりインスタントだったりがストックされてたりはするんだが。

 尚、最近のフェイトはホワイトスターを経由してコーヒー豆を取り寄せていたりする。……そのうち、バルトフェルドと会わせてみたら面白い事になるかもな。

 

「いや、何でもないさ。何でもな」

 

 どこか意味あり気に笑みを浮かべるスレイに、首を傾げながらも会話を続ける。

 

「それでどうだった? 治療云々に関しては」

「確かに地球と比べると随分技術に隔たりがあるようだったな。お前が提案したように、恐らくこのホワイトスターの機器を使用すれば兄様の治療も可能だろう。少なくても、地球で治療するよりは随分とマシな筈だ」

「じゃあ俺との取引は成立したと考えてもいいんだな?」

「ああ。明日向こうの世界に戻ったら何とか兄様と連絡を取ってみようと思う。……奴等の前に顔を出すのは気が進まないが、な」

 

 まぁ、その気持ちは分かる。アステリオンがアイビスのパーソナルカラーに塗装されているのを知り、頭に血が昇って袂を別ったのだから。そして実際純粋にパイロットとしての腕を考えるのなら、アイビスはまだまだスレイには及んでいないだろう。

 ……しかし。

 

「求める目標の違い、だろうな」

「……」

 

 ポツリと呟いたその言葉に、無言で視線を向けてくるスレイ。

 あくまでもプロジェクトTDのNo.1に固執したスレイと、プロジェクトTDのさらに先。宇宙を目指したアイビスとの。

 

「結局はスレイ自身の問題だ。自分のプライドと血の繋がった兄のどちらを重要視するかという……な」

「そんなのは決まっている! 兄様が助かるというのなら、私のプライドなど幾らでも捨てて見せよう。兄様を助ける為なら、私は何だって出来る。例えアクセルにこの身を捧げろと言われれば、喜んでこの身を捧げよう」

 

 ピクリ。スレイのその言葉に反応したのは俺ではなく、俺以外の3人だった。……いや、確かにスレイはどちらかと言えば好みのタイプではある。だが、ブラコンという最大の欠点がある以上は……待て。もしそれを克服したとしたら……

 そんな風に思った時だった。唐突に俺の右頬と左脇腹が痛みを発してきたのは。

 

「痛っ!」

 

 右を見るとレモンが絶対零度の笑みを浮かべたままで俺の頬を抓っており、左を見ると菩薩の如き笑みを浮かべたマリューが俺の左脇腹を抓っている。

 

「……ねぇ、アクセル? 今何を考えたのかちょっと聞かせて貰えるかしら?」

「そうね。私もレモンの意見に賛成だわ。是非聞かせて頂戴?」

「ふむ、そう言う事なら私としても聞かない訳にはいかないだろうな」

 

 レモンとマリューだけではなく、俺の前に座っていたコーネリアもまた笑みを浮かべて言葉を発する。……絶対零度、菩薩と来てこっちは獰猛な肉食獣の笑みだったが。

 

 

 

 

 

 そして色々と……そう、色々な事態が過ぎてようやく元の会話へと戻る。

 ただ前と違う所があったとすれば、俺の身体に抓られた跡が何ヶ所か増えたくらいか。

 

「いい、スレイ。この人はこう見えても女好きなんだから、あまりああいう事を言っちゃ駄目よ?」

 

 マリューがスレイの迂闊な発言にそう注意をし、その隣ではレモンとコーネリアもまた頷いている。

 

「そうだな、アクセルの手の早さは予想以上だ。特にお前は自分がどれ程の価値を持っているのかを知った方がいい」

「……コーネリア、貴方の場合スレイの事をどうこう言えないでしょうに。自分から身も心もアクセルに捧げたんだから」

「いや、それは違うぞ。確かに私はユフィの件で結果的にそう言う事になった。だが、元々アクセル自身に好意を抱いていなければ幾ら何でも身も心も全てをアクセルに捧げるなんて真似はしなかった。アクセル自身に好意を抱いているかどうか。そこが私とスレイの唯一にして最大の違いだろう」

「なるほど。アクセルは色々と危険らしいな。私も気を付けるとしよう」

 

 コーネリアの話を聞いていたスレイが、どこかジト目で俺へと視線を向ける。

 ……いや、情に弱いという自覚はあるんだが……そういう視線に晒されるのは余り嬉しく無いな。

 結局この日はスレイも俺の家へと泊まり、翌日にはレモン達との朝の一幕を見られて顔を真っ赤にしたスレイという一場面を見る事になるのだった。

 

 

 

 

 

「新型機の方はどうなっている?」

 

 朝、朝食を食べながらレモンとマリューへと尋ねる。

 テーブルの別の席では、未だに顔を真っ赤に染めたスレイが無言で食パンをモソモソと食べている。

 ……さすがに朝からああいうシーンは刺激が強かったか。元々ブラコン気味で他の男に興味を持っていないスレイだから、その刺激は予想以上のものだったのかもしれない。

 

「ちょっと。あまりスレイの方ばっかり見ないの。全く、朝から変な所を見せてしまったわね。あまり気にしないで頂戴。一応この家ではそれ程珍しくない出来事だから」

「あ、ああいうのが珍しくない……? 兄様、私はシャドウミラーに所属すると約束して良かったのでしょうか。もしかして早まったのでは……」

 

 口の中だけでモゴモゴと呟いているが、俺の耳にはしっかり聞こえているぞ。

 まぁ、取りあえず熱暴走しているらしいスレイは放置しておくとして。

 

「で、改めて尋ねるが新型機は?」

「動力炉の問題があるから、まだ骨組み程度ね。あ、でもヒュドラの方は全部完成してるわよ。他にも色々と当初のプランよりも改良されていってるわ」

「……おい、大丈夫なんだろうな?」

 

 以前渡されたレポートに書いてあった物でもかなりオーバースペックな機体だったのに、それをさらに越える? 混沌精霊になって色々とぶっちぎってる俺でも乗りこなせない機体になってたりしたら……

 

「それとフィリオ・プレスティを仲間に引き入れるのなら、以前技術班から上がってきた例のT-LINKフライトシステムとテスラ・ドライブの融合した推進機関。あれも新しく作った方がいいかもしれないわね」

「まぁ、それは確かに。何しろテスラ・ドライブに関しては第一人者と言ってもいいしな。T-LINKフレームに関しては? 予想外に高性能になったとか言ってなかったか?」

 

 紅茶を飲んでいるマリューの方へと視線を向けると、小さく頷いて口を開く。

 

「そうね。私やレモンが予想していたよりも高性能になった理由は結局不明だけど、色々とテストを行った結果、特に不具合は見つかってないわ。……逆にその高性能ぶりにちょっと驚くけど。ただ、あくまでも私達が出来るのはT-LINKフレームの基本的なテストのみなのよ。何しろ念動力を持った人がいないしね。出来ればアクセルにも使って見て欲しいんだけど……」

「とは言ってもなぁ。俺も俺で忙しいし。あぁ、でも魔法球の中でなら意外となんとかなるかも。1時間くらいならどうとでもなるか?」

 

 そう呟いた時だった。

 

「ん? そう言えば昨日も魔法球がどうとか言っていたが、何の事だ?」

 

 いつの間にか復帰していたスレイがそう尋ねてきたのは。

 

「あー、色々なシステムを詰め合わせてある部屋の名前だな。ダイオラマ魔法球システムが正式名称だが、長いから通称の魔法球と呼んでいる」

「ほう。さすがホワイトスターと言うべきか。そんなのもあるのか」

 

 嘘八百の説明に、感心したように頷くスレイ。

 ……取りあえず、スレイが一緒の今は魔法球に入るのはやめておいた方がいいな。

 マリューと視線で会話し、お互いに小さく頷く。

 

「念動収束式のビームキャノンとレーザーキャノンはどうなった? 結局レモンが手がけるんじゃなくて、技術班が作る事になっていたと思うんだが」

 

 その質問を聞き、何故か眼を逸らすレモンと苦笑を浮かべるマリュー。……何をやった。

 

「レモン?」

「べ、別にアクセルに不都合な手出しはしてないわ。ただ、ちょっとO.O.ランチャーを参考にしてカスタム化しただけで」

 

 その言葉を聞いたマリューは、どこか呆れたように口を開く。

 

「……ちょっと弄っただけで本来は2つの武器だったレーザーキャノンとビームキャノンが1つになる訳ないじゃない」

「ちょっ、マリュー!」

 

 慌ててそう言うマリューの口を封じようとするレモンだったが、それだけで何があったか大体の予想は出来た。O.O.ランチャーは1つの銃でビームと実弾を撃ち分ける事が可能だという特徴がある。それを参考にしたと言う事は、1つの銃でレーザーキャノンとビームキャノンの両方を使えるようになってる訳だ。それもレモンが設計したとなると、当然不具合の類は無くて念動収束式で。

 

「……だろ?」

 

 俺のその説明に、苦笑を浮かべつつも頷くマリュー。レモンはと言うと、どこか拗ねた様子でオレンジジュースのコップを口へと運んでいる。

 

「アクセル、あまりレモンを苛めてやるな。レモンにしても、お前の機体が使う武器だからこそ技術の粋を尽くしてだな」

「分かってるよ」

 

 拗ねているレモンを見かねたのか、そう言ってくるコーネリアに黙って頷いてレモンの方へと視線を向ける。

 

「レモン、お前にはいつも助けられてる。感謝してるよ」

「……アクセルが無事に私達の場所に戻ってきてくれるなら、どんな手段でも使うわよ」

 

 小さく呟いたつもりだったのだろうが、その言葉は間違い無く周囲へと響いていた。

 

「この様子だと、色々と他にも改良してるようだが……あまり聞かない方が良さそうだな」

「うむ、そうしてやってくれ。サプライズのような意味もあるしな」

 

 コーネリアの言葉に頷くも、新型機でサプライズって……いや、これ以上はやめておいた方がいいだろう。

 お互いにスレイの前と言う事もあり詳細な報告の類は出来無かったが、既にゲートを設置した以上いつでも戻ってこられると言う安心感もあるので、特に不安はない。

 ……よく考えてみれば他の世界に転移してこんなに早くゲートを設置出来たのは初めてじゃないか? ギアスの世界は機器の不調で、SEED世界の時も結局数ヶ月掛かり、ネギま世界に関して言えば最後の最後、ギリギリになってだった訳だし。

 そんな風に会話をしながらも、朝食を終えた俺達はそれぞれの仕事へと向かう。レモンとマリューは俺の新型機の設計と組み立て。そして改造の為に魔法球へ。コーネリアはムウやイザーク、そして量産型Wとの訓練に。そして俺とスレイは……

 

「さて、じゃあ俺達もそろそろ向こうの世界に戻るとするか」

「ああ。もしかしたら兄様のカルテも手に入っているかもしれないからな」

 

 俺の言葉に頷くスレイ。

 こうして俺とスレイは転移区画へと向かい、OGsの世界へと戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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