転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0481話

 俺がムラタ達に合流した翌日。クロガネが通る予定の場所で待ち伏せしているDC残党部隊を見ながらミロンガのコックピットでムラタについて考えていた。

 腕自体は非常に立つのだが、自らの人斬りの欲望に素直な所が非常に厄介だ。その欲望に負けて暴走する可能性が高い事を考えると、こちらの計算を狂わせる可能性も出て来るしな。それをどうにかする為の昨日の茶番だった訳だが……正直、ムラタの闘争本能を甘く見ていたとしか言いようがない。あそこまでの圧倒的な差を見せつけたにも関わらず、それでも尚好戦的な視線を俺へと向けてくるのだから。

 

「では俺達はクロガネに仕掛ける。ムウはそこで待機していてくれ」

 

 内心でそんな風に考えていると、リオン・タイプVに乗ったDC残党部隊のリーダー格の男から通信が入ってくる。

 

「ああ。余程の事にでもならない限りは俺が手を出す予定は無いから、好きにやってくれ。ただしテスラ研に対しての襲撃も考えると余り戦力を消耗して欲しくはないんだが」

「そう言われても、こっちにもこっちの事情があるとしか言えないな」

 

 リーダー格のリオン・タイプVがテスラ・ドライブでフワリと空中へと浮き上がる。

 この部隊の最大戦力は間違い無くムラタの操る無明だ。だが、そのパイロットであるムラタには皆を纏めるという気がないので、昨日俺と交渉をしたこの男が実質的なリーダーであると言ってもいいだろう。

 

「作戦は理解している。じゃあ頑張ってくれ」

 

 そう言い、戦場となる場所から少し離れた位置へとミロンガを待機。そのまま観戦の構えに入る。

 リオン・タイプVに乗っているリーダー格の男がクロガネの進路上にて身を隠して待ち伏せをし、同時にムラタ率いる別働隊はその通り道にある崖へと身を潜める。

 

「さて……俺にしてみれば約2年ぶりに見るクロガネだが、向こうは数ヶ月ぶりといった所か。このOG外伝でも厄介な敵は色々と出て来るから、そっちは出来れば任せたいんだがな。デュミナスとか、修羅の親玉とか、ダークブレインとか。……ネオ・グランゾンとか」

 

 とは言っても、アインストを倒したヒリュウ改とハガネの部隊だけにその戦闘力は保証付きだ。おまけにOG外伝になって色々と新型機も増えていく事だろうしな。そう考えると、OGsの時のように俺が敵に回って鍛え上げる……何て真似はしなくてもいいだろう。

 まぁ、俺の目的を考えると敵対する可能性は高かったりするのだが。

 そんな風に考えていると、やがてミロンガのレーダーに反応が現れる。……クロガネだ。

 

「来たか」

 

 基本的に連邦軍に見つからないように動いている為なのだろう。崖と崖の間を通り抜けてきたクロガネ。そしてそのクロガネの姿を見つけた瞬間、リオン、ランドリオン、バレリオン、そして虎の子のリオン・タイプVがそれぞれ姿を現して一斉に砲撃を開始する。

 だが敵はスペースノア級のクロガネだ。放たれた攻撃の殆どをEフィールドで防ぎきり、辛うじてバレリオンから放たれたレールガンがその装甲に僅かに傷をつけただけに終わる。それを見越していたのだろう、攻撃が一旦止んだ隙に3機の機体がクロガネから発進する。

 まず一番最初に目に付くのは特機でもあるダイゼンガー。そのダイゼンガーが大地へと着地し、そしてその脇にラーズアングリフ・レイブンとランドグリーズ・レイブンの2機がそれぞれ浮かんでいる。

 ゼンガーにユウキ、カーラか。

 クロガネから発進した部隊と向かい合う形になったリオン部隊。だが、特に攻撃を仕掛けるでもなく1分程睨み合いを続け……やがて痺れを切らした、と言う訳でもないだろうがクロガネの部隊から攻撃を開始する。

 先制として放たれたのは、2機のVCシリーズからのミサイルの山だった。ファランクス・ミサイル、マトリクス・ミサイル、対艦ミサイルといった類が大量に撃ち放たれたのだ。この辺は足を止めての撃ち合いを重視しているVCシリーズの真骨頂といった所か。

 そしてそのミサイルに対してDC残党部隊からもレールガンの類が迎撃として放たれるが、数が違った。クロガネ側はユウキ機とカーラ機の2機だけで、DC残党の方は全部で10機近い機体数だったのだが……ここで機体の性能差がはっきりと出たのだ。片やシャドウミラーが元々の世界で手に入れた新型機。片やDC戦争時代に使われた機体。その差は明らかであり、多少の数の差は関係無いとばかりにミサイルの雨が降り注ぐ。その迎撃に精一杯……いや、違うな。既に迎撃しきれずに何発かはDC残党の方へと着弾している。そして……

 

「来たか」

 

 クロガネが現れた時と同じ言葉を再び呟く。

 迎撃で手一杯であるDC残党部隊へと、ダイゼンガーが斬艦刀を振りかぶりながら突進していったのだ。

 その速度はさすがゼンガー専用に設計された地上適性SのDGGといった所か。

 まず最初に狙われたのは、DC残党部隊の中で最も攻撃力の高いバレリオンだった。横薙ぎにされた斬艦刀の一撃で、上下に分断されて爆発を巻き起こす。同時にそれを返す刀で空中にいたリオンを斬る……というよりは、叩き潰す。

 ここまでのダメージを受け、ようやくダイゼンガーから距離を取ったDC残党部隊。

 だがDC残党部隊の苦戦はまだ続く。ユウキの乗ったラーズアングリフ・レイブンからヘビィ・リニアライフルが、カーラの乗ったランドグリーズ・レイブンからステルス・ブーメランが放たれたのだ。

 ヘビィ・リニアライフルの弾丸がリオンを貫き、ステルス・ブーメランがランドリオンを斬り裂いていく。どちらも一撃で撃破とはいかなかったが、それでも良くて中破という状態になる。動けなくはないが戦闘の続行は不可能といった所か。

 このままで行けば今回の戦いはクロガネ側の圧勝で終わっていただろう。……そう、奴がいなければ。

 

「来たか」

 

 三度同じ言葉を呟く。

 ミロンガのレーダーに表示されたのはクロガネが待機している直ぐ側にある崖の上。そこに今まで息を潜めて動力炉を停止させていた無明とリオンタイプVの反応が現れたのだ。

 クロガネとしてもその機体反応に気が付いたのだろう、機体に設置されている機銃や砲座が迎撃態勢に入る。そして……

 

「聞こえるか、ゼンガー・ゾンボルト!」

 

 無明から、周囲へオープンチャンネルでムラタの声が響き渡る。

 そして指名されたゼンガーの乗るダイゼンガーが崖の上に立つその姿を捉える。

 

「戦場でこうして貴様と出会うのは初めてだな」

「その機体の持つ刀は……まさか!?」

「リシュウ・トウゴウから聞いているだろう? 俺と、そしてこの無明については。ゼンガー……艦を斬る為の刃を持つのは貴様だけではないと教えてやる!」

 

 その雄叫びと共に、地を蹴る無明。そのまま咄嗟に艦首を回頭させようとしたクロガネへと迫り……シシオウブレードが抜き放たれ、エネルギーフィールドを突き破って装甲表面を斬り裂いていく。

 そしてクロガネの装甲を斬り裂いたまま反対側の崖へと着地し、トドメとばかりに再びクロガネに斬りかかった所で……

 

「来たか」

 

 四度目の呟き。

 そう、ミロンガのモニタにはクロガネから出撃したエクサランス・ストライカーが映し出されていた。

 無明のすぐ近くに着地するや否や、ストライカーフレーム最大の特徴でもあるその巨大なハサミ型の武器であるクラッシャーアームを突き出すが、反射的にか、あるいは意図してか。ムラタは機体を一瞬だけ後退させてハサミの直撃を免れる。

 それでもあくまでも直撃を免れただけであり、無明の装甲表面を削っていくストライカーのクラッシャーアーム。そのままアルトアイゼンのヒートホーンを思わせる角で突き上げようとし、これもまたギリギリの所で回避された。

 装甲表面を削られた無明は、一旦体勢の建て直しを図ったのだろう。テスラ・ドライブを使って空に浮き、大きく後方へと下がる。

 それを追おうとしたエクサランス・ストライカーだったが、さすがに機動性能ではテスラ・ドライブ搭載機に敵わず距離を空けられるのだった。

 

「後はこのまま……何!?」

 

 本来の流れであれば、一旦距離を取ったムラタは他のDC残党部隊と協力してクロガネに攻撃をする予定だった筈だ。少なくても俺がDC残党部隊のリーダー格から聞いた作戦ではそうなっていた筈だ。だが今俺の目の前で起きているのは、再びシシオウブレードを構えてエクサランス・ストライカーへと斬りかかろうとしている無明の姿だった。

 そしてそれを迎え撃とうというつもりなのか、エクサランス・ストライカーもまたその巨大なハサミであるクラッシャーアームを構えて待ち受けている。

 

「ちぃっ!」

 

 何故こんな事態になったのか、その理由は1つしか考えられない。俺の存在だ。正確に言えば、昨日の俺とムラタのやり取り。恐らくあの戦闘とも言えない戦闘で、ただでさえ高いムラタの闘争心に火をつけ、それ故に本来であれば一旦後退したDC残党部隊と歩調を合わせるべき所で、暴走した闘争心がより激しい戦闘を望んだのだろう。

 

「……しょうがない、か」

 

 まだラウル達の前には出たくなかったのだが、かと言ってこのままだとラウルがムラタに殺される危険性が高い。機体性能はともかく、パイロットとしての腕ではラウルはまだまだ未熟であり、ムラタの足下にも及ばないのだ。おまけに原作知識によると、確か現在のラウルはエルザムを始めとするクロガネのメンバーに時流エンジンの事を隠しており、それを後ろめたく思っていた筈だ。そんな状態で戦意が猛っているムラタと戦ったらどうなるのか……それは自明の理だろう。こんな戦いでラウルが死んだとなると後悔してもしきれないし、何よりもフィオナに会わせる顔がない。

 テスラ・ドライブを起動させ、ミロンガが空中へと浮かび上がる。同時に無明が地を蹴り、その一撃にカウンターを合わせようとエクサランス・ストライカーがクラッシャーアームを構え……

 

「させんっ!」

 

 運動性や機動性特化といったミロンガの特性を活かし、素早く戦場へと乱入。今にもお互いの距離がゼロになろうとしていたエクサランス・ストライカーと無明の間へとストレイト・マシンガンを撃ち放つ。

 その行為に思わず動きを止めた2機。その間へと着地するようにミロンガを降り立たせる。本来であればムラタ達の助っ人でもある俺はラウルのエクサランス・ストライカーへと向き直るべきなのだろう。だがミロンガが向かい合っているのはシシオウブレードを構えた無明だった。

 

「……何のつもりだ?」

 

 向き直っている俺へと送られて来るムラタからの通信。

 背後でエクサランス・ストライカーが戸惑ったように動きを止めているのを確認してから口を開く。

 

「お前こそ何のつもりだ? 最初に説明されていた作戦と随分と違うが? 見ろ、お前が作戦を無視した為にあっちはもうボロボロだぞ」

 

 モニタに表示されているのは、ラーズアングリフ・レイブンとランドグリーズ・レイブンの2機に遠距離から狙撃され、爆散しているリオンの姿だ。ムラタと共に出撃はしたものの、作戦行動と違う行動を取るムラタに一瞬戸惑い、その隙をユウキとカーラに突かれたのだ。

 

「知るか。己の未熟さを俺のせいにされても困る」

「……違うな。お前がきちんと作戦通りに動いていれば出なかった被害だ」

「貴様……」

 

 言い切る俺に対して、ギリッと歯を噛み締めたように呟くムラタ。

 

「昨日も言ったな? 俺とお前の実力差を考えて物を喋れと」

「……昨日は生身での戦いだったからだ。俺の本領は人機斬り。このシシオウブレードと無明があれば貴様などには不覚を取らん!」

 

 なるほど。生身であれだけ痛めつけたにも関わらず、闘争心を失っていないかと思ったらそういう理由だったのか。こいつの根幹は生身での戦いではなく機体を用いての戦い。そう己を定めている為に生身での戦いは所詮前座でしかなかった訳か。

 

「……いいだろう。ならばお前のその未熟、俺が打ち砕いてやろう」

「ふんっ、昨日と同じように出来るとは思わない事だな。……だが、よかろう。その挑戦を受けて立とう」

 

 言い切り、抜いていたシシオウブレードを腰の鞘へと戻す。

 

「ゼンガー・ゾンボルト。貴様との戦いの前に片付けねばならぬ事が出来た。ここは見逃してやる。去れ!」

 

 俺と話していた通信ではなく、オープンチャンネルでそう告げるムラタ。

 ゼンガーにしてもエルザムにしてもこのままここで戦闘を続ける愚を悟ったのだろう。ユウキ、カーラ、ラウルの3機と共にクロガネへと帰還し、この宙域から去っていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:125
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:412

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