転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0483話

 人機斬りとして幾度となくヒリュウ改やハガネの前に立ち塞がる筈の強敵であるムラタを支配下に置いた俺は、そのムラタの乗機である無明へと目を向ける。

 ガーリオン・カスタム。確かに無明のベースとなったこの機体は素性の良い機体と言ってもいいだろう。実際現状の連邦軍でも、まだかなりの数が使われているはずだ。だが……

 

「シャドウミラーの機体としては物足りないと言わざるを得ないな」

「……シャドウミラー? それは確か……」

 

 ポツリ、と呟いたその言葉に俺の顔へと視線を向けるムラタ。

 

「ああ、そう言えばそうだったな。お前が俺に従うというのなら、俺も偽り続ける必要は無いか」

 

 俺の隣で視線をこちらへと向けているムラタへと笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ムウ・ラ・フラガと言うのは偽名でしかない。俺の本当の名前はアクセル。アクセル・アルマーだ。……DCやノイエDCと繋がりがあるのなら、この名前にも聞き覚えがあるんじゃないか?」

「っ!? アクセル・アルマー!? シャドウミラーの実行部隊を率いる男、そしてハガネやヒリュウ改の者達をたった1機で幾度も圧倒してきたあの魔神か!?」

 

 ……いや、ネギま世界では大魔王だ何だと散々言われていたけど、もしかしてこのOGsの世界では魔神とか言われているのか? マジンカイザーじゃあるまいに。

 

「魔神?」

「……すまん。魔神というのは俺がアクセル・アルマーという人物に対して抱いていた勝手な印象に過ぎない。……だが、なるほど。確かにあの部隊を1人で相手に出来るアクセルにしてみれば俺の相手は容易いか」

「そんなに簡単な訳でもないんだがな」

 

 取りあえず魔神という名前が広まっている訳ではないので、その辺は良しとしておこう。

 

「で、繰り返すが……俺はノイエDCの創設者でもあるバンを肝心な所で裏切った組織に所属していた男。それでも俺と共に来るか?」

 

 そんな俺の問いに、一瞬の躊躇いすらせずに頷くムラタ。

 

「無論。アクセルが命じるのなら俺は誰とでも戦おう。それが例えかつての友であったとしても」

「……ロレンツォでもか?」

「っ!? ……いや、そうか。シャドウミラーならイスルギ重工と繋がっていて当然。俺やロレンツォの件を知っていてもおかしくはないか」

 

 一瞬息を呑んだが、すぐに納得した表情で頷くムラタ。

 

「今回の襲撃、ロレンツォからの依頼じゃなかったんだろう?」

「……ああ。俺も詳しい話は聞いていない。……そう言えばロレンツォに今回の襲撃の報告をしないといけないな。アクセルの件は知らせる必要があるか?」

「いや、俺の名前は出さない方がいいだろう。だが単なる雇い主とは言っても、ここまで行動を共にしてきた相手なんだ。今回のテスラ研襲撃が終わったら以後の協力は出来ないとしっかり告げておけ」

「分かった。向こうの部隊と合流したら連絡を入れておこう。……しかし、テスラ研の襲撃には協力して貰ってもいいのか?」

 

 不思議そうにこちらへと視線を向けてくるムラタに小さく頷く。

 

「ああ。俺は元々テスラ研に用事があったんでな」

「テスラ研に用事?」

「俺の狙っている獲物。それがテスラ研に眠っている……可能性があるから、それを確認する為にな」

「それは何なのか聞いても?」

「この世に数少ない……それこそ10個も存在しないある物質、とだけ言っておくか。いずれ入手したらお前にも知らせるよ。その時にはお前の新しい機体についても考えないといけないしな」

 

 ……ムラタの新型機。そう考えて、ふと思いついたのは2機の特機だった。1つは現在エキドナが搭乗している剣撃戦闘用特機のヴァイサーガ。文字通りに剣を使うのに特化した機体だ。そしてもう1つはトリニティゲイン。ソウルゲインを素体に、ダイゼンガーとアウセンザイターの部品を流用して作りあげた機体。こちらもまた、近接戦闘用として特化されていると言ってもいいだろう。だが……どちらにしろ、特機を与えた場合はムラタ最大の強みであるシシオウブレードは使えなくなる、か。

 何しろガーリオンが使って丁度いい大きさの刀なのだ。それが、無明よりも倍以上の大きさを誇る特機では武器として扱うのは無理だろう。

 それにトリニティゲインはヴィンデルの形見と言ってもいい機体だ。それをシャドウミラーに参加したばかりのムラタに与えるというのは色々と反対も出る可能性がある。

 ……まぁ、ヴィンデル辺りなら使えるなら使えとでも小言を言いそうだけどな。

 

「まぁ、いい。ロレンツォに連絡するにしても一旦さっきの場所まで戻るぞ。テスラ研襲撃の為の戦力も用意しないといけないしな」

「了解した」

 

 俺の言葉に頷くムラタ。こうして俺とムラタは先程クロガネと戦闘のあった場所まで移動し、リーダー格の男と通信で連絡を取って合流する事に成功する。

 

 

 

 

 

「あのムラタがあんたには随分と従順に従っているが……戦い以外で何かあったのか?」

 

 ムラタがロレンツォへと連絡を取っているのを少し離れた場所から眺めていると、リーダー格の男にそう聞かれる。その表情には驚きが張り付いているのは、それだけムラタが俺に従っているという事態が信じられないからだろう。何しろ人生40年以上、ただひたすら人やPT、AMを斬り捨てる事だけを考えて修行してきたのだ。それも、PTやAMというものが現れたのはそれ程昔の話ではない。そう考えると、ただひたすら生身の人間を斬る事だけを考えてきたあのムラタが俺の命令には従順に従っているというのは、目の前の男にとっては理解不能といった所か。

 

「何、俺と奴の実力差で上下関係がはっきりしたんだよ。……それで、テスラ研の襲撃に関しては?」

「……悪いが、俺達は身を隠す事になった。テスラ研に関しては向こうで新しい戦力を用意してくれるらしいので、それに従ってくれ」

「新しい戦力?」

 

 そう呟き、原作でもテスラ研襲撃時はその殆どがODEシステム搭載機であったと思い出す。

 

「じゃあここでお別れだな」

「ああ。本来であれば俺達もテスラ研襲撃には協力したかったんだが……」

 

 悔しそうに顔を顰める男。その後ろには同様にクロガネ襲撃を生き残った他のリオンタイプVのパイロットの姿もある。

 

「気にするな。元はと言えばムラタが暴走染みた事をしたのが原因だし、そして何よりその暴走の原因を作った一因は俺にあるからな」

「……すまない」

 

 ペコリと頭を下げ、そのまま自らの機体の方へと去っていく背を見送る。

 そしてそのままリオンタイプVへと乗り込み、何処かへと去っていく。恐らく他のDC残党部隊と合流するのだろう。

 

「行ったか」

 

 去っていくリオンタイプVを見ている俺へとそう声を掛けて来たのは通信を終えたムラタだ。

 

「ロレンツォとはもういいのか?」

「ああ。元々俺が奴と結んでいたのはあくまでも傭兵としての契約だからな。ただ、今回のテスラ研襲撃には必ず手を貸すように言われた」

「それは問題無い。さっきも言ったように、こっちとしてもテスラ研には用事があったからな」

 

 ……テスラ研襲撃。ODEシステム。バルトール、ユルゲン。正直、日本から始まるバルトール事件に関しては干渉するかどうか非常に迷った。何しろ一般人が大量に捕獲され、そして生体部品として使われるのだ。つまりそれは、大量の民間人の死者が出るという事を示している。だが、もしここで俺が干渉すると原作の流れが歪んでしまう可能性がある。そうなるとヒリュウ改やハガネの部隊をもってしてもダークブレイン含むボスキャラ。そして何よりもヴォルクルスに縛られているシュウのネオ・グランゾンを倒せるかどうかが不透明なのだ。俺が中途半端な正義感を出してバルトール事件を防いだ結果、それらにヒリュウ改やハガネが負けるという結末を迎えるというのは絶対に防ぎたい。

 アラドやゼオラはともかく、原作でもその生死が非常に際どい所にあったラミアは何とか助けたいとは思ったのだが……それに関してはデュミナスに操られているのをコードDTDを使えばいいのかもしれないが、そっちは一種の分の悪い賭けになる。……そうなると、バルトール事件のラストで干渉はした方がいいのかもしれないな。バルトール事件に干渉しないという方針にいきなり反しているようにも見えるが、そもそも原作ではデュミナスに操られているラミアを救出する鍵はアクセル。……つまりは俺なのだ。その俺自身がイレギュラーな存在である以上はコードDTDが上手く起動するかどうかも不明なのだ。ラミアとアンジュルグという強大な戦力をむざむざと失う可能性は避けたい。

 ……もしラミアを死なせてしまったら、レモンにも顔向け出来ないしな。

 

「アクセル?」

 

 急に黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、ムラタが声を掛けてくる。

 

「いや、何でも無い。それよりもテスラ研襲撃に関する戦力はどうなっている?」

「それに関しては北米で合流予定だそうだ。……何でも、連邦軍の新型機がどうとか言ってたが……アクセルの乗っているミロンガか?」

 

 チラリ、とミロンガへと視線を向けるムラタ。

 そのムラタに小さく首を振る。

 

「恐らくはこのミロンガの後継機だろうな。スカルヘッドで量産されているんだろう?」

「そう言う話は聞くが、俺自身はこの無明があれば問題ないのでな。聞き流していた」

 

 まぁ、興味の無い事柄に関してはとことん興味が無いと言うのもムラタらしいと言えばムラタらしいんだろう。

 

「それとロレンツォが言うには、スカルヘッドではなくヘルゲートという名前になったらしい」

「名前はどうでもいいさ。それよりも、北米で合流するのならさっさと北米に行くぞ」

「分かった。アクセルに従おう」

 

 俺の言葉にムラタが頷き、俺はミロンガに。ムラタは無明へと乗り込むのだった。

 

 

 

 

 

「お前達2人が協力者か」

 

 北米、テスラ研から5時間程の距離にある場所で俺はその人物と合流していた。短い金髪に精悍そうな顔つき。今回のテスラ研襲撃の指揮を執るカイル・ビーンだ。ODEシステム開発者のユルゲン博士に傾倒するあまり、その性格が歪んだ人物。本来地球圏防衛の為のODEシステムだった筈が、いつしか手段と目的が入れ替わった事に気が付かない人物。カイルの性格や境遇を考えれば、一種哀れと言ってもいいのかもしれないが……かと言って、俺には一般人を犠牲にしたODEシステムを許容する事は出来ない。

 ……いや。バルトール事件が起きると知っていたにも関わらず、原作を変えてイレギュラーな展開になるのを恐れて未然に防ごうともしなかった俺がどうこう言えた義理じゃないんだがな。

 内心の思いに苦笑を浮かべつつカイルの言葉に頷く。

 

「ああ。ムウ・ラ・フラガだ」

「ムラタだ」

 

 本来であれば今回のテスラ研襲撃はロレンツォの手の者、いわゆるDCの残党が行う筈だった作戦だ。だがそれもムラタの行動により不可能になり、応援としてカイル達が送られて来た訳だ。

 ……まぁ、テスラ研の研究者という極上の頭脳をODEシステムに取り込みたいカイル達にしてみれば、願ってもない話だったのだろう。DC残党部隊に任せていればODEシステムに吸収する前に半分以上が死んでいた……なんて可能性もあるんだからな。

 

「……」

 

 名乗った俺達を……否、俺を鋭い視線で睨みつけてくるカイル。

 

「ムウとか言ったな。何故お前がミロンガを使っている? ミロンガが作られた数はそれ程多くはない筈。それもその殆ど全てをこちらで把握している筈だ。だが、お前の機体を俺達は把握していない。……どう言う事だ?」

「何、そう難しい話じゃないさ。俺は元々イスルギ重工の手の者でな。その関係で特別に用意して貰った訳だ。……ODEシステムは排除してあるがな」

「っ!? 貴様、ODEシステムについて何を知っている!?」

 

 俺の言葉に、懐から銃を取り出し……

 

「動くな」

 

 トリガーを引こうとした次の瞬間には、その首筋へとムラタが抜いた日本刀が突きつけられていた。

 

「ぐっ……」

「別にODEシステムの秘密を公表したりするつもりはない。俺には俺の目的があるからな。今回のテスラ研襲撃に関しても、ムラタは貸し出せるが俺自身は独自に動かせて貰う」

「貴様……そんな勝手な真似を許すと……」

 

 ギリッと歯を噛み締める音が聞こえる。

 

「勝手な真似も何も、元々俺は予定外の戦力だった筈だ。それなら戦力になったら幸運だった、程度の気持ちでいた方がいいぞ」

「……了解した。この男に関してはきちんと戦力として数えてもいいのだな?」

「ああ。……ムラタ、テスラ研にはリシュウ・トウゴウがいる。今のお前の実力がどの程度なのか。俺との戦いで計れなかったそれを確認してくるといい」

「承知した」

 

 その言葉にコクリと頷き、目に闘志を燃やすムラタ。だがその闘志は俺とやり合った時のような誰彼構わず斬りたいという類のものではなく、目的を持った闘志とでも言うべきものだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:125
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:412

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