転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0488話

「お帰りなさい、アクセル。家じゃなくてこっちの魔法球に来るなんて珍しいわね」

 

 レモンの声に頷き、ムラタの方へと視線を向ける。

 

「こいつはムラタだ。これからシャドウミラーに所属することになった」

「ムラタだ。アクセルの強さを学ぶべく、これからは共に行動させて貰う」

 

 そう言い、頭を下げるムラタ。

 

「私はレモン・ブロウニング。シャドウミラーの技術班を束ねているわ」

「マリュー・ラミアスよ。同じくシャドウミラーの技術班に所属しています」

 

 そんな風に挨拶が一段落した所で、レモンへと視線を向ける。

 

「取りあえず、あっちの世界で最大の目的だったトロニウム・エンジンは入手したぞ。ヒュッケバインMk-Ⅲごとだがな」

 

 その言葉に艶然とした笑みを浮かべるレモン。

 

「あら、それはありがたいわね。では早速だけど研究所に行って現物を見てみましょうか」

 

 チラリ、と背後に立っている量産型Wへと視線を向けるレモン。

 

「魔法球の中にいる技術班の皆を呼び出して頂戴。トロニウム・エンジン搭載機が届いたと言えばすぐに集まるでしょう。場所は……そうね、念の為に少し離れた場所がいいかしら。隔離地区にあるハンガーA-2に集合と」

「レモン、A-2はT-LINKフレームの調整中よ。使うならA-3にして頂戴」

「あら、そうだったかしら。じゃあA-3に」

 

 マリューのその言葉に、言い直すレモン。

 

「了解です」

 

 量産型Wが去っていくのを見て、俺達もまた研究所へと歩を進めていく。

 その途中で向こうの世界で起こった出来事を話していく。

 ミロンガを入手した事、浅草での戦闘、赤い特機との遭遇。そして……フランスにあるオルレアン研究所で入手してきた色々な成果物。

 

「グラビトン・ランチャーに、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改の機体データ、ゲシュペンスト・タイプRVの各種データ……ねぇ。確かに今回のお土産は色々と大きいわね。アクセルの新型機にしても、随分と開発が進むと思うわ」

「ミロンガも後で見せる。運動性や機動性に関して言えばかなり参考になる筈だ。それなりに新型のテスラ・ドライブを使われている筈だしな。後、そのミロンガだが出来ればASRSを取り付けておいてくれ。オーバーホールも頼む」

「ええ、問題無いわ。量産型Wにでも指示しておくから」

「それと今回入手したグラビトン・ランチャーだが、ヒュドラの空きにはこれを使いたいと思うんだが、可能か?」

「……でしょうね。この武器の威力はインスペクター事件でヒリュウ改やハガネとの戦闘映像で見た事があるわ。かなり高性能な武器だから、アクセルの新型機にとってはちょうどいいでしょう。アクセルがいつも言っていた面としての攻撃もこれがあれば十分でしょうし」

 

 レモンも問題無いと頷き、マリューの方へと視線を向ける。

 

「グレートグランドマスターキーの方については葉加瀬って子とマリューが主に担当してたと思うけど、そっちの方は?」

「順調よ。と言うか、アクセルが来てくれて助かったわ。大まかな設計は終わっているから、後は実際にグレートグランドマスターキーを組み込んで問題無く魔法が使えるかどうかを試して貰わないと」

「……グレートグランドマスターキー? 何だ、その仰々しい名前は」

 

 魔法についての知識が殆ど無いムラタの言葉に、このホワイトスターから繋がっているネギま世界、そのネギま世界で魔法界という異界を作りあげた創造主とも言える存在が使っていた、文字通りに魔法界を好きなように改変出来る鍵だという事を大雑把に説明する。

 

「それでは……アクセルは文字通りに神の如き力を持っているのか」

「俺がじゃなくて、グレートグランドマスターキーが、だがな。俺はそれを預けられているに過ぎないさ。それに魔法による契約で悪意をもって魔法界に対してグレートグランドマスターキーを使えないという風になってるしな」

 

 そんな風に会話をしながら技術班達の寝起きの場所と化している別荘を通り過ぎ、増設された研究室の方へと移動していく。

 

「……技術班が使ってるにしては、随分と別荘が綺麗だったな」

 

 通り過ぎた別荘に対して思わず呟くと、マリューが苦笑を浮かべつつ口を開く。

 

「何しろ、ほぼ毎日エヴァさんが来て魔法の訓練をしてるから……」

 

 その台詞でピンときた。

 

「なるほど、茶々丸か」

「ええ、正解。あの子……かなりの世話好きなのね。エヴァさんが魔法習得希望者に訓練や講義をしている間は特にやる事もないからって別荘の掃除をしてくれたりするのよ。後は皆のお料理とか」

「まぁ、何だかんだいって母性本能が妙に発達しているしな」

 

 俺に対しても、妙に世話を焼いてきた茶々丸を思い出す。

 ちなみに、マリューが言っていたようにエヴァによる魔法の訓練に関してはこの魔法球を使って毎日行われている。何しろ魔法球の中には魔力が満ちているので、魔法の訓練をするには最適なのだ。特にネギま世界に比べて魔力の少ないホワイトスター、あるいはSEED世界、OGsの世界に比べると何倍……下手をしたら、何十倍も訓練効率が違う。

 そして会話をしている内に増設されている別荘や研究所からポツンと離れた場所にあるハンガーへと到着する。その中の1つ、A-3と描かれてる場所に入り、思わず一言。

 

「さすがだな」

 

 自分の研究やら仕事やらをしていた者もいるだろうに、技術班のほぼ全てが既に集まっていたのだ。トロニウム・エンジンを搭載しているヒュッケバインMk-Ⅲというのはそれ程科学者だったり技術者としての好奇心を刺激したのだろう。と言うか、技術班全員が魔法球に入ってたとかどうよ。老化に対する対策を魔法球なり技術班なりに施さないと、そのうちあっという間に技術班の面々は老衰で死ぬんじゃないだろうか。

 

「アクセル隊長お帰りなさいトロニウム・エンジンを使っている機体を手に入れたと聞いたんですが本当ですか是非見せて下さいさぁ見せて下さい今すぐ見せて下さい」

 

 興奮のあまりか、息継ぎすらも無しで迫ってくる技術班の男に指をパチンッと鳴らして先端の尖っていない影槍を作り出し、物理的に突っ込みを入れる。

 

「少し落ち着けお前等」

 

 影槍の一撃で吹き飛んでいった技術班の男を眺め、溜息一つ。

 

「アクセル、とにかくヒュッケバインMk-Ⅲを出した方がいいわ。でないとあの子達、暴走したままよ?」

 

 確かにレモンの言う事ももっともだろう。脳裏に空間倉庫のリストを表示し、ミロンガ、無明、グラビトン・ランチャー、ヒュッケバインMk-Ⅲを次々に取り出していく。

 1つが取り出される度に技術班から歓声が上がる。ミロンガの時は見た事もない新型に対する歓声。無明の時はガーリオン・カスタムをこれでもかと改造しまくられた機体とその腰に携えられているシシオウブレードに対する歓声。グラビトン・ランチャーの時はその威力がどれ程のものなのかを映像で知っていたり、ブラックホールエンジンから派生した技術に対する歓声。……そして、一番最後に出されたヒュッケバインMk-Ⅲはその機体の完成度と共に、やはり地球で6つしかないと言われているトロニウム・エンジンに対する物だろう。

 そんな歓声を上げている技術班を見ていたレモンだが、やがて手をパンパンと叩いて注意を集める。

 ……それだけであれだけ興奮していた技術班が大人しくなるんだから、レモンの統率力も大した物だよな。

 

「さて、これからアクセルからのオーダーを伝えるわ。まずミロンガは機体の解析とデータの吸い出し、オーバーホールを行ったらASRSを取り付けて。ガーリオン・カスタム、無明とか言ったかしら。その機体に関してはデータ取りと機体のチェックを。損耗している部品の類は交換よ。一応シシオウブレードのデータ収集も忘れないように。グラビトン・ランチャーはデータを取った後でヒュドラに組み込むわ。それからお待ちかねのヒュッケバインMk-Ⅲはデータの吸い出しが終わった後にトロニウム・エンジンを取り出して、シャドウミラーが持っている技術でより高性能化をさせるわ。もちろん各種データ収集は忘れずにね。トロニウム・エンジンを抜かれたヒュッケバインMk-Ⅲの方は……」

 

 チラリ、とこちらを見てきたレモンに頷き口を開く。

 

「プラズマジェネレーターか何かの動力炉を取り付けて使えるようにしてくれ。折角入手した高性能な機体なんだから、データ収集が終わった後に放り出すのは勿体ない。……あぁ、それとこれを渡すのを忘れてたな」

 

 空間倉庫から取り出したデータディスクをレモンへと手渡す。

 

「さっき言ってたハロウィン・プランに関してのデータだ」

「……との事よ。ハロウィン・プランというのは私達の世界でもヴィンデルが量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改に乗っていたから知ってる人もいるでしょう。ただし、こちらのハロウィン・プランと向こうのハロウィン・プランでは色々と違う面もあるから色々と興味深いはずよ。他にもゲシュペンスト・タイプRVという新型があるから、興味ある人はこっちに来るのもありね。言うまでも無く皆で情報を共有するのを忘れないように」

 

 さすがに技術班を仕切っているレモンだけあって、さっさとそれぞれに担当を割り振っていく。技術班がそれぞれに分かれていくのを見ていると、マリューが近寄ってくるのが見える。

 

「アクセル、グレートグランドマスターキーを組み込んだヒュドラの試験をしたいんだけど、時間はいい?」

「ああ、問題無い。……ムラタ、お前はどうする? 俺の新型機の試験に付いて来ても暇だろう?」

 

 驚きの表情を浮かべつつも、技術班とレモンのやり取りを見ていたムラタは我に返ってこちらへと近付いてくる。

 

「出来れば少し身体を動かしたい。この魔法球とやらの中は自然で溢れていたが、そこで鍛錬をしても構わないか?」

「ああ、その辺は問題無い。無人島をそのままこの魔法球に入れたから、特に危険な動物もいない筈だしな。森を抜けると荒野が広がっているから、木が邪魔だったらそこまで行くのもありかもしれないな。ただ、最低でも48時間以内には戻って来るようにしろよ」

 

 そう、SEED世界でセイラン家所有の無人島をこの魔法球の中に入れた時に勘違いしていたのだが、実は魔法球の内部はあの無人島以上に広いのだ。恐らく無人島と魔法球内部の荒野を入れ替えるときに魔法球側で調整して、ああいう形になったのだろう。

 

「承知した」

 

 頷いて去っていくムラタの背を見送り、俺もまたマリューと共に魔法と科学技術の融合という前代未聞の作業を行っている為に隔離されている場所、今までいたA-3ハンガーの隣にあるA-2ハンガーへと向かう。

 

「これがヒュドラよ」

「……なるほど、これが」

 

 目の前にある1枚のヒュドラに思わず呟く。流線型の形を見るに、やはりクシャトリヤの使っているバインダーの形に近い。ただし4枚であるクシャトリヤに対して6枚装備となっているヒュドラは、クシャトリヤのバインダーに比べると若干細身な感じだ。PS装甲の効果があるT-LINKフレームだからこそこのサイズで問題無いんだろうが、もし普通の装甲だったりしたらそれ程衝撃に対して強くなかったのかもしれないな。

 ヒュドラ1枚の長さは12~3m程度といった所か。流線型の形になっているその先端にはグレイプニルの糸を生成して発射する為の穴が開いており、その周囲にはビーム砲兼ビームサーベルの発射口が3つ空いている。

 

「けど……何で薄い赤なんだ? PS装甲なら電力が通っていない状態だと灰色なんじゃないのか?」

 

 思わず首を傾げてマリューへと尋ねる。そう、ヒュドラは何故か薄い赤と言ってもいいような色をしているのだ。

 そんな俺の疑問に、マリューもまたお手上げとばかりに首を傾げる。

 

「その辺はまだ良く分かっていないのよ。ただ、間違い無くT-LINKフレームの効果でしょうね。……試作品として作ったT-LINKフレームでは普通に灰色だったんだけど。アクセルの乗る機体でシャドウミラーのフラッグシップ的な機体という事もあってコスト度外視でT-LINKフレームを作ったらこういう色になったのよ。まぁ、性能に関して言えば試作品の時よりもかなりアップしているから文句は無いんですけどね。もっとも、そのせいでレモンが言ってたように動力炉の問題が出て来たんだけど」

 

 マリューの説明を聞きながらヒュドラの背後へと回ってみる。

 そこには小型のテスラ・ドライブが備え付けられており、元々のコンセプト通りに武器の類を装着できるようになっている。ただし現在はグレートグランドマスターキーを内蔵し、それを敵の攻撃から守る為の装甲の類が備え付けられていた。また、装着した武器の隣にはファントムを収納するスペースが左右に4つずつ存在している。

 確かにこのヒュドラだけで既にPT数機分程度の戦力にはなるのだろう。感心したようにヒュドラを眺めているとマリューが口を開く。

 

「さて、じゃあ早速だけど始めましょうか。アクセル、グレートグランドマスターキーを」

「ああ」

 

 脳裏に空間倉庫のリストを展開し、グレートグランドマスターキーを選択。すると次の瞬間には俺の手には魔法界最高の秘宝とも言うべき鍵が握られていた。

 

「じゃあ、ヒュドラに装着してみて」

 

 マリューの言葉に従い、ヒュドラ内部へとグレートグランドマスターキーを装着。

 

「OKだ」

「ならまずは……そのヒュドラに触れたままで何か魔法を使ってみて頂戴」

「魔法か。……『火よ灯れ』」

 

 ヒュドラの装甲へと触れたまま魔法を唱える。すると轟っ! とばかりに3m程の火柱がヒュドラの先端から立ち上がった。

 

「っと、アクセル。火力をもう少し落として」

「悪いな。SEED世界やホワイトスターの感覚だった」

 

 謝りながらも魔力を調整。すると次第にヒュドラの先端から上がっている炎はその大きさを縮めていく。

 

「何か違和感とかそう言うのは無い?」

「全く問題ないな」

「そう。葉加瀬さんにも後でデータを見て貰うけど、取りあえずは成功と見てもいいようね」

 

 こうして、ヒュドラに対するグレートグランドマスターキーの組み込みは成功したのだった。それはつまり、魔法と科学の技術が融合した事を意味している。

 新型機の完成が楽しみなような、怖いような。そんな気持ちになる俺だった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:125
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:412

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