転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0490話

 ホワイトスターでの用事を済ませ、結局そのままトンボ帰りをした俺とムラタはOGsの世界へと戻り、拠点としているホテルへと移動したのだが……

 

「ん? ミツコからか?」

 

 ミツコから、戻って来たらなるべく早く通信を欲しいとのメッセージが残っていたのだ。この時期だと……やっぱりバルトール関連だろうな。そう見当を付けつつ通信を繋げる。

 

『アクセル、ようやく繋がりましたわね』

「ようやくって……それ程留守にしていた覚えはないんだが?」

 

 ホワイトスターの魔法球の中で2泊程したが、それでもこっちの時間で言えば1時間程。その後、食事をして桜咲との戦いを……という風に考えれば、実際に俺がこの世界を留守にしていたのは3時間程度の筈だ。

 

『確かにそうですが、こちらとしては色々と急ぎの用事があったんですのよ。……アクセル、ちょっと宇宙に上がって貰えませんか?』

「宇宙?」

『ええ。スカルヘッドの件で私が援助していた人達から救援の要請がありまして。今自由に出来る戦力はスレイ・プレスティくらいしかいないんですのよ。それでよければアクセルにも宇宙でスレイと行動を共にして欲しいのですが』

 

 ……なるほど。ロレンツォ達が脱出するシナリオか。確かヒリュウ改やクロガネと共闘するシナリオだった筈だな。そう考えると、俺の正体を本能的に察知するブリット、リョウト、アヤの3人がいないから……

 

「まぁ、いいだろう。俺としてもマオ社に忍び込む為にそろそろ宇宙に上がろうと思っていたからな」

『そうですか、それは助かります。足についてはこちらで用意致しますのでこちらの指定する場所に来て貰えれば』

「こっちの機体は俺のミロンガとムラタの無明……ガーリオン・カスタムだが、それも運搬可能か?」

『ええ、問題ありません。弊社で製造したペレグリン級を1隻確保してありますので。クルーに関してもこちらで用意してあります。ヒリュウ改やハガネのように腕利きの艦長やブリッジクルーと言う訳にはいきませんが、平均以上の能力はお約束しますわ。それとこの仕事を済ませたらペレグリン級はそのままマオ社の方へと忍び込む時の足として使っても構いません。ただ、今回の依頼が終わったらきちんと返して下さいましね。スレイ・プレスティに関しても、今回の件はかなり危険な仕事となりますので、以前言ったようにバルトール事件が終了したらイスルギ重工から離れても結構です』

 

 スレイもここでこっちの手に入る……か。まぁ、俺としては文句無いが。

 

「いいのか? プロジェクトTDにはイスルギ重工としてもかなり投資しているんだろうに」

『ええ。プロジェクトTDに関するデータはこちらでもそれなりに手に入っていますし……それに、プロジェクトTDの責任者でもあるフィリオ・プレスティはシャドウミラーの方で治療して頂けるのでしょう? ならそっちからデータを貰う事も可能になるかもしれませんから』

 

 さすがにミツコと言うべきか。鵬法璽の契約に縛られていても自分達の利益は十分に確保するか。

 

「分かった。一応確認だ。俺達の目的は宇宙に上がってスレイの援護を行う。それが依頼だな?」

『ええ。その後はそちらの自由にして下さって構いません』

 

 となると……まずはスレイの援護をしてバルトールや修羅神と戦闘する。その際、ヒリュウ改やクロガネと共闘。その後はマオ社でブラックホールエンジンのデータと、出来れば現物を入手。最後にヒリュウ改やハガネがスカルヘッドでバルトール事件を抑えるのに協力だな。

 本来なら最後のスカルヘッドには正体がバレる可能性が高い以上行きたくはないんだが……何しろ、ここで手を出さないとラミアを助けるのが非常に難しくなりそうだからな。

 

「分かった。宇宙へは何処から上がれば?」

『インドネシア諸島の方で準備を整えてあるので、そちらからお願いします。では、ご武運を祈っておりますわ』

 

 それを最後に通信が切れる。

 ……さて、いよいよバルトール事件も最終章が近くなってきたな。もっとも、このバルトール事件が終わってもまだ修羅やら何やらが残っているからOG外伝としては序章が終了したって所なんだろうが。

 そんな風に考えつつ、隣の部屋にいるムラタの下へと向かう。

 

「ムラタ、仕事だ」

「……早速か、早いな。場所は?」

「宇宙。バルトール事件の後始末……みたいなもんだな。それと、お前の元雇い主を救いにな」

「ロレンツォを?」

「ああ。スレイが逃がそうとしているから、その援軍だ」

「承知した。宇宙へは何処から?」

「インドネシア諸島からだな。機体に関しては少し離れた場所で出すから付いて来てくれ」

 

 俺の言葉に、獰猛な笑みを浮かべ頷くムラタ。

 

「人形とは言え、幾多もの経験を吸収したバルトールなら俺の糧となるには十分だろう」

 

 ODEシステムの特性――生体コアとした人間の能力を蓄積して使用する――については既に説明してある為に、ムラタとしてはむしろ望む所なのだろう。幾ら斬っても無人機のバルトールなら問題にならないというのも大きいだろうがな。

 

「さて、じゃあ行くぞ。バルトール事件もそろそろ終幕に近くなってきたからな」

「承知!」

 

 ムラタと共にホテルをチェックアウトし、人目に付きにくい郊外まで移動してからミロンガと無明を空間倉庫から取り出し、ASRSを使用してミツコに指示されたインドネシア諸島へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

「お待ちしてました」

 

 インドネシア諸島からイスルギ重工のコネを使い、待ち時間も殆ど無いままに宇宙へと打ち上げられた俺とムラタ。そのままミロンガと無明でシャトルから離脱し、イスルギ重工の職員から指示されたポイントでペレグリン級との合流に成功していた。格納庫に機体を置き、ブリッジへと出向いた俺達を迎えたのはこのペレグリン級の艦長だった。

 

「アクセル・アルマーだ。こっちは俺の部下のムラタ。話は上から聞いてるな?」

「はい。そちらに問題が無いようでしたら、すぐにスレイ・プレスティと合流予定である月周辺の暗礁宙域にあるポイントに向かいたいと思いますが」

「構わない。やってくれ」

 

 艦長へと頷くと、すぐにブリッジクルーへと指示を出す。

 確かに平均以上の能力はあるらしい。それに俺がアクセル・アルマーだと名乗っても表情を特に変化させなかった。これは俺の正体を知らないのか、知った上で素知らぬ振りをしているのか。さて、どっちだろうな。

 

「ムラタ、宇宙での戦闘経験は?」

「インスペクター事件の際に何度か」

「なら無重力での戦闘に戸惑うなんて事はないな?」

「問題無い」

「そうか。ならいつでも出撃出来るように準備はしておけ。ロレンツォ達と合流……つまりは、スカルヘッドから逃げだしている訳だ。そうなるとまず間違い無く追っ手が掛かっている筈だ」

「ふっ、ロレンツォと道が別たれた後にまた繋がるか。それも一興」

 

 獰猛な笑みを浮かべ、ブリッジを出て行くムラタ。その後ろ姿を見送ってから艦長へと視線を向ける。

 

「部屋を用意してくれ。合流するまでここにいる訳にもいかないしな」

「分かりました。おいっ、アクセルさんを士官室に案内して差し上げろ」

「はっ!」

 

 ブリッジメンバーの1人が敬礼し、俺の近くへと来る。

 ……敬礼が様になってるという事は、恐らく元連邦軍……いや、DCからの横滑り組か? イスルギ重工だけに十分その可能性は考えられるな。

 

「こちらへどうぞ」

 

 そう声を掛けて来たブリッジメンバーの後を追い、ブリッジを出て行く。そして案内されたのはブリッジからかなりの距離がある士官部屋だった。

 ……なるほど。向こうとしてもあまりこちらを信用はしていないと見るべきか。あるいは、ブリッジの騒音で迷惑を掛けないようにしていると見るべきか。

 まぁ、スレイとの合流ポイントまでは数時間程度の距離がある。少しでも体力を回復させておくとしようか。

 パイロットスーツを脱いでからベッドへと倒れ込み、微かに襲ってくる睡魔へと身を委ねると俺の意識は闇へと沈んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 コンコン。

 そんな音が部屋へと響き、その音を頼りに俺の意識は急速に覚醒していく。

 コンコン。

 再びのノック音。

 寝起きで、まだ多少の眠気が残る頭を振りつつ部屋のドアを開ける。するとそこにいたのは俺をこの士官室まで案内してくれたブリッジクルーだった。

 

「どうした?」

「目標との合流ポイントまで20分程ですので、艦長が準備をするようにと」

「そうか、すぐに行く。ブリッジでいいのか?」

「はい、お願いします」

 

 その言葉を聞き、部屋の中に漂っているパイロットスーツを身につけて部屋を出てブリッジへと向かう。

 ブリッジの中には士官室に行く前に見たブリッジクルーの面々。そしてムラタの姿もあった。そんな俺へと視線を向けた艦長が笑みを浮かべて口を開く。

 

「おお、アクセルさん。そろそろ合流ポイントなのですが……」

「何か問題でも?」

「いえ。幸い合流予定地点できちんとこちらを待ち受けているようですから、特にこれといった問題は起こっていません。……今は、ですが」

 

 まぁ、そうだろうな。ロレンツォ達はスカルヘッドから逃げだしてきたのだ。それもバルトールの件やデュミナス達の事を知って。それは当然追撃が掛かってもおかしくはない。デュミナスの件は意図的に抜き、バルトールの件を艦長へと説明すると同様だとばかりに頷く。

 

「はい、私もそう思います。ただし、今アクセルさんが言ったようにいつ追撃があってもおかしくはありません。本来であれば第一戦闘配備をして貰った方がいいのですが、今回の件に関しては全面的にアクセルさんに権限が委ねられています。なので対応を聞いておきたく思い、ブリッジまで足を運んで貰いました」

「艦長の対応で間違い無いだろう。合流したら向こうの艦と一緒に一目散に撤退だ。確かイスルギの息の掛かった部隊がこっちと合流予定なんだろう?」

「そうなります。本来であれば、その部隊と行動を共にして戦力的な不安も殆ど無い筈だったのですが……何しろ、この状況ですので戦力を整えるのに時間が掛かったらしく」

 

 バルトール事件のせいで出遅れた、か。

 

「まぁ、それに関しては現状を考えればしょうがないと言えばしょうがない。それよりも第一戦闘配備でいいんだな?」

「そうして貰えると助かります」

 

 艦長が頷いたのを見て、ムラタへと視線を向ける。

 

「聞いていたな。取りあえずはスレイと合流をする」

「……スレイ、というのはイスルギ重工の手の者なのだろう? アクセルがそこまで気に掛ける必要はあるのか?」

 

 訝し気な顔をして尋ねてくるムラタに、そう言えばスレイの件について話してなかったのを思い出す。

 

「スレイ・プレスティはこのまま上手く事が運べばリオンを開発した兄共々シャドウミラーに所属する予定なんだよ。ロレンツォに協力していたのならプロジェクトTDと言うのを聞いた覚えがないか?」

「……いや」

 

 俺の言葉に首を振るムラタ。……まぁ、一種の戦闘狂に近いムラタにしてみればテスラ・ドライブの平和利用とも言えるプロジェクトTD、即ち恒星間航行機開発計画に関しては興味の埒外なのだろう。

 

「とにかく、シャドウミラーにとって有益な人材と言うわけだ。スレイ本人も相当に腕のいい戦闘機パイロットだしな」

 

 そんな事を言いながらブリッジを出てミロンガへと乗り込もうとした時……

 

「艦長、向こうのアルバトロス級との通信が繋がりました!」

 

 ブリッジのオペレーターの声を聞き、動きを止める。

 

『こちらアルバトロス級、ロレンツォだ。現在こちらに接近中のペレグリン級に告ぐ、貴艦の船籍を明らかにされたし。繰り返す。 現在こちらに接近中のペレグリン級に告ぐ、貴艦の船籍を明らかにされたし』

「アクセルさん、お願い出来ますか?」

「ん? この場合は艦長の方がいいんじゃないか?」

「いえ、この件はアクセルさんの主導ですので」

 

 艦長の言葉に溜息を吐き、通信を送り返す。

 

「こちらイスルギ重工所属のペレグリン級。この部隊の責任者のアクセル・アルマーだ」

『アクセル・アルマー、だと? ……いや、この際それは置いておくとしよう。イスルギ重工所属ということだが?』

「ああ。そちらの撤退を支援しているスレイ・プレスティの援軍として派遣された」

 

 ロレンツォはその言葉を聞き、30秒程の沈黙の後小さく頷く。

 

『うむ、確認した。それと……そこにいるのはムラタか?』

「久しいな。まさか道が別たれた後でまたもやこうして戦場を同じくするとは思わなかった」

『そうだな。だがムラタがいれば戦力的には……ん?』

「艦長、目標付近に多数の熱源反応を探知。恐らく追撃のバルトールと思われます」

 

 ロレンツォが訝しげにするのと、俺の乗っているペレグリン級のブリッジメンバーがそう告げるのは殆ど同時だった。

 

「ちっ、もう追っ手が掛かってきたか。ロレンツォ、そこでの合流は無理だ。こっちに向かって移動しろ。合流してバルトールを叩く」

『了解した。すぐにそちらへと向かう』

 

 こうして、ミロンガで初の宇宙戦を迎える事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:125
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:412

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