転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0491話

「アクセル・アルマー、ミロンガ、出るぞ!」

 

 その声と共に、ペレグリン級からミロンガが射出される。

 重力の無い宇宙空間を飛ぶ楽しみを一瞬だけ感じ、俺の後に射出される無明を待つ。

 

「待たせた」

 

 そして30秒程でこちらと合流した無明から通信が入り、こちらの準備は完了する。

 

「艦長、ペレグリン級は武装が乏しい為に戦力にはならない。その為に暫くここで待機しててくれ。ロレンツォ達と合流したら急いでこの場を離脱し、遅れてやってくるイスルギの手勢と合流しろ。ロレンツォ達がそっちと合流したら、俺が指定した暗礁宙域で待機。俺達が帰還するのを待て」

「了解しました。ご武運を」

 

 艦長が短く頷き、通信が切れる。

 さて。

 

「ムラタ、少し急ぐぞ。無明ではちょっと厳しいかもしれないが……ついてこれるな?」

「任せろ。ガーリオン・カスタムの名は伊達ではないと証明してみせよう」

 

 ムラタの言葉に頷き、スラスターの出力を徐々に上げていく。無明もそれに遅れじと両肩に追加された大型ブースターを使ってミロンガに随伴する。

 そんな状態で進みながら、ムラタへと再び通信を入れる。

 

「ムラタ、バルトールはODEシステムを搭載している。時間が経てば経つ程にこちらの攻撃を読んだり、反撃に移るのが早くなってくるから気を付けろ。対処方法は単純に見敵必殺、サーチ&デストロイだ。とにかくバルトールに時間を与えてODEシステムにこちらの情報を蓄積させるな」

「了解。ODEシステムの人形共、尽くシシオウブレードの錆びにしてくれるわ」

 

 ODEシステムに対しては、ムラタにも言ったがとにかく時間との勝負だ。何しろスパロボのシステム的に言えば『ターン数×2+能力所持ユニット数』の数値分が最終命中や最終回避に補正として入るのだ。この世界でそこまで的確にODEシステムが適用されているとも限らないが、それでもこちらの能力を覚える前に撃破するに越した事はない。

 そんな風に考えつつ、宇宙空間を高速で移動していると……

 

「見えた!」

 

 ミロンガのモニタに、アルバトロス級1隻とペレグリン級2隻の反応が表示されたのだ。そして同時にスレイの搭乗しているカリオンの反応。そしてその背後には……

 

「ちっ、既に追いつかれかけているか。ムラタ、分かってるな?」

「承知! シシオウブレードにやつらの機油を吸わせてくれる!」

 

 お互いに会話をしながら船団の背後へと迫っているバルトールの反応を確認。約20機程か。

 

「スレイ、聞こえているな」

 

 既にバルトールの接近を察知していたのだろう。アルバトロス級から出撃していたカリオンへと通信を送る。すると向こうでも俺達が近付いてくるのを察知していたのか、すぐに通信が繋がった。

 

「ああ、もちろんだ。応援に来てくれたとの事だが……せめてもう少し数を増やしてほしかったのだがな。幾ら何でも2機では少なすぎるだろう」

「ふんっ、それだけ言えれば十分だ。俺達シャドウミラーは量より質がモットーなんでな」

 

 いや、メギロートとか量産型Wを考えると質より量なのか? だが、少なくてもパイロットとしてシャドウミラーに所属している者達は全員が一流と言ってもいい能力を持っているし、量産型Wも操縦技術に関して言えば一流だ。この場合は質より量でもなく、量より質でもない。どちらかと言えば質と量を併せ持っている感じか。

 

「と言うかだな、アクセルの機体はミロンガのようだが……ODEシステムとかは大丈夫なのか?」

「安心しろ。このミロンガは完全に有人仕様でODEシステムは搭載していない」

「……それと、声が妙な感じになっているが?」

「ああ、ミロンガには変声機を付けてあるからな。アクセル・アルマーが堂々と表舞台に……それも、イスルギ重工の手が入っているミロンガに乗ってってのは色々と拙いだろう? その対策だよ」

「ならいいが。……もう1機はガーリオン・カスタム、か?」

「ああ。お前と別れた後にシャドウミラーに所属する事になったムラタだ。ムラタ、この女がスレイ。そう遠くないうちにシャドウミラーに所属する予定の女だ」

「……ムラタだ。よろしく頼む」

「スレイ・プレスティだ。こちらこそよろしく頼む」

 

 簡単な挨拶が終わり、早速バルトールへの対処へと話題を移す。

 

「それで、追撃のバルトールに追いつかれるまではどのくらいの時間がある?」

「恐らく5分程度だな。アクセル達が私達と合流するのと殆ど同時と見てもいいだろう」

「分かった。それなら十分間に合うだろう。バルトールは運動性能は高いが、その分装甲は薄い。つまり防御力が低い訳だ。その辺を考慮に入れて、攻撃を命中させるのを最優先に考えていけば20機程度ならどうとでもなる」

 

 俺のその言葉に、スレイとムラタの2人が頷く。

 

「船団に関しては、こっちが戦闘に突入しても構わずに逃げろと伝えろ。アルバトロス級ならともかく、碌な武装もされていないペレグリン級はバルトールのような機体にとってはカモ以外のなにものでもないからな」

「その辺は既に連絡済みだ。アクセル達が追いついたら私達で殿を受け持ち、その間に船団は退避する事になっている」

 

 よし、それなら問題はないな。

 そして、そのまま息を呑むかのような緊迫の5分が過ぎ……

 

「見えたっ! ムラタ!」

「おう!」

 

 ミロンガのモニタにアルバトロス級率いる船団が映ったかと思うと、速度の差であっという間にすれ違う。そして先陣は自分の役目だとばかりにムラタの操る無明は船団の後方から迫っていたバルトールへとシシオウブレードを構えたまま間合いを詰める……

 

「キエエェェェェッ!」

 

 その気合いと共に振り切られたシシオウブレードは、装甲の薄いバルトールをいとも容易く両断するのだった。

 

「スレイ、お前の機体は攻撃力に乏しいから俺と組んで動くぞ」

「分かった。だが、プロジェクトTDのNo.1である私の動きについて来られない場合は置いていくからそのつもりでいろよ?」

「はっ、シャドウミラーの実戦部隊を率いていた俺に随分と偉そうに。そっちこそついて来られないようなら置いていくぞ」

 

 シシオウブレードを持っている無明の攻撃力は、この3機の中では最も高い。だが逆に俺のミロンガとスレイのカリオンは、運動性能を重視している機体の為に1機での攻撃力が低い。しかし……

 

「甘いな!」

 

 ムラタの無明をその攻撃力からより脅威度の高い機体と判断したのか、追撃部隊のバルトールのうちほぼ半分がムラタへと向かう。

 そして残る10機近いバルトールが右腕を折り曲げ、その肘からマイクロ・ミサイルを自分達に真っ正面から向かってくるミロンガとカリオンへと向けて一斉に発射する。だが俺の操るミロンガと、スレイの操るカリオンはそのミサイルの雨の中を速度を落とさずに……否、逆に速度を上げつつバーニアを小刻みに噴射しながらすり抜けていく。そしてそのミサイルの雨を潜り抜けた先にいるのは……

 

「死中に活ありってな!」

 

 ミサイルの雨を潜り抜けたその速度を活かし、機体をロール回転させながら手当たり次第にストレイト・マシンガンを撃ち込んでいく。さすがに装甲の薄さに定評のあるバルトール――ミロンガも同様だが――だけあり、弾をバラ撒くような攻撃でも簡単にその装甲を貫通して4機が爆散。残る6機も多かれ少なかれ損傷を受けている。そして……

 

「私の攻撃から逃げられると思うな!」

 

 俺に負けてなるものかとばかりに、ミロンガのすぐ後にミサイルの雨を抜け出して来たカリオンもロール回転をしながらホーミングミサイルを発射。バルトールの回避アルゴリズムの裏をかく為に複雑な軌道を描きながら宇宙空間を飛んで行ったミサイルが命中。3機のバルトールが爆発の光を放つ。

 

「残り3機、貰うぞ! 加速!」

 

 スラスター全開のまま、バルトール達の隙間を潜り抜けた所でバーニアを全開にしながら強引に前転をするかのようにクルリと回転。上下逆さまの状態で再びバルトール達を視界へと捉える。本来ならパイロットの耐G能力の限界を超えた機動だが、混沌精霊である俺にとっては物理的な制約は何の意味も無い!

 そして案の定バルトールはまだこちらのデータを集めきっている訳では無いらしく、その動きは俺に付いて来てはいない。

 武器ラックからミロンガの右手でビームソードを取り出し、スラスターを全開にしたまま再びバルトールの群れの中へと突進。狙いを付けた1機の頭部へとビームソードの切っ先を突き刺し、同時にコックピット部分へと左手で握ったストレイト・マシンガンの銃口を接触。ほぼ零距離の位置からトリガーを引く。

 ガガガガガガガッ! という、ストレイト・マシンガンの銃弾がバルトールのコックピットへと連続して命中する音が接触回線から響き渡る。

 そのままミロンガの足でバルトールを蹴り飛ばし、スラスターを噴射させて距離を取ると、数秒後バルトールの爆発光が一瞬だけ周囲を明るく照らし出していた。

 

「っと!」

 

 残り2機のバルトールが俺のミロンガを脅威度の高い機体だと認識したのだろう。左右からそれぞれ右腕に装備されたアーム・マシンガンを連射しつつ距離を詰めてくる。その左腕からはエネルギー・ナイフの刃が形成されており……

 

「甘いんだよっ!」

 

 ミロンガのバインダーに装備されているマイクロ・ミサイル。そして両肩に装備されているTBGミサイルを一斉に発射。その爆発に紛れるようにしてスラスターを全開にしながら右へと進む。

 

「はぁっ!」

 

 ビームソードを展開したまま、右から迫ってきているバルトールの横を通り抜け様にコックピットブロックを一閃。ミロンガが距離を取った後に爆発の光を周囲へと照らす。同時に、残るもう1機もスレイの操るカリオンからソニックカッターにより斬り裂かれて爆散する。

 

「これでこっちの分は片付けたな」

「アクセル……お前、身体は大丈夫なのか?」

 

 スレイからの通信。どうやらミロンガの機動を見ていたらしい。

 

「どうした? そんなに俺の事が心配だったのか?」

「ばっ、馬鹿を言うな! た、ただ私はお前に何かあったら兄様の病気を治す伝手が無くなるからだな」

 

 パイロットスーツのヘルメット越しでも赤くなっているスレイのそんな様子に笑みを浮かべつつ、ムラタの方へと視線を向ける。

 そこでは当たるを幸いとしてバルトールをシシオウブレードで斬り裂いている無明の姿があった。既に残り4機までバルトールの数は減っている。

 

「まぁ、話は後だ。まずは残りのバルトールを片付けるぞ」

「……了解した」

 

 何処か憮然とした様子のスレイが操るカリオンと共に、無明のシシオウブレードを脅威と認定したバルトールが距離を取ろうとしている場所へと突っ込んでいく。

 

「加速、集中」

 

 精神コマンドの加速と集中を使い、ただでさえミロンガの限界近い速度からさらに一段階上に。そのままの速度で一瞬にしてバルトールの横を通り過ぎ様にビームソードで頭部のセンサーを斬り裂いていく。

 

「ついでだ、食らえ!」

 

 同時に、バインダーからマイクロ・ミサイルを背後へと発射。センサーの塊である頭部を失ったバルトールはそれに対処出来ずに近距離から連続してミサイルが着弾。そのまま爆散する。

 そしてスレイ操るカリオンもまたソニック・カッターでバルトールの装甲を切り裂いて撃破しており、残る2機のバルトールは無明のシシオウブレードで横薙ぎの一閃を食らって纏めてコックピットブロックごと機体を上下に切断されていた。

 そして爆散。

 

「取りあえず片付いたが……有人機が1機も無しとは、随分と甘く見られたものだな」

「……それは本当か?」

 

 俺の呟きに、スレイから通信が入る。

 

「ああ、絶対とは言えないが、恐らくな。バルトールの動きが全機差異が無い上に画一的で応用性に欠けていたように感じる。人をコアパーツとして使っている機体があったのなら、こちらの動きに多少は対応出来ていただろう」

 

 T-LINKシステム搭載機でなら有人機か無人機かを判断するのはそう難しい話ではないんだが……まぁ、無い物ねだりをしてもしょうがない。

 

「とにかく、先行した船団に追いつくぞ。別方向から追っ手が掛かっていたら洒落にもならないからな」

 

 幸いここにいるのはミロンガ、カリオン、無明とどの機体も機動性の高い機体だ。ロレンツォのアルバトロス級に追いつくのはそう難しい話ではない筈。

 こうして、俺達3機はバルトールの一団を片付けて先行しているアルバトロス級へと向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:160
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:419

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