転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0039話

 そろそろ新年を迎えようというこの時期、テスラ研でいよいよ初の転移実験が行われようとしていた。

 実験に参加するのは、転移装置アギュイエウスの主任開発者であるヘリオス・オリンパス。つまりはギリアム・イェーガーその人だ。

 普通なら主任開発者なんて責任者が実験に参加するなんて事は無いんだろうが、そこはテスラ研。カザハラ所長のノリの良さでOKを出してしまったそうだ。

 もっとも許可を出した理由としては、それだけアギュイエウスに対する自信もあったのだろう。

 実際、モニタに表示されているアギュイエウス開発者達の顔は自信に満ちている。

 

「ねぇ、アクセル。何が起きるの?」

 

 俺の隣で同じく実験の様子をモニタで見ているレモンが尋ねてくる。

 本来ならレモンもテスラ研に行って実験を見学する予定だったのだが、転移事故が起きる事を知っている俺としてはさすがにそれは遠慮してもらいたい。

 原作のままならあちらの世界に転移するのはギリアム1人だが、そこにイレギュラーたるレモンがいた場合、もしかしたらという可能性がある。

 なので予知能力で何かが起きるのを見た、とレモンに話してエクアドル基地から通信モニタで実験の様子を見学する事にしてもらったのだ。

 

「普通に考えるのなら、実験の失敗だろうが」

 

 同じく俺達と一緒にモニタを見ているヴィンデルが呟く。

 ただ、ヴィンデルが見ているモニタは俺とレモンが見ているテスラ研を映し出しているモニタではない。そちらのモニタに映っているのは広大な草原だ。テスラ研の転移実験が上手くいけば、ギリアムの姿がここに現れる予定となっている。

 

「多分、そうだと思う。予知とは言ってもあくまでも漠然としたフィーリング的なものだからな」

「なら、オリンパスに実験失敗の事を教えておいた方が良かったんじゃないの?」

 

 レモンの疑問ももっともだが、ここでギリアムに俺が予知能力を持ってるなんて思われたら絶対ややこしい事になるに決まっている。

 ただでさえ、予知能力を持っているというのは嘘なんだし。

 

「いや。俺が感じたのによると、この転移事故自体は正しい歴史の流れ? 上手く言葉には出来ないがそんな感覚があった。多分転移自体が上手くいかないんじゃないかと予想してるんだが」

「2人とも、始まるぞ」

 

 ヴィンデルの言葉を聞き、テスラ研が映し出されているモニタへと意識を集中する。

 モニタに映されている転移装置自体はシンプルな形状だ。

 鳥の羽根を模したような外側の装置の中に十字架を模したような装置が収まっている。

 何度かテスラ研へは足を運んでいるが、実際に見るのは初めてだ。

 

「あれがアギュイエウス、か」

「ええ。オリンパスや私達が開発した転移装置になるわね」

 

 モニタの中ではギリアムがアギュイエウスの近くへと移動して待機しており、周囲の開発者達が何らかの操作をしている。

 

「いよいよだな」

 

 ヴィンデルの言葉に、俺達はモニタへと意識を集中する。

 

「始まるわ」

 

 レモンの言葉と共に、ギリアムを中心になんらかのフィールド――いやこの場合は転移フィールドでいいのか――が展開される。

 それを見ていたヴィンデルの口から思わず、といった感じに言葉が漏れた。

 

「小さいな。あのフィールドで包んだものが転移されるのだろう? 人が1人転移するのがやっとではないか」

「今回は初の実験と言う事で転移フィールドの範囲を極小規模、それこそ1人分くらいに設定してるのよ」

 

 俺達がそんな会話をしている間にも転移フィールドの形成は進み、モニタに映っているアギュイエウス開発者達は忙しく動いている。

 

「転移するわ」

 

 レモンのその呟きと共に、モニタに映し出されていた転移フィールドが一際強く輝き、その姿を消失させた。

 自然と俺達の視線はもう1つのモニタ、すなわち本来ならギリアムが転移してくる筈の草原へと向けられるが、転移フィールドが現れる兆候が一切無い。

 普通の草原のままで、少し離れた所にいたテスラ研の研究者達と思われる数人の人影がなにやら騒いでいる姿がモニタには映っていた。

 

「失敗、か?」

 

 ヴィンデルの呟きに頷くレモン。

 

「そうだと思う。もし転移が成功していたのなら時間的なロスなんかは無い筈ですもの」

「だが、どこに消えた?」

 

 ヴィンデルの視線はテスラ研を映し出しているモニタに向けられているが、そのモニタはアギュイエウスと混乱する開発者達の姿しか映し出されておらずギリアムの姿はどこにもない。

 

「アクセル、貴男が予知したのはこの事?」

 

 レモンが尋ねてくるが、俺はそれに頷く事しか出来ない。

 

「多分な」

「レモン、実験失敗の理由として考えられる可能性としては何がある?」

「そう、ね」

 

 何かを思い出そうとしているかのようなレモンの姿を横目で見ながら、俺はギリアムがあちらの世界に転移した事を考えていた。

 原作ではギリアムはシャドウミラーがあちらの世界に転移するよりも随分と前の時代に転移していた筈だ。少なくてもあちらの世界でゲシュペンストの教導隊が作られた時にその教導隊に所属していたのだから。

 そんな事をつらつらと考えていると、ようやく考えがまとまったのかレモンが口を開く。

 

「以前アクセルがテスラ研でオリンパスに会った事があったわよね?」

「ああ、何か用事があるとかでレモンの部屋に来た時だな」

 

 正直、あの時はギリアムとの初顔合わせが起こるとは思っていなかっただけに動揺した。幸いアクセルに生まれ変わってからの経験のおかげでそれを顔に出す事はなかったが。

 

「あの時の用事というのがアギュイエウスについてだったんだけど、あくまでも可能性の話としてアギュイエウスには通常の転移だけではなく次元転移の可能性も考えられる、というものだったのよ」

「次元転移?」

 

 不思議そうなヴィンデルを横目に、既に知っている俺は口を開く。

 

「つまり、平行世界。パラレルワールド、か?」

「馬鹿な、そんな事が」

「いえ、アクセルが正解よ」

 

 驚くヴィンデルに、レモンの言葉が被せられる。

 

「となると、ヘリオスは平行世界に転移したのか?」

「あるいは、平行世界に到達できずに次元の狭間に呑まれたか」

「その可能性もあるのか。……レモン、アギュイエウスの開発は今回の失敗で中止されると思うか?」

「いえ、それは無いでしょうね。インスペクターの転移による奇襲攻撃が行われたという事実がある以上、対抗手段は必要と考えると思うわ。ただ、アギュイエウスをそのまま開発という事にはならないでしょうね。恐らくより安全性を高めた装置を開発すると思うわ」

「そうか。なら悪いがまだあっちとの繋がりを保っておいてくれ。転移装置自体は非常に興味深い」

「まぁ、いいけど。でも言った通り、開発規模は縮小される可能性が高いのよ? そうなったら私が関われる可能性が少なくなる可能性があるわ」

「その辺は私が手を回しておく。テスラ研としても優秀な科学者の協力はあった方がいいだろう」

 

 なるほど、これでシャドウミラーがリュケイオスを手に入れる事が出来る可能性が高まったな。

 俺としても、大歓迎だ。

 原作ではシャドウミラーがこちらからあちらの世界に転移した後に時限爆弾でリュケイオスを破壊したらしいが、幸い俺には空間倉庫がある。もしかしたらリュケイオスごとあっちの世界に持って行く事が可能かもしれない。

 もっとも、リュケイオスの事は俺だけの秘密にしておくべきだろうが。

 

「さて、アギュイエウスについてはこれでいいな。本来なら実験が成功してくれていれば良かったのだが」

 

 ヴィンデルの言葉でアギュイエウスの話題については終了し、これからの事を相談する。

 と、部屋にある時計を見てみるといつの間にか年が明けているのに気が付いた。

 

「2人とも、新年だ」

「あら。そういえば」

「ふむ」

 

 俺の言葉で、その事に気が付いた2人だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:14
PP:105
格闘:162
射撃:180
技量:172
防御:169
回避:197
命中:219
SP:254
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:23

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