転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0501話

 前方からこちらへと迫ってくるのは30機を超える数のバルトールだ。さすがにODEシステムと言うべきか、一糸の乱れもない陣形を組んでこちらとの距離を縮めてくる。その様子を見ながらヒリュウ改との通信回線を開く。戦いの開始を告げたのがヒリュウ改の艦長であるレフィーナだったのを考えると、ハガネよりもヒリュウ改の方が立場的に上なんだろう。DC戦争初期からヒリュウ改の艦長を務めていたレフィーナと、インスペクター事件の最後でダイテツの代わりに艦長を務める事になったテツヤでは経験が違う以上は仕方が無い。

 

「ヒリュウ改、聞こえているか」

『はい、何でしょう』

 

 通信に出たのはレフィーナ……ではなく、ヒリュウ改のオペレーターでもあるユンだった。まぁ、艦長がわざわざ通信に出るというのもおかしいしな。

 そんな風に思いながらも、T-LINKシステムを通してファントムを全機射出。グロウセイヴァーの背後へと待機させる。同時にクロノスから伸びているビームガトリング砲、リニアレールガン、ランツェ・カノーネ2門の砲身を展開。

 

「これから先制攻撃にバルトールの横っ腹にでかい一撃を放つ。そっちの鉄砲玉の奴等が突っ込みすぎないように指示を」

『ちょっ、待って下さい! アクセル・アルマー、何をする気ですか!』

 

 さすがに俺の言葉に一種の不穏な物を感じたのか、ユンの代わりにレフィーナが通信モニタに顔を出す。その様子を見ながら武器ラックからガン・レイピアとハルバート・ランチャーを取り出しグロウセイヴァーの両手に持たせる。

 

「何を? お前達も今まで何度か食らってきただろう? 転移攻撃からのフルバースト、一斉射撃だ」

『っ!? 全機に通達。アクセル・アルマーの転移攻撃が行われます。バルトール達に突っ込む者達は注意を!』

 

 よく考えれば、量産型システムXNでマスターコアに転移するというのもありなのか。……それだと結局バルトールはそのままだから消耗戦になるのは代わらないな。それにグロウセイヴァーに搭載されている量産型システムXNだとグロウセイヴァーと一緒に転移出来るのは精々1機か2機。その数でバルトールの群れから攻撃を受けたら一溜まりもない。いや、マスターコアを守らなくてもいいのならどうとでもなるんだが、1ヶ所に留まりながらだと高機動というADの機体特性が死んだも同然だしな。バルトールがマスターコアを破壊する可能性はまず皆無に等しいとは思うが……

 

「スレイ、ムラタ、お前達2人も聞いていたな? 俺の攻撃に巻き込まれないように気を付けろよ。ただし、俺の一撃が放たれた後はまず間違い無くバルトール達は陣形を崩している筈だ。その隙を見逃すな」

 

 何しろスレイのカリオンは運動性や機動性に優れており、ムラタの無明はシシオウブレードを使う為に近接戦闘に特化している。いや、無明の場合はバースト・レールガン等も装備しているので遠距離からの攻撃も可能なのだが、本人が射撃武器は牽制程度と割り切ってるからな。

 

「言われるまでもない。幾度となくヒリュウ改やハガネを1機で翻弄してきたグロウセイヴァーの力、この目で確かめさせて貰おう」

「承知。木偶人形なぞ獅子王の牙で噛み千切ってくれる」

 

 自信を感じさせるスレイに、獰猛な笑みで答えるムラタ。そんな2人の様子を見ながら量産型システムXNを起動する。

 

「システムXN、起動……転移座標確定。転移フィールド生成開始……」

 

 光の繭のような転移フィールドが生成され、グロウセイヴァーを包み込んでいく。

 グロウセイヴァーに搭載されているシステムXNは量産型だけあって転移フィールドの生成速度は遅いのが難点だ。だが幸いな事に、バルトールの方もこちら側が一斉に動きを止めたのをODEシステムが不審に思ったのかその動きを止めて陣形を組み直している。……そう、正面からの攻撃を受け止められるように、だ。

 

「全機、俺の一撃で奴等の陣形は崩れるだろう。その隙を見逃すなよ。転移!」

 

 量産型システムXNが起動し、転移が成功。次の瞬間にはグロウセイヴァーの姿はバルトールの群れの真横に存在していた。

 

「愛」

 

 精神コマンドの愛を使用し、バルトールが動き始める前に絶望をもたらす一撃を放つ。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト。時流エンジン、フルドライブ……食らえ、フルバーストだ!」

 

 その言葉と共に、グロウセイヴァーの背後に浮かんでいたファントム28機がレーザー弾を放ちながら高速でバルトールへと向かっていく。また、ビームガトリング砲から放たれた無数の細かいビーム弾が、リニアレールガンから放たれた狙い澄まされた一撃が、2つのランツェ・カノーネから連続して放たれるビームが、右手に握っているガン・レイピアから放たれるビーム弾が、ハルバート・ランチャーから幾筋もの光線が。そして胸元からは多弾頭ミサイルであるファイア・ダガーが連続して途切れる事無く放たれ続ける。

 元々運動性能に特化して、敵の攻撃を回避するというのを大前提にしているバルトールだ。その装甲は戦闘機より多少上程度の物だから最低限でしかない。そんなバルトールの群れが、それも攻撃を想定していなかった真横から面射撃ともいえる攻撃を受けて無事でいられるはずもない。

 あるいは、PT並の装甲があればある程度は耐えられただろう。だがそれを言っても既に遅い。

 

「……マジか……」

 

 通信に乗って聞こえて来る誰かの唖然とした声。そんな声を聞きつつ、更にバルトールへと深いダメージを与えるべくT-LINKシステムを通してファントムへと命じる。

 

「貫けっ!」

 

 そして俺の意志を受けたファントムは、レーザー弾を発射するのではなくレーザーの刃を作り出してバルトールへと向かっていく。そこから先は、まさに一方的な蹂躙と言ってもいい展開だっただろう。何しろ運動性や機動力が自慢のバルトールと比べてもファントムの飛翔速度の方が上なのだから。

 レーザーの刃を剥き出しにし、俺の意志のままにバルトールの群れの中を踊り狂うファントム。それをどうにか回避したとしても、そこに突き刺さるのはレーザーやビーム、光線といったグロウセイヴァーから発射された攻撃の数々だ。爆発、爆発、爆発、爆発。

 1分程経ち、フルバーストの射撃が終了した後には30機を越えていたバルトールの数は10機にまで減っていた。同時に、その10機にしても多かれ少なかれダメージを受けている。中には手足を全て失い、胴体のみで浮かんでいる機体も存在していた。

 

『各機、バルトールに攻撃を開始して下さい!』

 

 ヒリュウ改から放たれたレフィーナの命令に従い、突撃していくPTやAM、あるいは特機の数々。それらを見ながら、俺はファントムを戻してグロウセイヴァーへと収納していた。

 

「……さすが、と言うべきなんだろうな」

 

 通信モニタに表示されたのはイルムの顔だ。グルンガストの位置を確認すると、戦闘になっている場所からは離れて周囲を警戒しているらしい。

 

「お前はあそこに行かなくてもいいのか?」

 

 バルトールをシシオウブレードで唐竹割にしている無明の姿を見ながらイルムへと尋ねる。

 

「はっ、お前だけで20機も倒しているから残りは10機程度だ。グルンガストがあそこに入っていったら他の奴等の邪魔になるだけだろうさ。それに無事なバルトールにしてもある程度ダメージを受けている奴が多いしな」

「アクセル大尉!」

 

 ヒュッケバインMk-Ⅱに乗ったオウカからの通信。その顔には喜色満面とでもいうような表情を浮かべていた。

 

「さすがです、アクセル大尉。あのバルトールをああも一方的に片付けるなんて」

「ODEシステムとしても、さすがに初めて見る攻撃には対処出来なかったんだろうな」

 

 そもそもODEシステムで動いているバルトールにとっては、サイバスターのサイフラッシュやヴァルシオーネのサイコブラスターのような面の攻撃とでも呼ぶような広範囲攻撃は天敵に近いのだ。これが普通の射撃攻撃であれば運動性や機動性の高いバルトールなだけに回避も可能だろう。だが、これらの攻撃はそもそも回避出来る場所がない。そうなると必要になってくるのは攻撃に耐える為の装甲だが……速度を高める為に装甲を犠牲にしたのがバルトールである以上は手も足も出なくなる。

 そして俺のフルバーストは、その2機程ではないにしろ広範囲の面射撃的な側面を持っている。しかも向こうにしてみれば初めて見る攻撃なだけに、初見で対処するというのは無理で……その結果が今のこの状況だ。

 あるいは誘拐された者の中にはグロウセイヴァーの能力を知っていた奴もいるかもしれないが、その中でも一番シャドウミラーについて詳しいラミアは規格外として吸収されずに弾かれたし、アラドやゼオラ達も……いや、待て。

 モニタの向こうで、何故か若干頬を赤くしているオウカへと視線を向ける。

 

「オウカ、お前の今の所属は?」

「え? アラドやゼオラ、ラト達と同じ特殊戦技教導隊ですが」

 

 やっぱりな。そうなると……

 

「お前もバルトールに?」

「……はい。晴海の騒動の時にアラド達と一緒に。幸い、何故かODEシステムに吸収されないまま皆さんに救出されましたが」

「そうか。お前が無事で良かったよ」

「そんな、大尉……」

 

 何処か照れくさそうに微笑むオウカ。その様子に首を傾げていると、先程から黙っていたイルムが再び口を開く。

 

「おいおい、お前は思ったよりも女好きだったんだな」

「……は? 何を急に?」

 

 その言葉に、ジトっとした目を向けてくるイルム。

 

「お前、分かっててやってるのか? それとも本当に分かってないのか?」

「だから、何がだ? 理解出来るように説明してくれ」

「こんな分かりやすい反応もないだろうに。いいか、オウカはお前……」

「イ・ル・ム・中尉? アクセル大尉に余計な事を吹き込まないで下さいませんか?」

 

 まるで地の底から聞こえて来るような、妙な迫力を持ったオウカの声にイルムが顔を引き攣らせ、額に冷や汗を浮かべる。

 

「……オウカ?」

「いえ。アクセル大尉は気になさらないで下さい。イルム中尉のいつものお遊びで下らない事なので気にする必要はこれっぽっちもありません。それよりも、改めて。遅くなりましたが無事で何よりです。他の方達も無事あのアインスト空間から抜け出せたのですよね?」

「ああ。その点は問題無い。レモンもエキドナも、他の技術班の奴等も皆無事だ」

「……そうですか。お二方も」

 

 そんな風にある意味で和やかな雰囲気を漂わせながら話をしていた俺達だったが、戦場となっている場所ではそろそろ戦闘も終盤に入ろうとしていた。

 既に残っているバルトールの数は3機で、その3機にしてもレオナの乗るズィーガーリオンがブレードレールガンを使い、レールガンの弾丸でバルトールの動きを牽制した所で銃剣の部分であっさりとその胴体を真っ二つにしている。

 そしてリョウトの乗っているヒュッケバインMk-ⅢがT-LINIKシステムを使ったのかバルトールの動きを察知し、先読みしたかのようにロシュセイバーを振り、その薄い装甲を袈裟懸けに斬り下ろしている。

 最後の1機は、キョウスケの乗るアルトアイゼン・リーゼがその驚異的な突進力で瞬時にバルトールとの間合いを縮めて特徴的な角のプラズマホーンで胴体を貫通。そのまま零距離射撃に近い位置から5連チェーンガンを叩き込まれて爆散する。

 

「よし、これで出撃してきたバルトールは全機撃破した。全機マスターコアへと向かえ! ただしレフィーナ艦長が言っていたように何らかの不測の事態が起きるのはまず間違いないだろう。くれぐれも油断はするなよ!」

 

 ……なるほど。バルトールを片付けている最中に、他の機体だけでもマスターコアに向かうように指示を出さなかったのはその不測の事態とやらを警戒していた為か。普通なら核が発射されるまでの時間が迫ってきていると知っていれば少しでも急いで我先にとマスターコアへと向かいそうなものだが……この辺が歴戦の部隊故の落ち着きって奴だろうな。

 さて、バルトールの先発部隊は壊滅した。そうなると向こうに残っている手札はラミアとヴァルシオン改・タイプCFのみの筈。ユルゲンはODEシステムの端末と成り下がっているのでこの際気にしなくてもいいだろう。他にもデュミナスがいるが、ラミアをどうにかするまでは姿を現さないだろうし。そんな風に考えた時だった。オープンチャンネルを通してハガネからの報告があったのは。

 

『新たな動体反応! 数は4、バルトールです!』

 

 バルトールが4機。そしてグロウセイヴァーのT-LINKシステムを通じて一番奥のバルトールから感じるラミアの存在。やはりここで姿を現す、か。

 

「人形から人になり、そして最終的には再び人形に戻るか、ラミア!」

 

 オープンチャンネルを通じて、俺の怒声が響き渡るのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:295
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:446

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