転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0505話

 ヘルゲートから脱出した俺達。正確に言えばシャドウミラーである俺達、ハガネ、クロガネ、ヒリュウ改はヘルゲートの近くにある月周辺の宙域まで撤退する事に成功していた。

 一応脱出途中に自分達の艦に乗らないかとそれぞれの艦長から提案はされたのだが、何しろこの状況なので遠慮させて貰った。速度で言えば俺達3機の中で最も遅い無明にしても3艦よりもかなり上なのだ。それにいざという時に個別に脱出が出来るという点や、下手をすればそのまま確保されてしまう危険性を考えるとその提案に乗る訳にはいかなかった。

 何しろ俺達シャドウミラーはこの世界だとかなりの危険集団だからな。いや、スレイとムラタがシャドウミラーに所属したのはごく最近だからそんな心配があるのは俺だけなんだろうが。

 

『アクセル・アルマー、問題は?』

 

 ヒリュウ改からの通信だが、通信モニタに表示されたのはキョウスケの姿だった。

 

「こっちは問題無い。それよりもラミアはどうなった?」

『色々と怪我や損傷している部分はあるが、命に別状は無いしテスラ研まで行ければそれに関しても解決する筈だ』

「そうか、それを聞けばレモンも喜ぶだろう」

『それでお前達はこれから……』

 

 キョウスケがそう言い掛けた時だった。ヒリュウ改の通信の向こう側、ブリッジからその声が聞こえてきたのは。

 

『艦長、前方に核ミサイルを確認。ヘルゲートへと向かっています』

『黙って見ているしか無いなんて……』

『遺憾ですな』

 

 レフィーナとショーンの悔しげな声。そんな声を聞きつつ、やってくるその瞬間を待つ。そして……

 ヴィーッ、ヴィーッ、ヴィーッ!

 ヒリュウ改のブリッジに響き渡るアラート音。それが聞こえるのと同時に、スレイとムラタの戸惑ったような声が聞こえて来る。

 

「アクセル、カリオンのテスラ・ドライブの出力が徐々に落ちていっているぞ」

「無明も同様だ。このままでは長く保たん」

 

 ちっ、とうとう現れたか。

 ヒリュウ改のブリッジでもテスラ・ドライブの出力が下がっていっているのだろう。混乱したような声が聞こえてきている。

 そしてそれと同時にヘルゲートへと向かっていた核ミサイルまでもがその軌跡を変化させ、次第にコースを変更してあらぬ方向へと飛んで行く。

 ……あの核ミサイルの処理はどうするんだろうな。

 そんなどうでもいい事を考えながらグロウセイヴァーのテスラ・ドライブを調整して何とか現宙域から離れていく。

 

「ヒリュウ改、連邦軍は核ミサイルの攻撃中止命令を出したのか?」

 

 違うのは分かっているが、それでもこの件に対して連絡を入れないというのはおかしいのでヒリュウ改へと通信を送る。

 

『いえ、こちらにそのような命令は下りてきていません。見た限りでは、どうやら核ミサイルの機能に何らかの支障が出たように見えましたが。そちらでは何か把握していませんかな?』

 

 ショーンの、こちらの様子を窺うようなその言葉に小さく首を振る。

 いや、正確には理由は判明しているんだが、ここで俺がそれを知っているのもおかしいだろう。

 

「こちらも理由は不明だ。ただ、機体の動力部からエネルギーがどこかに吸収されているような……そんな感じだな。これに関しては俺の機体だけではなく他の2機も同様だ」

『なるほど、そちらもですか。その現象についてはこちらも同様ですね。幸いまだ幾らかの余裕はありますが。どうでしょう? 念の為に一度ヒリュウ改に避難してみては』

「いや、それは申し訳ないが……」

 

 断る。そう言おうとした時だった。スレイが通信を俺に送ってきたのは。ヒリュウ改との通信を一旦切り、スレイのカリオンと通信を繋ぐ。

 

「アクセル、悪いが私にちょっとハガネの方に行かせてくれ。兄様を連れてくる」

「……いいんだな? お前が以前言っていたように力尽くとなると、プロジェクトTDに戻るのは難しくなるぞ?」

「構わん。私のプライドよりも兄様の命だ」

「分かった」

 

 スレイに小さく頷き、再びヒリュウ改との通信を繋ぐ。

 

「悪いが事情が変わった。スレイをハガネに着艦させて欲しい」

『ハガネに……ですかな?』

「ああ。兄妹として話しておきたい事があるとか。フィリオ・プレスティと面会させてやってくれ」

『分かりました。ではそのように取り計らいます』

 

 その返事を聞くと通信を切り、改めてスレイを映している通信モニタへと視線を向ける。

 

「聞いての通りだ。約束は取り付けたからハガネに向かえ」

「……すまない」

 

 スレイがそう言い、小さく頭を下げてカリオンをハガネへと向かわせる。

 

「あの娘には何かあるのか?」

 

 その様子を見ていたムラタが尋ねてくるが……そう言えば、ムラタにスレイの事は教えてなかったな。

 

「スレイには不治の病を患っている兄がいてな。元々はその治療と引き替えにシャドウミラーに参加したんだ。もっとも、今はそれとは関係無くシャドウミラーに馴染んでいるようだがな」

 

 ふと脳裏にレモン達と笑みを浮かべつつ楽しそうに会話をしているのを思い出す。何だかんだ言いつつ、スレイと同レベル……あるいはそれ以上の才能や能力を持っている者の多いシャドウミラーは、スレイにしてみれば居心地が良いのだろう。

 カリオンがハガネへと着艦しているのを見ながらそんな事を考えていると……

 

『アクセル・アルマー、気を付けろ! 何か来るぞ!』

 

 再びヒリュウ改にいるキョウスケからの通信。

 ……来たか。

 俺が内心で呟くと、その存在。即ち巨大な剣が姿を現したのだ。OG外伝にて重要な意味を持つソーディアンが。

 

『何だ……アレは……』

『巨大な、剣?』

 

 ハガネのテツヤと、クロガネのレーツェルの声がオープンチャンネルで流れてくる。

 

『ギリアム、あれが何か知っているか?』

『いや、私もあのような物は見たことがない』

 

 レーツェルの問いに首を振って答えるギリアム。

 

『異星人の要塞……第2のホワイトスター、あるいはドルムだとでも?』

『いや、もしかして以前話した月軌道外宙域で感知された転移反応はあの巨大な剣だったのかもしれん』

 

 レーツェルとギリアムの会話を、その場にいる全員が静かに聞いていると今度はハガネからのオープンチャンネルでフィリオが驚愕の叫びを上げる。

 

『あの巨大な剣に近付けば、それだけエネルギーが減っている!? ……艦長、早くこの宙域から脱出を! このままあの剣に近付けば何が起きるか分かりません!』

『わ、分かった。全艦この宙域から緊急離脱!』

 

 フィリオの切迫した声に、テツヤが頷きそう命じる。

 俺達としてもこの宙域で待機している意味は無いので、大人しく他の戦艦と共にこの場から離脱するのだった。

 

 

 

 

 

 ヘルゲート宙域にソーディアンが現れてから数時間程。俺達の姿は既に地球近海にまで移動していた。そこでペレグリン級と合流し、現在はハガネにいるスレイを待っている状態だった。だが……

 

「艦長、ハガネよりカリオンの発進を確認! PT1機と共にこちらへと向かって来ます!」

 

 ブリッジでオペレーターが発したその声が事態を動かす。しかしカリオンはともかくPT?

 

「PTの機種は分かるか?」

「少々お待ち下さい。データ照合……機種判明。ヒュッケバインMk-Ⅱです!」

 

 ……なんだってヒュッケバインMk-Ⅱが? いや、待て。確かヘルゲートでヒュッケバインMk-Ⅱに乗っていたのは……

 脳裏に俺と縁のある黒髪の少女の姿が過ぎったその時。ハガネとの通信画面が開かれる。

 

『ペレグリン級、アクセル・アルマー! 聞こえるか!』

 

 ハガネからの通信画面に表示されたのはカイの怒声だった。恐らくスレイはハガネに向かう前に言っていた事を実行に移したんだろう。

 

「こちらアクセル・アルマーだ。どうした?」

『そちらのスレイ・プレスティがハガネに搭乗していたフィリオ・プレスティを強引に力尽くで連れて行った。それには教導隊のオウカ・ナギサも共謀している! これはお前達が何かを企んだのか!?』

 

 スレイの件はともかく、オウカに関しては全く知らない事だったが……どんな経緯であの2人が仲良くなったのかは分からないが、やってしまったものはしょうがない。

 

「フィリオ・プレスティに関してはそう言う手段に出るかもしれないと前もって聞かされてはいた」

『ふざけるな! ちょっと見直したかと思えばすぐにまた俺達を裏切る気か!』

 

 カイにしてみれば浅草で騙され、そしてバルトール事件解決に協力したかと思ったらこの様だ。怒鳴りたくなるのも無理はないんだろう。

 

「一応言っておくが、フィリオ・プレスティはあくまでも有志の協力者であって軍属ではない筈だが?」

『だからと言って、力尽くで連れ出されたのを黙って見ている訳にもいかん』

「その件に関しては俺も理由を知ってはいるが、家族同士のプライベートな問題も関わっているから迂闊には話せないな」

『貴様!』

 

 更に怒鳴りつけようとしてくるカイだったが、そこへ強引に言葉を割り込ませる。

 

「だが、そうだな。フィリオ・プレスティと親しいツグミ・タカクラに聞けば恐らく事情は話して貰えるだろう。フィリオ・プレスティが暫くテスラ研を休んでいた件と、俺達シャドウミラーがラミアのような人造人間を作りあげる技術を持っていると知れば大体の予想は付く筈だ」

『それを……貴様等の言い分を信じろと?』

「別に無理に信じる必要は無い。だが、こちらにもこちらの事情があってな。プレスティ兄妹をそちらに引き渡す訳にはいかない」

『ならば、オウカ・ナギサはどうするのだ? フィリオ・プレスティは確かに善意の協力者という存在であるのは事実だ。だが、オウカ・ナギサは歴とした連邦軍の軍人であり、さらに言えば特殊戦技教導隊の隊員で、俺の部下でもある』

 

 フィリオの件で責めるのは難しいと思えば、オウカの方で来るか。この辺、さすがに年の功と言うべきだろうな。

 

「さて、その辺については俺も詳しくは知らないな。完全に想定外の出来事だったからな。だが、詳しい事情を聞いてからどのような対応をするのか決める事になるだろう」

『……この件については上層部に報告せざるを得ない。そう思ってくれ』

「だろうな。それについてはしょうがない。何もこの件を隠し通せとは言わないさ。そっちはそっちで適切な対応をすればいい。こっちもイスルギ重工を通してそちらに対応させてもらう」

『ぐっ、了解した!』

 

 不機嫌そうに怒鳴り、通信回線を切るカイ。

 既に何も映っていない通信モニタを見て、思わず溜息を吐く。

 またミツコに骨を折って貰うことになりそうだな。しょうがない、取引材料としてハロウィン・プランのデータ辺りを提供するか。以前約束した転移札に関してもまだ渡してなかったしな。

 ……何だかんだ言いつつも、向こうに手間を掛けさせてどんどんこっちの手札が減っていっている気がする。まぁ、ある程度はしょうがないんだが。

 再び溜息を吐き、こちらへと視線を向けている艦長に声を掛ける。

 

「スレイが帰還したら俺の部屋に寄こしてくれ。オウカとフィリオ・プレスティの2人も一緒にな」

「……よろしいんですか? 今回の件、私としてもイスルギ重工の方に報告せざるを得ないんですが」

「だろうな、その辺はしょうがない。こっちからも一応上の方には報告するが、そっちはそっちで報告してくれて構わない」

 

 本人は何も言っていないが、当然俺達の情報について調べるという目的もあるのだろう。グロウセイヴァーを俺がどこからともなく用意した件についても疑問に思っているのは間違い無いだろうし。それでもそれを尋ねてこないのは、色々と踏み込むのは危険だと認識しているからか。

 

「申し訳ありませんね」

 

 そう謝りながら頭を下げてくる艦長に小さく首を振って、ブリッジを出て行く。

 

「スレイが戻って来たらさっき言ったように俺の部屋に通してくれ」

 

 そう言い残し。

 さて、とにかくバルトール事件が一先ず終了し、代わりにソーディアンとデュミナスが現れた。OG外伝としての話も中盤に近くなってきたといった所か。

 次に動きがあるまで、確かある程度の時間はあった筈だ。その間にこっちも色々と準備を整えないといけないな。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

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