転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0508話

 宇宙に出る時にも使ったインドネシア諸島の宇宙ポート。現在俺達一行はそこにシャトルで降り立っていた。本来であればスムーズに日本まで移動出来たはずだったのだが、生憎と時期が悪かった。……まぁ、宇宙にヘルゲートやソーディアンなんて物が現れれば混乱するのもやむを得ないと言えばそれまでなんだが。

 いや、ヘルゲートの場合は元からあったのがステルスシェードを解除しただけなんだから実質的に増えたのはソーディアンだけか。

 

「それで、アクセル。これからどうするのだ?」

 

 シャトルの中でスレイが尋ねてくる。スレイとしては一刻も早くフィリオをホワイトスターへと連れて行き、病気の治療を開始して欲しいのだろう。

 

「そうだな、ならすぐに向かうか。……その前に」

 

 スレイの隣に座っているフィリオへと視線を向ける。

 その視線の意味を理解したのだろう。小さく頷いて口を開く。

 

「ああ、分かっている。君達の本拠地がどこにあるのかを知らせない為に僕の目と耳を塞ぐんだろう? やってくれ」

「いい覚悟だ。じゃあ早速」

 

 そう言いつつ、ペレグリン級を出発する時に受け取ってきたアイマスクとガムテープを取り出してフィリオに装着していく。まずはアイマスクを顔へと付けて、次に手を後ろ手に組ませて手首をガムテープで同じく固定する。ガムテープも何重にも巻き付ければ、普通の人間にはそれを力ずくでどうこうは出来ないお手軽な拘束具だったりする。

 

「よし、カリオンは……戦闘機だからフィリオを乗せる余裕は無いか。俺の機体とムラタの機体、オウカのヒュッケバインMk-Ⅱどれに乗りたい?」

「そうだな。ガーリオン・カスタムに関しては色々と知ってるから、どうせならあのグロウセイヴァーという機体に乗ってみたいな。ヒュッケバインMk-Ⅱも捨てがたいけど」

「……ああ、そうだな」

 

 そうか、そう言えばヘルゲート攻略戦で使った俺の機体はグロウセイヴァーだったから、このシャトルに積んであるのもグロウセイヴァーだと思い込んでいるのは仕方ないのか。格納庫で会った時には既にシャトルに積み込みが終わっていたしな。

 その言葉を聞いてからフィリオに耳栓を装着してガムテープでアイマスクごと固定する。

 

「よし、じゃあ早速移動するぞ」

 

 俺のその言葉に従い、ムラタとスレイ、オウカがシャトルの格納庫へと向かう。

 ちなみにフィリオはスレイが連れて行った。そして格納庫へと到着すると……

 

「え? アクセル大尉? この……」

 

 この機体は、と言葉を続けそうだったオウカの口を手で塞ぐ。

 

「ん? んーーーーっ!?」

 

 何故か顔を赤くしているオウカだったが、その耳元で囁く。

 

「機体に関しては、後で俺達の本拠地に行く時に教えてやるから今は黙っててくれ」

 

 顔を真っ赤にしながらコクコクと頷くオウカを見て、その手を離す。

 一応フィリオに耳栓をしているとは言っても、知られる可能性は少ない方がいいからな。

 そのままそれぞれの機体に乗り込み――フィリオはミロンガの空きスペースに何とか押し込んだ――インドネシア諸島の宇宙ポートを出発する。

 ここでもイスルギ重工所属というのは効き目抜群だった。何しろソーディアンの件で今はどこも混乱しているからな。

 

 

 

 

 

 ミロンガと無明はASRSを展開し、ヒュッケバインMk-Ⅱとカリオンは素のままでゲートを展開している山中の倉庫へと到着する。インドネシアから直接日本に向かってきたので極東基地辺りからスクランブルでも掛けられるかと思ったのだが、こちらもイスルギ重工のネームバリューは効果が抜群だったらしい。……確か今の極東基地はタカ派の急先鋒とも言えるケネスが仕切っている筈だ。そのイスルギ重工を嫌っているケネスに対しても影響力があるのだから、イスルギ重工の……と言うよりも、ミツコの連邦軍や連邦政府への影響力がどれ程のものなのか分かる。

 

「アクセル大尉、ここは?」

「大尉じゃないって言ってるだろ。そう言えばシャトルの時も大尉と呼んでいたな」

「す、すいません。つい癖で……アクセル、さん」

 

 まだ慣れないのだろう。頬を赤くしながら俺の名前を呼んでくるオウカ。そして何故かジト目で俺へと視線を向けてくるスレイ。

 

「まぁ、追々慣れていけばいい。この倉庫には……いや、その前にこれを見せるのが先か」

 

 ゲートを説明する前にオウカの隣に行き、その隣に立っているヒュッケバインMk-Ⅱの脚の装甲へと手を触れる。そして……

 

「収納」

 

 俺がそう呟いた次の瞬間、ヒュッケバインMk-Ⅱがたった今までここにあったのが幻であったかのようにその姿を消していた。

 

「……え?」

 

 何が起きたのか理解出来ていないオウカをそのままに、無明、カリオン、ミロンガの3機も空間倉庫へと収納する。

 

「え? アクセル大尉、じゃなくてアクセルさん。今のは……私達の機体は?」

 

 スレイに支えられているフィリオの方へと視線を向け、アイマスクや耳栓のおかげで何が起きているのか全く理解していないのを確認してから再び指をパチンッと鳴らす。

 同時に空間倉庫が展開し、缶紅茶を取り出してオウカへと放る。

 

「あ、ありがとうございます。……え? 冷たい?」

 

 冷えている缶の紅茶に驚きの表情を浮かべるオウカへ。

 その状態を見ながら口を開く。

 

「空間倉庫。まぁ、俺が持っている能力のうちの1つだ。内容としてはそのまま別空間を倉庫代わりに使用出来る」

「……能力の1つという事は、他にも能力があるんですか?」

「何!?」

 

 ふと漏れたオウカの言葉に、スレイが驚きの声を上げて俺の方へと視線を向けてくる。

 そうか、そう言えばスレイは魔法についてとかは知らなかったか。ムラタはその身で魔法やら気やらの洗礼を受けているが。

 

「そうだな。他にも色々とあるが……まぁ、それは近い内に教える事になるだろう」

「分かりました。きちんとシャドウミラーの人の信頼を得たら教えるという事ですね?」

 

 いや、そこまで厳格に決めてる訳じゃないんだがな。まぁ、本人がそれで納得するのならそれでもいいのだろう。

 

「さて、詳しい話は本拠地に戻ってからだ。行くぞ。……あぁ、お前達はこのまま警備を続けていろ」

「了解しました」

 

 確認の為に姿を現した量産型Wへとそう命じ、倉庫の中へと入っていく。

 尚、フィリオに関してはスレイが肩を掴んで一緒に歩いている。スレイ本人としてはフィリオの扱いに不満があるのだろうが、かと言ってまだ完全にシャドウミラーに所属すると決めた訳でもないので文句を言えないといった感じか。

 そんな状態で倉庫の中に入ると、まず一番最初に目に入ったのは3m程の大きさの機械の塊だった。……いや、正確に言えばこの倉庫の中にあるのは機械の塊であるゲートだけだというのが正解なんだが。

 

「アクセルさん、あの機械は?」

「俺達の本拠地に向かう為の転移装置だな」

「っ!? 転移装置ですか!? いえ、そう驚くような事でも無いのかもしれませんね。確かにシャドウミラーでは転移装置を実用化していたのですから、量産するのもそう難しくはないでしょう」

 

 納得するオウカ、無言で佇むムラタ、目と耳を封じられているフィリオ。そのフィリオの補助をしているスレイ。その4人へと視線を向けてからゲートシステムのスイッチを入れる。そして生成される光の繭が俺達全員を包み込む。

 

「ア、アクセルさん。これは一体!?」

 

 初めて見る現象に戸惑ったような声を上げるオウカ。それに答えたのは俺ではなくスレイだった。

 

「安心しろ。これは転移フィールドだ。すぐに転移が完了する」

「転移フィールド、ですか。……分かりました」

 

 ハガネから脱出する時に一緒だったのが影響しているのか、スレイの言葉を聞き安堵するオウカ。そして次の瞬間ゲートシステムが起動し、転移フィールドごと俺達はホワイトスターの中へと転移が完了しているのだった。

 

「……ここが、シャドウミラーの本拠地ですか。どこかの要塞……でしょうか?」

 

 周囲を見回すオウカの方へと振り返り、笑みを浮かべながら口を開く。

 

「さて、オウカ。ようこそシャドウミラーの本拠地、ホワイトスターへ。俺達はお前を歓迎する」

「……え? ホワイトスター……ホワイトスター!? アクセル大尉、ここがホワイトスターって本当ですか!?」

 

 興奮しているオウカの口調は、再び俺を大尉と呼んでいるが……まぁ、この辺はいずれ慣れるまでもう少し掛かるんだろうな。

 

「ああ。ここがホワイトスターだというのは間違い無い。オウカ、お前も教導隊に所属していたのならその名前くらいは聞いた覚えがある筈だ」

「当然です! だってこれは……エアロゲイターの!」

「そうだな。エアロゲイターが地球に攻めてきた時に使った要塞だ。それを最後の最後で俺が奪った訳だ」

「奪ったって……どうやってですか?」

 

 今だ混乱しつつも尋ねてくるオウカに、再び空間倉庫を展開する。

 

「これでだ。この空間倉庫は収納出来る大きさに制限がない。……まぁ、生き物を収納出来ないという制限はあるがな」

「そんな、これ程の大きさの物を収納したというのですか……?」

「ああ。もちろんこれ程の大きさの物を収納したのは後にも先にもこのホワイトスターだけだがな」

 

 次点ではジェネシスの本体の方だが、純粋な大きさや質量と言う意味ではホワイトスターの方が圧倒的に上だろう。

 

「ちなみについでに教えておくと……ここがどこだか分かるか?」

「え? そう言えば確かにホワイトスター程の移動要塞が見つかったという話は聞きませんが……ヘルゲートのようにステルスシェードを張っているんでしょうか?」

「いや、残念ながら違うな。そう言えばインスペクター事件の時に俺達とアインスト空間で分かれたが、あれからどうなったか教えてなかったな?」

「え? ええ、確かにそうですが……何を急に?」

 

 突然話題を変えたのに戸惑ったような視線を向けてくるオウカ。

 

「その答えがここだよ。正確に言えば、このホワイトスターが今ある空間。即ち、次元の狭間だ」

「……ほ、本当ですか?」

「ああ。俺がお前に嘘をつく筈が……」

 

 そこまで告げ、自分のこれまでの言動を思い起こし。

 

「いや、今の所は嘘をつく必要は無いというのが正しいか」

 

 苦笑を浮かべてそう告げるのだった。

 

「アクセル、話はそのくらいにしてとにかく兄様を……」

 

 俺とオウカの会話を聞いていたスレイがそう声を掛けてくる。

 そうだな、いつまでも目と耳を塞いだ状態のままって訳にはいかないか。

 

「分かった。もうフィリオを自由にしてもいいぞ。ただし、ここがホワイトスターであるというのは決して口にしないようにな」

 

 俺のその言葉に全員が頷き、スレイがフィリオから耳栓やアイマスク、手首を固定していたガムテープを外していく。

 その様子を見ながら量産型Wを呼び、レモンとの連絡を取らせる。

 

『あら、アクセル。お帰りなさい。こっちに戻って来たって事は一段落付いたのかしら?』

「ああ。大体の件は片付いた。それで予定通りにフィリオを連れてきたから、病気の治療について話してくれないか?」

『ええ、構わないわよ。なら丁度いいわ。今ブルーコスモスから救出した子達の治療をしている所なのよ。私の研究室に来て頂戴』

「助かる」

『じゃ、待ってるわね』

 

 レモンのその声と同時に通信が切れ、量産型Wにエアカーを持ってくるように伝えてから物珍しそうに周囲を見回しているフィリオへと近付いていく。

 

「アクセル・アルマー、ここが君達シャドウミラーの本拠地なのかい?」

「ああ。どこにあるかとか、あるいはこの本拠地の名称とかはまだ聞くなよ? それ等に関しては、お前がシャドウミラーに所属すると納得したら教える事になる」

「もちろん分かっているよ。僕にしてもこの病を治療してくれる可能性があるというのに君達を怒らせるつもりはないしね」

 

 フィリオが頷きながらそう返す。それを見てスレイが嬉しそうに笑みを浮かべているのを珍しそうに眺めていると、何故か睨まれる。

 ……俺が悪いのか?

 

「アクセル隊長、お待たせしました」

 

 そんな風に思っているとエアカーを持ってきた量産型Wが声を掛けてきた。

 

「よし。じゃあ早速行くか。丁度今レモンが治療しているらしいからタイミングもいいしな。……オウカ、ムラタ。お前達はどうする? わざわざ治療に付いてきても暇だろう?」

「そうだな。なら俺はここを見て回ろう。この前来た時にはそれどころではなかったからな」

 

 ムラタがそう言い、量産型Wにエアカーを運転させて転移区画を出て行き。

 

「……いえ、家族の病気の話に部外者の私が加わるのはやめておいた方がいいでしょう。申し訳ありませんが私も少しこの辺を見て回りたいと思います」

「そうか。何か用事があったら量産型Wに聞けば大体何とかなるだろう」

「はい、ありがとうございます」

 

 ペコリと頭を下げ、オウカもまた量産型Wの運転するエアカーに乗って去っていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

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