転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0513話

 ムラタ、スレイ、フィリオ、オウカの4人をシャドウミラーの全員に紹介した翌日。早速魔法球を体験してみたいと言ってきたスレイ、フィリオ、オウカの3人を引き連れた俺達の姿は魔法区画にあった。

 一応ムラタにも来るかどうか通信で聞いてみたのだが、エヴァの言っていた不老化処置が完了してから利用させて貰うと断られた。まぁ、40代のムラタにしてみれば魔法球で修行をするとより老化を早める結果になるだろうからな。もしエヴァの不老処置がないのなら諦めて現状の魔法球を使っていたかもしれないが。

 

「へぇ、ここが魔法区画か。……でもその割には何と言うか、かなり寂しいね」

 

 魔法区画を見回し、フィリオが呟く。まぁ、それもしょうがないだろう。戦艦すら入れるような広さの区画なのに、その中央に魔法球が1つだけポツンと置かれているのだから。

 

「ここが広いのは、魔法球の中に機体とかを運び入れる為だな。本当に魔法球だけならそれこそ普通の部屋で十分間に合うし」

「ああ、そう言えば技術部の人が中に入り浸ってるって話だったね。まぁ、確かに外の1時間で48時間も研究出来るのなら研究者や科学者にとってはこの上ない環境だしね」

「そう言う事だ。だからこそ今回のような問題も出て来たんだがな。ほら、中に入るぞ。一応3人とも俺の肩にでも触っていてくれ」

「あ、ああ」

「はい」

「うん、分かった」

 

 スレイ、オウカ、フィリオが俺の肩に触れ、そのまま俺が魔法球へと接触し……次の瞬間には俺達の姿は魔法球の中にあった。

 一瞬で周囲の景色が変わったのに驚いたのか、周囲を見回す3人。周囲の様子が変わるのはフィリオ以外はゲートで経験済みだろうに。いや、この魔法球の中はSEED世界から持ってきた無人島がそのままあるから無理もないのか。

 

「これは……どこかの島?」

「ああ。俺達がゲートを設置して入り口を固定しているSEED世界という場所にある無人島をそのまま持ってきた」

「持ってきたって……そんな真似もしていたのか、お前は」

 

 周囲の景色を見ていたスレイが、思わずといった感じに尋ねてくる。

 

「別に盗んできた訳じゃないぞ。普通にシャドウミラー……と言うか、俺の名義になっている無人島を使ったまでだ」

「……異世界なのにお前の名義なのか?」

「SEED世界というのは、今の所一番俺達シャドウミラーと交流が進んでいてな。そこのオーブという国とは同盟関係を結んでいる。まぁ、色々と細かい事情があるんだが、それを知りたかったら後で誰か他の奴にでも聞いてくれ」

 

 ただ、考えてみればSEED世界で俺達が戦ったのって、ある意味だとヴィンデルの目的だった異世界へ戦争を広げるという目的に微妙にあっていたりするんだよな。その辺、勘違いされないといいんだが。

 

「取りあえず俺が収納している機体をレモンに渡す必要もあるから、技術班と合流するぞ」

「あ、はい。分かりました」

 

 オウカが頷き、皆を連れて別荘へと向かい……そこを通り過ぎて科学の要塞と化している研究所の方へと向かう。

 

「これは、凄いな。別荘がこれでもかとばかりに違和感しか発していない」

 

 別荘の奥にある研究所やら何やらを見ながら思わずスレイが呟くが、まぁ、ここを使っていればそのうち慣れるだろう。

 

「アクセル、ようやく来たのね」

 

 研究所で俺達を出迎えたのは、ある意味でここを占拠している技術班達を率いるレモンだった。

 

「待たせたか?」

「そうね。でも、こっちはいくら時間があっても足りないんだし……特にアクセルの機体に関しては色々とオーバースペックでこれまでの技術の集大成と言ってもいい機体ですからね」

「だろうな」

 

 話を聞いた限りでも俺が提案したT-LINKフレームやヒュドラ。それにトロニウム・エンジン。その他色々とこれまで使った事のない技術や、ここで開発された技術の集大成なのだ。グロウセイヴァーで使われていた時流エンジン等に関してもより高性能、小型化しているらしいし。

 

「じゃあ、ちょっと皆を集めるからこの前ヒュッケバインMK-Ⅲを見せた所に行ってて」

「了解」

 

 レモンの言葉に頷き、3人の方を振り向き……何故か表情を固めているフィリオを目にする。

 

「どうした?」

「……今、ヒュッケバインMK-Ⅲと言ったのかい?」

 

 あぁ、そうか。俺達がオルレアン研究所を襲撃したというのはまだ話してなかったか。

 

「兄様?」

 

 その辺の事情にはあまり詳しくないのだろう。スレイが不思議そうに俺とフィリオへと視線を向けている。

 

「君達……正確には、君とムラタがテスラ研を襲撃したのはヘルゲートの時に色々と話を聞いて知っている。でも、まさかオルレアン研究所を襲ってヒュッケバインMK-Ⅲを盗み出したのが君だったとは……」

「否定はしない。ついでに、今レモンが技術班の者達を集めているのはヘルゲート突入前に侵入したマオ社から奪って来たブラックホールエンジンのデータや、小型化された実物を技術班に引き渡す為だ」

「マオ社にまで!?」

「ああ。確か以前言ったな? 俺達は別に正義の味方でも何でも無いと」

「それはそうだけど……」

「安心しろ、施設の破壊はともかく死人や怪我人は出ていない筈だ。まぁ、そうは言っても納得しにくいだろうがな。だが、俺達シャドウミラーは元々世界に反旗を翻した組織だ。いくらヴィンデルが死んで率いているのが俺になったからと言っても、その程度の事は予想していた筈だろう?」

「……」

「フィリオ、お前がこう言う荒事を嫌っているのは俺も理解している。だが、そんな組織だと承知の上でお前はシャドウミラーに所属したんじゃないのか?」

「兄様……」

 

 沈黙を守るフィリオに、スレイが心配そうに声を掛ける。

 何しろ、魔法やゲート、異世界間との交流のように既にシャドウミラーのかなり機密の高い情報を知っているのだ。現在のこの状況で、もしシャドウミラーに協力をしたくないと言うのなら治療に関しても再考せざるを得ないし、最悪の場合は命を奪う必要も出て来るだろう。個人的にはそんな真似はしたくないが、だからと言ってシャドウミラーの秘密を持っている者を野放しにする訳にもいかない。

 

「そうだね、そうだった。確かに君達はそう言う性格の組織でもあったんだね」

「……どうする? シャドウミラーとしてやっていけそうか?」

 

 踏み絵。もしこれでシャドウミラーとしてやっていけないと言うのなら、悪いがこちらとしても手を打たないといけない。

 そんな風に思っての質問だったのだが、幸いなことにフィリオは小さく頷く。

 

「ああ、もちろんだ。僕には夢がある。何としても叶えたい夢が。その夢の為に清濁併せのむ気概はあるつもりだ。……AMの開発しかり、テスラ・ドライブの小型化しかり、ね」

 

 決意を込めた目で頷くフィリオ。

 

「兄様!」

 

 スレイもまた、笑みを浮かべてフィリオに駆け寄る。

 その様子を見ながら、オウカの方へも視線を向けるが、オウカは何も言わなくても分かっているとばかりに小さく頷く。

 まぁ、オウカの場合はアースクレイドルで俺達と多少ではあるが行動を共にしているし、インスペクター事件の終盤にはある意味で俺達に裏切られもした。それでも尚ここまで恩を感じてくれるんだから、文句は言えないよな。

 オウカに感謝の意味も込めて微笑み返し――何故かそれを見たオウカが頬を赤くしていたが――口を開く。

 

「さて、じゃあレモン達が待ってる場所に向かうぞ」

「はい」

 

 オウカがまだ頬が赤いながらも笑みを浮かべて頷き、フィリオとスレイの2人も同様に頷くのを見てヒュッケバインMK-Ⅲを空間倉庫から出した場所。すなわち隔離地区にあるA-3ハンガーへと向かう。

 

「……何故ここのハンガーは別荘や他の研究所から離れてるんだい?」

 

 ハンガーへと向かっている途中でフィリオがそう尋ねてくるが、そもそもこの隔離地区を作ったのは俺じゃなくて全てレモンを始めとした技術班がやった事だ。それを俺に聞かれてもな。

 

「普通に考えれば危険な実験や開発、研究をする為だろうな。いざ何かが起きた時に被害が他の研究室に及ばないように」

「……そう言う危ない研究もしてるのか」

「トロニウムとか魔法についてとかそんな感じだな」

 

 そんな風に会話をしていると、やがてA-3ハンガーへと辿り着く。

 そして中に入ると……

 

「あれ?」

「あら、どうしたの?」

 

 中で待っていたレモンがそう尋ねてくるが、技術班のメンバーが予想していたよりも少ない。3分の2程度か?

 

「いや、予想よりも技術班の人数が少なくてな」

「それはしょうがないわよ。何しろアクセルの新型機もそろそろ本格的に追い込みに掛かって来ているし、重力関係についてはヒュッケバインMK-Ⅲのグラビコン・システム、グラビトン・ランチャー、それとテスラ・ドライブに関してもそれなりに使われている技術だから、トロニウムの時のような騒ぎにはならないわ。一応、それらの技術を研究して、それなりに重力関係の技術を蓄積させていってはいるしね」

「……もしかして、俺がマオ社に忍び込んでデータやらブラックホールエンジンの実物やらを入手してきたのは全くの無駄足だったとかか?」

 

 あそこまで苦労して忍び込んだというのに、実は無駄足でしたとかになったら暫く立ち直れないぞ。

 そんな風に内心落ち込んでいたが、レモンは小さく首を振る。

 

「無駄足って訳じゃないわよ。それどころか非常に助かるわ。何しろ重力関係の技術を蓄積していっていると言っても、あくまでもそれは機体の補助システムや武器に使われている技術を通しての蓄積ですもの。動力炉としてのブラックホールエンジンの実物やデータがあって困る事はないわ。と言うよりも、無いと困るわね。もちろんシャドウミラーの技術班が総出で掛かれば、いずれはブラックホールエンジンを開発出来るでしょう。けど何も無い場所から作るよりも、実物があった方がより早く、洗練された物を作れるのよ」

「ほ、ほら。アクセルさん。レモンさんもこう言ってますし。アクセルさんのやった事は無駄じゃなかったんですよ」

 

 オウカが励ますようにそう言ってくる。

 まぁ、その表情がどこか微妙なのはやはり教導隊として協力関係にあったマオ社に忍び込んだというのが理由だろう。

 

「あらあら、若い子に慰めて貰って羨ましいわね」

 

 レモンの隣にいたマリューが笑みを浮かべつつそう声を掛けてきた。

 口ではどこか拗ねたような感じだが、その目にはからかいの色がある。

 

「あー……とにかくだ」

 

 溜息を吐き、脳裏に空間倉庫のリストを展開。ブラックホールエンジンの実物と各種データの入ったディスクを取り出す。ついでにハッキングプログラムの入っているディスクもだ。

 色々と言ってはいたものの、それでもやはりブラックホールエンジンの実物を見れば技術者として興味が湧くのだろう。俺が出した実物を見て歓声の声を上げる技術班の面々。

 

「はいはい、それじゃあ早速作業を始めるわよ。まずアクセルが持ってきたデータの解析に5人、実物の方の解析と検証に10人。それぞれ分かれて、早速作業を開始して頂戴」

 

 パンパンと手を叩きながらレモンが指示を出すと、さすが技術班を仕切っているレモンと言うべきか、それぞれが素早く作業へと入っていく。

 いやまぁ、指示に従うというのもあるだろうが、やっぱり一番の理由としてはブラックホールエンジンそのものに興味があるんだろうな。持ってきた実物はマオ社の最新型だし、データの方にはこれまでマオ社が設計してきたブラックホールエンジンの各種データが揃っているし。

 

「フィリオ、もし良かったら貴方も技術班の最初の仕事としてブラックホールエンジンの解析に協力して貰えるかしら?」

「うーん、今日はこの魔法球の中を見学するだけだったつもりなんだけど……でもまぁ、確かにこれからの同僚達と一緒に仕事をしておくのもいいかもしれないね。じゃあお手伝いさせて貰おうかな」

 

 フィリオはそう言い、まるで親の後を付いていくカルガモの子供のようにクレーンで運ばれていくブラックホールエンジンの後を付いていく技術班のメンバーの方へと向かっていく。

 

「兄様……」

「スレイ、僕はここで少し彼等と一緒に作業をしていくよ。君は君で好きに過ごすといい」

 

 フィリオもやはり技術者という事なのだろう。マオ社の中でも最重要機密であるブラックホールエンジンについての解析とあって、好奇心を我慢出来ないように技術班のメンバーを追いかけていった。

 

「さて、ブラックホールエンジンはこれでいいとして。新型機の作業状況についてだけど……」

 

 そんなフィリオを見送り、レモンとマリューは話を次に進めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

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