転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0514話

 ブラックホールエンジンの実物とデータを渡し、技術班の面々とフィリオが去って行った隔離地区にあるA-3ハンガー。そこには現在、俺、レモン、マリュー、オウカ、スレイの5人だけが残っていた。

 

「で、新型機……の前にだ。俺達が使っていた機体のオーバーホール、それとオウカがヒュッケバインMk-Ⅱをハガネから持ってきてくれたから解析やデータの吸い出しを頼む」

 

 脳裏に空間倉庫のリストを展開し、ミロンガ、カリオン、無明。そしてヒュッケバインMk-Ⅱを取り出していく。

 

「うーん、一応解析には回すけど……ヒュッケバインMK-Ⅲがある以上、目新しい技術とかは無いと思うわよ?」

「純粋な機体性能に関しては目新しい技術は使われていないだろうが、武器に関しては違うだろう? G・インパクトキャノンはグラビトン・ランチャーと同等……いや、それ以上の性能は持っているだろうし、チャクラム・シューターなんかはヒュッケバインMK-Ⅲの方には無かった筈だ」

「なるほど。確かに武器に関しては解析する価値があるかもしれないわね。けど人手が……マリュー、誰か手の空いている人いる?」

「そう、ね。マードック曹長に任せてみたらどうかしら? シャドウミラーに来てから熱心に勉強をしていたみたいだし、それなりに何とかなると思うわ。一応、何かあった時の為に保険として技術班から1人出してもらって」

 

 マリューの提案に数秒程考えたレモンだったが、やがて小さく頷く。

 

「分かったわ。マリューの案でいきましょう。確かに重力関係の技術を蓄積するのにサンプルは多い方がいいのは確かだし。あぁ、そうそう。アクセル、グロウセイヴァーも出して頂戴。T-LINKシステム関係のデータやファントムの運用データ、それと新型機に使うランツェ・カノーネの取り外しとか色々とあるしね」

「そうだな、頼む。これまで俺を幾度となく救ってきてくれた機体だ。最後までしっかりと扱ってやってくれ」

「もちろん。何しろアクセルを守ってきた機体だもの、粗末にはしないわよ」

 

 レモンが笑みを浮かべて頷くのを見ながら、空間倉庫からグロウセイヴァーを取り出す。

 

「……アクセルさんが新型機に乗り換えるというのは分かりましたが、この機体はこれからどうするんですか?」

 

 そんなオウカの質問に、レモンは小さく首を振る。

 

「オウカの言いたい事も何となく分かるけど、グロウセイヴァーはこのまま技術班が保管するわ」

 

 レモンの言葉に意表を突かれたのだろう。思わずといった様子で尋ね返すオウカ。

 

「何故ですか? 私が知ってる限りでは、このグロウセイヴァー程高性能な機体は殆どありません。それ程のスペックを誇る機体をこのまま死蔵してしまうのはどうかと思いますけど」

「簡単な話よ。グロウセイヴァーは機体制御のかなりの部分にT-LINKシステムを使っているし、武器に関してもファントムやグレイプニルの糸と言った具合にT-LINKシステムを前提としているわ。そしてこのシャドウミラーでT-LINKシステムを採用している機体を扱えるのはアクセル1人。……私の言いたい事は分かって貰えたかしら」

「なるほど、そう言う理由があったんですか。確かに機体の大半にT-LINKシステムが使われているとなるとしょうがないかもしれませんね。出過ぎた事を言って申し訳ありません」

「いいのよ。グロウセイヴァーの性能を知ってる人がいたらそう思うのはしょうがないもの。技術班にだってそう思ってる人は多いわ。ねぇ、マリュー?」

「まぁ、ね。グロウセイヴァーの性能を知っていれば、少なからず思ってしまうのよ」

 

 この様子を見ると、マリューもまたオウカと同様にグロウセイヴァーをどうにか出来ないのか検討したのだろう。

 

「もちろんグロウセイヴァーで得たデータは貴重だし、十分以上に役に立っているのは間違い無いわ」

「そうですよね。レモンさん程の方がその辺を考えない筈がありませんか」

 

 それで話が一段落ついたのだろう。マリューがマードックを呼び出しに行き、その間に俺が臨時で使っていたミロンガへと視線を向けるレモン。

 

「外見は綺麗な物だけど……アクセルが操縦していたのを考えると、内部のオーバーホールは必要でしょうね。特に機体強度を犠牲にして運動性能を上げているこの機体だと、関節部分とかが酷い事になってそうね」

 

 レモンのその言葉に思わず苦笑を浮かべる。

 

「一応、その辺は注意して操縦してたんだけどな」

「アクセルの操縦技術を考えれば、機体が付いていけないのはしょうがないわよ。しかも今のアクセルなら操縦中に感じるGを無効化出来るようになってるだけ、余計に機体の疲労度が高くなるのよ」

「まぁ、一応その通りだとは言っておく。ただ、この機体に関しても恐らくは技術部行きだろうな」

「……機体強度の問題ですね?」

 

 実際にバルトール事件に遭遇しているだけに、ミロンガにしろバルトールにしろ、機体が抱えている問題については承知しているのだろう。こちらはグロウセイヴァーの時とは違って特に異論は無く頷くオウカ。

 

「そうだな。この機体の後継機でもあるバルトールとは幾度も戦ってきたが、運動性はともかく防御力と言う意味では致命的だ。何しろ攻撃力がそれ程高くないカリオンでも容易に撃破出来る程度の装甲だからな」

「ODEシステム、とか言ったかしら。あらましについては昨日アクセルから聞いたけど、生体コアの入っている機体はともかく、他の殆どが無人機だからこその思い切った設計なんでしょうね。けど、その機体特性故に有人機には向いてないと思うわ。それこそアクセルみたいに規格外の存在でもなければね」

 

 ミロンガの装甲を触りながら呟くレモン。

 まぁ、確かに俺の場合は魔力や気といったものが付加されていない攻撃は効果がないし、宇宙空間で撃破されようとも全く問題無く生還できるからこそミロンガに乗れるというのは間違い無いだろうが。

 

「少なくても私ならシャドウミラーのメンバーを乗せようとは思わないわ。機体も独自設計が多すぎて専用の武装じゃない物を使うには色々と手を加えないといけないし。そこまでする程この機体に魅力があるかと言われれば答はNoね」

「ふむ、確かシャドウミラーでは兵士の大半を量産型Wで補っていたと思うが……そっちも無理なのか?」

 

 スレイの質問に頷くレモン。

 

「そうね。確かに量産型Wならこの機体に乗れるかもしれないわ。けど、結局この機体は1機しかないのよ? それなら他の機体と連携を取れる量産機に乗せた方がいいと思うわ。量産するにしても、総合的な性能で見ればエルアインスや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの方が上でしょうし。特に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに関して言えばハロウィン・プランのデータのおかげでエルアインス以上の性能を持つ機体にバージョンアップする事になるでしょうね」

「まぁ、そうだろうな。……ミロンガに関してはこの辺にしてだ。俺の新型機についての開発はどの程度進んでいるんだ?」

「機体のフレームは7割程完成って所かしら。何しろ、ブラックホールエンジンの開発はこれから進める訳だし、T-LINKフライトシステムと組み合わせるテスラ・ドライブにしてもフィリオに新たに設計させるんでしょう? その辺を組み込むスペースも考えると、先にフレームの組み立てを進める訳にもいかないのよ。トロニウム・エンジンに関してはそれなりに成果は出てるけど。だから今はその2つが完成するまでに他のパーツを作りあげている所ね。ASRSとミラージュコロイドの2つのシステムを1つにするのとかは既存の技術同士の融合だからそれ程手間は掛かってないけど。今苦労しているのはNジャマーね。折角ザフトから入手した技術なんだし、核分裂の抑制に関しては意味が無いけど、通信を阻害する効果は面白いからそっちの方面に特化させた改良型、NジャマーⅡを現在開発中よ」

「……それは初耳なんだが」

 

 いや、色々と隠し球があるとは聞いていたが、Nジャマーを持ってくるとは思わなかった。予想外のシステムの登場に数秒程固まるが、すぐに頷く。

 確かに戦場の通信を妨害出来ると言うのは非常に大きい。特にシャドウミラーのような少数精鋭による一点突破を旨とする部隊にとってはありがたいシステムだ。核分裂反応を阻害する効果を切り捨てて通信阻害に特化するというのは、そう考えてみればありだろう。……核分裂反応の方については、少なくてもOGsの世界だと最低でも核融合ジェネレーターである以上はあっても意味が無いしな。

 

「だが、新型機が戦場に出ていると常に遠距離での通信が出来ないってのは困るぞ?」

 

 一応近距離での通信はNジャマー環境下でも可能だが、いざ何かあった時に遠距離での通信が出来ないというのは非常に痛い。

 そんな俺の言葉に、レモンはいつものように得意気な笑みを浮かべる。

 

「もちろんそんな片手間な真似はしないわよ。スイッチのON、OFFが出来るように設計されているから、その辺は安心して頂戴」

「そうか。なら安心だな」

「……ちょっといいか?」

 

 俺とレモンが笑みを浮かべて頷きあっていると、唐突にスレイが口を開く。

 どこか困ったような……と言うか、呆れたような表情を浮かべながら。

 

「その、NジャマーⅡとか言ったか。その技術は……話に聞いていた、別の世界で手に入れたものと思ってもいいのか?」

「そうね。ほら、マリューがいるでしょう? 彼女の世界で開発された技術よ。もっとも、元々は通信の阻害じゃなくて核を使えなくなるようにする為に開発されたものなんだけど」

「……他の世界には色々な技術があるものなのだな」

 

 しみじみと頷くスレイに、思わず顔を見合わせる俺とレモン。

 

「ちなみに、ヴィンデルから俺がシャドウミラーを引き継いだ後の、部隊としての目的はリュケイオスを使って未知の世界にある未知の技術を集めるって事になってたりするからな」

「そうね。そのおかげでアクセルの新型機には魔法を組み込めるようになったんだし」

「……魔法を新型機に組み込む、ですか。どんな機体になるのか全く予想出来ませんね」

「まぁ、それは完成した新型機を見てからのお楽しみという事にしておいて頂戴」

 

 オウカの言葉に意味あり気に微笑むレモン。

 その様子を見ながら、ふと気になった事を尋ねる。

 

「NジャマーⅡについては分かったが、そうなるとグロウセイヴァーで使われていたジャマーに関してはどうするんだ? NジャマーⅡと効果が被る以上は採用しないのか?」

 

 一応NジャマーⅡは精密誘導兵器の類を無効化する能力もあった筈だ。そう思って尋ねると、レモンは小さく首を振る。

 

「その方向性でも考えたんだけど、そうするとジャマーを使用している時には長距離通信も出来なくなるでしょう? どうにかしようと頑張ってはみたんだけど、最終的にはNジャマーⅡと通常のジャマーの両方をシステムに組み込む事になったわ」

「……本当に大丈夫なんだろうな?」

 

 これまでに聞いて来た数々のシステムやら特殊な装置やらが脳裏を過ぎる。

 そんな俺の疑問だったが、レモンは挑発的な笑みを浮かべるのみだ。

 

「シャドウミラーの技術班、それが本気を出して設計・開発した機体なのよ? その辺は安心して任せておきなさいな。ただ、ちょっと予定外の事もあったりするんですけどね」

「予定外の事?」

「ええ。アクセルが持ってきたハロウィン・プランのデータの中に入っていたゲシュペンスト・タイプRVの武器データの中にメガ・バスターキャノンというのがあったでしょう?」

「ああ、あったな」

 

 ゲシュペンスト・タイプRVの中では最強の威力を誇る武器だけに残っている印象も強い。

 

「その武器に関してなんだけど、データだとあの武器は本来ビームじゃないのよね。ただ、技術上の問題でビームになりそうなのよ」

「あー……まぁ、お前達が無理だと判断したのならそれでいいさ。威力自体は変わらないんだろう?」

「そうね。ビームにした分若干の仕様変更はあるけど、性能的にはむしろ向上している筈よ。本来の仕様だったのは弾数制だったのが、EN消費制になったおかげで動力の関係で基本的には弾切れが無くなったし。さらに威力も本来の物よりも多少上がったり、若干ではあるけど銃身が短くなったりとか」

「……なるほど。性能が上がったというのなら俺に取っては不都合はないな。その方向性で進めてくれ」

 

 メガ・バスターキャノンがビームになったとなると、ビーム用のバリア系統を持っている敵に対しては不利になるが……精神コマンドの直撃、アダマンハルパー。そしてグレートグランドマスターキーを使った魔法がある以上はそれなりに対処が可能だしな。

 その後も、色々と新型機に関しての話をしたり、あるいはスレイのカリオンをどうにか強化出来ないかの相談をしたり、オウカの乗ってきたヒュッケバインMK-Ⅱについての相談をしたりして時間が過ぎ去っていく。

 

「さて。気分転換も出来たし、そろそろ私も自分の仕事に戻るわ。……あぁ、そうそう。そろそろトリニティゲインからアギュイエウスを取り出すから空間倉庫から出しておいてくれる?」

「分かった。……トリニティゲインはアギュイエウスを抜いた後、どうする?」

「うーん、そうねぇ。これ程のスペックを誇る機体なんだからこのままにするってのは惜しいわね。グロウセイヴァーと違ってアクセルしか乗れない訳じゃないんだし」

 

 現在トリニティゲインが俺の専用機扱いをされているのは、純粋に搭載されているアギュイエウスが貴重だからだ。つまり、そのアギュイエウスを取ってしまえばトリニティゲインは誰にでも乗れる高性能特機でしかない。ただ、採用されている操縦システムがパイロットの動きをそのまま機体が追従するダイレクト・アクション・リンク・システムとパイロットの思考を機体の動きに反映するダイレクト・フィードバック・システムだと言うのが問題だ。つまり、トリニティゲインを使いこなすには生身での戦闘技術も相応に必要になるのだが……そう考えると、ネギま世界のメンバーが相性がいいのかもしれないな。次点でムラタといった所か? だが、ムラタをトリニティゲインのパイロットにする場合は機体の大きさの関係でシシオウブレードが使えないんだよな。

 

「パイロットの選出は後でも出来るから、それについてはまた今度考えましょ」

「了解」

 

 レモンの言葉に従い、トリニティゲインを空間倉庫から取り出す。

 

「……あぁ、話は変わるけどヒュッケバインMK-Ⅲに関してはトロニウム・エンジンの代わりにプラズマジェネレーターを動力部として入れ替えておいたわよ」

「そっちのパイロットも考えておかないとな」

 

 こうして、魔法球の中での1日は過ぎていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

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