転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0529話

「では、私達はこの辺で失礼します。帰還する時には連絡を下さい」

「ああ。イスルギ重工にはいつも世話になっているな」

「いえいえ。社長の指示に従っているだけですので」

 

 レイディバードのパイロットがそう言い、コックピットへと向かって行く。そして数分後には轟音を立てながら空の彼方へと去って行くのだった。

 俺が今いるのは既にお馴染みOGs世界。ただし周囲にあるのは無人島のみで、人影は一つもない。ミツコに頼んでその時間が衛星の範囲外になっている地域を用意して貰ったのだ。そこまで情報を秘匿して行う事。それは当然ニーズヘッグに慣れる為だ。

 魔法球でのお披露目から数日。その間も機体自体は色々と動かしていたが、武器の中でもグラビトン・ランチャーとメガ・バスターキャノンを使用した事は一切無かった。威力が高すぎる為に魔法球の中では使用出来ないし、かと言ってホワイトスターでも正直危険だと言われてはさすがにどうしようもない。

 ネギま世界ではそもそも人型機動兵器が存在していないし、ギアス世界はエリア11になっているので論外。残るはSEED世界かOGs世界のどちらかとなるのだが……最終的にはOGsの世界で訓練をする事になったのだった。理由としては、もしかしたら修羅辺りと遭遇出来るかもしれないからだ。そしてかなり確率は低いが、アルティスと遭遇出来る可能性を少しでも上げておきたいといった所か。

 

「……さて」

 

 レイディバードが俺の視界から消え去ったのを確認し、空間倉庫からニーズヘッグを取り出す。

 ニーズヘッグは俺の空間倉庫に入ってるんだから、別にレイディバードで送ってこなくても良かったんだけどな。それこそ、何か適当な送迎機で……あぁ、ミツコが俺の安全を重視して護衛としてガーリオン2機が乗り込んだレイディバードを出したのか?

 

「まぁ、その気持ちだけは有り難く受け取っておくとするかね」

 

 呟き、そのまま空を飛んでニーズヘッグのコックピットへと入る。その途端コックピットシートへと座った俺の念動力を感知して自動的にニーズヘッグが起動する。

 

「さて、まずは準備運動って所か。……ファントムッ!」

 

 前方のヒュドラが展開し、T-LINKシステムを通して俺の意志のままに8機ずつ計16機のファントムが射出され、そのままニーズヘッグの周辺を一糸乱れぬ動きで動き回る。

 そして次の瞬間には8機がビーム弾を。もう8機がビームソードを展開しながら無人島の上に存在している岩へと突撃し、数秒後には物理的にこの世界から消滅させた。

 

「ふむ。問題は無し、と」

 

 呟きファントムをヒュドラへと戻し、ヒュドラに装備されているT.T.ランチャーのトリガーを引く。

 T.T.ランチャーの銃口から放たれたビームは、T-LINKシステムにより増幅された俺の念動力を感じ取り、空中でカーブを描きながら海中へと命中。爆発を引き起こす。

 

「こっちもなかなかだな。……さて、ならそろそろ今日の本番と行くか」

 

 後ろのヒュドラに装備されているグラビトン・ランチャーの銃口を海へと向ける。そしてトリガーを引こうとしたその瞬間……

 

 ゾクリ。

 

「っ!?」

 

 咄嗟にトリガーから指を離して周囲の様子を窺う。

 今感じたのは、間違い無く念動力による悪寒だ。これまで幾度となく感じて来たのだから間違えようがない。だが、何だ? この何も無い無人島。あるいはこの周辺で何が起きている?

 そう思ったのはほんの数秒だった。T-LINKシステムを通じてナニカを感じ取る。

 それは俺のいる場所から大分距離があるものの、間違い無く危険なナニカであるのは間違い無い。

 

「……どうしたものか」

 

 普通に考えれば、まだ完全にニーズヘッグを使いこなしている訳でも無いというのに、念動力が感じ取ったナニカに首を突っ込むのは愚策以外の何ものでも無いだろう。少なくても純粋な軍人としての俺の判断はそうだ。だが、俺に警告を発している念動力は違う。そこへ行け。行かなければならない。むしろそんな焦燥感が俺の中で湧き上がっていた。

 自分自身の軍人としての判断か、あるいは俺の根幹と言ってもいい念動力か。どっちを信じるのかを迷ったのはほんの数秒。これまでの俺は数え切れない程に念動力によって命を救われてきたのだ。今更それを疑うような真似をするつもりはない。

 そしてそうと決まればやる事は単純だ。急いで機体の状態をチェックしていく。

 エネルギー残量は全く問題無し。いや、そもそも実弾兵器を積んでいない以上は消耗するとしたら装甲にダメージを受けた時とかだけなんだがな。

 

「よし、機体の状態もオールOK。なら後は行くだけだ。っと、その前にASRS起動だな」

 

 ASRSを起動し、ホワイトスターの中での習熟訓練しかしていないので、これだけはまだT-LINKシステム経由で上手くコントロール出来ないツイン・ドライブを徐々に開放していき、念動力でナニカを感じた方向へと機体を進める。

 そのツイン・ドライブによる加速で瞬く間にミロンガを越え、グロウセイヴァーすら越える速度を叩き出す。T-LINKフレームで構成された機体だからだろう。まるで自分自身が混沌精霊としての力で空を飛んでいるかのような感覚を俺へと与えてくれる。念動力で感じとったナニカさえなければいつまででも空を自由に飛んでいたい気分を何とか抑え、目標地点へと向かう。

 素のままであれば恐らく防空網に引っ掛かっていたのだろうが、現在のニーズヘッグはASRSを起動している。防空レーダーの類を無視してひたすらに移動し……やがてその存在が見えてくる。

 そして俺はそれを見て思わず驚愕の声を漏らす。

 

「アインストレジセイア、だと?」

 

 そこまで呟き、すぐにそれを否定する。

 現在ニーズヘッグのモニタに表示されているのは間違い無くレジセイアだろう。だが、アインストではない。そして俺はそんな存在を知っていた。ツェントル・プロジェクトに参加している科学者の1人、ミタール・ザパトが開発した自律型金属細胞であるラズムナニウム。それをアインストレジセイアに投与した結果誕生したアインストから外れた存在。即ち……

 

「イェッツトレジセイア」

 

 そしてそんなイェッツトレジセイアの周囲を囲むようにして量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改が2機に、通常の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが1機。そしてゲシュペンスト達と比べて2倍近い大きさを持つ猿型の機体、ウェンディゴ。これらの勢力が集まる場所は俺の原作知識に覚えがあった。

 

「つまりここがトーチカ1な訳か」

 

 溜息と共に言葉を吐き出し、既に戦域に突入した事もありASRSを解除して姿を現す。

 そう。本来の歴史であればインスペクター事件で死んだアクセル・アルマー。つまり俺がここに収容されていた筈の場所だ。そしてイェッツトレジセイアが暴走したのを止める為にソウルゲインに乗ってこいつや、後に出て来るデュミナスの部下でもあるティスと戦う事になるんだが……当然、今の俺がいるこの歴史の流れでは本来の歴史とは全く違う流れになっている。何しろ俺が俺としてここに存在している時点でそれは明らかだろう。そして本来はアクセルの中で再生していた筈のアルフィミィに至ってはどんな手段を使ったのかは分からないが、キョウスケやエクセレンと共に行動をしているのだから。

 ……それでも結局俺がこいつと遭遇する事になるとはな。

 イェッツトレジセイアを放って置く訳にはいかない。出来ればここで倒したいと言うのもあるが……このままここにいるとグランゾンとシュウが出て来るんだよな。どうしたものやら。

 

「……所属不明機に告げる。そちらの所属を明らかにせよ。こちらは地球連邦軍特殊作戦PT部隊クライ・ウルブズ隊長アルベロ・エスト少佐だ」

 

 イェッツトレジセイアを囲むようにしていた機体のうちの1機、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改からオープンチャンネルで尋ねられる。さて、どうしたものか。いや、既にミツコを通して俺達シャドウミラーの残党がイスルギ重工に協力をしているというのは地球連邦軍のグライエン・グラスマンに話を通している筈だ。

 まぁ、残党となった現在、以前よりも遥かに強力な戦力を揃えているというのは言ってないだろうが。

 なら正直に答えても問題無い、か。さすがにムウ・ラ・フラガと名乗る訳にもいかないしな。

 

「こちらアクセル・アルマー」

「……何?」

「親父っ! アクセル・アルマーって言えば確かシャドウミラーの!」

「ウルフ9、黙っていろ」

「けどっ!」

 

 ……この声は、スパロボMXの主人公であるヒューゴ・メディオじゃなくて、アルベロの息子、フォリア・エストの方か。

 

「シャドウミラーが何の用事だ?」

 

 フォリアを黙らせたアルベロの問いに、小さく首を振る。

 

「正確にはシャドウミラーの残党、だな。現在の所属は一応イスルギ重工って事になっている」

「イスルギ重工?」

「ああ。色々とこっちにも事情があってな。で、何でここに来たのかという事だが。見ての通り俺の乗っているこの機体は新型で、そのテストをしている時にここの騒ぎを感じ取って、気になって来てみた訳だ」

「感じ取った、だと?」

「この新型機はT-LINKシステムを積んでいるからな。そうしたらまさかアインスト……らしきものがいた訳だ。さて、じゃあ次は俺の質問だな。お前達のような存在がここにいる以上、大体予想は出来るが……あのアインストもどきは一体何だ?」

 

 ヒュドラの1枚を使い、じっと黙り込んでいるイェッツトレジセイアを指す。

 まぁ、ここがツェントル・プロジェクトの本拠地である以上はそうそう話すとも思えないが。

 

「こちらの事情に関して説明する気は無い。今現在、お前をどうこうするつもりはない。さっさと立ち去れ」

 

 やはりと言うか、当然と言うか。アルベロからは予想通りの言葉が返ってくる。

 

「残念だがそうはいかない。お前達はアインストの危険性を理解した上で奴を捕獲したのか? それも、あの様子を見る限りでは色々と後ろ暗い事を……ちぃっ!」

 

 T-LINKシステムを通じて、イェッツトレジセイアからの俺へ対する敵意を感じ取り、咄嗟にヒュドラのスラスターを使って瞬時に今までいた位置から移動する。すると次の瞬間イェッツトレジセイアの左腕から伸びている大量の触手がつい一瞬前までニーズヘッグのいた空間へと殺到していた。

 

「こいつ、俺を狙っているのか!?」

 

 何でだ? 基がアインストだというのなら、キョウスケ、エクセレンの2人が狙われるのは分かる。あるいは、原作のように俺の中にアルフィミィが眠っていたりしたらそれが原因の可能性もあるだろう。だが、何故今俺が狙われる? 単なる偶然か? あるいはその他の何か。まさか念動力を感知して何て事は……待て。もしかしてラズムナニウムを投与された結果性質が変化したとかじゃないだろうな。

 そんな風に考えている間にも、イェッツトレジセイアの左手から伸びている触手は縦横無尽に振るわれ、まるで鞭の如くニーズヘッグへと迫ってくる。

 くそっ、考えるのは後だ。とにかく今はこの状況に対応する。そして、鞭には鞭で対応させて貰おうか!

 

「アダマンハルパー、起動。ナイン・テールモード!」

 

 ニーズヘッグの手に巨大な大鎌が姿を現し、俺の言葉と共に9条の鞭へと姿を変える。

 

「集中!」

 

 同時に精神コマンドの集中を使用し、高まった集中力を使い、ヒュドラのスラスターで小刻みに動きつつ、ニーズヘッグへと向かって来る触手の群れの中を泳ぐように潜り抜けていく。そして。

 

「はぁっ!」

 

 俺の気合いの声と共に振るわれた9条の鞭が、イェッツトレジセイアの触手を当たった片端から切り裂いていった。

 アダマンハルパーで触手を一掃し、再生するまでの時間的猶予を作る。そして……

 

「待て、アクセル・アルマー。そいつは捕獲しろと命令されている」

「アインストの危険性を知らない者が、ほざくなぁっ!」

 

 アルベロの言葉を聞いた俺の脳裏に過ぎるのは、元々の世界で幾度となくぶつかったアインストに感染されたキョウスケ・ナンブ。そしてアインスト達のボスでもあるシュテルン・ノイレジセイアの巨大な姿だった。

 

「お前はここで仕留める!」

 

 アインストに感じている脅威が、あるいは俺とT-LINKフレームの親和性とでも呼ぶべきものを上げたのだろう。このトーチカ1に来るまでには調整するのに手間取っていたツイン・ドライブをそれなりに使いこなしてグロウセイヴァーが精神コマンドの加速を使った時と比べても尚高い加速性を発揮し、ニーズヘッグの7~8倍はありそうなその巨体の懐へと潜りこむ。

 

「拡散ビームのシャワーだ、存分に食らえ!」

 

 ニーズヘッグの腹部に装備されている拡散ビーム砲とついでとばかりに放たれた頭部に装備されている2門のビームバルカン。それ等がほぼゼロ距離と言ってもいい位置からイェッツトレジセイアの顔面と思しき場所へと向かって放たれたのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

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