転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0531話

 スパロボOGsの世界で警戒すべき相手。それが誰かを挙げろと言われれば、それこそたくさん挙げられるだろう。例えばイングラム、ビアン、アインストのシュテルン・ノイレジセイア。そして少し違うがセプタギン。それ等には多少劣るが、ウェンドロ。現在はSRXチームのメンバーでもあるレビ。そして今現在進行中のOG外伝で言えば修羅を率いる修羅王アルカイド、ダークブレイン。

 あるいは俺の知っているスパロボの中でもOGs、OG外伝には登場していなかったボスキャラ達。

 だがそれ等全ての中で最も警戒すべき相手を挙げろと言われれば、俺は間違い無くシュウ・シラカワを挙げるだろう。

 純粋に個人としての戦闘力で考えればまず間違い無く俺が上だ。それこそお遊び気分で戦っても勝てる程度には力の差が開いている筈だ。機体を使っての戦闘となれば恐らく互角か、あるいは若干俺が有利。だが直接的な戦闘能力ではなく、純粋に頭の出来で考えれば俺が圧倒的に負けている。

 そう、士官学校を主席で卒業した程度では本当の天才には勝てないというのを証明するように、だ。

 そしてその天才が自らの知識の粋を結集して作りあげた機体であるグランゾン。いや、グランゾンだけなら今の俺の機体でもあるニーズヘッグどころか、グロウセイヴァーでも勝つのはそう難しくはない。だが、これがネオ・グランゾンになってしまうと……

 さらにはシュウ本人が醸し出す得体の知れない雰囲気や不気味さは、マサキが敵視するのも分かるというものだ。何より現在のシュウはヴォルクルスによって操られているのだから尚更。そう、そんな相手が今俺の目の前にいるのだ。

 

「おや? この機体を知ってるとは……その機体の搭乗者はアクセル・アルマーですか」

 

 開きっぱなしだったオープンチャンネルで俺の声を聞いたのだろう。どこか興味深そうな口調でモニタ越しに俺へと視線を向けてくるシュウ。

 

「シュウ・シラカワとグランゾンを知らない奴はこの世界ではモグリだろうよ」

「……ふむ。実際にこうして貴方と直接会うのは初めてですが、シャドウミラーの幹部の1人だった人がどうしてこのような所に? シャドウミラーがまだ活動しているのですか?」

 

 ……ん? 俺の現在の状況を知らない? 確かこいつはミツコと繋がりがあった筈だが。

 一瞬そう考えるが、すぐに納得する。何しろミツコは鵬法璽で俺と契約をしているのだから、シャドウミラーの情報を流すような真似は出来なかったのだろう。

 

「何、ちょっと新型機のテスト中に奴を感じ取ってな」

 

 と、グランゾンがこの戦場に現れてから、何故か動きを止めているイェッツトレジセイアの方へとニーズヘッグの頭部を向ける。

 

「アクセル? この方はどなたですの?」

 

 そして刀を持ったままペルゼイン・リヒカイトが俺の隣へと降り立ち、アルフィミィが尋ねてくる。

 

「シュウ・シラカワだ。気になるのならこの戦闘が終わった後にお前の保護者にでも聞いてみろ」

「はぁ、シュウ・シラカワさんですの。アルフィミィと申します」

 

 どこかずれた様子で頭を下げるアルフィミィ。

 

「おや、これはご丁寧に。私は彼が紹介してくれたようにシュウ・シラカワといいます。貴方の事は少々気になっていたのですが……まさかこんな所で会えるとは思いませんでした」

 

 ……アルフィミィが気になっていた? 確かにアルフィミィはアインストの生き残りとしてある程度の価値はあるだろう。だが、何故シュウがそれを気に掛ける?

 そんな風に考えていると、不意に1人の老人が通信モニタに姿を現す。

 

『シーちゃん。久しぶりじゃの。そこのお嬢ちゃんではないが、こんな所で会えるとは思ってもいなかったぞい』

「……シーちゃんは止めて下さいと言った筈ですが、ワン博士」

 

 なるほど、この男がグランゾンの設計に噛んでいたというエリック・ワンか。

 そして2人が会話をした時。再び放たれる多数のビーム。

 

「あたいを無視してゴチャゴチャやってるんじゃないよっ!」

「ちぃっ! しかも相変わらず俺狙いか!」

 

 どうせなら俺じゃなくてグランゾンを狙えばいいものを。

 あるいは、グランゾン……と言うよりもシュウの危険度を本能的に察しているのかもしれない。

 ……つまりそれは俺をシュウより下に見たか、あるいは時流エンジンを重要視したのか。どちらにしろ、あまり気分のいい話ではない。

 多数放たれるビームを時にはヒュドラのスラスターを使って回避し、あるいはファントムを使って反射しながら回避しつつ上空へと移動する。

 

「クライ・ウルブズ、アルフィミィ、シュウ・シラカワ。全員に告げる。いいか、これからでかい花火を打ち上げる。巻き込まれたくなかったら決して余計な事をするなよ!?」

 

 オープンチャンネルで戦域へと通信を流す。

 クライ・ウルブズの3人はフォリアが胡散臭そうに視線を向け、アルベロとヒューゴが一瞬だけ俺へと視線を向けて再び目の前の敵に攻撃を開始する。

 アルフィミィは素直にコクンと頷き、上空へと移動してニーズヘッグや敵達から距離を取った。

 そしてシュウはと言えば、興味深そうな笑みを浮かべつつ俺のやる事へと観察するような視線を向けている。

 全く、ここで手の内を曝すのはあまり得策とは言えないんだが……かと言ってこのままじゃ千日手以外の何ものでもない。そして現状を一気にどうにか出来るのは俺のニーズヘッグか、あるいはグランゾンだけだろう。そしてヴォルクルスに操られているシュウにその気がないのは一目瞭然だ。なら俺がやるしかない。

 

「はっ、そんなチビ助に何が出来るっていうのさ! あんまりあたい達を舐めるんじゃないよ! パテール!」

 

 テュガテールの子機――大きさで言えば親機と表現するのが本来は正しいのだろうが――であるパテールへと声を掛けるティス。イェッツトレジセイアも上空にいる俺に対して危険を感じたのか触手を大量に伸ばし、あるいは生み出したイェッツトグリートとイェッツトクノッヘンが遠距離から攻撃してくる。だがその全てを回避し、あるいは幾重にも展開されているバリアで防ぎ、こちらの準備は整えられる。

 

「まずはこれだ、ファントムッ!」

 

 俺の声と共に左右6基全てのヒュドラからファントムが放たれた。その数はグロウセイヴァーの時の約2倍である48機。そのうちの20機がティスの方へ。残り28機がイェッツトレジセイア達の方へと向かう。それぞれがビームを発射しつつ、あるいはビームソードを展開して動きを牽制、触手を消滅させていく。そのファントムを撃破しようとしてもグロウセイヴァーの時の物よりも改良されており、大きさが1mを切っているファントムだ。そんな小ささのものにそうそう攻撃を当てられる筈も無く、あるいは当てたとしてもその攻撃がビームであれば反射される。そうして大量のファントムに戸惑っている間に次の一手を放つ。

 

「T.T.ランチャー、『燃える天空!』」

 

 念動力でコントロールされたT.T.ランチャーから放たれたビームは、その危険性を察知したティス達が回避しようと素早く飛び退るものの、俺の念動力に従って空中で複雑な軌道を描きながら追尾していく。

 グレートグランドマスターキーによってSPを大量に注ぎ込まれて発動した『燃える天空』は、イェッツトレジセイアやイェッツトグリートとイェッツトクノッヘンを纏めてその業火で包み込む。そうして完全に動きが止まった所を狙い撃ち……ちっ、『燃える天空』にSPを注ぎ込み過ぎたか。残ってるSPの量やこの戦闘後にシュウやクライ・ウルブズと戦闘になる可能性も考えると愛は使わない方が賢明だな。なら……

 

「直撃」

 

 精神コマンドの直撃を使用。そしてトドメとばかりに最後の行動を実行に移す。

 

「メガ・バスターキャノン、グラビトン・ランチャー……発射!」

 

 右後方ヒュドラからはテュガテールそのものを飲み込むような巨大な青白いビーム砲が。そして左後方ヒュドラからは重力波砲がそれぞれに向かって放たれる。

 

「っ!? パテールッ!」

 

 ティスは咄嗟に子機のパテールを盾にして、テュガテールの3倍近い大きさを誇るパテールが文字通りに消滅するが、それでもテュガテール自体は多少のダメージを追った程度で何とか生き残る。

 そして『燃える天空』により周囲にいたイェッツトグリートとイェッツトクノッヘンが纏めて燃やし尽くされ、自分自身も少なからずダメージを負っていたイェッツトレジセイアは、放たれた重力波砲によりその身体の半分近くを消滅していた。

 

『……』

「ほう」

 

 あまりと言えばあまりの威力に絶句するクライ・ウルブズやアルフィミィ。そしてただ興味深そうに、だが確実に先程までとは違う目でニーズヘッグを……否、俺へと視線を向けてくるシュウ。

 だが周囲が沈黙に包まれたのはほんの数秒だった。

 パテールを犠牲にして何とか生き残ったテュガテールが行動を起こしたのだ。

 

「よくもやってくれたね! しょうがないから時流エンジンは今日は諦めてやるよ。けど、ただで戻る訳にはいかないから、これは貰ってくよ!」

 

 クライ・ウルブズがニーズヘッグの放った攻撃を見て固まっているのを横目に、その隙を突いてテュガテールがウェンディゴへと急速に接近。そのまま自分よりも遥かに大きい筈の機体を持ち去って素早く戦場を離脱していく。

 

「ああっ、あいつウェンディゴを!」

「構うな、今はそれよりもイェッツトレジセイアを!」

「た、隊長! 奴が!」

「何!?」

 

 そして次に行動を起こしたのはイェッツトレジセイア。自分を執拗に狙っていたクライ・ウルブズがテュガテールへと意識を集中したその隙を逃さずに転移してその姿を消したのだ。

 

「……逃がしたか」

 

 出来ればここで仕留めたかった。それが俺の正真正銘の本音だった。そしてグラビトン・ランチャーだけではなく、メガ・バスターキャノンもイェッツトレジセイアへと放っていれば恐らくはここで倒しきる事が出来ただろう。だが、その場合は恐らくテュガテールやパテールの手によってニーズヘッグは初陣で致命的なダメージを受けていた可能性が高い、か。

 いや、過ぎた事をこれ以上嘆いても意味は無い。今はこの場を切り抜けただけで良しとすべきだろう。

 

「では皆さん、私はこの辺で失礼しますの」

 

 器用な事に、ペルゼイン・リヒカイトが一礼をしてこの場を離脱しようとする。

 

「追うのか?」

 

 そう尋ねたのは、やはりアルフィミィとペルゼイン・リヒカイトの関係を知っているからだろう。そして予想通りにアルフィミィは頷く。

 

「はい。あの子はもしかしたらあり得たかもしれないもう1人の私。放っておく事は出来ませんもの」

「……そうか。気を付けてな」

「はいですの。私には家族がいますから寂しくはないですのよ。ではご機嫌よう」

 

 そう言い残してアルフィミィは去って行った。

 ……何で転移しないんだろうな? 原作ではアクセルの身体から復活した事で転移能力を失っていた筈だが、この歴史では当然そんな事は無い。……となると、アインスト空間からヒリュウ改やハガネと共にこっちの空間に戻って来て、原作のように崩壊しなかった代わりにその能力を失った、とかか?

 まぁ、原作と違って俺がアクセルであり、同時にシャドウミラーがまだ健在である以上はアルフィミィに付いていける訳もない。本人も家族がいるから寂しくないって言っているし。

 ちなみに家族ってのはやっぱりエクセレンだろうが……待て。そうなるとレモンとも家族って事になるのか?

 ……取りあえずその辺は置いておいた方がいいだろうな。

 

「さて、アクセル・アルマー。貴方はこれからどうする気ですか?」

 

 不意にシュウからの通信が送られて来る。

 微かに眉を顰めるも、今のこいつがどの程度ヴォルクルスに操られているのかを調べるのには丁度いい機会ではある……か?

 

「特にどうという事も無いな。不幸中の幸いと言うべきか、このニーズヘッグの性能は今の戦闘で十分に確認出来た。後は別にここに用事は無い」

「ニーズヘッグ、ですか。嘲笑する虐殺者の異名を持つドラゴンの名を持つ機体。それはまるで……」

「破壊神にでも思える、か?」

「っ!?」

 

 一瞬。そう、ほんの一瞬だが確実に息を呑むシュウ。この様子だとまだ完璧にヴォルクルスに操られている訳じゃないか。いや、正確に言えば操られつつもシュウ自身の高いプライドで何とかそれに抗っているのかもしれないな。

 

「何を……言ってるんですか?」

「さて、何だろうな。何か気になる事でもあったのか?」

「……」

 

 まるで俺の心の底を覗くような視線。そんな視線を向けられつつも、受け流す。

 

「いいでしょう。私としてもワン博士に用事がある以上はここでこうして時間を潰す訳にもいきません。今日は貴方のその機体性能を見せて貰った事で満足しておきます」

「そうか、なら俺はそろそろ行かせて貰うぞ」

「ご随意に」

 

 そうして通信を切る寸前に一言だけ言葉を滑り込ませる。

 

「お前の矜持。自由を愛するというその心を持っている以上、誰かに、あるいはナニカに縛られるような醜い真似はしてくれるなよ」

「なっ!?」

 

 通信が切れる本当に最後の一瞬。その一瞬だけだがシュウの驚愕した顔が通信モニタには表示されていた。

 さて、俺の言葉でシュウの内部で行われているだろうヴォルクルスの洗脳とシュウの自意識の主導権争い。この戦いがシュウの有利で終わるようになってくれれば、このOG外伝で最後にネオ・グランゾンと戦わなくてもいいんだが……

 そう思いつつ、ピクリとも動かないグランゾンを最後に一瞥し、ツイン・ドライブで戦場を離脱するのだった。

 

 

 

 

 

 ……尚、フォリア辺りが何かを騒いでいたようだがスルーしたのは言うまでも無いだろう。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:395
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:466

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