転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0536話

 シロガネのブリッジにある外を映し出している映像では、近くにあるイスルギ重工の会社から派遣されてきた部隊と連邦軍の基地から派遣されてきた部隊が破壊された修羅神の残骸を集めている。何しろまだまだ未知の敵だ。少しでも修羅神の性能やら何やらを調べる為に必死なのだろう。

 回収されている部品の中には当然俺が破壊したアンドラスの物も含まれているのだが、それに関しては取りあえず俺達が倒したという事でイスルギ重工が引き取っている。

 もちろん連邦軍に何も渡していない訳では無い。何しろ俺達がここに到着するまで実際に函館の街を守っていたのは連邦軍なのだ。もしあの部隊がここを守っていなかったら、俺達が来るまでに完全に占領されていただろう。それもあって、アンドラス以外の修羅神の残骸は半分ずつ分け合っている。

 それと、運良く生き残った修羅兵達に関してもミツコの働きかけによるものかイスルギ重工で10名程確保する事が出来たらしい。恐らくこいつらから情報を引き出すのだろうが……さて、あの世紀末ヒャッハー達から有益な情報を引き出せるのかどうか。まぁ、その辺はイスルギ重工の裏の存在に期待するしかないだろうな。

 今回こっちに出て来ているイスルギ重工の責任者がかなり感謝していたが、話によると基本的に連邦軍にかなり横暴な部隊が増えてきているらしい。元からいた部隊はそうでもないのだが、最近になって増えた部隊はかなり横暴なのだとか。幸いな事にこの函館を守っていた部隊は前者だったらしく、自分達の戦力をきちんと把握して俺達と入れ替わるように撤退していったので助かったが……これがもし後者だったりしたら色々と面白くない事になっていただろうな。最悪、内輪揉めに近い形になっていた可能性もある。

 ……間違い無くケネスの直轄とかそんな感じだろう。

 で、今俺達の前で修羅神の破片を集めているのもその類の者達なのだが、幸いここには俺達シャドウミラーがいる。それこそケネスの部下如きと比べればその練度は明らかに違う訳で……特に無茶な事を言ってくる様子は無い。

 

「アクセル、これからどうするの?」

 

 モニタで外の様子を見ていた俺に、マリューがそう尋ねてくる。

 ちなみに現在シロガネのブリッジにいる主なメンバーは、俺、マリュー、レモン、ムウの4人のみだ。コーネリア、イザーク、オウカの3人は連邦軍が無茶を言わないように、あるいは実力行使をしてきた時の対応をする為にシロガネの甲板でそれぞれの機体に乗って睨みを利かせている。

 

「さて、どうするか。取りあえずここの件が片付くまでは残らなきゃならないだろうな。連邦軍のやりようを考えると」

「あのタコね」

 

 元々の世界で何度か接触しただけに、レモンもまたケネスに対しては嫌悪感を抱いている。まぁ、あれだけ偉そうに指図しつつこっちを下に見てくればそれも無理はないが。

 

「そうだな。そのタコが変な気を起こさないように見張りは必要だろう」

 

 何しろヴァルシオン改・タイプCFやRXR計画で自分の手柄を上げたくて必死だからな。……あぁ、いや。RXRプランの功績を奪おうとするのはOG外伝だから恐らくまだか。だが、それだけの手柄を欲しているのだ。現在進行形で地球に襲い掛かってきている修羅達の兵器である修羅神を解析して、自分達の兵器にするようなプロジェクトを立ち上げてもおかしくはない。

 

「でもそうなると、最低でも数日はここに残る事になるわよ?」

 

 いいの? と尋ねてくるマリューに頷く。

 

「そのくらいはいいだろう。どのみち俺達の今の仕事はイスルギ重工のイメージアップだしな」

「イメージアップねぇ。艦の名前はともかく、ニーズヘッグなんて機体に乗っている時点でイメージアップは期待出来そうにないんじゃないか?」

「あら、ムウ。私の付けた機体名に何か文句でもあるのかしら?」

 

 色っぽい流し目でムウへと視線を向けるレモンだが、何故かムウはビクリとした後で急いで首を左右に振る。

 

「文句なんて無い無い。いや、全く。これ以上ない程に格好いい名前だと思うよ、うん」

 

 ……ムウにもレモンの怖さが広まっているようで何より。

 そんな風に考えつつ、これからの事を考える。

 本来の歴史であればこの戦闘で連邦軍は負けて函館はマグナスに……と言うか、修羅に占領されていた筈だ。そしてそれをクロガネが助けるんだが……あ、そう言えばクロガネどうなるんだろうな。もう解放されてるけど来るのか? 補給物資の補充とか? 違うな。もし可能性があるとしたらエルザムの料理する食材の調達とかか。そう言えば函館に来たんだし、イカ飯とかを買ってみるのはいいかもな。

 

「で、結局どうするの?」

 

 ムウとのやり取りを終えたレモンに、映像モニタに映し出されているやり取りを眺めつつ口を開く。

 

「そうだな、ここの件が片付くまではここに留まるとしよう。それまでは半舷休息で各自函館に遊びに行ってもいいって事で。……あぁ、その代わりイスルギ重工から何らかの依頼が入ったり、周囲で修羅が襲撃を掛けてきたりしたらすぐに出撃する事になるから、その辺は心に留めておくように」

 

 その言葉にレモンやマリューが嬉しそうに微笑み、ムウは指を鳴らして喜ぶ。

 ムウは恐らくナタルやレイに買っていく土産でも探すんだろう。何しろここはOGs世界。俺達にとってはともかく、ムウにとっては正真正銘の平行世界、あるいは異世界なのだから。……まぁ、売ってる土産はSEED世界だろうが、OGs世界だろうがそう大差無いだろうけど。

 

 

 

 

 

 そんな訳で、修羅達と戦った翌日。俺はレモンとオウカの2人と共に函館の街中へと来ていた。本来はマリューやコーネリアとも来たかったのだが、マリューはシロガネの艦長として残らざるをえなく、実働班の指揮を取らなければならないコーネリアは俺と一緒の半舷休息に入る事が出来無かった。それで最終的にはレモンと……

 

「アクセルさん、はいこれ。どうぞ」

「ん? あぁ。……美味いな」

 

 恋人のナタルや保護しているレイにお土産を買いたいムウはともかく、俺とシミュレータなりなんなりで勝負を挑もうとしたイザークをどう説得したのか分からないが、オウカが俺達と同じ休息側に滑り込んできたのだった。

 尚、何故かオウカと話し合いをしていたイザークは笑みを浮かべているオウカと数分程話した途端、自主的に譲ったというのだから何が起こったのやら。

 個人的にはあまりコーネリアには期待出来ない女としての買い物の類が原因じゃないかと思っているんだが……

 

「あら、確かにそのイカの串焼きは美味しそうね。私にも1本くれるかしら?」

「あ、すいませんレモンさん。残念ながら修羅達の騒動で在庫はあまり無いらしくて……」

「そうなの? じゃあアクセル、悪いけど一口貰える?」

 

 オウカに貰ったイカの串焼きを食べているとそんな会話がされ、レモンが一口食べようと口を伸ばそうとしたところで……

 

「あら? はい、レモンさん。どうやら露店の店主さんがこの街を守った私達に特別にサービスだそうですよ。アクセルさんのじゃなくてこれをどうぞ」

 

 スッとばかりにレモンの目の前に新しいイカの串焼きが差し出される。

 

「そうなの? でも私はそんなにお腹が減ってないから一口でいいのよ」

 

 そしてオウカの差し出したイカの串焼きをそのままに、俺の持っていた方へと噛ぶりつくレモン。

 焼かれたイカと焦げた醤油が食欲をそそる匂いを周囲へと漂わせるが、レモンとしてもこの匂いにやられたのだろう。

 

「……」

 

 そして美味そうにイカを食べているレモンに、何故か拗ねたような視線を向けるオウカ。

 ……もしかしてオウカもイカの串焼きを食べたかったのか?

 

「オウカ、そんなにイカの串焼きを食べたいのなら、お前が持ってる奴を食えばいいだろうに」

「あ、あははは。そうですね。ちょっと思いつきませんでした。確かに」

「あらあら、見かけの割にはおっちょこちょいねぇ」

「そ、そうですね。ここは観光名所らしいのでちょっとはしゃいでいるのかもしれません」

「観光名所か。そう言えば函館と言えば夜景が綺麗らしいが……さすがにその時間までは街にはいられないな」

 

 100万ドルの夜景、とか表現されていたような気がする。

 

「そうねぇ。出来れば私もアクセルと2人きりでそんな夜景を一緒に見たかったんだけど」

「レモンさん、私もいるんですが」

「あらあら、お子様は夜になったらおうちに帰らないと」

 

 ……何だかこの2人、妙に張り合っているというか。いや、違うな。オウカがレモンに突っかかっていってはいるんだが、レモンはそれを面白そうに見ているって感じか。……年期が違うんだろうな。

 

「アクセル? 何か変な事を考えなかった?」

「いや、別に」

 

 そして勘も鋭い、と。

 それはともかく、中途半端にイカの串焼きを食べたせいか余計に空腹が増してきたな。どこか近くに……ん、何かいい匂いがしてくるな。レストラン……と言うよりは食堂といった感じの店だが。

 

「あそこに入らないか?」

「え? アクセルさん、さっきイカの串焼き食べたばかりなのにもうお腹減ったんですか?」

「まぁな。元々今の俺はどれだけ物を食べても太らない体質だから」

「全く、その体質は反則よね。食べた物が全部魔力になるとか」

 

 俺の言葉を聞いて絶句しているオウカと、苦笑を浮かべているレモン。そんな2人を引き連れて食堂の中へと入っていく。

 

「いらっしゃい。おや、その軍服は……おお。昨日街を守ってくれたイスルギ重工の人かい?」

「まぁ、そんな所だ。この街が無事で良かったよ。で、注文いいか?」

 

 人の良さそうな中年の男にそう返す。

 

「ああ、もちろん。席はどうする? カウンターでいいかい?」

「いや、俺はかなり食うんでな。テーブル席で頼む」

「あいよ。じゃあその辺の空いている場所に適当に座ってくれ」

 

 店主に言われ、店の中を見回すが客の姿は数人程だけだ。その中の客の1人、10代後半程の男が俺と目が合った瞬間ペコリと頭を下げてくる。

 ……? ん? どこか見覚えが……

 そんな風にじっと見ていたのが気になったのだろう。俺の視線の先にいた男が首を傾げながら口を開く。

 

「あの、どうかしましたか?」

「あー、いや。何でも無い」

「そうですか。その、ありがとうございます。昨日は俺もここでバイトをしていたので、皆さんのおかげで助かりました」

「そう……か。……バイト?」

 

 その単語を聞いた瞬間、頭の中で配線が繋がったかのように目の前にいる男が誰なのかを思い出した。

 トウマ・カノウ。第3次αのスーパー系男主人公だ。確かにOG外伝ではチョイ役で出ていたし、この函館のシナリオでもマグナスに処刑され掛かっていた所をコウタに助けられていたから、ここにいるのはおかしい話じゃないが……

 

「え? ええ。色々とバイトを転々としているので。何か?」

「あー、いや。何でも無い。そうか。無事で良かった」

 

 一瞬、シャドウミラーにスカウトするか? とも思ったのだが、確か第3次αでは雷鳳があってこそ主役クラスの能力を発揮出来たはず。そうなるとわざわざ引っ張り込む必要も感じられないか。それにもしOG外伝の続編が出ているとしたら、そっちで出番がある可能性もある訳だし。

 そう判断し、トウマとの会話をうちきりメニューへと目を通す。

 

「イカ飯と函館ラーメン、海鮮丼を頼む」

「……そんなに食えるのかい?」

 

 以前の蕎麦屋の店主のような目で見てくる店主に、俺の代わりにレモンが笑みを浮かべて頷く。

 

「大丈夫よ。この人はそのくらいならペロリと食べるから。あぁ、私はイカ飯で」

「その、私も同じくイカ飯でお願いします」

「あいよ」

 

 こうして俺達はこの日、この店を始めとした色々な店で函館の名物料理を好きなだけ食べるのだった。

 ……一応、お土産にレトルトのイカ飯の類もそれなりに買ったが。あやか達に渡すのは暫く後になりそうだな。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:415
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:470

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