転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0541話

 アルティスとの交渉らしきものを終え、シロガネへと戻る。

 格納庫で機体のチェックを量産型Wに頼んでからブリッジへと向かうと、そこにはシャドウミラーのメンバーが勢揃いしていた。俺の姿を見るとレモンが安堵したように小さく息を吐き、口を開く。

 

「……で、どうだったの?」

「もちろん交渉は成功した。ただし向こうが俺達に協力するのは、修羅王アルカイドを倒したら、という条件付きだがな」

「何でまた?」

 

 自分達が求め続けている安住の地を与えると言っているのに、何故それに条件を付けるのかと首を傾げるムウ。

 

「理由に関しては、修羅だからとしか言えないがな」

「修羅だから?」

「ああ。結局は力ある者に従うのが修羅だ。つまり、今の修羅で最も強いのが修羅王アルカイド。修羅の掟に従ってこれまで生きてきた者達はそれを急に変えるような事は出来無いって訳だ」

「そんなもんかねぇ。俺なら楽な方に鞍替えするのはあまり躊躇しないけど」

 

 そう言いつつも、SEED世界での戦いで陣営を変えるのはそう簡単な話じゃないと言っていたのは誰なのやら。

 この辺がムウらしい捻くれ具合なんだろうな。

 

「で、これからどうするの?」

 

 俺とムウの話を聞いていたマリューに尋ねられるが……やる事と言ってもなぁ。

 

「ソーディアンがある周辺ではエネルギーが吸収される。そうなると、シロガネとかで近付く事が出来ない。となると、一気にソーディアンの中へと突っ込むしか無い。つまり使える手段は修羅達が使っているソーディアン・ダガーか、あるいはニーズヘッグのシステムXNだが……」

「何を迷う? システムXNを使えばいいではないか」

 

 ムラタのその問いに、小さく首を振る。

 

「色々とそうもいかない理由があるんだよ。まず第1に、もし俺達がソーディアンを攻略してしまうと連邦軍の面子を正面から叩き潰してしまうこと。何しろ修羅達の本拠地だからな。今までのように修羅に占領された街や都市を開放するのとは訳が違う。もし俺達だけでソーディアンを攻略してしまうと、連邦軍から目の敵にされる可能性が高い。何しろ今の連邦政府、連邦軍は強い連邦を自認しているからな。それだけに自分達が敵わない、あるいは倒すのに手間取った相手を俺達が倒したとなると許せないだろう。そして俺達は残念ながら叩けばこれでもかとばかりに埃が出る身だからな。ケネス辺りなら喜んで潰しに来る。そうなると、さすがにイスルギ重工のバックアップを受けていると言ってもどうにも出来ない」

 

 幾ら世界最大の兵器会社だとはいっても、まさか連邦政府や連邦軍と真っ向から戦える力を持ってる訳でもないし。それ以前にイスルギ重工はあくまでも兵器を売って企業としての利益を得たいのであって、自分達が戦争に参加したい訳じゃない。鵬法璽の契約があるとは言っても……そして、ミツコの存在が恐れられていたとしてもミツコの一存だけでいつまでも俺達を庇い続けられる程じゃないしな。最悪、2度とこの世界に来ないのならその辺を気にしなくてもいいんだが……これだけ世話になってる以上はイスルギ重工に対する義理もあるし、何より現在俺達が移動出来る世界で最も科学技術が発展している世界だ。それはちょっともったいない。

 

「そして第2に、向こうの戦力的な問題がある」

 

 黙って俺の話を聞いていたイザークがピクリと反応する。

 

「戦力だと? あの修羅とかいう奴等だけではないのか? あの程度の奴等なら幾ら数を揃えていてもどうにかなるだろう」

「数の力は馬鹿に出来ないぞ。プラントが連合軍に苦戦していた理由もそれだっただろう? だがまぁ、今俺が言ってるのはそれだけじゃない。修羅以外にも、その修羅に協力しているデュミナスがいる」

 

 そして、そのデュミナスを倒すと次に出て来るのはダークブレイン。さらにはシュウのネオ・グランゾンが姿を現す可能性もあるのだ。ボス4連戦とか、シャドウミラーの戦力でやってやれない事は恐らく無いだろうが、当然その分こちらのリスクも増す。ミザル? あいつは良くて小ボスってところなのでこっちにはカウントしない。

 

「隊長、私は隊長やレモン様の命令があればどのような敵でも倒してみせます。ヴァイサーガはその為の剣なのですから」

 

 俺が悩んでいるように見えたのか、エキドナがそう言ってくる。

 レモンがその様子を見て口元に笑みを浮かべているのを見ながら小さく首を振る。

 

「本当に俺達だけしか戦力が無いのならその手段もありだろうが、俺達には……正確には連邦軍にはまだ十分に戦力が残っている。それはお前も知っている筈だな?」

「ヒリュウ改、ハガネ、クロガネ……」

 

 俺の問いに、答えを口にするエキドナ。

 

「そうだ。折角使える戦力があるんだから有効に使わないと損だろう? 俺達だけが戦力を消耗して、連邦軍が戦力を保持したままだと余計な策略を巡らせるハゲタカ……いや、ハゲタコがいるかもしれないしな」

 

 イスルギ重工を敵対視しており、尚且つオペレーションハルパーでシャドウミラーに虚仮にされたのだ。あのケネスがそんな目の前に存在している美味しい料理をスルー出来る筈も無い。そしてそのケネスの裏にいるグライエンにしても、自分達の被害が少ないままに俺達の戦力をそのまま手に入れられるとしたら躊躇わずにGOサインを出すだろう。

 

「……確かに彼なら十分やりそうね」

 

 レモンが溜息と共に息を吐き出す。

 この中では俺と共に一番の古株だから、レモンもケネスとは元々の世界から関わりがある。それだけに向こうのやりそうな事は容易に想像が付くのだろう。あれ程分かりやすい性格の奴もそうそういないしな。

 

「ならばどうするのだ? 結局はこのまま手をこまねいているのか?」

 

 話を聞いていたスレイが不満そうに口を挟む。だが、もちろんそんな筈は無い。一応考えはあるが……それをスレイが受け入れられるかどうかとなると、正直微妙な所だろう。

 

「当然答えはNoだ。ようは、連邦軍の面子が立つようにしてやればいいだけの話だからな。そう考えると難しくはない」

「っ!? アクセル、まさかお前!」

 

 俺の考えに気が付いたスレイが、睨みつけるような鋭い視線を向けてくる。いや、これは気が付いたんじゃなくて心のどこかでその可能性を考えていたからこそだろうな。

 

「大体予想出来ているようだな。そう。連邦軍の面子を立てる。つまり修羅の本拠地であるソーディアンに攻め込む時、連邦軍の部隊も一緒に連れて行って協力して攻め落とせばいい訳だ。……もちろんその際に連れて行く部隊は相応の実力を要求される」

 

 例えばクライ・ウルブズなんかも候補には入るが、奴等にはトーチカ1で逃したイェッツトレジセイアを追う猟犬の役割があるしな。出来れば栄養剤っぽいのを撃ち込む前にどうにかしたいが……

 

「つまりは、ヒリュウ改、ハガネ、クロガネの3隻?」

 

 俺の考えを読み取ったレモンの確認の言葉に頷く。

 

「そうだ。と言うか、その辺の連邦軍の部隊を連れて行ったとしても足手纏いにしかならないだろ。それでこっちが被害を受ける可能性を考えれば、最初から戦力として計算できる奴らを連れて行った方がいい」

「けど、いいの? ニーズヘッグの開発や設計の為に彼等の関係施設に侵入したり、破壊工作をしたりしたのよ? この子もPTを乗り逃げした形になっているし」

 

 チラリと視線が向けられたのはオウカだ。

 言葉に出されて、今更ながらに自分の無謀な行動を思い出してるのだろう。恥ずかしそうに頬を赤く染めて下を向いている。

 

「その辺に関しては向こうにも言いたい事がある以上、それを受け止めるしかないだろう。……だが、奴等にしても千日手な今の状態を打破する手段があるのに、それを自分達で台無しにするような真似はそうそうしないと思うけどな」

「……私は反対だ」

 

 その声が漏らされたのは当然と言うか、やはりと言うかスレイだった。

 

「スレイ」

「もしアクセルの案を採るにしても、別に他の部隊でもいいだろう? 何なら数人をこのシロガネに乗せて指揮をした形にしても……」

「スレイッ!」

 

 尚も言葉を続けようとするスレイを、強引に止める。

 

「止めろ。それ以上はお前自身の誇りを傷つけることになるぞ」

「……」

 

 スレイにしても本心では分かっているのだろう。俺の言葉を聞き、悔しそうにではあるがその言葉を止める。

 やはりまだ遺恨は消えないか。

 

「ねぇ、スレイ。考え方の違いじゃないかしら?」

 

 そんな中、レモンがスレイへと声を掛ける。

 

「考え方の違い?」

「ええ。貴方が手を組むのを嫌がる原因はプロジェクトTDの他のメンバーでしょう? なら、その相手に今回の作戦でスレイの実力を見せればいいじゃない。そう考えれば、共同作戦も悪くないんじゃない?」

「それは……」

 

 なるほど。そっちの方に考えを持っていかせるのもありか。

 原作ではアイビスはスレイに対しての確執自体は無かった。共に宇宙の彼方へと行く為のチームの1人としてスレイを求めていた。恐らくそれはこの歴史でも変わっていない筈。そうなれば一度行動を共にすれば何らかの取っ掛かりが掴めるかもしれないな。

 

「……分かった。これ以上は反対をしない。レモンの言う通り流星に私の実力を認めさせてやる」

 

 取りあえず何とかなったか。アイビスの件が話題に出ると不機嫌になるとはフィリオから聞いていたが……ホワイトスターに戻ったら、一度話してみる方がいいのかもな。

 フィリオはフィリオで、量産型W経由で何回か恋人のツグミと会話をしたらしいが……

 

「さて、それじゃあ話は決まった訳だけどどうする? その、向こうの上層部には今の説明を聞く限りじゃ色々と厄介そうなのがいるんだろ? それこそ俺達の世界のブルーコスモスの如く」

「いや、どちらかと言えばアルテミスにいた司令官に近いだろうな。ガルシアとか言ったか。自分の手柄と自己保身にしか興味無い所とかはそっくりだぞ」

「……なるほど」

「アルテミス? あぁ、そう言えばお前達が逃げ込んでいた場所か。何故か全方位光波防御帯が途中で消えて、俺達が急いで攻め込んだんだったな」

 

 俺とムウの話を聞いていたイザークが不意に割り込んでくる。

 そしてそれに驚きの表情を浮かべたのは、あの時に現場にいたムウとマリューだった。

 

「ちょっと待って頂戴。あの時は貴方達がどうにかしてアルテミスの傘を突破してきたんじゃないの?」

「は? いや、俺達は何もしてない。勝手に要塞側で全方位光波防御帯の発生装置が破壊されていたぞ。お前達の内紛か何かだと思っていたんだが」

 

 む、ちょっとこの話の流れはやばいな。取りあえず話を逸らすとして。

 

「まぁ、その件はとにかくだ。向こうと合流しようにも、ヒリュウ改、ハガネ、クロガネの位置が分からないとどうにもならないだろ。その辺はイスルギ重工に情報を集めて貰うとしてだ」

「……アクセル? 貴方まさか……」

 

 何故かそう呟くマリューや、ジト目で俺へと視線を向けているムウとイザークをスルーしながら言葉を続ける。

 

「向こうの情報がいつ手に入るか分からない以上、それまでは今まで通りの活動をするしかないな。修羅達に襲われている街や施設の情報もついでに聞いてくれ」

「……そうね。まぁ、いいでしょう。けどアルテミスの件は後できっちりと聞かせて貰うから、そのつもりでね」

「……了解」

 

 最終的には話を誤魔化しきれずにそうなったのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:415
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:470

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