転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0547話

 遠くに去って行くヒリュウ改、ハガネ。……そしてシロガネ。

 その3隻の艦を見送ってからニーズヘッグのコックピットへと移動する。

 

「さて。向こうに関しては他の面子に任せておくとして」

 

 正直な気持ちを言えば、ずっと妹のように可愛がってきたフィオナとの再会だ。出来れば俺も向こうについて行きたかった。だがもし向こうに付いていったとすれば、原作通りにラージとミズホがテスラ研の職員に変身したアルコに連れ去られてしまう。それはこれからの展開的にちょっと遠慮したい所だ。

 ここであの2人の誘拐を阻止した場合は、デュミナスの部下であるデスピニスの仲間フラグを叩き折ってしまう可能性もあるが……いざという時にはラウル達に頑張ってもらうという事で。

 既に浅草でのファーストコンタクトも済ませた筈だしな。

 何より、今回の件は上手く行けばアルコを仕留める事が可能かもしれない。

 前回の戦いの影響で、フェルナンドはミザルの下で神化を行おうとしている可能性が高い。あるいは、マグナスがもういない以上はアルティスの義弟であるフェルナンドとミザルを繋ぐ線も無くなってる可能性も高いが……いや、この辺はやっぱり最悪を想定して動いておくべきだろうな。とにかく、既に公に使える戦力でもあるマグナスを失っているミザルだ。ここで裏の要でもあるアルコを仕留める事が出来れば、戦力の大幅ダウンどころの話ではないだろう。

 そして、それは最終的にアルティスと手を結ぼうと考えている俺にとっても利益となる。修羅王アルカイドとの戦いに余計なちょっかいを出されたりはしたくないし。

 

「さて、普通にテスラ研を訪れても信用される筈が無いし……ここは直接ラージ達の部屋に忍び込むとしよう」

 

 まぁ、オルレアン研究所やマオ社であれだけの騒ぎを引き起こしたのだ。確かにそんな俺を信用出来る筈も無い。

 大雑把に方針を決めると、ASRSを起動させてニーズヘッグでテスラ研に向かって移動するのだった。

 

 

 

 

 

 北米地区をニーズヘッグで移動すること20分程。やがてモニタの遠くにテスラ研の姿が見えてくる。

 ……こうして考えると、何だかんだ言いつつ俺がテスラ研に寄る事は結構多いんだよな。もちろん今回を含めてその殆どが潜入やら襲撃やらで色々と非合法な手段ではあるんだが。

 そんな風に思いつつASRSを起動したままテスラ研から数km程離れた場所に着地し、ニーズヘッグを空間倉庫に収納。そのままこれまでに既に何度も行って慣れた手順で影のゲートを作り出しつつテスラ研の中へと忍び込む。

 

「……さて」

 

 防犯カメラの死角に移動し、空間倉庫からスライムを展開。数mm程度の細さにしたスライムをテスラ研へと張り巡らしてラージとミズホの位置を探す。

 そのまま数分。

 

「いた」

 

 恐らくエクサランスの新型フレーム、ライトニングフレームとエターナルフレームの開発……いや、この時期なら最終調整についてだろう相談をしている声が聞こえてきた。

 ……よし。どうやらまだアルコに連れ去られてはいないらしい。

 出来ればアルコがこの2人に接触する前にどうにかしたいんだが、確か変身するのはテスラ研には良くいる中年の男だった筈。これがジョナサンやら、カークやら、ロバートやらなら見つけるのも分かりやすかったんだがな。

 そんな風に思いつつスライムを空間倉庫に格納し、ラージ達がいる部屋のすぐ近くに影のゲートを使って姿を現し、扉をノックする。

 幸いなのは、この部屋が研究室の類じゃなくてあくまでも2人に与えられた私室だった事だろう。これが研究室だったりしたら、間違い無く防犯カメラが仕掛けられていただろうしな。

 

「はい、どなたですか?」

 

 そう答えつつ、扉が開かれ小さい頃から何度となく見ているラージの顔が俺を捉える。

 

「……っ!? ア、アク」

 

 咄嗟に叫ぼうとしたその口を塞ぐ。

 

「騒ぐな。ところで部屋に入れて貰ってもいいか? 色々と話しておきたい事や、やりたい事があってな」

「……」

 

 無言で頷くのを見て、手を離す。すると扉が一旦閉まり、チェーンロックを外してから再び開けられる。

 

「どうぞ。誰かに見られないうちに、早く」

「悪いな」

 

 そう声を掛けつつ部屋の中へ入ると、やはり中ではミズホと2人でライトニングフレームとエターナルフレームについて話していたのだろう。設計図らしき物がテーブルの上に広がっている。

 ……今時紙の設計図とか、また珍しい真似を。

 

「ごほっ、ア、ア、ア、ア、アクセルさん!?」

 

 飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになりながら、それでも咽せずに飲み干して俺を驚愕の目で眺めるミズホ。

 

「ああ、ヘルゲート以来だな」

「そ、そうですね。……じゃなくて! 何でこんな場所にいるんですか! アクセルさん……と言うよりもシャドウミラーの人達は」

「安心しろ。というか、落ち着け。取りあえず、現在シャドウミラーはヒリュウ改やハガネとソーディアンを攻略する為に協力関係を結んでいる。故に俺がここにいても問題は無い」

「いや、あるでしょう。全く、アクセルさんはいつもいつも突拍子のない真似をするんですから」

 

 溜息を吐きつつ、眼鏡を拭きながら呟くラージ。

 

「そもそもアクセルさんは、以前このテスラ研に対して破壊工作をした事があったと聞きますが? もし見つかったら色々と危険なのでは? それと、協力関係を結んだのはともかく、何故アクセルさんだけがここにいるんです? レモンさん達は?」

 

 外見上では落ち着いて見えていたが、色々と続けざまに質問してくるその様子に苦笑を浮かべつつも答えていく。

 

「まぁ、確かに見つかったら色々と面倒な事にはなるかもな。レモン達に関してはお前達のお仲間がバルトールに襲われていると聞いてヒリュウ改やハガネと一緒に送り出した。短い間とは言っても、これから共に行動するんだからお互いに実力は分かっておいた方がいいだろうしな」

「……何でそこまでして、アクセルさんだけがここにいるんです?」

 

 当然と言えば当然のその疑問だったが、変身能力を持っている修羅にお前達が連れ去られる可能性があると言っても、実際にその目で見るまで信憑性は薄いだろう。さて、どうしたものか。

 そう思ったその時。幸か不幸か再び部屋の扉がノックされる音が聞こえてくる。

 ……これは、来たか?

 

「はい、どなたでしょう?」

「テスラ研のダーナルです。至急連絡したい事があるのですが」

「えーっと……ちょっと待って下さい」

 

 チラリと俺へと視線を向けるラージと、俺が見つかったらどうしようかと慌てているミズホ。俺を突き出すんじゃなくて庇う方向に動いているのは、ミズホらしいと言えばミズホらしい。その様子に小さく笑みを浮かべつつ本棚の後ろへと姿を隠す。

 

「取りあえず俺はここに隠れる。……だがちょっと嫌な予感がするから、何かあったらすぐに俺のいる方に下がってこい」

「……どうやらその嫌な予感とやらが、アクセルさんがわざわざここに忍び込んだ理由らしいですね」

 

 さすがに頭が切れると言うべきか、ラージはすぐに俺がここに来た理由に思い当たり小さく頷く。

 

「ミズホ、お前もこっちだ」

「は、はい。お邪魔します」

 

 小さく頭を下げて、本棚の影になる位置へと俺と共に隠れるミズホ。

 ラウル達もそうだが、暫くみないうちに随分と大きくなったように感じられる。いや、身長とかじゃなくて雰囲気が強くなったように見えるというのが正確か?

 

「至急連絡したいとの事ことですが、何でしょうか?」

 

 ラージがそう言いながら扉を開けたその瞬間、少し太めの金髪をした研究員らしき男が強引に中へと押し入ってくる。

 

「ちょっと、何をするんですか。カザハラ所長に報告しますよ!?」

「ふんっ、好きにするがいい。全く。ミザル様も何だってこんな脆弱な奴等を……」

 

 そう言いながらラージへと手を伸ばすテスラ研の研究員。……否、それに変身しているアルコ。

 

「ラージさんっ!」

 

 咄嗟にミズホがそう叫ぶが、ラージはきちんと俺が言っていた意味を理解していたのだろう。不格好ながらも後ろへと大きく跳び、伸ばされたアルコの手を回避する。

 これがもし俺がここにいない状態でアルコの方が先にこの部屋へと訪れていれば、間違い無くラージ達は為す術もなく捕らえられていただろう。ラージにしろ、ミズホにしろ、その気概はともかく、身体能力的にはあくまでもただの一般人でしかないのだから。だが、今回は俺が先にこの部屋へと到着した為に前もって警戒を促す事が出来た。それがこの状況に繋がったのだろう。

 

「いいか、俺はラージを助けてあの研究員を捕らえてくる。お前はここで大人しく隠れていろよ」

「は、はい。気を付けて下さいね」

「ああ。……俺が誰かを忘れたのか? 俺はシャドウミラーを率いるアクセルだぞ? あの程度の雑魚がどうしようとも敵じゃないさ」

 

 そう言い残し、ラージを脅す目的なのだろう。ゆっくりと扉を閉め、おまけにいざという時に逃がさないように鍵まで掛けるアルコ。

 馬鹿め。これでお前が逃げられるチャンスも失ったな。……いや、仮にも修羅なんだし扉くらいは普通に素手で破壊する可能性もあるか?

 

「ほら、早く諦めろ。お前等如きを必要としている方がいるのだ。俺に逆らっても何も出来ないのは理解しているだろう」

「……僕達を必要? それは一体誰でしょうか?」

「お前が知る必要は無い。弱者は強者に従っていればいいのだ」

 

 そう言いつつラージへと飛ばした手を瞬動で移動した俺が横から手首を掴んで止める。確かアルコの本体はガリガリに痩せていた筈だが、今の変身している姿は太めの研究員だ。掴む場所に苦労はしなかった。

 

「ぬっ、だ、誰だ貴様は!?」

「誰だと思う? まぁ、どのみちお前はまんまとここに姿を現して、俺に見つかった時点で終わりだよ」

 

 何とか手首を握りしめられた状態から抜け出そうとするものの、金属すらも毟り取る俺の握力からそう簡単に抜けられる筈はない。

 

「ラージ、下がっていろ。こいつの相手は俺がするからな」

「はい、ではお願いします」

 

 この切り替えがラージのラージらしいところと言えるだろう。自分の専門分野外であると悟ると、いともあっさりこちらへと任せてミズホの避難している本棚の影へと移動する。

 

「さて。お前にミザルの情報を聞いてもいいんだが……」

「き、貴様。本当に何者だ! 何故貴様如きがミザル様の名前を知っている!?」

 

 ……駄目だな、これは。修羅神に選ばれなかった下級修羅として見下され続けてきたアルコだ。その分だけ自分を重用し、評価しているミザルについては揺るぎ無い忠誠心を抱いている。そうなるとまず情報を引き出す事は出来無いか。だが、だからと言ってこのままこいつを見過ごせばアルティスの暗殺に動く可能性もある。そうなるとこちらとしては非常に困る。ならここでその命を絶っておくべきだが……

 チラリと背後へと視線を向ける。そこには震えながらもこちらを見ているミズホと、俺がどう行動をするのかを観察しているラージの姿があった。

 ラージはともかく、ミズホの前で人殺しは拙いか。トラウマか何かになって、最終調整中だろうライトニングフレームやエターナルフレームに何か影響が出たり、あるいは3人乗りのライトニングフレームで戦場に出られなくなったりしてもこっちの戦力ダウンになるしな。

 となると、殺すのは誰も見てない時しか無い訳だが……まぁ、それに関しては後で考えるとしよう。どのみちここではどうしようもないのだから。

 

「ラージ、ジョナサン・カザハラ辺りに連絡を頼む。潜入してきた修羅を捕らえたとな。それと、ついでにこいつが化けている奴がどこかにいる筈だ。恐らく気絶か何かしてすり替わったんだろう」

「分かりました。それにしても変身能力ですか。昔ならまず絶対に信じられなかったでしょうが、こちらの世界に来て色々と見てきたせいかあっさりと信じられますね」

「だろうな。それは俺も同じだよ」

 

 まぁ、俺の場合は存在自体が既に人間じゃなくなってるんだが。

 そんな風に思いつつ、ジョナサン・カザハラへと通信を送っているラージの姿を眺める。

 

「く、クソッ、離せ!」

 

 このままでは危険だと判断したのか、アルコが騒いで俺へと攻撃を仕掛けてくるが、その全てを左手でいなしていく。

 

「お前はちょっと騒がしいな。少し眠っていろ」

 

 呟き、掴んでいた手を強引に振り回し……そのまま一本背負いの要領で床へと叩きつける!

 ドンッ、という音が周囲へと鳴り響きアルコの意識が消え失せ、次の瞬間には太った白人だった姿が痩せぎすの禿へと姿を変えた。

 

『ラージ君、今の音は一体何だ!?』

 

 通信モニタの向こうでジョナサンが驚いている声が妙に印象的な感じだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:420
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:471

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