転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0548話

「……さて。君が何故ここにいるのかを聞いてもいいかな?」

 

 テスラ研の所長室。現在俺はそこでテスラ研の所長でもあるジョナサン・カザハラと向かい合っていた。

 俺とジョナサンの他にはラージとミズホの2人に、ジョナサンの護衛と思しき数名の警備兵のみだ。向こうとしては出来るだけ他の者に俺の存在を知られたく無い……といったところなのかもしれないな。

 

「それよりも、アルコが変身していた奴は見つかったのか?」

 

 向こうの言い分を完全に無視して尋ねる俺に微かに眉を顰めるが、すぐに頷く。

 

「ああ。ダーナル君は先程見つかったよ。君の言う通りに気を失って近くの森で倒れていたそうだ。まだ意識が戻ってないから事情は聞いていないが、状況を見る限りでは君の話に嘘は無いだろう」

「なら分かるだろう? 別に俺がお前達に対して敵対的な行動をした訳じゃないと」

「確かに今回はそうかもしれない。だが、君には色々と前科があるからね。そう簡単に信じる訳にはいかないんだよ」

「前科……ねぇ」

「ああ。敢えて言うまでも無いだろう? バルトール事件の時に色々と暗躍していたのは判明している。……幸いと言うか何と言うか、ヘルゲート以降は敵対的な行動をしていないらしいが、それでも君の行動で受けた被害はそれなりに大きい。いや、テスラ研としてはそうでもないけど、マオ社は色々とあるしね」

 

 意味あり気に俺へと向けてくる視線を、肩を竦めてスルーする。

 

「それはともかくだ。俺が捕まえた修羅は連邦軍に引き渡すなり何なりした方がいいぞ。あいつは他人に変身する能力を持っている。幸い能力の変身とかは出来ずに、純粋に外見だけのようだが、それでも厄介な事に変わりはない。修羅だけあって、その身体能力も普通の人間と比べると格段に高い。……幸いなのは、修羅神に乗れない事くらいか。知恵の回る猛獣という認識でいた方がいいだろうな」

 

 これで、もし能力まで変身した相手のものを使えるのだとしたら下級修羅云々じゃないよな。それこそ修羅王やら何やらに変身されたら堪ったものじゃない。

 

「もちろんだ。彼は連邦軍が引き取りに来るまでは厳重に監視している。……さて、話を元に戻そうか。君達シャドウミラーがヒリュウ改やハガネにソーディアン攻略の提案をしたのは通信で聞いている。バルトールが襲ってきたラウル君達の援軍に向かった事もね。だが、何故その中でシャドウミラーを率いている君がテスラ研に現れたのか。そして、どうやって厳重な警備態勢の中をラージ君達の部屋まで忍び込んだのか。その辺を聞かせて貰えないかな」

 

 さて、どうしたものか。まさか魔法に関して教える訳にもいかないしな。まぁ、とにかく……

 

「ラージ達が危ないというのに関しては、念動力が教えてくれた。忍び込んだ方法に関しては、頑張ってとしか言えないな」

「……それを僕に信じろと?」

 

 さすがに普段はふざけていても天下のテスラ研所長。その視線にはかなりの重圧が込められている。だが、生身でフェイトやら鬼神やらラカンやら造物主やらと渡り合ってきた俺だ。その程度の重圧を受け流すのはそれ程難しくは無い。

 

「さて、俺の話を信じるかどうかはそっち次第だ。俺は言うべき事を言ったしな。それでどうする? 俺を拘束でもするのか?」

「……」

 

 その問いに、ジョナサンは沈黙で返し……

 

「はっはっは。いいだろう。君のその勇気に免じて取りあえず今は諸々の件については棚上げにしておこうじゃないか。私としても君とはきちんと話してみたいと思っていたんでね」

 

 これまでのシリアスは何だったのかと言わんばかりに明るく笑いながら、椅子から立ち上がって俺へと近付いてくる。

 

「俺と話を? シャドウミラーについての情報は漏らせないぞ?」

「違う違う。何しろ、うちの馬鹿息子を悔しがらせてくれたそうじゃないか。どうだね? 軽く祝杯でも」

「……何?」

 

 正直、今の俺には目の前にいるこの男が何を言っているのか全く理解出来無かった。それはラージやミズホも同様なのだろう。不思議そうな視線をジョナサンへと向けている。

 

「カザハラ所長。話の流れがよく分からないのですが」

「ん? あぁ、そうか。君達もさっき聞いたと思うけど、ヒリュウ改やハガネはソーディアン攻略までシャドウミラーと手を結ぶ事になったんだ」

「いえ、それは分かりましたが。イルム中尉を悔しがらせた、とは?」

「ああ。何でも、お互いの隊員を紹介した時にすこぶるつきの美人が……しかも3人も彼の恋人にいたとか。いやいや、あの馬鹿息子の悔しがっている様は実に見物だったよ」

「は、はぁ……」

 

 そのテンションに若干引き気味のラージだが、ジョナサンの言ってる内容を理解してくると首を傾げて俺へと視線を向けてくる。

 

「恋人が3人ですか。1人は間違い無くレモンさんでしょうが、残り2人はどなたでしょう? 僕の知ってる人ですか?」

「いや、知らない相手だな」

「となると、僕達と袂を分かってからシャドウミラーに所属した人ですか。なるほど。ミズホは……ミズホ?」

 

 何故か顔を真っ赤にしながら俺を睨みつけているミズホに、首を傾げるラージ。

 やがて、我慢出来なくなったのかミズホが口を開く。

 

「そんな、恋人が3人もいるなんて……男の人って不潔です!」

 

 そう叫び、部屋を飛びだしていくミズホ。ラージは呆然と、ジョナサンはニヤニヤとした笑みを浮かべてその様子を眺めている。こいつは一体何をしたいんだ? ラウルがミズホとくっつくのを無意味に邪魔しているようにしか見えないんだが。

 そんな風に思っていると、唐突に部屋に通信が入ってくる。それを受け取ったジョナサンは、最初はいつも通りに――とは言っても俺が知ってるのは元々の世界のジョナサンだが――通信相手からの話を聞いていたのだが、やがてその表情が驚愕の色へと染め上げられ、俺とラージへと視線を向ける。

 この様子からすると恐らく俺達……と言うよりもラージに関係のある事。つまりは、時流エンジンやエクサランス関係。つまりは。

 

「……落ち着いて聞いてくれ。たった今、ハガネから連絡があった。戦闘中にエクサランスとコンパチブルカイザーが共鳴現象のようなものを引き起こし、そこにもう1機のエクサランスが姿を現したそうだ」

 

「待って下さい。……それはつまり!」

「フィオナ、か」

 

 ラージの言葉の後を続ける。

 

「……驚かないんだな。君はラウル君達とは随分と長い付き合いだと聞いているが。……それとも、もしかして『知って』いたのかな?」

 

 先程同様の重圧を感じさせる視線。それを受け止めながらも、内心を隠して小さく首を振る。

 もちろん俺だってフィオナが無事にこの世界に到着したのはこの上なく嬉しい。何しろ原作では間違い無くこの世界に到着していたのだが、この歴史には俺というイレギュラーが存在している。そのイレギュラー故にフィオナがこの世界に辿り着けない可能性も存在したのだから。

 

「……まぁ、いい。ヒリュウ改、ハガネ、シロガネの損害は特に無し。搭載している機体についても一番大きいダメージを受けた物でも小破程度だそうだ。全く、インスペクター事件の時に君達……いや、主に君1人に受けた被害を考えると信じられない程に上出来だよ。あの時は僕達も彼等も、機体の修理費用でカツカツだったからね」

「その割には毎回毎回、新品同然で出撃してきたけどな」

「それに関しては、こっちとしても色々な場所に手を回していたのさ。おかげで、君は整備員達に死ぬ程恨まれているようだけどね」

「だろうな」

 

 ジョナサンの言葉に小さく肩を竦める。

 何しろ、修理しても戦場に俺が……グロウセイヴァーが姿を現すと高確率で機体が破壊されるのだ。せめてもの救いは、大破以上にはならなかった事だろう。それに関しても、俺がヒリュウ改やハガネを育てるという目的があったからこそだが。どちらにしろ、整備員達にしてみればそんなのは関係無く、壊れれば直さなければならないのだ。もし手を抜こうものなら、自分達の乗っている艦が沈み、下手をすれば地球が終わりを迎えていた可能性もあるのだから。

 

「だが、そのおかげで奴等は強くなっただろう? インスペクターやアインストに勝てる程に」

「それでも、アインストの親玉を倒したのは結局アクセルさんだったじゃないですか」

 

 俺とジョナサンの話を聞いていたラージの言葉に、思わず苦笑を浮かべる。

 確かあの時はドルムと融合したシュテルン・ノイレジセイアがアルトアイゼン・リーゼに致命的な一撃を与えようとしていたから割り込んだんだったか。

 

「最後の一撃を加えたのは俺でも、そこまで奴を削ったのは間違い無くヒリュウ改やハガネの奴等だよ」

「ふっ、君も意外と照れ屋らしい。……ん? 来たようだよ。噂の英雄達のお帰りだ。君達も出迎えて上げるといい」

「そうだな。ラージ、行くか。久しぶりにフィオナと会うんだ。出迎えるくらいはしてもいいだろう」

「そうですね。フィオナが乗っていたエクサランスの調子も見たいですし。……でも、アクセルさん」

「ん?」

 

 振り向いた先に見えたのは拳。避けるのも、混沌精霊としての力で回避するのも簡単だったが、この一撃は俺が受けなければ駄目なのだと分かっている為、素直にその一撃を食らう。

 ラージの拳を食らって、軽い衝撃が頭を揺らす。

 

「……」

「正直、こんなのは僕の趣味じゃないんですが……ラウル、ミズホ、そしてフィオナを心配させたケジメです」

「ああ」

「……ラウルやフィオナともしっかりと話をしてあげて下さいね」

 

 そう言い、所長室を出て行くラージ。

 その背を見送り、俺もまた追いかけようとしたところで、ジョナサンが笑みを浮かべつつ俺へと視線を向けているのに気が付く。

 

「何だ?」

「いやいや、別に何でもないさ。色々と青春をしていると思ってね。……それよりも君も早く行ってやるといい。妹分のような存在なんだろう?」

「ああ、色々とあったからな。様子は見ておきたい」

 

 そう言い、所長室を出ようとしたその時。

 

「アクセル・アルマー」

 

 再び背後から声を掛けられる。

 そちらへと視線を向けると、何故かそこには俺へと頭を下げているジョナサンの姿。

 

「タカクラチーフから話は聞いている。フィリオの病気はもう治ったとか。……正直、君達の医療技術には脱帽するしかないが、よくフィリオを救ってくれた。感謝している」

 

 ……あぁ、そうか。フィリオの通信については量産型Wの監視下においては許可していたんだったな。そこで病の治療が終わったのをツグミ経由で聞かされたのか。

 

「何、気にするな。俺達にも利があるからこそ、フィリオを迎え入れたまでだ。ギブ&テイクだよ」

「それでもだ。私の部下……いや、友人の命を救ってくれた事には感謝したい」

 

 そう言い、ようやく下げていた頭を上げるジョナサン。

 その様子に、小さく肩を竦めて無言で返し、所長室を出て行くのだった。

 

 

 

 

 

「アクセルさん!」

 

 テスラ研の格納庫に到着するや否や、いきなり大声で呼ばれる。

 そちらへと視線を向けると、そこにはラウル、ラージ、ミズホの3人にストレッチャーが1つ。

 

「アクセル……さん?」

 

 そしてその上には、酷く消耗した様子の赤毛のショートカットの少女が存在していた。

 

「フィオナ。無事だったらしいな」

「え? あ、うん。アクセルさんは、その、どうしてここに……? ここは私達のいた世界と違う世界だってラウルが言ってたのに……」

 

 俺に付いては恐らく話してなかったのだろう。まぁ、フィオナを救助してからすぐにテスラ研に戻って来てその暇も無かったってのが正しいんだろうが。

 

「とにかく今は休め。お前が無事だったのと同様に俺も無事だった。詳しい話は少し落ち着いてからになるだろう」

 

 そっと弱っているフィオナの頭を撫でながら告げると、暫く気持ちよさそうに目を瞑っていたのだがやがて本格的に寝息を立て始める。

 

「……行ってくれ」

 

 恐らくヒリュウ改かハガネの医務室に勤めている看護師か何かなのだろう。ストレッチャーを運んでいる男2人にそう告げると、そのままテスラ研の中へと入っていくのを見送る。

 

「……アクセルさん」

「ラウルか。良くフィオナを無事に助け出せたな」

「いや、あの共鳴現象が無ければ……それに、レモンさん達がいなければデュミナスの手下に連れ去られるところだったよ」

「レモンが?」

「ああ。フィオナのエクサランスを確保しようとしていた敵に、弾丸を雨霰と食らわせて援護してくれたんだ」

「そうか」

 

 レモンとフィオナは微妙に仲が悪いと思っていたんだが……実はそう見えていただけで仲は良かったのかもな。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:420
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:471

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