転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0557話

「……お前達はどうする?」

 

 ラハ・エクスティムが消滅し、奥の院への道が出来た中でアルティスへと尋ねる。

 

「もちろん共に行く。既に答えは出たのだ。ならばその道を進む事がアルカイド様への手向けとも言えるだろう。……メイシス! フェルナンド! アリオン!」

 

 修羅王の間の入り口へとそう声を掛けると、すぐにそこから3機の修羅神が姿を現す。細身の機体で、まるでニーズヘッグのヒュドラのように氷の槍を身に纏っている機体のペイリネス、既に何度か遭遇して見慣れているヤルダバオトと双子の修羅神であるビレフォール、そして馬面型の修羅神アガレス。その3機がアルティスの側へとやってくる。

 

「アルティス様」

「メイシス、アルカイド様の遺言は聞こえていたな?」

「はい。では、以前からの約束通りに」

「そうだ。他に残っている修羅を集めろ。アルカイド様の最後の命令を無視するな」

「兄上はどうするのですか?」

「私は奥の院へと向かう。この転空魔城を自由にとまでは言わないが、ある程度は動かさなければアクセルとの約束も叶わないのでな。フェルナンド、アリオン。お前達2人もメイシスと共に修羅の者達を纏め上げてくれ」

「……ま、こうなったらしょうがないか。自由戦士としても、仲間を見捨てる訳にはいかないしね」

「兄上の命令なら、確かに引き受けます。ですが……」

 

 ビレフォールが神化したヤルダバオトへと視線を向ける。

 

「フォルカ。この件が片付いたら必ず俺と決着を付けて貰うぞ」

「いいだろう。いつでも、何度でも掛かって来い。俺はいつでも受けて立つ」

「ふんっ、その言葉忘れるなよ」

 

 そう言い、ビレフォールは修羅王の間から出て行く。

 

「ではアルティス様、私も早速修羅達を纏めますので」

「じゃ、俺も行くとするかね。メイシスにしろ、フェルナンドにしろ、微妙に放っておけないし」

 

 ペイリネスとアガレスがそんな風に言いながら修羅王の間を出て行き、最終的に残る修羅はフォルカとアルティスの2人のみとなった。

 

「兄さん……」

「フォルカ。色々と話したい事もあるが、話は後だ。まずは奥の院を制圧しなければな。グズグズしているとミザルに先を越されるぞ」

「……ああ!」

 

 兄と戦わなくて済み、安堵の息を吐くフォルカ。

 

「さて。向こうも話が纏まったようだし、さっさとその奥の院とやらに行くとするか。きちんと制御してソーディアンをどうにかするなり、制御出来ないようなら破壊するなりしないといけないからな」

 

 その言葉に、異論、同意と色々と思う事がある者達は多いのだが、それでもこのままだとミザルに奥の院を占拠されてしまうというのは分かっているのか、それぞれが自分の艦へと戻って簡単な補給をしながら奥の院へと続く通路へと進んでいく。

 ……にしても、シロガネを始めとした戦艦クラスでも普通に通行できるってのは良く考えるともの凄いよな。その辺はホワイトスターにしても同様だが。

 そんな風に考えながら通路を進み、やがて広い部屋の中へと到着する。

 

『これは……遺跡、か?』

『そうですな。ですが遺跡と言うよりも、これは神殿……?』

 

 ハガネのテツヤとヒリュウ改のショーンの声がオープンチャンネルで聞こえて来る。

 だが、確かにその言葉には納得せざるを得ない。ニーズヘッグのモニタに表示されているのは、古代の遺跡、あるいは神殿のようにも見えるのだ。

 俺の原作知識はOG外伝までなので、このソーディアンがどんな謂われのある物なのかは分からない。あるいは、俺の知らない原作が関係しているのかもしれないが、それにしても知らない以上はどうしようもない。

 

「……だが、どうやら話は後だな」

『そうですな。どうやら私達よりも先に乗り込んでいた人がいるようですし』

 

 俺の言葉にショーンが同意する。

 その視線の先にいるのは、どこか人狼を思わせるような修羅神。

 

「やはりお前が先回りをしていたか。人を出し抜くのだけはさすがと言うべきだろうな」

 

 シロガネの格納庫に退避していたアルティスが冷静な声で呟く。

 

「ほう、アルティスか。修羅を裏切り、そやつ等についたか。だが、そうだな。ご苦労だったとは言っておこうか。あのアルカイドを倒す手間を省いてくれたのだからな」

「……どう足掻いたとしても、貴様如き小物にアルカイド様を倒せるとは思えんがな」

「はっ、勝手に抜かしていろ。奴がいない以上は既に私が修羅王の座にある。どうだ? 今降伏するのなら、多少は扱いを考えてやってもいいぞ?」

 

 自慢気に宣言してくるミザルだが、どこからどう見ても今の奴はピエロ以外の何物でも無い。モニタに映っている各人の反応を見ると、その殆どが可哀想な者を見るような視線を向けている。

 ……中には極一部、ミザルの挑発とも言えない挑発にそのまま乗っている奴もいるようだが。

 

「ふざけんな、この髭親父が! そのくだらねぇ髭を毟り取ってやろうか!? もしかしてその髭が格好いいとでも思ってんのかよ? あぁんっ!?」

 

 激昂したカチーナの声がオープンチャンネルで周囲へと響く。そしてそれを聞いて微妙に嫌そうな顔をしているショーンとカイ。……カチーナってもしかして髭に何か恨みでもあるのか?

 

「黙れ、この小娘が! そもそもここは修羅の本拠地で、私が修羅王なのだぞ! そんな状態で私に逆らって、無事で済むと思っているのか!?」

 

 ……そう言えば原作だと最終的にはフォルカを修羅王に任命したんだが、この歴史では特に誰も修羅王を任されなかったな。その辺どうなるんだ? まぁ、無難に考えればホワイトスターで病を治療したアルティスが修羅王になるんだろうが。

 

「へっ、お前こそ馬鹿じゃねえのか? 実力でその修羅王に勝てなかったお前が、その修羅王を破ってきたあたし等相手にどうにかなるとでも思ってんのかよ?」

「馬鹿め! 先程も言っただろう。ここは修羅達の拠点、転空魔城。兵など幾らでも出て来るわ!」

 

 お? これは……OG外伝でも屈指の名シーンと言われているあの場面か。

 こんな状況でありながらも、微妙に期待をしつつミザルの次の言葉を待つ。そして……

 

「さあ修羅達よ、出ませい! 我らの手で修羅王様の仇を討つのだ!!」

 

 ミザルのそんな声が周囲へと響き……30秒程。誰も身動きすらしないままに過ぎて行った。残っているのはどこか白けたような空気。

 そう、これが……これこそがスパロボOG外伝でも屈指の名シーン。ミザルのピエロぶりを現したシーンだ!

 ……いや、そこまで力を入れて解説するまでもないか。

 そもそも、マグナスを倒し、その影響でフェルナンドを洗脳するチャンスを奪い、更には裏工作で活躍していたアルコを捕虜にしたのは全て俺だ。つまり、ただでさえ低かったミザルの影響力を原作よりも尚削いだ原因は俺にある。

 シーン、とした空気の中でそんな風に思いつつ口を開く。

 

「修羅達は既にアルティスに従うように、アルカイド本人から最後の命令が下っている。もうお前に力を貸すような修羅はどこにもいないだろうな。……最後くらい、修羅として自分自身で戦ってみたらどうだ?」

「ぬぅ、アルカイドめ。このような奴等に修羅の後を託すなど、何を考えている」

 

 ギリギリと歯を噛み締める音が通信越しにでも聞こえて来る。だが、すぐに周囲を素早く見回し、こちらにほぼ無傷の戦艦3隻があるのを改めて確認するや否やミザルの修羅神である人狼のようなその機体は両手を上げる。いわゆる、ホールドアップの体勢だ。……修羅神にも同じような降伏の姿勢があるんだな。

 

「やむを得ん……貴様等に降伏する」

「はぁっ!? 今まで散々偉そうな事を言っておいて、いきなりそれかよ!」

 

 カチーナの怒声のような叫びが通信回線に響き渡る。

 

「何と言われようとも、命あっての物種だ。私はお前達に降伏する」

 

 あまりと言えばあまりのその台詞に、絶句する一同。そんな中、心底呆れたような表情でアルティスが溜息を吐く。

 

「情けない。仮にも修羅王の地位を望んだのなら、少しは己の道を通したらどうだ?」

「……」

 

 アルティスの言葉に無言で返すミザル。だが次の瞬間、T-LINKシステムを通して何かが急速にこの場へと近づいて来ているのを感じとる。デュミナスの送り込んで来たバルトールか。

 

「全機、警戒しろ。何かが来るぞ!」

 

 その言葉と共に、姿を現すバルトール。そのままミザルを守るかのように修羅神グラシャラボラスの隣へと数機が降り立つ。つづいて、その周囲にもバルトールが陣取り、合計20機近くが姿を現した。

 

「くっ、くははははっ! やはり天は私を見捨てていなかった! これぞ、私に修羅達を導けと運命が示しているのだ!」

「……馬鹿が」

 

 そう呟いたのは誰だったのか。恐らくカチーナ辺りだと思うが。

 まぁ、そうしたい気持ちが分からないでもない。そもそもバルトールは確かに高性能な機体だが、それでもこれまで幾度となく戦ってきただけに対処はそう難しくは無い。それにラミアという生体コアをデュミナスが入手出来なかった影響で、こちらが撃破を躊躇うような事も無い。

 

「済まないが、あのような者でもかつて修羅の一翼を担った者。その最後は私の手で始末を付けたい。構わないだろうか」

『いや、別にそこまで気負わなくても』

 

 テツヤの困惑したような声が通信で流れる。

 確かに全員で掛かれば、それこそさほどの抵抗もなく一掃出来るというのは確かだ。だが……

 

「テツヤ・オノデラ。それに他の奴等も、分かってやれ。これはいわば修羅同士の内乱にも近いものだ。……いや、どっちかと言えば粛正と言うべきか。修羅以外の者が奴を倒すと後々問題になる可能性がある。ここで妙な遺恨を作って、この事件終了後に下手な騒ぎを起こしたくはないだろう?」

『むぅ……確かに修羅内部での出来事と言われればそれまでだが。だからと言ってこのまま見ている訳にも』

「別に戦闘全てに手を出すなと言ってる訳じゃない。俺達の役目は露払い。アルティスとあの小物の戦いに手出しをしなければいいだけだ。逆に言えば、向こうから手出しをするだろう存在は俺達が排除してやればいい」

『つまりバルトールを、ですか』

 

 俺の言葉の意味を理解したのだろう。確認の意味も込めて尋ねてくるレフィーナに頷いてみせる。

 

『分かりました。確かに一連の事件終了後に妙な騒ぎになっても困ります。修羅の事は修羅自身で片を付けると言うのならお任せしましょう』

「すまない。理解してもらえて助かる」

 

 レフィーナへと礼を言うアルティス。だが、それを聞いて黙っていられない者も当然おり……

 

「兄さん、修羅だというのなら俺も」

「いや、ここまで奴を野放しにしてしまったのは私の責任でもある。ならばその因果の芽を摘むのは私の役目だろう」

「けど!」

「……フォルカ。お前の兄は、あの程度の者にやられるような男か?」

「いや、それは……」

「ならば黙って見ているがいい。そして、私の戦いに介入しようというあの木偶人形に関して任せたぞ」

 

 そう告げるや否や、カタパルトデッキから射出されるマルディクト。

 

「全機、ヒリュウ改やハガネの者達も聞いてたな。俺達の相手はあの小物の護衛を務めているらしいバルトールだ」

「ちょっと待て! なんで私等がお前の命令で……」

『カチーナ中尉、これは正式にヒリュウ改の艦長として命じます。私達の相手はバルトールで、あの修羅は彼に任せます』

 

 カチーナの言葉にレフィーナが割って入る。そこまでされると、さすがにカチーナとしてもこれ以上文句を言う訳にもいかなくなったのだろう。小さく舌打ちをして不承不承頷く。

 全く、使いやすいような、使いにくいような。微妙な性格なんだよな。それでいてパイロットとしての能力は間違い無く1流なんだから始末に負えない。

 あるいは、カチーナが真っ先に文句を言うからこそ他の連中が口に出さないというのもあるんだろうが……

 

「さて、話は決まったな。なら……ニーズヘッグ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、シロガネのカタパルトデッキから放たれるニーズヘッグ。戦場へと視線を向けると、すでにそこではグラシャラボラスとマルディクトの戦いは始まっていた。とは言っても、さすがに修羅としての腕の差が出ているのかグラシャラボラスの防戦一方だったが。

 

「T.T.キャノン、発射!」

 

 そんな戦いの横で、マルディクトへとちょっかいを掛けようとしていたバルトールへとT.T.キャノンを発射。その一撃を察知して自慢の運動性能で回避行動を取るのだが、その放たれたビームはT-LINKシステムを通して俺の念動力に従い、バルトールの回避した先へと大きくカーブを描きつつ向かい……その柔な装甲を貫通して、爆散するのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:595
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:506

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