転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0558話

「……勝負は見えたな」

 

 モニタの先の光景に、思わず呟く。

 そんな俺の視線の先では、マルディクトの手から放たれる炎――紅蓮妖光弾――をグラシャラボラスが必死に回避しながら距離を縮めようとしているが、それは半ば以上無駄な行動と言うしか無かった。何しろ1歩を踏み出すと同時に炎を食らって2歩後退するような有様なのだから。1度は足を折り畳んでドリルを剥き出しにし、その反対側から炎を吐き出してジェットエンジンの如く突っ込もうとしていたのだが、直線的すぎるその動きはアルティスにあっさりと回避され、逆に背中に大量の紅蓮妖光弾を食らうという状態に陥っていた。

 

「確かにそうだな」

 

 そう言い、ニーズヘッグの隣へと着地したのはラピエサージュだった。コーネリアが鼻を鳴らしてグラシャラボラスへと視線を向けている。

 

「機体自体はそれ程の差は無い。もちろん機体の格という意味ではあの人馬型の修羅神の方が上だが、向こうの機体が圧倒的に劣っているという訳でも無い。この2機で決定的に違うのはパイロットの腕だな」

 

 さすがコーネリアと言うべきか、的確な言葉だ。

 

「まあな。何しろ自称No.2と本物のNo.2の戦いだからな。それは差も出るさ。それよりもバルトールは……ああ、なるほど」

 

 コーネリアへと声を掛けながらバルトールとの戦いをモニタに表示すると、思わず納得する。そこではグルンガスト零式の斬艦刀がバルトールを胴体で真っ二つにし、そのすぐ近くではトリニティゲインの五大剣がバルトールを唐竹割にしていた。

 どうやら因縁の師弟が頑張っているらしい。

 そしてその近くではダイゼンガーや虎龍王もまた同様に既に残り少なくなったバルトールを次々に撃破していっている。

 リシュウ一門大暴れって奴だな。

 そんな風に苦笑をし、視線を再びグラシャラボラスとマルディクトの方へと向けると……そこでは炎を放つのではなく、機体に纏わせたマルディクトがそのままグラシャラボラスへと突っ込んで行くところだった。

 

「ひぃっ、来るな……来るなぁっ!」

 

 その叫びと共に放たれる両足のドリル。そのドリルが飛んで行くが、アルティスはマルディクトで軽く跳躍してその一撃を回避。そのまま恐怖に囚われたのか、動けなくなったグラシャラボラスとの距離を縮める。

 

「紅蓮の衝撃を受け、溶解せよ!」

 

 その言葉と共にグラシャラボラスへと体当たりをし、そのまま拳の連撃を叩き込んでいく。

 

「ぐわ、や、止めろ! 貴様、誰を相手にしているのか分かってるのか! 私はミザル、激震のミザルだぞ!」

「修羅の誇りを持たぬ者が、何を言うか!」

 

 最後の一撃とばかりに馬の足でグラシャラボラスを蹴り飛ばし、そのまま手に炎を纏ったまま構えを取る。するとその炎がマルディクトの後方へと広がり円陣を形成。そこから無数の炎が放たれてグラシャラボラスを打ち据える。炎によって腕が、装甲が、ドリルが無くなった脚部が徐々に破壊されていき……

 

「奥義、紅蓮魔炎陣」

 

 その言葉と共に、全身に炎を纏ってグラシャラボラスへと突っ込んでいく。一筋の閃光となり、周囲へと巨大な爆発を巻き起こし……それが収まった時、そこに残っていたのは既に大破したと言ってもいいようなグラシャラボラスの姿だけだった。

 

「こんな……結末、私は認めん。認めて……堪るものか」

 

 既に碌に殆ど動く事すら出来無いその機体だが、それでもまだミザルは意識を保っているのか、恨みを込めた言葉が通信越しに聞こえてくる。

 

「デュミナス……何故、何故だ。何故私を助けに、来ない。私は……私こそが修羅王となり……知と力を持って……全てを我が物に……」

 

 そこまで呟き、それが限界だったのだろう。次の瞬間には大破状態だった機体が爆発を巻き起こし、グラシャラボラスだった修羅神は破壊され、砕け散るのだった。

 

「捨て駒にされたか。まぁ、自業自得ではあるが……」

 

 そう呟いたその瞬間。

 

「そういう事。良く分かってるじゃん。デュミナス様を利用しようなんざ甘い甘い。そんなんだから利用されてポイ捨てされるんだよ」

 

 ニーズヘッグと同じくらいの大きさの機体、ティスの操るテュガテールと、その子機であるパテール。そして。

 

「でも、時間は十分に稼げたよ」

 

 PTと比べると2回り程大きく、4本の腕と4枚の翼を持つラリアーの機体ヒュポクリシスが姿を現す。

 

「ティス! ラリアー!」

 

 ラウルの怒声がオープンチャンネルを通じて周囲へと響く。

 さて、いよいよデュミナスとの前哨戦だが……こいつ等をどうするべきか、だな。デュナミスが自分が生み出したテクニティ・パイデス。いわゆるホムンクルスのこいつ等を吸収すると劇的に強くなる。逆に言えば、こいつ等を吸収させなければデュミナスは弱いままな訳だ。デスピニスに関してはテスラ研の方できちんと保護してるし、何かあっても大丈夫なように護衛を用意してあるとかいう話だからまず問題無いとして……原作で吸収されたこの2人は、助けたとしてもどうしたものか。

 いや、この際デスピニス同様にラウル達に任せるか。

 俺がこの先の展開を考えている間にも、ラウルやフィオナ、ラージ、ミズホ達との会話は続いていたらしい。

 

「時流エンジン搭載機は、全てここで破壊させて貰います」

「コウタ・アズマ、ショウコ・アズマ。あんた達2人も同様だよ」

 

 今まで必死に機体を手に入れようとしていたのとは随分と態度が変わっているが、その理由がソーディアンの奥の院。つまりはここだ。ここにあるソーディアンの次元転移を司る中枢装置。これに残っていたデータがダークブレインを現す闇脳であった事をミザルの報告によって知ったのだろう。それにより、時流エンジンもコンパチブルカイザーも必要無くなった訳だ。

 まずはティスとラリアーの気を引き、混乱させ、デュミナス登場前に捕獲するなり撃破するなりしないとな。

 そう考えて、いつものように意味深に言葉を挟む。

 

「このソーディアンを利用する、か」

「っ!?」

「何故それを……」

「念動力による勘みたいなものだったんだが、どうやら当たりだったみたいだな」

「くっ!」

「……なるほど」

 

 俺の言葉に、コウタと合体しているロアが頷くのが聞こえて来る。

 

「アルカイドやミザルが死んだ今、ソーディアンの次元転移装置を修復して使おうとしているのか」

「うっ、うるさいうるさいうるさーいっ! あんた達なんかここで死ねばいいんだ!」

「そうなると、奴等の狙いはその為の時間稼ぎか」

「そうでしょうね。リュウ、ライ、マイ、ここで時間を掛ける訳にはいかないわ。SRXで一気に行くわよ」

 

 キョウスケの言葉にアヤが頷き、R-1、R-2、R-3が合体してSRXへと姿を変え、同時にその隣へとR-GUNが降り立つ。アヤの通信を聞く限りでは、恐らくマイがR-GUNに乗っているのだろう。となるとヴィレッタは何に乗ってるんだ? ビルトビルガー、ビルトラプター、ビルトシュバインのビルト系か? あるいは量産型じゃないゲシュペンストMK-Ⅱか……まぁ、今はそんな事を考えている暇は無いな。

 

「へへんだ。こっちも今回は本気でいかせて貰うからね!」

 

 ティスのその声と共に、量産型ウェンディゴ5機と宇宙ひらめことフラットフィッシュが3機。そしてそのフラットフィッシュから生み出される、空飛ぶ芋虫のようなタッドポールが15機程姿を現す。

 

「うげっ、アレっていつぞやの宇宙ひらめじゃんか!」

 

 この歴史でも、原作通りに宇宙でフラットフィッシュと戦っていたのだろうタスクが心底嫌そうな顔をして叫ぶ。

 

「それだけじゃない。あっちはウェンディゴだ。……どうやら奴等、今回は本気で俺達を潰す気らしいな」

 

 ウェンディゴと縁の深いカイが苦々しく呟く。

 そしてその声に嬉々とした声を滲ませつつティスが口を開く。

 

「さぁ、ここがあんた達の墓場だよ! 覚悟を……」

「覚悟を決めるのは貴方達ですよ」

 

 ティスの台詞に被せるように声が響き、次の瞬間北東方面にその機体は姿を現した。

 

「グランゾンだと!? シュウの野郎か!」

 

 マサキの叫びが周囲へと響く。

 そう、姿を現したのはグランゾン。それに関しては問題無い……とは言い切れないが、最大の要因はシュウはシュウでも、ヴォルクルスに操られているシュウかどうかって事だ。トーチカ1でのやり取りでシュウの自負心がヴォルクルスに対抗出来ていればいいんだが……

 

「シュウ・シラカワか。トーチカ1以来だな」

「貴方は……アクセル? っ!? アクセル・アルマーですか」

 

 一瞬顔を顰めた様子から見るに、まだ完全に支配されていないと見てもいいのか? だが、問題はその眉を顰めて俺を思い出した様子を見せたところか。つまり、俺と顔を合わせるまでは操られていた可能性が高い、のか? だとすると色々と最悪な感じになりそうなんだが。

 

「ここに来たという事は、狙いは俺達と同じと考えてもいいのか?」

「え、ええ……そうですね。私の狙いは貴方達と同じと考えて下さって結構です」

 

 話している途中でやがて落ち着いて来たのか、いつものような冷静な口調へと戻るシュウ。出来れば、シュウ自身としてヴォルクルスの力を抑えての事だといいんだが。

 

「待てよ! 幾ら何でもシュウ、お前を信じられるか! ただでさえ今回はアクセルのような奴を抱え込んでるんだ。そんな中で更にお前のような、いつ裏切るかも分からねぇ奴を信用出来るか!」

 

 当然と言えば当然だが、マサキがシュウへと突っかかっていく。

 そこで俺が引き合いに出されてるのは……まぁ、これまでの行いを考えれば無理はないのかもしれないが。

 

「DC戦争後のインスペクター事件、バルトール事件と随分と貴方達には協力してきた筈ですが……」

「確かにそうかもしれないが、話を聞かされてはいそうですかって信じる程にはアンタを信用出来ないんだよな。……何でソーディアンやデュミナスを破壊しようとしてるのか、聞いてもいいかい?」

 

 イルムのそんな当然と言えば当然の質問だったが、シュウはどこか不自然な感じで口を開く。

 

「貴方達と……同じ、ですよ。少なくても今は」

「……シュウ?」

 

 マサキとしても、今の受け答えに違和感を覚えたのだろう。思わず名前を呼ぶが、すぐにシュウの口調はいつものものに戻る。

 

「もっとも、破壊した後については貴方達次第と言ってもいいですけどね」

「ど、どういう意味だったりするんでしょうか?」

 

 最後の言葉に不穏なものを感じたのだろう。タスクが腰の引けた様子で尋ねるが、シュウは何故かそれを無視してグランゾンの顔を俺の方……正確にはニーズヘッグの方へと向けてくる。

 

「さて……どういう意味だと思いますか?」

 

 その問いかけは皆にしているように見せかけて、その実俺へのものなのだろう。……拙いな。予想以上にシュウの意識が俺に向いている気がする。本来ならシュウのライバルというか、対抗相手はマサキの筈だというのに。恐らくトーチカ1での俺の言葉が理由なんだろうが。

 

「……さて、な。とにかく俺達に協力するというのならそれもいいだろう。戦力は多い方がいい。この後にはデュミナスも控えているしな」

 

 もっとも、ティスやラリアーの吸収を阻止するという俺の狙いが上手くいけば、俺1人でもデュミナスをどうにか出来るだろうが。ただ、どのみちダークブレインを相手にする以上戦力は多い方がいい。可能ならダークブレインの召喚を阻止したいが……いや、ここで十分に戦力が集まっている今のうちに仕留めてしまうのに越した事はないか。

 

「待てよ! お前がどう思っているのかは知らねえけど、シュウを信じるのは危険だ! こいつは信用も信頼も出来ねぇっ!」

「フッ、私を信用出来ないというのならいつでも攻撃を仕掛けてきても結構です。……もっとも、マサキ、貴方に私が倒せるかどうかは別問題ですが」

「上等だっ!」

 

 シュウの挑発にのり、ディスカッターを引き抜くサイバスター。だが、このまま味方同士で戦って戦力を消耗するのはデュミナス達に時間を与えて……ん? そう言えばこうして話しているのに何もちょっかいを出してこないな。……いや、向こうの狙いは時間稼ぎだ。こっちが勝手に時間を掛けてくれるのは大歓迎なんだろう。

 

「待て、マサキ・アンドー。今の俺達の敵はあくまでもデュミナスだ。シュウ・シラカワじゃない」

「うるせぇっ! こいつを放って置いたら碌な事にならねえに決まってるんだ!」

 

 俺の言葉を無視し、今にもグランゾンへと斬りかかりそうなその様子に溜息を吐き、ニーズヘッグの腹部に内蔵されている拡散ビーム砲を放つ。

 そこから放たれた幾筋ものビームは、サイバスターとグランゾンの間を斬り裂くようにして着弾していく。

 

「っ!? 何をしやがる!」

 

 マサキの怒声。だが、それに答えたのは俺ではなくレーツェルだった。

 

「落ち着け。アクセル・アルマーの言う通り、ここでシラカワ博士と戦うのは得策ではない。三つ巴になって最も得をするのは、時間稼ぎを狙っているデュミナス達だ。結界の影響が薄れたとはいっても、未だに絶界宝は機能している現状でデュミナス達を見逃す訳にはいかん」

 

 さすがに俺ではなく仲間の言葉は効いたのだろう。今にも斬りかかりそうだったサイバスターの動きが止まる。

 

「くっ、大連の時と同じって事かよ」

 

 大連。それは確かバルトールシステムのコアがあると思ってシュウと共闘した場所だった筈だ。残念ながら俺達シャドウミラーはそこには顔を出していないが。

 

「貴方にしては賢明な判断ですね、マサキ」

「ぐっ、……ふんっ! レーツェルに免じて今日の所は信用してやらぁ。けどな、そこまで言ったんだ。ここで裏切ったら……今度こそ絶対に許さねえぞ」

「安心して下さい。私が言った事に偽りはありません。ソーディアンとデュミナスは、私にとっても厄介な存在ですからね。それに……」

 

 チラリと俺へと視線を向けるシュウ。

 

「……まぁ、いいでしょう。とにかくここは呉越同舟と行きましょうか」

 

 グランゾンがテュガテールやヒュポクリシスへと視線を向ける。

 

「ちぇっ、仲間割れはもう終わりか。この際だからこっちに構わずに思う存分殺し合ってくれればいいのに」

「デュミナス様の邪魔は絶対にさせません!」

 

 こうして、デュミナス一派との最後の戦いの幕が開けた。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:595
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:506

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