転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0046話

 現在、俺の小隊は反乱鎮圧の為に北米のコロラド州に向かっているが、レイディバードの中では沈黙が続いていた。

 何せメンバーが俺に、ロールアウトしたばかりのエキドナ、量産型Wが3人だ。どう会話しろと。

 量産型Wの機械的な顔を見ながら、内心で呟く。

 ちなみに、量産型Wは顔をなかなかにごついヘルメットで完全に覆っている。

 レモンに聞いた所、顔に色々と機械が埋め込まれている状態になっており、それを隠す為のヘルメットらしい。もっとも、ヘルメット自体にもなんらかの機能があるのは間違い無いだろうが。

 量産型というだけあり、コスト面で考えるとしょうがないと愚痴っていたのを聞かされた覚えがある。

 その点、Wナンバーズであるエキドナはどこからどう見ても、普通の人間にしか見えない外見をしていた。

 

「隊長? どうかしましたか?」

 

 じっと見られているのに気が付いたのかこちらへと質問してくるエキドナだが、その反応はやはりどこか機械的だ。

 レモンとしては、今回の戦闘で経験を積んでより人間らしくなる事を期待しているのだろう。

 

「いや、それよりも指揮の方は大丈夫か?」

「はい、レモン様にその辺の知識はもらっていますので特に問題は無いかと」

「そうか。お前の目的は、量産型Wを指揮して敵機を鹵獲する事だ。鹵獲した機体は俺達の戦力になるから修理出来ない程に壊さないように注意しろ。それと敵パイロットも出来るだけ捕虜にする事になっているから忘れるな」

「了解しました」

 

 結局そのまま黙ってしまい1時間程。あまりにも暇だったのでふと気が付き、ガンファイトのLVを4へと上げておいた。これで原作通りなら射程が+1される筈だが。

 そうこうしているうちにコロラド州へと入り、ヴェルド基地まであと30分弱という距離まで近づいた時に機長からの通信が入る。

 ちなみにこのレイディバードの機長は量産型Wではなく普通の人間だ。

 

「アクセル中尉、こちらのレーダーに反応。数は2、機種はF-32シュヴェールトです」

 

 F-32シュヴェールトか。その試験機がリオンのベースになった事を考えると、リオンの兄弟機と言ってもいい機体だ。戦闘力はリオンに劣るが機動力はリオンよりも上なので、偵察には向いている機体だろう。

 

「まず間違い無く反乱軍の偵察機だな。機長、レイディバードでこのまま戦場に突っ込んでは武装が心許ない。この辺で出撃させてもらう」

「了解しました。ご武運を」

 

 機長からの通信が切れると、こちらへと視線を向けていたエキドナへと声を掛ける。

 

「エキドナ、聞いていたな。出撃だ」

「了解しました。いくぞ」

 

 量産型Wを引き連れ格納庫へと向かうエキドナの後を追い、俺もグロウセイヴァーへと乗り込む。

 

「機長、こちらの準備は出来た。いつでも出撃可能だ」

「了解。シュヴェールトは進路を変更せずにこちらへと近づいてきています。ハッチ開放します」

 

 機長の言葉と同時にハッチが開放され、グロウセイヴァーのモニタには青い空と白い雲が映し出される。

 

「いい天気だな。グロウセイヴァー、アクセル、出るぞ!」

 

 テスラ・ドライブを起動させ青空へと機体を舞わせる。

 どこまでも広がる澄んだ青空をグロウセイヴァーで舞うように飛ぶ。

 たった今も口に出したが本当にいい天気だ。こんな日に戦闘なんて勿体ないような気がする。

 

「まぁ、そうは言っても俺の仕事だしな」

 

 軽く首を振り、意識を戦闘へと切り替える。

 

「隊長、見えました。シュヴェールト2機接近してきます」

 

 エキドナのランドグリーズから通信が入る。

 ちなみに、このランドグリーズもテスラ・ドライブを装備しており空を飛ぶ事が可能になっている。

 エキドナからの報告と共に、グロウセイヴァーのモニタにもシュヴェールトの姿が映し出された。

 白い機体色で、どこかヒラメを思わせるような扁平なその姿は間違いなくシュヴェールトだ。

 

「今回は基本的に死者無しでいきたいんだ。撃ってくるなよ?」

 

 ポツリ、と呟く。

 相手がPTならまだしも、戦闘機では迂闊に攻撃を当てる事が出来ない。もし当たってしまえば、余程当たり所が良くない限りそのままパイロットごと爆発してしまうだろう。

 

「隊長、敵機が引き返していきます」

 

 俺の願いが通じたのか、こちらを窺うようにしていたシュヴェールトは元来た方へと引き返していく。

 

「何も考えないで攻撃してくるような脳筋じゃなくて助かったな」

 

 敵パイロットはきちんと偵察としての役割を自認していたのだろう。

 だが、それはつまり反乱軍の規律や命令系統がしっかりとしている事も意味している。

 少なくても上司への嫉妬で反乱を起こす、なんて真似をするような奴ではないのだろう。

 

「エキドナ、気をつけろ。敵はそれなりの練度を持つ部隊だと思われる。敵機の捕獲が優先だが、自分達の命と引き替えにしては割に合わん」

「了解しました。……隊長、レーダーに反応。エルアインスが4、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが6、ガーリオンが5の合計15機です」

 

 結構数が多いな。こちらの5機に対して15機。戦力比ににして1:3か。

 

「だが、3倍程度の敵機と互角に戦えてこそシャドウミラー隊だ。エキドナ、まずは俺がエルアインスを受け持つ。その間の他の敵機は任せた」

「了解しました。W1とW2はガーリオン隊へ牽制射撃を。隊長に近寄らせるな。W3は私と量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊を」

 

 量産型Wの無機質な声で了解という返事が3つ、聞こえてくる。

 こちらの大まかな作戦が決まるのと殆ど同時に、敵も牽制の意味を込めてかエルアインス4機から8条のビーム光が発射される。

 エルアインスの最大射程を持つツイン・ビームカノンだ。

 

「各機散開!」

 

 エルアインスの両肩に光が見えた瞬間に叫んでいたのが幸いし、全機被弾する事なく回避に成功した。

 

「ならこっちからも仕掛けさせて貰おうか。集中、ファントム!」

 

 精神コマンドの集中を使用した後に、グロウセイヴァーから12機のファントムが発射される。発射されたファントムは念動力を増幅したT-LINKシステムを経由し、俺の意志に従ってその牙を振るう。

 ツイン・ビームカノンを撃った後の一瞬の油断を突き、1機目のエルアインスへと6機のファントムが襲いかかった。

 エルアインスが背後に背負ったテスラ・ドライブを2機のファントムがレーザーブレードで貫通し、残りの4機で左右の手足を4本とも付け根で切断して完全に無力化した。

 残り6機のファントムのうち、エルアインス1機につき2機を使用して援護に来るのを足止めする。

 

「これでまずは1機」

 

 折角のエルアインスを胴体だけにしてしまったが、レモン率いる技術班なら再生するのも可能だろう。

 まさか自分達がやられるとは思ってもいなかったのか、残り3機のエルアインスの動きが鈍る。

 その隙に敵機へと通信を送る。

 

「こちら、地球連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラー隊、特殊処理班隊長のアクセル・アルマー中尉だ。今回の反乱の鎮圧を命じられている。だが、うちの上司は今回の反乱が起きた理由についての基地司令の言い分を疑問視している。大人しくこちらに従うのならその辺の事情を明らかにする手助けをする事も出来るだろう。こちらの指示に従って貰えないか?」

 

 そこまで大規模な戦場という訳でもないので、全ての機体が俺の通信を聞いただろう。出来れば大人しく降伏してもらえると助かるんだが。補給物資的な意味でも。

 だが、帰ってきたのはエルアインスの片方が放ったG・レールガンの1撃だった。

 

「ちぃっ、問答無用か!?」

 

 咄嗟に機体を右へと移動させ回避に成功する。

 こちらからも反撃の一撃を行おうと射出済みのファントムへと命令をしようとした瞬間、もう片方のエルアインスからの通信が発せられた。

 

「全機、一端攻撃を停止せよ。こちらブラックバード中隊隊長のキロノ大尉だ」

 

 キロノと名乗る男の通信が聞こえてくるのと同時に、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊、ガーリオン隊共に攻撃を収めてその場で待機する。

 エキドナと量産型W達も今回は撃破ではなく捕虜にするのが目的だと言っておいた為か大人しく戦闘を停止して距離を取る。

 

「キロノ大尉、用件は降伏という事でいいのか?」

「いや、今回の事件で基地司令が何と言っているのか興味が湧いてな。よければ教えて貰えないか?」

 

 さて、正直に言うべきか? いや、どうせ何か後ろ暗い事を隠しているに決まっている言い訳をそのまま話しても、ブラックバード中隊のパイロット達は怒るか呆れて馬鹿にするかのどちらかだろう。

 言って怒らせる可能性も考えるが、怒って頭に血が上って猪突猛進になってくれるのならこちらとしては対処しやすくなる、か。

 

「詳しい事は聞いていないが、基地司令に嫉妬した1部の将校が基地司令を暗殺しようとして失敗。逮捕される前にPTやAMを奪って、と聞いている」

 

 俺の通信が響いた戦場には一切の音が消えていた。エキドナや量産型Wは新たな命令がないから行動を起こしていないのかもしれないが、ブラックバード中隊までもが一切の無言となると不気味なものを感じる。

 だが、やがてその不気味な沈黙も破られる。キロノ大尉の笑い声が通信に響き渡ったのだ。

 

「クッククククッ、ワハハハハ、わ、笑わせてくれる。あの豚、よりによって嫉妬で暗殺だと? この世に生を受けて30年、これ程の笑い話を聞いたのは初めてだ」

 

 この様子を見るに、やはり何か後ろ暗い事を隠していたのだろう。

 

「さて、笑い話で済ませるかどうかはキロノ大尉次第だ。俺達に投降してくれれば真実を明らかにする事も出来るだろう。だが、死んでしまってはその笑い話こそが真実となってしまう。死人に口無しというだろう?」

 

 俺の言葉に対する返事は、キロノ大尉が乗っているエルアインスのG・レールガンの銃口をこちらに向ける事だった。

 

「悪いが、軍上層部からの命令を受けて俺達を攻撃してきたお前さん達を信じる事は出来ない。俺達が悪だというのなら結構! 悪は悪らしく連邦軍に逆らってみせる。行くぞ、皆!」

 

 キロノ大尉の宣言と同時に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊、ガーリオン隊共に攻撃を開始してくる。

 

「エキドナ、命令は作戦開始前と変わらん。だが無駄死にするなよ!」

「了解しました」

 

 エキドナへと通信を送り、1機目のエルアインスを撃破したファントム6機と、キロノ大尉達のエルアインスを足止めに使用していた6機、合計12機のファントムに攻撃を命じる。

 こうして、再び戦端が開かれた。




名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35

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