転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0569話

「全機、ネオ・グランゾンの相手は俺に任せてヴァルシオン改の相手をしろ」

「……いいのね? 相手はあのシュウ・シラカワなのよ?」

 

 レモンの言葉に、小さく肩を竦める。

 

「問題無い。むしろ、俺としてはあのヴァルシオン改を7機も相手にしなきゃいけないお前達の方が心配だがな」

 

 そんな、ある種の強がりが含まれている俺の言葉に対して、コーネリアが笑みを浮かべつつ通信モニタに顔を出す。

 

「確かにこちらの戦力でも、スレイがいない分厳しいかもしれんが、それでも私、レモン、オウカ、エキドナ、ムウ、イザーク、ムラタの7人に、量産型Wが操るエルアインスやマリューが艦長を務めているシロガネもいる。いくら究極ロボと言われている特機が相手だとしても、そうそう遅れを取るような事は無い」

「悪いな。ヴァルシオン改はABフィールドを持っているからビーム兵器の効果は低い。その辺には注意しろ」

「なるほど、ビームを防ぐのか。了解した。……まぁ、何機かは私達が使えるように捕獲でもしてみせるさ」

「あら、それはいいわね。あのビアン・ゾルダークが作りあげた究極ロボ。……もっともヴァルシオン改はその量産型らしいけど、一度調べてみたいとは思っていたのよ。コーネリア、言ったからには捕獲するのを忘れずにね」

『……レモン、貴方ねぇ』

「何よ、マリューも調べてみたいとは思わないの?」

『いや、それはどちらかと言えば調べてみたいけど……』

「フフッ、任せておけ。さすがに1機丸ごとを無傷でとはいかないだろうが、中破程度の物が数機あれば問題無いだろう」

 

 レモン、マリュー、コーネリアの会話を聞いていると、自然とネオ・グランゾンを相手にしているという緊張が無くなってきた気がする。いや、完全に緊張が無くなった訳じゃなくて、程良い緊張になったと言うべきか。

 

「そうだな。ヴァルシオン改レベルの特機を戦力に組み込む事が出来れば、俺としても嬉しい限りだ。じゃあ……戦闘開始といこうか!」

 

 俺のその声と共に、コーネリアのラピエサージュが味方機へと指示を出し始め、ヴァルシオン改との戦闘を開始する。コーネリアの指示に従い、放たれるビームや実弾、重力波砲。ビームに関しては、恐らくどの程度の威力があるのかを確認する意味があるのだろう。何発かのビームがABフィールドにより遮断されていた。

 特機であるヴァルシオン改に対してシャドウミラー隊は数機で当たっている。さすがに特機相手に1機では厳しいのだろう。シロガネや、そのシロガネの周囲に陣取っている量産型Wのエルアインスから放たれている援護攻撃を利用しながら連携を取って交戦していた。

 そんな様子を見ながら、俺もまたニーズヘッグを構成するT-LINKフレームへと念動力を流し込み、ツイン・ドライブで速度を上げつつネオ・グランゾンとの間合いを詰める。ネオ・グランゾンはどちらかと言えばニーズヘッグと同様に射撃型の機体だ。違う点を上げるとすれば、ニーズヘッグは装甲を犠牲にした高機動型であるのに対して、向こうは装甲の厚い、どちらかと言えば足を止めての撃ち合いを想定しているという点か。シャドウミラーの機体で考えれば、アシュセイヴァーとランドグリーズと考えれば分かりやすいだろうか。もっとも、ニーズヘッグは装甲自体はそれ程厚くはないが幾重ものバリアによって通常の機体とは比べものにならない程の防御力を誇っているし、ネオ・グランゾンにしても重力を操るというその特殊な性能故に厚い装甲や重い機体重量を無視するかのような高い運動性や機動性を持っているのだが。

 つまり、何を言いたいのかというと……

 

「お互いに、見た目だけではその性能は測れないって……事だよなっ!」

 

 展開させたままのアダマンハルパーを振りかぶりながら、ツイン・ドライブの速度に合わせヒュドラのスラスターをコントロール。複雑な軌道を描きつつネオ・グランゾンへと迫っていく。

 

「確かにそうですね。私の機体も貴方の機体も、共に規格外の機体である事は間違い無いのですし」

 

 シュウもまた、そう呟きながらワームホールを展開してそこからグランワームソードを取り出して俺を待ち受ける。どうやら向こうも近接戦闘を行うつもりらしい。ならそれはこっちとしても好都合! 確かにこのニーズヘッグは高い射撃能力を持った機体であるというのは間違い無い。だが……そう。だがしかし。だからといって近接戦闘が苦手な訳では決して無い!

 

「はぁっ!」

 

 ツイン・ドライブの速度を乗せたアダマンハルパーの一撃。ネオ・グランゾンの胴体を狙って振るわれたその一撃は、グランワームソードによって受け止められた。

 ギンッ!

 そんな金属音を立てながら、大鎌の刃とグランワームソードの刀身がお互いに弾かれる。

 

「ほう。その機体の大きさでネオ・グランゾンと同等の膂力を持つとは……ちょっと驚きましたね」

 

 薄らと口元に笑みを浮かべつつシュウが通信を送ってくる。

 

「さっきもお前が言っただろう? 規格外の機体だと。この程度の事は別に驚く程でも無いさ」

「確かに。……ですが、その機体の膂力の大きさは恐らく桁違いのエネルギーを誇る動力炉の恩恵によるもので、あくまでも瞬間的な膂力でしかない。……違いますか?」

「……さてな」

 

 シュウの指摘に一瞬黙り込むが、すぐにそう返事をする。

 さすがにこの短時間でそこまで見破られるとは思わなかった。確かにニーズヘッグはネオ・グランゾン相手でも互角に渡り合う事が出来る膂力を誇っているが、それはあくまでもシュウが言っている通りに桁外れの出力を誇る動力炉による影響であり、瞬間的なものだ。もともとニーズヘッグが近接攻撃を行う時に重要視しているのは力よりも技。あるいは速度なのだから、純粋なパワーでは重力を操る魔神ともいえるネオ・グランゾン相手に長時間渡り合える程ではない。

 

「それを知りたいのなら……自分で確かめてみろ!」

 

 再び接近してアダマンハルパーを振るう。そしてグランワームソードで刃を受け止めるネオ・グランゾン。ここまではまるで先程の焼き直しのような光景だった。しかし……

 

「はぁっ!」

 

 刃を受け止められたまま、手首を返しながら柄を大きく振るい、石突きの部分でネオ・グランゾンの下半身へと叩き付ける……寸前、妙な感触を覚えて柄の部分の動きが急速に鈍った。同時にネオ・グランゾンの肩の部分にあるパーツの一部分が仄かに発光する。

 

「何っ!? ちぃっ!」

 

 一瞬混乱するがそのまま強引に、一瞬だけとは言ってもネオ・グランゾンと互角とも称された膂力を使って、アダマンハルパーの石突きの部分をネオ・グランゾンの胴体へと叩きつける!

 さすがにその攻撃は予想外だったのか、通信モニタに映し出されているシュウの眉が一瞬だけピクリと動いたのを確認出来た。

 そのままアダマンハルパーの柄を強引に振り抜き、ネオ・グランゾンを吹き飛ばして間合いを離す。

 そこまでして、ようやく理解する。先程のあの動きが鈍ったもの。恐らくはアレがネオ・グランゾンの持つ歪曲フィールドの効果なのだろう。そして、その歪曲フィールドが発動した時に光った肩のパーツを考えると、恐らく歪曲フィールドを発生させるコントロール装置があの肩のパーツ。となると、まず狙うのはネオ・グランゾン本体ではなく歪曲フィールドを発生させている肩の部分か。

 幸い精神コマンドの直撃もあるし、何よりニーズヘッグにはバリア貫通能力を持つ武器が幾つか備わっている。T.T.キャノン、ファントム、メガ・バスターキャノン。そして……

 

「歪曲フィールドを貫いてネオ・グランゾンへと攻撃を当てたのは見事と言ってもいいでしょう。しかし、この程度のダメージを積み重ねたところで私を倒す事は出来ませんよ?」

 

 シュウの言葉を証明するかのように、徐々にではあるがアダマンハルパーの石突きの部分で削られた装甲が再生していく。

 ちっ、そう言えばネオ・グランゾンも若干だが再生能力があった筈だな。これも神のご加護って奴なんだろう。もっとも、神は神でも破壊神だが。

 だがまぁ、狙うべき場所は判明した。まずはこちらの攻撃のダメージを減らす歪曲フィールドを発生させている肩の部分だな。

 そう判断して、再び攻撃を仕掛けようとしたその時。

 

「さて、毎回貴方からの攻撃ばかりを受けているというのも芸が無い。よって次は私から行きますよ?」

 

 言葉を発し、ネオ・グランゾンの両手の間に重力塊のような物が生成され、同時にグランゾンを覆うような重力の結界が展開される。

 ちぃっ、あれはワームスマッシャーかっ!? こっちが動くのが遅すぎたか!

 そして重力の結界が変化し、ネオ・グランゾンの周囲には幾つものワームホールが形成される。同時に放たれるビーム。

 

「集中!」

 

 咄嗟に俺が出来たのは、精神コマンドの集中を使う事だけだった。

 そして次の瞬間、ニーズヘッグの数m先にワームホールが展開して、そこからビームが飛び出て……

 

「させるかっ!」

 

 短く吐き捨て、右側のヒュドラ3基のスラスターを使いその場で半回転。ワームホールから放たれたビームは、ニーズヘッグのすぐ横を通り過ぎてあらぬ方向へと飛んで行く。確かに最初の1撃は回避したが、この攻撃はこの程度では終わらない筈!

 精神コマンドで極限まで高まった集中の効果により、ニーズヘッグの周囲に幾つものワームホールが連続して開かれるのを感じ取る。同時に、そこから放たれるビームの存在もまた同様だ。

 

「ちぃっ!」

 

 アダマンハルパーを解除し、全6基のヒュドラのスラスター、それとツイン・ドライブや、機体の各所に設置されたスラスターを使いながら文字通りに四方八方、ニーズヘッグの周辺を囲むようにして作られるワームホールの攻撃を回避していく。今はとにかく回避に専念だ。この攻撃が終わった時に俺の取るべき選択肢は存在しているのだから。細かい作業は殆ど直接操縦するのではなく、T-LINKシステムによる思考により行っていると言っても過言では無いだろう。文字通りに、俺自身がニーズヘッグと一体化したかのような感覚を覚えつつも、数m単位の見切りを行い、ワームスマッシャーの攻撃を全て回避していく。

 一瞬、ネオ・グランゾンの魔法か何かで身動きの取れないヒリュウ改やハガネの機体が今の俺の姿を見れば、恐らくワームホールによって覆われた空間の中で踊り狂っているようにも見えるだろう。そんな風に考えつつも、ワームスマッシャーの攻撃を回避し続け……やがて、このままでは埒が明かないと判断したのか、あるいはエネルギーの問題か……はたまたそれ以外の何かが理由にあるのか、ワームホールから放たれ続けていたビームの攻撃が唐突に止む。

 俺が待ちに待っていたその一瞬、それがここだ!

 

「加速!」

 

 精神コマンドの加速を使用し、同時にツイン・ドライブと後方へと向けたヒュドラのスラスターもまた全開にする。俺が目指すべきは、このワームホールで囲まれた空間から逃げ出す事……ではない。

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! 念動フィールド、全開! ツイン・ドライブ、フルドライブ! Eフィールド、全開! グラビコン・システム、フルアクセス! G・テリトリー最大出力!」

 

 ニーズヘッグに装備されているバリアの類を全て全開にし、そして向かう先はワームホールの外ではなく……中!

 そう。ネオ・グランゾンの周囲に出来ていた大量のワームホールを通して俺へと攻撃をしている以上、このワームホールを通り抜けた先には当然蒼き魔神の姿がある。もちろんネオ・グランゾンが作り出したワームホールを通るのだから、相応の負荷が掛かるのは承知の上だ。それ故にバリア3種類全てを全開にしているのだから。

 

「ぐっ、ぐぅっ!」

 

 実際、ワームホールを抜け出すのはほんの一瞬ではあったが、バリア自体に掛かった負荷はもの凄いものがある。恐らく普通のPTなら圧壊していただろう負荷だ。だが、ニーズヘッグでそれを耐え、ワームホールを潜り抜けた先には……

 

「いたっ!」

「なっ!?」

 

 完全に呆気に取られたシュウの表情というのは、初めて見ただろう。一瞬を争うこんな時に、何故かそんな風に思っている自分自身に苦笑を浮かべながら口を開く。

 

「アダマンハルパー、展開!」

 

 その言葉と共に再び振るわれた大鎌は、ネオ・グランゾンの首へと狙いを付け振るわれ……当然の如くグランワームソードによって受け止められる。そしてそのまま先程同様に柄の石突きの部分で胴体を狙うが、それをネオ・グランゾンは後方へと退避して回避する。そう、ニーズヘッグとの間に隙間を作って、だ。

 

「ヒュドラ!」

 

 その声と共にヒュドラの先端にある18本のビームサーベルが展開。同時に、前方2基以外のヒュドラ4基のスラスターを使ってネオ・グランゾンとの距離を縮める。そして先程同様に振るわれるアダマンハルパー。これを防ぐのは同じくグランワームソード。だが、ここからが違っていた。T-LINKシステムを通して前方2基のヒュドラを操作、そのまま歪曲フィールドの発生源である左右の肩のクリアパーツのうち、右肩の方へと狙いを付ける。

 だが、当然既にそこには歪曲フィールドが発生しており、ビームサーベル6本の動きを著しく鈍らせた。あるいは直撃を使えばここで歪曲フィールドの発生源破壊出来たかもしれない。しかし、相手は天才のシュウ・シラカワなのだ。同じ手が何度も使えるとは思えない以上は切り札は残しておきたい。それに、ニーズヘッグの武器にはこの歪曲フィールドであろうと貫通する威力の武器が幾つもあるのだから。

 

「この程度で俺を止められると……思うなぁっ!」

 

 咆吼と共に、新たに振るわれる後方4基のヒュドラと12本のビームサーベル。その中でも、左側3基のヒュドラがビームサーベルとアダマンハルパー諸共に弾かれる。そして一瞬だけシュウの顔に浮かぶ疑念。そう、本来であればニーズヘッグは短期間だけとは言ってもネオ・グランゾンと同等の膂力を持つのだ。それなのに、アダマンハルパーだけではなくヒュドラ3基までもが弾かれた事による疑念。そして、その疑念が解消される前にT-LINKシステムを通してT.T.キャノンを発射し、あらぬ方向へと飛んで行くビーム。それをシュウはどう見ただろう。いや、それどころでは無かった筈だ。何しろグランワームソードを振り抜いた隙を突くかのように、右のヒュドラ3基がビームサーベルを展開したまま新たに襲い掛かったのだから。

 これまで同様に歪曲フィールドで動きを鈍らせられるヒュドラだが、むしろそれはこちらの望むところでしかない。T.T.キャノンから放たれたビームが、念動力により大きく弧を描き……ヒュドラによって幾度となく繰り返されるビームサーベルの乱舞ともいえる状況を歪曲フィールドを駆使してなんとか凌いでいるネオ・グランゾンの背後から、俺の狙いである右肩のクリアパーツを貫く!

 

「なっ!?」

 

 いきなりの背後からの攻撃に、驚きの声を上げるシュウ。だが、時は既に遅い。歪曲フィールドを発生させている両肩のクリアパーツのうち、右肩のそれは背後からビームの直撃によって破壊されたのだから。

 その様子を確認し、腹部の拡散ビーム砲と頭部のビームバルカンによって目眩ましをしながら一旦距離を取る。

 

「さて、ネオ・グランゾンの防御の要とも言える歪曲フィールドは潰させて貰ったぞ。第2ラウンドの始まりだ」




アクセル・アルマー
LV:40
PP:605
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:508

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