転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0570話

 アダマンハルパーとヒュドラを使った連続攻撃。そして、それを隠れ蓑として利用し、T.T.キャノンでネオ・グランゾンの特徴の1つでもある歪曲フィールドの発生装置を破壊する事に成功し、距離を取ってネオ・グランゾンと向き合う。

 

「予想外と言うべきでしょうか。あるいは、これくらいはやってくれないと困るというべきでしょうか。さて、どちらにしろさすがはシャドウミラーを率いているアクセル・アルマーといったところですか。インスペクター事件の時に、幾度となくヒリュウ改やハガネを1機で蹴散らしてきただけの事はありますね」

 

 通信モニタに映し出されているシュウの顔には、ネオ・グランゾンの防御の要と言ってもいい歪曲フィールドの発生装置である肩のクリアパーツを破壊されたにも関わらず、悔しそうな表情は一切無い。いや、むしろ賞賛の表情さえ浮かべている。

 

「……お褒めにあずかり光栄だ。なら、それに免じてこのまま引き下がってくれると嬉しいんだがな」

「さすがにそうはいきません。先にも言った通り、地球の破滅を免れるのなら私を倒すしかありませんよ。そして、貴方には十分にその力があると私は思っていますので」

 

 ……これは暗に自分を殺してヴォルクルスの支配から解き放ってくれとでも言ってるのか? そうなると操られてはいても、まだシュウの意識が何とか踏ん張っていて完全に支配されている訳じゃないって事になるが。

 モニタ越しにシュウの様子を確認しつつも、T-LINKシステムを使って周囲の様子を探って行く。ヴァルシオン改とシャドウミラー隊の戦いについては、まだ激しく繰り広げられているらしい。どちらかと言えば数が多く、機体性能も高いシャドウミラー側が複数のヴァルシオン改を相手に優勢に戦っている……ってところだろう。ヴァルシオン改自体の機体性能は極めて高いのだが、それでも操っているパイロットがAIではシャドウミラーを相手にするには不足だ。ハードウェアで互角でも、ソフトウェアではこっちが圧勝しているからな。いや、それでもヴァルシオン改が持ち堪えているというのは、驚くべき事ではあるんだが。

 とにかく向こうの心配はいらないらしい。コーネリアに任せておけば不安要素は万に一つも無いしな。

 

「さて、では先程貴方が言ったように……第2ラウンドを始めましょうか」

 

 そう告げ、再びネオ・グランゾンの眼前へとワームホールが生成される。これはまたワームスマッシャーか!? そう判断した俺は、恐らく先程の逆転の一撃が強く頭に残っていたのだろう。生成されたワームホールが1つしかなく、その代わりにネオ・グランゾンよりも大きいと判断した時には、既にシュウは行動へと移していた。先程俺がワームホールを経由して攻撃した時と同様……いや、今回は自分の機体が通れるようにきちんと調整されたものだったのだろう。ネオ・グランゾンはいとも容易くワームホールへと突入して、その姿を俺の目の前から消す。

 瞬間、ゾクリという冷たい殺気が背筋に走り、咄嗟に叫んでいた。

 

「念動フィールド、出力全開!」

 

 T-LINKシステムが俺の危機感を察知し、念動力を貪欲に吸い取って強固な障壁を築き上げていく。そして次の瞬間。

 

「ぐぅっ!」

 

 背後から襲い掛かってきた一撃により、ニーズヘッグの中が激しく揺れる。幸い、今の俺にとってはこの程度の揺れはどうという事も無い。前方へと吹き飛ばされた勢いで右側のヒュドラ3基のスラスターを使い、その場で半回転。同時にその勢いを利用してアダマンハルパーを展開する。ただし、吹き飛ばされた分距離があるのでいつもの大鎌状ではなく。

 

「アダマンハルパー、展開! ナイン・テールモード!」

 

 その言葉と共に9条の鞭と化したアダマンハルパーは、半回転した勢いを利用して背後にいるネオ・グランゾンへと襲い掛かる。……だが。

 振るわれた鞭の先にはワームホールが1つ存在しているだけだった。

 外した!? 一瞬攻撃を外した驚きに固まる俺へと送られてくる通信。

 

「残念ですが、こちらです」

「ちぃっ!」

 

 シュウの声が聞こえてきた瞬間、既に俺はT-LINKシステムを通して操作したツイン・ドライブで移動していた。俺の中にある念動力が、先程の一撃同様に強烈な危機感を伝えてきたからだ。

 

「グラビトロンカノン、発射!」

 

 その声と共に、ニーズヘッグの背後へとワームホールで移動していたネオ・グランゾンが直径10mはあろうかという巨大な重力球を上空へと打ち上げる。すると次の瞬間、その重力球はネオ・グランゾンを中心として円状に無数の小さい重力球へと姿を変え、まさに重力球の天井とでも表現すべき光景になっていた。

 くそっ、間に合うか!?

 

「加速っ!」

 

 精神コマンドの加速を使用し、急速に上がったスピードでネオ・グランゾンから距離を取り……次の瞬間、天井が落ちてくるかの如く降り注いだ重力球の攻撃範囲から、なんとか逃れる事に成功する。

 だが、俺はまだまだシュウを甘く見ていたのだろう。あの天才の放つ一撃が、広範囲に重力球を発生させるだけで終わる筈が無かったのだ。

 その証拠に、次に入って来た通信を聞いた瞬間再び念動力が危険を知らせてくる。

 

「ほう、この攻撃を無傷で回避しますか。では、続けてもう1つ。これも無傷で切り抜けられますか?」

「っ!?」

 

 このまま移動してもこの危機は回避出来ない。シュウの声を聞いて一瞬でそう判断した俺は、ヒュドラの右側スラスターを使ってその場で半回転する。その時俺が見たのは、ネオ・グランゾンの両腕に幾つもの小型の重力球が纏わり付き、そして同時に胸部装甲が展開している姿。そしてその動作がどのような意味を持つのかを、原作知識のある俺は当然知っていた。グランゾンの時の最強攻撃。そしてネオ・グランゾンの時も強力な攻撃であるのは間違いの無い、ブラックホールクラスターだ。

 くそっ、確かに重力を扱うあの攻撃を回避するのは難しい。特に小型機であるニーズヘッグならそれはより顕著だろう。ならどうする? 目には目を、歯には歯を。……重力には重力を、だ!

 

「なるほど、正面から受けて立ちますか。では、力比べと参りましょうか」

 

 一瞬にして考えを纏めた俺に向かい、口元へ僅かに笑みを浮かべたシュウ。そしてその言葉と共に、展開した胸部装甲から作り出されたブラックホールが瞬く間に生成される。それを両手で掲げ上げるように持ち上げ……

 

「事象の地平に消え去りなさい。ブラックホールクラスター、発射!」

 

 その言葉と共に、俺の方へと射出される。

 くそっ、間に合え!

 コックピットで操作するのももどかしいとばかりに、T-LINKシステムを通じて感覚的な操作を行う。後方のヒュドラに内蔵されているグラビトン・ランチャーの砲口をこちらへと迫ってきているブラックホールへと向け……

 

「そう簡単にはやらせない!」

 

 その叫びと共にトリガーを引く。

 そして放たれた重力波は、そのまま直進して俺の狙い通りに放たれたブラックホールへと命中し、その場で一瞬拮抗する。

 もしもこのグラビトン・ランチャーを俺が入手した時のままだったとしたら。あるいは、レモン達技術班がヒュッケバインMK-Ⅲやブラックホールエンジンを解析して重力関係の技術を蓄積していなかったら。そして、その蓄積された技術でグラビトン・ランチャーが改造されていなかったのだとしたら。恐らくブラックホールは重力波を飲み込んでニーズヘッグへと襲い掛かってきていただろう。

 だが、今のニーズヘッグに装備されているグラビトン・ランチャーは、それ等の経緯を踏まえ、レモン率いるシャドウミラー技術班の手によって改造されているのだ。その威力は、ネオ・グランゾンのブラックホールクラスターに対しても決して引けを取らない。そんな俺の考えは正しかったと言うべきだろう。先に攻撃を放ったのが向こうだった為に中間地点で……とは言わないまでも、それでもネオ・グランゾンによって生成されたブラックホールがニーズヘッグを飲み込む前に、グラビトン・ランチャーから放たれた重力波はブラックホールへと命中する。

 ブラックホールクラスターとグラビトン・ランチャー。やはり俺の考え通り、威力的には殆ど同じ程度だったらしい。2機の間で拮抗するように重力の塊がぶつかり合っている。……いや、若干向こうの方が威力は上なのか、徐々に……本当に徐々にではあるが、重力波はブラックホールに押し負けるようにしてこちらへと向かって来ている。だが、それは本当に些細なものであり、恐らく重力兵器対決は相打ちに終わるだろうというのは俺にも容易に予想出来た。

 そして、この状況はある意味では俺のチャンスでもあった。

 

「覚醒」

 

 精神コマンドの覚醒。それを使用したのと同時に、機体に不思議な力が満ちあふれ再びの行動を可能とする。それと同時に、後方のヒュドラを……そう、グラビトン・ランチャーが装備されていない方。つまりメガ・バスターキャノンの内蔵されている方のヒュドラを構える。

 

「重力兵器は互角だったが……こっちはどうかな? メガ・バスターキャノン、発射!」

 

 その言葉と共にトリガーを引かれたメガ・バスターキャノンは、その砲口から巨大なビームが放たれる。PTやAM程度の大きさならそのまま飲み込んでしまう程の太さのビームは、ブラックホールを相手に何とか拮抗していたグラビトン・ランチャーの重力波に重なり、そのままブラックホールその物を飲み込んで、それでも尚威力が衰えた様子も無く飛んでいき……ネオ・グランゾンをそのビームの塊に飲み込むのだった。

 

「ふぅ、さすがに連戦でこれは厳しいものがあるな」

 

 ステータス表示を確認すると、既にSPは半分程しか残っていない。何しろ、ダークブレインとの戦いの後、殆ど休憩が無いままの連戦なのだ。機体のエネルギーに関しては動力炉の関係で心配する必要が無いというのが不幸中の幸いか。

 

「あいつらは……」

 

 そう思い、視線をヴァルシオン改とシャドウミラー隊の戦いの方へと向けると、そこでは既にヴァルシオン改は4機が倒されて残り3機にまで減っていた。この様子ならヴァルシオン改を全機撃破するのもそう遠くないだろう。

 

「後は……」

 

 視線をメガ・バスターキャノンを受けたネオ・グランゾンの方へと向ける。盛大に爆煙が巻き上がっている為にその様子は見えないが、それでも今の一撃はかなりのダメージを与えたと考えてもいいだろう。出来れば例の武器、ネオ・グランゾン最強の武器でもある縮退砲が出て来る前に何とか片付けたいところだが……

 

「フフフ、やりますね。さすがアクセル・アルマーといったところですか」

 

 そんな俺の希望は儚く砕け散り、爆煙が晴れると共にシュウからの通信が送られて来る。

 とは言っても、シュウ自身は無傷のようだがネオ・グランゾンはそれなりにダメージを受けている。歪曲フィールドを展開する為の肩のクリアパーツに関しては、俺が破壊した右側の他に左側も完全に破壊されており、装甲も表面部分は細かく破壊され、あるいはヒビが入っていた。そして何よりも印象深いのはネオ・グランゾンの頭部までもが半ば溶けかけている事だろう。……ただし、さすがに再生能力持ちと言うべきか、細かいヒビや溶けている部分は徐々にではあるがこうして見て分かる速度で修復していっているのだが。

 

「そうか。それを理解したのならこのままとっとと消えてくれると助かるんだがな。これ以上弱い者苛めはしたくないんでな」

「ほう、私を弱い者、と?」

 

 若干低くなる声。……ただでさえ高いプライドを持つシュウを傷つけたか? そうも思うが、どのみち冷静なままのシュウと戦うよりは、少しでも頭に血が昇ってくれれば判断を誤る可能性も出て来るだろう。……もっとも元々が冷静沈着なシュウだし、こんな挑発にそうそう乗ってくるとは思えないが。それでもやらないよりはマシな筈。

 そう判断し、口元に嘲りの笑みを浮かべから口を開く。

 

「そうだろう? 今のニーズヘッグとネオ・グランゾンの姿が、そのまま俺とお前の力量の差を表していると思わないか?」

「……いいでしょう。そこまで言うのなら、私も本気を出しましょう」

 

 やはり出て来るか、縮退砲。だが、メガ・バスターキャノンの一撃で殺しきれなかった以上は、それは既に覚悟の上。後は精々シュウを挑発して頭に血を昇らせるか、あるいはヴォルクルスに操られているシュウをそのプライドの高さ故に何とか抗って貰うか。

 

「本気……ねぇ。それは、無傷に近いニーズヘッグと、結構なダメージを受けているネオ・グランゾンという、今の状況を覆せる程の代物なのか?」

 

 まぁ、物が物だけにこの程度の状況ならあっさりと覆せるのだろうが。……当たれば、だがな。

 

「ええ、問題ありませんよ。この程度の状況はあっさりと覆せるでしょう。……『縮退砲』の封印を解きます。さぁ、このネオ・グランゾンの前にその命を差し出しなさい」

「へぇ、縮退砲ねぇ。また随分と物騒な切り札を持っていたらしいが……何も、切り札を隠しているのが自分だけだと思うなよ? 俺にだって隠し札の1枚や2枚は当然持っている」

 

 そんな俺の言葉に、笑みを浮かべつつ首を振るシュウ。

 

「縮退砲の封印を解いた以上、幾ら貴方がアクセル・アルマーであろうとも私に勝てる見込みはありません。これは不変の真理です」

「さっき、同じような事を言っていた奴がいたな。そいつも結局は俺に殺されたが……その辺はどう思う?」

「……確かに色々な意味で貴方はイレギュラー過ぎるというのは認めましょう。実際、ただの1部隊でしかない貴方達がどうやってそこまでの機体を作りあげたのか……その辺は興味深いところでもあります。しかし……」

 

 そこで言葉を止めて目を瞑るシュウ。そして、同時に背筋に冷たい氷を入れられたかのような、ゾクリとした感覚を覚える。

 そして再び目を開けた時には、底知れぬ威圧感が映像モニタ越しにでも感知出来た。

 

「もはや我々の間に言葉は不要です。全てに終止符を打ちましょう」

 

 こうして、バルトール事件から始まったOG外伝の終局の幕が開かれる事になる。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:605
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:508

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