転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0572話

 縮退砲というネオ・グランゾン最強の攻撃方法から、影のゲートでの転移により何とか回避する。そしてゲートから姿を現した時に目の前にあったのは、ネオグランゾンの背中だった。その背中に装備されている、今も尚眩く光り輝いている光輪状の部品。恐らく重力関係の武装を使うのに必須のパーツなのだろう。だが、幾ら攻撃力の高い武器でも当たらなければどうという事は無い!

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! トロニウム・エンジン、フルドライブ! ファントムッ!」

「後ろですか!?」

 

 T-LINKシステムによるこれ以上は無いという程の高レベルのリンク。そしてトロニウム・エンジンがフルドライブ状態になり、T-LINKフレームで形成されているニーズヘッグの全身が赤く輝き、同時に赤い粒子が機体の各所から放たれる。その状態のままヒュドラから全48機のファントムが放たれた。この一連の動きに気が付き、縮退砲の攻撃を回避したのを知ったのだろう。シュウとしては珍しく焦ったような声と共に振り向こうとしたが……

 

「グレイプニルの糸、起動!」

 

 ヒュドラから放たれた合計6本のグレイプニルの糸が、ネオ・グランゾンへと絡みつき、その動きを止める。

 

「なっ!?」

「アダマンハルパー、展開! ナイン・テールモード!」

 

 機体が動かなくなった為に戸惑いの声を上げるシュウ。それを聞きながら9条の鞭と化したアダマンハルパーを振るおうとしたその瞬間……機体がガクンッとバランスを崩す。素早くコックピット内を見回し、機体の状況を確認。ちっ、左右の足首から先が綺麗に消滅しているとか、さすが縮退砲と言うべきか。機体のコントロールを操縦でどうにかするのは難しいと判断し、T-LINKシステムを使った機体制御に移行する。

 そしてグレイプニルの糸から抜け出そうとして藻掻いているネオ・グランゾンの背へと9条の鞭を叩きつける……直前に視界に入ったのは、綺麗に輝いている光輪状の部品。何かされるよりも前に……まずはこれを排除する。

 

「SPブースト! はあぁぁぁっっ!」

 

 使ったのはグレイプニルの糸に切断力を与えるSPブーストではなく、スライムの能力を……即ち、アダマンハルパーの性能を上げるエースボーナスの方のSPブーストだ。そして次の瞬間にはその9条の鞭が振るわれ、光輪状のパーツをネオ・グランゾンの背中から綺麗に切断する。

 よし、これで重力関係の武器は使えない筈。後は……

 

「愛……ゴルゴンの瞳に魅入られろ!」

 

 精神コマンドの愛を使用し、続けて放たれた言葉と共に、四方八方へと、まるでネオ・グランゾンを取り囲むようにして展開していたファントムの全てがビームサーベルを展開しながら、T-LINKシステムを通しての制御によりその巨体へと突き刺さっていく。幾らネオ・グランゾンの大きさがニーズヘッグの2倍以上はあろうとも、その全身に合計48本ものファントムが隙間無くビッシリと突き刺さっているその光景は、まさにハリネズミかヤマアラシの如くと表現するべき光景だった。

 

「ぐっ、ぐぅっ……」

 

 シュウの呻くような声が聞こえて来る。しかし、まだ終わらない。この最大のチャンスを逃す訳にはいかない!

 

「ファントム!」

 

 再度命じられるファントムへの命令。グレイプニルの糸によって、身動き一つ出来ないままに突き刺さったままのファントムの先端からビームサーベルが消え、ビームが放たれる。まさに文字通りの意味でのゼロ距離射撃だった。

 ファントムと共にヒュドラを操作し、18門のビーム砲を連続発射。同時に、ヒュドラに内蔵されているランツェ・カノーネ2門に、T.T.キャノン、メガ・バスターキャノン、グラビトン・ランチャー。そして腹部の拡散ビーム砲に、頭部のビームバルカン。グランドマスターキー以外の全ての射撃武器を至近距離から連続して放ち続ける。

 そして、ヒュドラでの射撃を続けたまま、身動きが出来ずに一方的に攻撃を食らっているネオ・グランゾンの背中目掛けて唯一残っている右腕を大きく振るい、9条の鞭を叩きつける。光輪状のパーツが無くなったその背は、もちろん分厚い装甲が展開されてはいるが、それでも愛を使った攻撃を防ぎきれる程ではなかった。圧倒的なビーム兵器による無数の射撃と重力波により、ネオ・グランゾンの装甲はボロボロになり、あるいは砕け、鞭により引き裂かれて内部の部品が剥き出しになり、それもまた次の瞬間には破壊されていく。そして四方八方から装甲へと突き刺さっているファントムは止むこと無くビームを連続してネオ・グランゾンの内部へと放ち続けていた。ニーズヘッグは俺の意志に反応したかのようにT-LINKフレームによる謎の発光現象を引き起こし、あるいは赤い粒子を周囲へと放ち続けながらひたすらにネオ・グランゾンへと攻撃を続けていた。

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 左腕に左右の両足。それを失った今の俺に取っては、まさにこの瞬間が唯一にして絶対のチャンスだった。ここでもしネオ・グランゾンを倒しきれない場合、まず間違い無く俺の敗北が決定するだろう。それは許されない。必ずここで仕留める。仕留めきってみせる!

 

「SPブースト! 斬っ!」

 

 最後の仕上げとばかりに、グレイプニルの糸に一瞬だけSPブーストを使用。次の瞬間にはネオ・グランゾンの四肢を封じていた、あるいは装甲にすらも巻き付いていたグレイプニルの糸に切断能力が付加され、その状態のままヒュドラを思い切り引き絞る。すると次の瞬間にはネオ・グランゾンの分厚い装甲や関節部分を含めて、グレイプニルの糸が絡まっていた部分が瞬時に切断されていく。

 だが、まだこれでは終わらない。……いや、終われない! ヴォルクルスの力を受けている今のネオ・グランゾンは四肢を切断され、頭部を切断され、胴体も10近くに分割されていたとしても……それでも尚、まだ気を許すには早すぎる!

 最後の仕上げだ。ネオ・グランゾンの装甲から引き抜いたファントムをニーズヘッグの周囲へと展開させ、呼吸を整えつつ一瞬だけ自分のステータスへと視線を向け、SPの残量が150近く残っているのを確認する。

 

「覚醒、集中、直撃、愛!」

 

 連続して使われる精神コマンド。覚醒により、不思議な力がニーズヘッグの全身に漲って再びの行動を可能とする。集中の効果により俺自身の集中力が極限まで高められ、ネオ・グランゾンの……否、シュウの行動をほんの微かなものでも見逃さないように集中する。直撃により、もし万が一ヴォルクルスの力で歪曲フィールドが無理矢理展開されたり、あるいは何らかのバリアの類が展開されたとしても、その効果は無意味となる。そして、幾多もの精神コマンドの効果を持つ愛。これにより俺の機体には覚醒を使った時以上の不思議な力が機体であるニーズヘッグと、パイロットである俺の全身へと満ちあふれる。結果として残りSPは殆ど消費してしまったが……これで、決める!

 

「T-LINKシステム、フルコンタクト! トロニウム・エンジン、フルドライブ!」

 

 この戦い、最後のニーズヘッグの全力駆動。ブラックホールエンジンがサブ動力炉として莫大なエネルギーを機体へと送り出し、それでも足りない分は時流エンジンが補完する。そしてその2つ以上のエネルギーをトロニウム・エンジンがニーズヘッグの全身へと送り出す。ゴルゴン・アイズを使った時と同様に、T-LINKフレームが赤く輝き、赤い粒子が機体各所からいつの間にか放たれていた。

 

「食らえっ、フルバーストだ!」

 

 その声と共に放たれる、全ての射撃武器の嵐、嵐、嵐。

 ヒュドラから18門のビーム砲が、ランツェ・カノーネ2門が、T.T.キャノンが、メガ・バスターキャノンが、グラビトン・ランチャーが、拡散ビーム砲が、ビームバルカンが、ファントム全48機から止むこと無くビームが。それこそビームと重力波の雨の如くネオ・グランゾンの分割されていたパーツへと叩きつけられる。

 そんな状態が1分程続いただろうか。ふと気が付くと周囲に聞こえるのはニーズヘッグの稼働音のみ。モニタに表示されているネオ・グランゾンも、その部品のほぼ全てが破壊……否、消滅しており、残っているのは辛うじて姿を留めているコックピットブロックと、ネオ・グランゾンの中でも最重要な部品であるが故に厚い装甲で守られていた胸部装甲を含むパーツくらいだった。

 恐らくコックピットブロックが何とか無事だったのも、この胸部装甲の近くに設置されていた為だろう。その胸部装甲を含む部分と、コックピットブロックも最後の最後で衝撃に耐えきれなかったのか、既に分離してしまっている。

 

「み、見事……です。このネオ・グランゾンを……倒す、とは」

 

 息も絶え絶えのシュウからの通信。言葉が聞き取りにくいのは、シュウ自身の怪我の影響もあるのだろうが、コックピットブロック自体が限界に近いというのもあるのだろう。

 

「これで……私も、悔いは……ありません。精一杯……戦い、そして、破れた……アクセル・アルマー……貴方には、感謝を……」

「……ああ。お前が本当のシュウ・シラカワのままだったのなら、ここで負けていたのは俺かも知れないがな。今回勝てたのは偶然の結果だ」

「フッ、やはり……知っていたのですね。ですが……これで、私も全ての……鎖、から……解き放たれるのです。貴方には感謝をして、います……よ」

「そうか。……なら、そうだな。お前を倒した賞品として、ネオ・グランゾンの胸部装甲とあの光輪を貰っていくか。構わないだろう?」

「……強欲な、人ですね。ですが……まぁ、この呪縛から解放……された私としては……何も言えません、ね。ネオ・グランゾンがネオ・グランゾンである為の、バリオン創出ヘイロウ。そして、バリオン創出ヘイロウを使ってブラックホールや縮退砲を放つ為の、胸部射出口。……私の技術全てを注ぎ込んだ物ですが……私に、勝った貴方に託すというのは、ある意味で正しいでしょう。ああ、どうやらようやく最後の時のようです。……目の前が白く、何も見えなくなっていく。これが……自由。そして死、ですか……私の……」

 

 轟っ!

 

 シュウの言葉が言い終わる前に、火花を散らしていたコックピットは内部から火を噴き、次の瞬間には爆発して消滅する。

 

「ようやく得た自由だ。……安らかに眠れ、シュウ・シラカワ」

 

 俺の知っているスパロボEXではルオゾールによって蘇生されていたが、この歴史はEXではなく、OGの歴史だ。そして俺が知っているのはこのOG外伝が最後。シュウがスパロボEXと同様にルオゾールによって生き返らせられるのか、あるいはこのまま永遠の眠りにつくのか。……その結果がどうなるのかが明らかになるのは、もう少し先の話だろう。

 それでも、誰よりも自由を愛し、そしてそれ故にヴォルクルスという邪神により操られる事になってしまったシュウの冥福を祈りながら、俺はようやくOG外伝で起きた事件が全て終了したのを理解するのだった。……ただし、激しい戦闘が終わったばかりでまだ実感というのは無なかったのだが。

 そんな風に思う俺の視線の先では、光輪状の部品――バリオン創出ヘイロウ――と、ネオ・グランゾンの胸部パーツが寂しげに空間の中を漂っている。孤高の天才、シュウ・シラカワ。奴の編み出した技術はシャドウミラーにより引き継がれ、受け継がれていくだろう。そして俺達シャドウミラーはその技術をも飲み込み、より鋭い牙を得る事になるのだ。

 もし、シュウがスパロボEXのようにルオゾールによって蘇ったとしたら、その時はホワイトスターに招待してみるのも面白いかもしれないな。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:620
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:486
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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