転生とらぶる   作:青竹(移住)

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アルティスの病気については独自設定とします。
調べても不治の病というくらいしか分かりませんでしたので。


0586話

 ネオ・グランゾンから奪い取ったパーツの解析やその他の話を聞いてから数日。ホワイトスターにあるレモンの研究室にはアルティスとメイシス、そしてフェイトの姿があった。

 ……正直、レモンとしてはこの研究室を魔法球の中に運び込みたかったらしいのだが、ここのシステムはイングラムが色々と弄っていたらしく、ホワイトスターのシステムと密接に繋がっており外すのは無理らしい。そういう訳で、量産型Wの生産や病気の治療といったものは魔法球を使って数時間で……という風には出来ないのだった。

 

「ここで私の病が治ると?」

「ええ、そうね。そこのバルシェム生成チャンバーの中で治療をして……3日間といった所かしら」

「……3日、か」

 

 アルティスの身体の検査を終えたレモンが、その結果が書かれているカルテを見ながら呟いたその言葉だったが、返ってきたのは眉を顰めたアルティスの言葉だった。

 

「何が嫌なんだ? 不治の病が3日で完治するんだぞ?」

「私としてはもちろん大歓迎だ。だが、修羅の者達が大人しくしてくれるかどうかが不安でな」

「アルティス様、大丈夫です。アルティス様がいない間は私が、そしてフォルカが必ず修羅達を纏めてみせます。ですので、どうか……どうか、今はご自分の身体の治療を優先して下さい」

 

 アルティスの付き添いとしてやってきていたメイシスが、必死に言葉を紡ぐ。

 まぁ、メイシスにしてみれば恋人の命が掛かっているのだ。必死にもなるだろう。

 

「それに、フェイトもいます。正直、この男は好きになれません。ですが、強いというのは事実です。それに、火星のテラフォーミング作業にも手を抜いていません。ずっとというのは無理でしょうが、3日やそこらなら大丈夫だと思います」

「好きじゃない、というのはともかくとして……僕としても君に死なれると修羅の取り纏めが出来なくなるからね。この機会に治療をして欲しいのは事実だ」

 

 部屋の入り口近くで、どこから持ってきたのかコーヒーの入ったカップで香りを楽しみつつ呟くフェイト。

 フェイトがここにいるのはそうおかしな話では無い。そもそも火星から魔法界を経由してアルティスとメイシスをホワイトスターに連れてきたのはフェイトなのだから。

 

「そうだな。では2人には苦労を掛けると思うが、よろしく頼む」

 

 メイシスとフェイトに頭を下げ、レモンと俺へと視線を向けてくる。

 

「……アクセル、レモン。この身をお前達に預けよう」

「気にするな。そもそもお前の治療はこちらに手を貸す為の条件の1つだったしな。それに、現在の状況でお前がいなくなったら修羅の纏まりがどうなるのかは分かっているだろう?」

 

 現状の修羅達は、前修羅王アルカイドがアルティスとフォルカに後を任せたからこそ1つに纏まっている。後を任されたという意味ではフォルカもいるのだが、やはり閃光とまで呼ばれていたアルティスの方が人望という意味ではどうしても上なのだ。

 

「私としては修羅と人の違いを知る事が出来て、そのデータが量産型Wに反映させられるんだから文句は無いわよ」

「む、量産型W?」

「そ。ほら。そっちにある生成チャンバーの中を見てみて」

 

 そう言ってレモンの顔を向けた方にあるバルシェム生成チャンバーには、量産型Wが存在している。ただしまだ成長途中といった感じか。

 

「……正直、あまり良い気分はしないな」

「別に貴方のクローンを作ろうとかいうんじゃないから、心配しなくてもいいわよ。……はい、これ」

 

 その言葉と共に渡されたのはどこか手術着を思わせる服だった。以前に今回と同じようにフィリオの治療をしていた時に着ていたのと同じ物だ。

 そしてその服を渡されたアルティスは、不承不承ながら研究室の物陰へと移動して着替え始めるのだった。

 

「それで、本当にアルティス様の病は治療が可能なのだな?」

 

 嘘は許さん、とばかりに鋭い視線をレモンへと向けるメイシス。さすがに恋人の生死が掛かっているだけあって、その表情は真剣そのものだ。

 

「ええ、もちろんよ。そもそも私達が持っている技術からすれば、あの程度の病をあそこまで悪化させたというのが信じられないくらいだわ」

 

 アルティスの身体を調査……もとい、検査したレモンは自信満々に言い切る。

 そもそも修羅界にいた修羅というのは、戦闘に明け暮れていた影響で文明レベルや技術レベルが著しく下がっていた。その証拠が修羅神だろう。轟級修羅神以上の修羅神を製造する術は既に消失しており、何とか作ることが出来たのはデッドコピーであり、轟級修羅神に比べると圧倒的に性能が劣っている烈級修羅神のみ。そんな状態なので、当然医療レベルに関しても酷いものだった。

 レモンが診察した結果判明したアルティスの病は結核。ただし、本来なら既に起き上がれない程に進行していなくてはおかしかったのだが、それを修羅としての頑強な身体能力やら、あるいは覇気やらで押さえ込んでいたというのが正しいらしい。そして、ホワイトスターにあるこのバルシェム生成チャンバーを使えば、既に末期と言ってもいいような結核であろうとも治療する事が可能だった訳だ。

 

「それを言われると私としても困るな」

 

 そう言いながら、着替え終えたアルティスが姿を現す。

 

「まぁ、これからはその辺を考えて修羅を導けばいいと思うわ。さ、このチェンバーの中に入って」

 

 レモンが操作をすると、中に何も入っていないチェンバーが開かれる。そしてそこに些かの躊躇すらもなく入っていくアルティス。

 ……これは俺達を信頼してくれてるからこそ、と考えてもいいんだろうか。

 

「アルティス様、私は……いえ、修羅の者達は皆、貴方が病の治療を終えて無事に姿を現すのを期待しています」

「フッ、そうだな。メイ、私がいない間の修羅の者達を頼む」

 

 その言葉と共にチェンバーが閉じられ、上の方からマスクが降りてきて自動的にアルティスに装着される。同時にマスクから睡眠ガスか何かが使われたのか、そのまま目を閉じて睡眠状態になるアルティス。そしてチェンバーの中に何らかの液体が注ぎ込まれる。

 

「さて、後はこっちでやるけど……どうする? もう暫く恋人と一緒にいる?」

 

 レモンの言葉に、数秒程迷うような仕草をした後……やがてメイシスは首を振る。

 

「いや、私はアルティス様に修羅達の事を頼まれた。ならばそれをしっかりとしなければ、アルティス様の治療が終わった後に胸を張って会う事が出来ん」

 

 そう言い、レモンに比べると大分薄い胸を張ってフェイトへと視線を向ける。

 

「フェイト、済まないが火星へ戻る」

「分かったよ。僕としてもブルーマーズ計画が進むのは嬉しい事だしね。……アクセル、そういう事らしいから僕達はこの辺で失礼するよ」

「ああ。また何か用事があったら通信機で呼ばせて貰う」

「全く、瞬転刀があればこんな風に面倒な真似をしなくても済んだものを……」

 

 それぞれに挨拶をし、メイシスは小さく文句を言いつつもレモンの研究室を出て行く。

 瞬転刀を含めてソーディアンの転移機能が使えなくなったのはダークブレイン戦の影響なだけに、微妙に悪い気もするが……まぁ、アルティスもあそこにはいたんだから、俺達だけの責任じゃないよな。

 

「アクセルはこれからどうするの? 私はここでアルティスの治療の用意を調えたら一旦魔法球の方に行くけど」

「ネオ・グランゾンのパーツの解析か。どの程度進んだんだ?」

 

 数日前に聞いた時は2割と聞いていたが、あれから経った時間……それも、魔法球での時間を考えると大分進んでいるんだろう。そんな風に思いながらの問いだったが、レモンは微かに眉を顰めて口を閉ざす。

 これは……進んでいないのか?

 

「レモン?」

「そんな心配そうな顔をしなくても解析については進んでいるわよ。……ただ、当初予定していたよりも大分解析の進み具合が思わしくないの。言いたくはないけど、さすがにシュウ・シラカワ博士の研究の結晶ってところね。今の所は全体的に見て5割程度よ」

「5割か。以前よりも3割進んでいるのを考えると、それ程悪い進み具合ではないと思うが?」

「……魔法球を最大限に活用してこの結果なのよ?」

 

 はぁ、と深く溜息を吐くレモン。その様子に苦笑を浮かべつつ、空間倉庫から以前に焼きたてで買っておいたクッキーの包みを取り出して渡す。

 

「ほら、あまり根を詰めて無理をしても良くないだろ。それにこの前も言ったが、俺はお前達技術班を信じている。これまでシャドウミラーの活躍をここまで支えてきた、そしてレモンが育て上げてきた技術班をな。だから、それが苦戦してるって事はそれだけネオ・グランゾンは難物なんだろう。それを理解した上で解析に挑めば、技術班はこれまでよりも更に高い場所へと届くだろうさ」

「……ありがと。あら、美味しいわね」

 

 俺の言葉に笑みを浮かべ、さらにクッキーを1枚口へと運んで更に笑みを浮かべるレモン。その様子からは、つい先程の若干ではあるが切羽詰まった様子は無くなっており、俺としても安心出来た。

 にしても、レモン達技術班でも解析が一筋縄では行かないというところをみると、レモンも言ってたようにさすがシュウ・シラカワってところだな。

 

「とにかくゆっくりとでいいから、確実に解析を進めてくれ」

「そうね。特にニーズヘッグに関しては、バリオン創出ヘイロウを解析した上で小型化しないといけないから、どれだけの時間が掛かるのかはちょっと予想出来ない状態よ」

「となると……何か代わりの機体を用意した方がいいのかもしれないな」

「何かあるの?」

 

 思わず呟いたその言葉に、レモンが尋ねてくる。

 

「ああ。ギアス世界のギルフォードから連絡があってな。色々ときな臭いことになっているらしい。……そろそろ、コーネリアとも話しておいた方がいいだろう」

「……そう」

 

 やはりこれまで共に行動をし、さらには幾度となく同じ夜を過ごしてきた事で、レモンにとっても既にコーネリアは家族の1人という扱いなのだろう。どこか憂いを帯びた表情を浮かべる。

 

「コーネリア……大丈夫かしら」

「どうだろうな。俺自身はコーネリアの為ならどんな事でもしてやりたいとは思っているが、その肝心のコーネリアが何を望むか」

 

 パッと思いつくだけでも、まず最優先事項なのはギアス響団の壊滅と公表か? いや、公表に関しては騒ぎがでかくなりすぎるのを考えると避けた方がいいと思うんだが、その場合だと世間のユーフェミアに対する評価は虐殺皇女のままだしな。となると、原作でルルーシュが言っていたように人体実験云々と誤魔化して、それがユーフェミアに使われたとするのがベストか。

 どのみち、ギアス響団を何とかする為には中華連邦に足がかりを作らないとけないのは事実だ。そして、その為に手を組むべき相手は大宦官……ではなく、黎星刻。

 大宦官達とはコーネリアも以前色々あったし、そもそもこちらが何かを提案してもあっさりとブリタニアに売り渡しそうだ。それこそ、原作で自分達の身の安全を買う為に天子をオデュッセウスと政略結婚させようとしていたしな。その点、星刻は天子の安全を約束して変な手出しをしなければ恩義を感じてこっちに手出しをしてくるような真似はしないだろ。

 いや、オデュッセウスか。あの男は能力的には凡庸で見るべきところも無いが、人格としては極めて優れている。……正確には善良であり、人に恨まれないと言うべきか。原作の天子との結婚式でも、何だかんだありつつ気遣っていたしな。ふむ、これは引っ張り込む価値があるか? 天子と星刻も使いようによっては十分に……なるほど。この辺、一度コーネリアと話しておいた方がいいかもしれないな。

 

「アクセル?」

 

 俺が考えに沈んだのを見て、心配になったのかレモンが問いかけてくる。

 

「いや、何でも無い。それよりもコーネリアとは近い内に1度話してみるよ」

「ええ、そうしてちょうだい」

 

 こうして、R2が始まった後の大まかな展望は出来、それを話す時間を取るべくコーネリアへと連絡を入れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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