転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0587話

 アルティスの治療を開始し、レモンとこれからの事を会話した数時間後、俺の姿はホワイトスターにある家にあった。レモンとマリューの姿は無い。ここにいるのは、俺ともう1人。ソファに腰を下ろしてこちらへと視線を向けているコーネリアのみだ。

 

「それで、急な呼び出しだったが……何かあったのか? 私としては、アクセルとのデートだと嬉しいんだが」

 

 冷蔵庫から取り出してきた、アイスティーの入ったカップを口へと運びながらコーネリアが艶然と微笑む。

 その魅力的な笑顔に一瞬見惚れるも、すぐに首を左右に振る。

 

「確かに俺としてもコーネリアと一緒にSEED世界なり、ネギま世界なりでデートをしたいとは思うが……今日はちょっと違う用件だ」

「違う用件? わざわざ訓練中だった私を呼び出すくらいだ。余程のイレギュラーな事態でも起きたのか?」

「まぁ、イレギュラーと言うか……そうだな、俺とコーネリアの間で迂遠な言い回しは必要無いだろう。単刀直入に言わせて貰う」

 

 その言葉で本格的に何か真面目な話だと理解したのだろう。コーネリアもまた、アイスティーのカップをテーブルの上に置いて俺へと視線を向けてくる。

 

「ギルフォードからエキドナ経由で連絡があった」

 

 ピクリ。俺がその言葉を告げた途端、コーネリアの眉が一瞬動く。

 

「ギルフォードは何と?」

「機密情報局。……ようは、ルルーシュを使ってC.C.という人物を誘き出す為のブリタニア皇帝直属の機関が動きを見せているらしい」

「……それは、以前アクセルが言っていたように事態が動き始めたという事か?」

 

 ゆっくりと……そして静かに問いかけてくるコーネリアの言葉に、小さく首を振る。

 

「いや、まだそこまでは行っていない。だが機密情報局が動き始めたとなると、事態が動くのはそう遠くはないだろう。それで、今のうちにきちんと話を詰めておきたいと思ってな」

「話を詰める?」

「ああ。もちろん以前にした約束は覚えている。ユーフェミアの真実を公表するのは絶対条件だ。だが、その他の事についてはまだ決めていなかっただろう?」

「その他の事、とは?」

「ギアス世界をどうするのか。最終的にどのような結果に持っていきたいか、だ」

 

 俺もまたテーブルの上に置かれていたアイスティーの入ったカップを口へと運び、ソファの向かいに座っているコーネリアへと視線を向ける。

 こうして見る限りでは以前のような激情は無いが、それでもコーネリアの瞳は確固とした意志を示していた。

 まぁ、ユーフェミアの冤罪を晴らすために己の身も心も俺に捧げたと公言しているのだ。それ程の想いがそうそうどうにかなる訳もないか。

 自分の出身世界だけに……更には、コーネリア自体がブリタニア皇族の出であるだけに世界をどうするのかという質問には迂闊に答えられないのだろう。そんなコーネリアを見ながら、俺も口を開く。

 

「コーネリアの目的であるユーフェミアの冤罪を晴らす事、そしてギアス響団の壊滅は俺も賛成だ。だが、それ以外にも当然ギアス世界に手を出す理由は幾つかある。俺達シャドウミラーの利益になるようなものが、な」

「……それは一体何だ?」

「まず1つ目。これは最優先項目だが、サクラダイトを定期的にシャドウミラーに提供するようにする事」

 

 何しろ、キブツではその世界固有の物質は作り出せないからな。そして世界固有の物質の中でも、サクラダイトというのはトロニウムと違ってかなりの量が存在している。それこそ、世界中に輸出出来る程度には。

 

「まぁ、そうだろうな。以前にレモンやマリューからもそれとなくサクラダイトについて聞かれた事があるし、予想はついていた。だが、サクラダイトの最大輸出国はエリア11……否、日本だ。その辺をどうにかしなければならないだろう」

 

 コーネリアもブリタニアが占領している事に対しての意見は述べるが、特に異論は無いとばかりに頷く。

 

「そして2つ目。以前に言ったと思うが、サクラダイトを使ったMAP兵器。フレイヤの現物を幾つか入手する事。……これに関しては、もう暫くしたらペンドラゴンに1次製造分が保管される事になる筈だから、それを貰い受ける予定だ」

 

 シュナイゼルのダモクレスに奪われるよりも前に、俺が忍び込んで全部貰ってくる。後は出来れば設計図なり何なりも欲しいが、そっちに関しては最悪無くてもレモン達に任せれば分析して量産してくれるだろう。

 

「うむ。それについても以前聞いていたな。正直気は進まないが、理解はしている」

 

 やっぱり正々堂々と戦うのを旨とするコーネリアに取っては、有無を言わさずに対象を消滅させる広域破壊兵器……MAP兵器は好みではないんだろう。それでも却下をしないのを見ると、有用性については理解しているといったところか。

 

「そして3つ目。フレイヤに比べると随分と優先度は落ちるが、ランスロットを開発した特派をこっちに引き入れる事。……これに関しては、最悪ロイドとセシルの2人だけでもいい」

「無理だ! 特派は兄上の直轄だった部隊だぞ。……それも、エキドナから聞いた話によると、今は枢木がナイトオブラウンズになっており、その直轄となっている。とてもこちらから手出しは出来ん!」

 

 さすがにこの意見は予想外だったのか、殆ど反射的に否定してくる。

 確かにロイドやセシルは原作ではルルーシュについた。だが……ここでもしパラレルワールドの存在を、そしてロイドの知らない数々の技術を餌にしたらどうなるか。技術者としては1流だが……いや、そうであるが故に未知の技術に対する好奇心をどうにか出来るかと言われれば、恐らくは無理だろう。それを使ってロイドをこっちに引っ張り込める可能性はかなり大きい。それらをコーネリアに説明していくと、やがて俺の言い分にも理があると理解したのか、何やら考え込み始める。

 

「……アクセル、正直に答えてくれ。お前は私の世界を……ギアス世界をどうしたいと考えている? ナイトオブラウンズの直轄組織になっている今の特派……いや、今はキャメロットとか言ったか? そこを引き抜くという事は、父上と敵対すると考えてもいいのか?」

「それはそうだろう。そもそも、ギアス響団を襲撃する時点でシャルル・ジ・ブリタニアと敵対するのは決定的だ。かと言ってその他の勢力に対して味方をする気は無いがな」

 

 ブリタニアはギアス響団を襲撃する時点で敵対するのが大前提。中華連邦は腐りきっている。EUは本編で殆ど出て来ていない以上は知識が無い為にちょっと手を出しにくい。そもそも、原作だとシュナイゼルに圧倒的に押されまくっていたしな。ルルーシュの立ち上げた超合衆国に参加していたくらいしか出番が無かった筈だ。

 それに、中華連邦はリフレインやキュウシュウ戦役のように色々と確執がある。ネギま世界でもブルーマーズ計画にチョッカイを出してきているし、イメージ的には最悪に近い。いやまぁ、ネギま世界の中国とギアス世界の中華連邦が別物だってのは分かっているんだが。

 もっとも全てが最悪という訳では無い。見るべき人材もいるのは事実なのだ。問題なのは、その見るべき人材が下にいて、どうしようもない愚物が上にいる状況だ。つまり……

 

「俺の目的としては、SEED世界と同じだ。……いや、正確に言えばSEED世界でやったのをより大規模に発展させるつもりだ」

「つまり、シャドウミラーが味方をする勢力をギアス世界の勝利者にすると? SEED世界のオーブの如く」

 

 そんなコーネリアの言葉に、小さく首を振る。

 

「いや。今も言ったように、SEED世界の時のやり方をより発展させる。つまりは……俺達が新たに国家を作り、そこをギアス世界の勝利国にする」

「……何?」

 

 俺の言葉にピクリと反応するコーネリア。そして小さく息を呑んでから再び口を開く。

 

「それはつまり、ホワイトスターではなくギアス世界に本拠地を構えるという事か?」

 

 あぁ、そう取ったのか。いや、確かに今の俺の言葉だけを聞けばそう判断してもおかしくはないか。

 

「違うな。正確に言えば俺達の意志を反映させる為の国家、だ。より分かりやすく言うのなら、シャドウミラーの出先機関と言ってもいいだろう」

「……SEED世界での行動をもっと発展させる、か。確かに」

 

 そこでようやく俺の言葉の意味を理解したのだろう。コーネリアが小さく頷く。

 そう、例えばSEED世界ではシャドウミラーはオーブを通して他の国々とやり取りをしている。もちろんオーブとシャドウミラーを力関係で考えれば圧倒的にシャドウミラーが上だ。実際にシャドウミラーの武力があったからこそ、オーブがあの戦争の勝利者になったというのは間違いの無い事実なのだから。だが、それでも結局俺達はSEED世界に対してはオーブを通して関わっている。もちろんこれがシャドウミラーにとって悪い事かと言われれば、答えは否だ。むしろ、余計な雑音をオーブが遮断してくれていると考えれば、かえってありがたい。だが、それはオーブという国家が信用出来る国家だからこその行為であるのも間違いの無い事実なのだ。

 そしてこのギアスの世界では、信用出来る国家は無い。世界その物がブリタニア帝国、中華連邦、EUの3大勢力によって分けられているのだから。その辺はSEED世界とも似ているが、オーブのようなある程度の力がある第三国が存在していないのが非常に痛い。それ故の、シャドウミラー出張機関として使う為の新たな国作りだ。KMFやサクラダイトと言われるような、この世界特有の技術や物質がなければもっと単純に黒の騎士団辺りに協力してギアス響団を潰すだけで済んだかもしれない。だが、その辺の利益を考えた場合は俺達の意志を示す為の国というのが重要になってくる。

 

「それで、具体的にはどうすると考えているのだ?」

「もちろん、馬鹿正直に1から国作りをしようなんて事は考えていないさ。有能な人材を引き抜き、国を建てる」

「……場所は?」

「中華連邦だな。あそこは上層部が糸を引く程に腐っている。だからこそ、国を切り取るのもそう難しくはない」

「……理由としては弱いが?」

「もちろんそれ以外にも幾つか理由はある。最大の理由としては、色々な意味で中華連邦が都合がいいんだよ」

 

 ニヤリ、と自分でも分かる程に何かを企んでいるような笑みを浮かべているのが分かる。

 

「まず、今回ギアス世界に対して干渉する最大の理由のギアス響団。そのギアス響団の本拠地が中華連邦のどこかにある。これに関してはまだ正確な場所が分からないが、大体の目星はついている。つまり建国する時にその一帯もこっちの勢力下にしてしまえば、ギアス響団の正確な場所を見つけやすい訳だ。それと、中華連邦は上はともかく下には有能な者達がそれなりにいる。そして、その有能な者達は今の上層部……大宦官に対して反乱を行おうと準備しているからな。そいつらをこっちに引き込む」

「……大丈夫なのか? 幾ら国を作ったとは言っても、こちらの命令を聞かないのでは意味が無いぞ?」

「その辺は大丈夫だろう。そもそも俺達がそいつらに命じる事と言えば、KMFの提供やサクラダイトの提供がメインとなる。それにこちらからの取引条件を考えると受けざるを得ないと思うしな」

「取引条件?」

「ああ。今のところ考えているのは、天子を大宦官の手から救い出す事と、ガン・ルゥの強化プランとそれに伴う技術の提供だな。それと最大の目玉は、その反乱を考えている首謀者の不治の病の治療といったところか」

「……またか」

 

 俺の言葉に、どこか呆れた様に呟くコーネリア。まぁ、身体の治療と引き替えにこちらに協力させるというのはフィリオ、アルティスと何度も続けてきたから、そう思うのも無理は無い。だが何故かこの手の原作では優秀な者が病気になるというのはある意味でお約束状態だったりする。ならそれを有効利用しない手はないだろう。

 

「まぁ、アクセルのいつもの手段だからいいとして……その対象は? 首謀者と言っていたが」

「ああ。黎星刻。中華連邦の傑物だよ。こいつは色々な意味で厄介だが、それだけに味方に引き込めば有能極まりない」

「黎星刻? 聞いた事の無い名前だな」

「まぁ、今の身分は低いからな。だが、能力的には超の付く一級品だ。そうだな……コーネリアに分かりやすく言えば、頭脳でルルーシュ、身体能力でスザクと同等の能力を秘めているといったところか」

「……ほう。ルルーシュや枢木と同等の能力か」

「だが、生まれ持った才能は多いが、健康という面では天から与えられなかったらしくてな。その辺を突けば話に乗ってくる可能性は高い。それと、天子に対して心酔しているからな。今の大宦官の操り人形の状態から解放すると言えば……」

「乗ってこざるを得ない、か」

「ああ。ただし天子に関しては本当にただの子供だから、政治に関わらせるつもりはない。国の象徴といった辺りが無難だろう。それと……お前の兄、オデュッセウスもこっちに引き込むつもりだ」

「……オデュッセウス兄上を? 何故だ? 確かにオデュッセウス兄上は善良な人物で、人当たりもいい。その人格も優れている。だがこう言ってはなんだが、能力的な面では凡庸な人だぞ?」

「だろうな。だが、この場合はその人格が重要でな。色々な意味で尖った性格の多い皇族の中で、敵を作らずに慕われているというその性格はありがたい。こっちには天子と違って象徴ではなく、この国の代表――とは言っても、名目上に過ぎないが――になってもらうつもりだ。そして実際の執務に関しては黎星刻を始めとする奴等に任せる感じだな。戦力に関してはメギロートがある以上は心配いらないし」

 

 OGs以降で手に入れた技術で着実に性能を上げてきている今のメギロートの能力を考えれば、恐らく第7世代のヴィンセント以上、第9世代のランスロット・アルビオン以下。世代的には第8世代相当の能力を持っていると考えてもいい。……確かナイトオブラウンズの専用KMFが第8世代相当だったような気がする事を思えば、その戦力は相当なものだろう。何しろナイトオブラウンズの専用KMFと同性能の機体が無人機で群れを為して襲い掛かるのだから。

 

「……分かった。オデュッセウス兄上を説得する時には私も協力しよう」

「ああ、そうしてくれ。それと事態が動き始めたらギルフォードとグラストンナイツに接触してエリア11から引き上げさせるが、構わないか? ホワイトスターでシャドウミラーという存在に慣れて貰った後は建国の方に回ってもらうつもりだ。向こうでの手が足りなくなりそうだしな」

 

 俺のその言葉にコーネリアが頷き、こうしてギアス世界に対する介入方法が決定したのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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