転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0588話

「具合はどうだ?」

「……凄い。身体の異常が少しも感じられない。確かに病に侵される前と比べても、より身体の調子がいい」

 

 バルシェム生成チャンバーから出て来たアルティスが、自分の調子を見るように身体を動かしながら感嘆の声を上げる。

 そう、治療を始めてから3日。ようやくアルティスの治療が完了したのだ。

 

「それは多分、病気になった後も鍛えていたおかげでしょうね。……さすがに修羅、戦闘民族と呼ぶべきかしら。随分と治療は順調に進んだわ」

 

 戦闘民族って……どこぞのサイヤ人の如く尻尾でも生えてたりしないだろうな?

 

「はい、これは貴方がチャンバーの中に入る前に着ていた服よ。一応洗濯はしてあるから、そっちで着替えてきてちょうだい」

「うむ、感謝する」

 

 レモンに手渡された着替えを持って、以前同様に物陰へと向かうアルティス。その後ろ姿を見送ってから、レモンへと視線を向ける。

 

「それで、バリオン創出ヘイロウの解析の方はどうなっている?」

「8割ってところね。機能とかの解析は大体終わっているけど、今はどうやってあの大きさのパーツをニーズヘッグに組み込もうかと悩んでいるところよ」

「へぇ、それはまた。少し前までは苦戦していたのが嘘のような速さで一気に解析が進んだな」

「ふふっ、これでもアクセル自慢のシャドウミラー技術班ですからね。少しは実力があるところを見せないと」

 

 艶然とした笑みを浮かべるレモンの様子に、参ったとばかりに両手を上げて降参のポーズを取る。

 

「そっちがまだ終わってないところで悪いが、もう1つちょっと頼まれてくれ」

「あら、今度は何かしら?」

「ガン・ルゥ。覚えているな?」

「ええ、もちろん。ギアス世界の中華連邦が使っているKMFでしょう? 一応解析はしたけど、特に見るべき技術は無かったし、サクラダイトに関しても今はまだ手を出していないから、そのまま倉庫の中に入っている筈よ」

 

 ……まぁ、無理はないか。確かにガン・ルゥはその生産性以外は何の取り柄もない機体だしな。

 ちなみに倉庫というのは技術班専用の倉庫であり、もう使わない物とかが無造作に仕舞われていたりする。ストライク・ダガーとかもそこに入っている筈だ。

 

「そのガン・ルゥだが、俺達が引き抜こうとしている中華連邦の人物に対して取引として使いたい。ある程度の強化改造をしてくれないか? 出来れば、向こうの技術でもどうにか出来る範囲の遠距離射撃用の機体として」

 

 基本的に独自の進化を遂げているギアス世界だけに、こっちの技術をそのまま渡しても応用とかは出来ない筈だ。同時に、リオンとかを提供するというのも優遇しすぎな気がするしな。そもそも純粋な戦力で考えれば、メギロートを使ってどうにかするつもりなんだからガン・ルゥの改造に関しては本当に土産程度の考えしかない。

 

「そう、ね。少し考えてみるわ。でも、さっきも言ったように今はまだ作業が忙しいから、回せる人数は少ないわよ?」

「ああ、それで構わない。それと、メギロートに関しても生産を再開してくれ。キブツで資源を輸出するようになってある程度は余裕が出来てきただろう?」

 

 現在、ホワイトスターの兵器生産プラントではメギロートしか生産出来ないようになっているが、そのメギロートの生産に関しても今は一時的に停止していた。理由としてはもちろん材料の問題だ。さすがに無尽蔵にメギロートを生産しても意味が無いし、それ以前に保管場所に困るということで、今はメギロート以外の物……具体的に言えば機体の補充パーツを含めたその他諸々の方に資源を回していた。

 だが、これからギアス世界で建国をするという目的を決めた以上は、メギロートの数もある程度必要になってくるだろう。だからといってオーブに派遣している数を減らせば、SEED世界が騒がしくなるだろうし。

 

「ええ、その辺も量産型Wに指示を出しておくわ」

「アルティス様っ!」

 

 レモンが俺の言葉に頷いたその瞬間、そんな声と共に研究室の扉が開かれて数人の人物が中へと飛び込んできた。

 その声だけで誰なのかが分かったが、メイシス以外にフォルカ、フェルナンドの姿もある。修羅の幹部がアリオン以外は全員来たのか。

 そしてその3人を送って来たと思われるフェイトの姿もあった。

 どこか呆れた様な表情で3人を眺めているのは決して俺の気のせいではないだろう。

 

「メイか。それにお前達も」

 

 着替え終わったアルティスの姿が物陰から現れる。その様子に3人は安堵したように溜息を吐き、近付いていく。

 

「兄さん……」

「フォルカ。お前にも迷惑を掛けたようだな。だが、安心して欲しい。この通り私の病は完治した。これからは、お前だけに負担を掛けなくてもいいだろう」

 

 くしゃり、とフォルカの頭を撫でるアルティス。同時に、もう片方の手でフェルナンドの頭も撫でる。

 

「これからは、兄弟3人で修羅の新たなる道を見つけ出していこう」

「……ああ」

 

 アルティスの言葉にそれだけ返すフェルナンドだが、その瞳に涙があるのは俺の見間違いじゃないだろう。

 

「そして……メイ。これからも、私を支えて欲しい」

「はい、私はいつでもアルティス様のお側に」

 

 フォルカとフェルナンドを撫でていた手を離し、メイシスを抱きしめるアルティス。

 一応感動の場面ということで黙って見守っていたのだが、これ以上他人のイチャつくシーンを見ているのは御免被る。ということで、退屈そうに一連の出来事を見守っていたフェイトへと視線を向ける。

 

「……」

 

 すると俺の意志を理解したのだろう。あるいは、フェイトとしてもこのままアルティスのラブシーンを見ているのは御免だったのか。

 

「そこまでにしてくれないかな? そろそろ僕としても火星に戻りたいんだけど」

「むっ、……すまん、フェイトにはいつも迷惑を掛けている」

「確かにね。君達は色々と面倒を起こしてくれているし、その後始末をするのは僕だよ。だから、悪いと思うのならテラフォーミング作業の方をしっかりと頑張って欲しいね」

 

 強気なフェイトだが、実際に修羅の面々は魔法世界で色々と騒ぎを起こし、その度にフェイトやらその従者達やらが駆り出されているらしい事を考えると、無理も無いのかもしれない。

 ……そのうち、フェイトが修羅を傘下に収めたりしないだろうな?

 

「アクセル・アルマー。そろそろ用事も済んだようだし、僕も帰らせて貰うよ」

「ああ、ブルーマーズ計画の方は頼んだ」

「……アクセル・アルマー、レモン・ブロウニング。シャドウミラーを信じて良かったとつくづく思っている。この恩はいつか必ず返す」

「アルティス様を治療して貰って感謝する。私もこの恩はいつか必ず」

「兄さんを治してくれてありがとう」

「……感謝するよ」

 

 アルティス、メイシス、フォルカ、フェルナンドの順にそう告げ、フェイトに率いられるようにして修羅の4人は出て行くのだった。

 

「で、アクセルはこれからどうするの?」

 

 そんな修羅達一行を見送った後、改めてこちらへと声を掛けてくるレモン。

 その表情には、特に用事がないようなら自分に付き合って魔法球に来いというのが如実に表れていた。

 一応ニーズヘッグはレモンを始めとした技術班なら起動出来るようにはなったのだが、それでもT-LINKフレーム搭載機である以上は念動力持ちがパイロットをやるのが一番いいというのは当然だろう。特に今はバリオン創出ヘイロウの関係もあるしな。そういう意味では唯一の念動力持ちである俺を連れて行きたいレモンの気持ちも分かるのだが……

 

「悪いな。ギアス世界に行くというのをエザリアに話しておかないといけない。SEED世界とネギま世界の方に連絡していざという時に調整して貰う為にも、な」

 

 一応今回のギアス世界での活動については前々から予想出来ていた事でもある。なので、ウズミや近右衛門にはそれとなく匂わせてあるから特に問題は無いだろうが……

 

「ふぅ。まぁ、しょうがないわね。コーネリアの為でもあるんでしょう?」

「ああ。コーネリアを俺達シャドウミラーに引き入れる時に結んだ約束……いや、契約に基づいた行動だ。……もっとも、あの時はコーネリアとこういう関係になるとは思ってもみなかったが」

「あら、もしかして後悔しているの?」

 

 ジトリ、とした視線を俺へと向けてくるレモン。コーネリアやマリューと共に過ごすうちに、お互いを一生涯の相手でもある大事な存在と感じるようになったのだろう。何度もベッドを共にしていれば情が湧くのは当然というべきか。そして。

 

「まさか。むしろあの時に戻れるのなら、良くやったと褒めてやりたいくらいだよ」

 

 それは当然俺も同じだった。

 レモン、コーネリア、マリュー。この3人とは既に魂レベルで共に在る存在と言ってもいいだろう。そしてそう思うからこそ、レモンの左手薬指に嵌っている時の指輪を渡したのだから。

 

「そう、ならいいわ。じゃ、私は魔法球の方に行くから。アクセルもしっかりね」

 

 唇を合わせるだけの軽いキスをし、研究室を出て行くレモン。アルティス達の時と同様にその後ろ姿を見送り、エザリアへと連絡を取る為に通信機を起動させるのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル? どうしたの?」

「……邪魔してしまったか」

「いや、別にそんな事はないけど」

 

 以前の肩肘を張ったような口調ではなく、女らしい口調のエザリア。それはやっぱりイザークの他に3人の子供を引き取ったのも影響しているのだろう。

 交流区画にある喫茶店でケーキを食べているステラ、サンドイッチを食べているスティング、コーラか何かの炭酸系のジュースを飲んでいるアウルを目にしながらそんな風に思った。

 

「ア、アクセル! この前の女をもう1度連れてきてくれよ! 今度こそ俺が勝つから! 大体魔法とか卑怯じゃん!」

 

 以前の打ち上げで、円と戦ってボコボコにされてしまったアウルが俺に向かってそう詰め寄ってくる。

 

「潜ってきた修羅場の数を考えると、今のアウルだとちょっと勝つのは難しいだろうな。あるいは、アウルもエヴァ相手に修行を付けて貰えばどうにかなるかもしれないが」

「えー……エヴァってあの怖い餓鬼だろ?」

 

 ……どうやら、アウルもエヴァと遭遇した事はあるらしい。しかも向こうっ気の強いアウルにしても怖い存在だと認識している辺り、勘は鋭いと言うべきか。

 

「そうだな。エザリアは麻帆良に顔を出している関係上知ってるよな?」

 

 俺の問いかけに、苦笑を浮かべつつ紅茶の入ったカップを口に運ぶエザリア。基本的にシャドウミラーのメンバーは紅茶派が多い。あるいはこれも俺の影響か? とも思ったりしたが、それは俺の自意識過剰だろう。ただ偶然に紅茶好きが集まっただけというのが正しい。それに、実際シャドウミラーのメンバーでもフェイトのように生粋のコーヒー派もいるしな。

 

「そうね。600年を生きる真祖の吸血鬼。600万ドルの賞金首というのは聞いているわ」

「……げっ、マジかよ」

「いや、でもネギま世界は魔法の存在している世界なんだろう? なら吸血鬼くらいいてもおかしくないんじゃないか?」

 

 エザリアの言葉に頬を引き攣らせるアウルと、魔法の存在する世界という事で納得するスティング。

 

「それに、エヴァは俺の魔法の師匠と言ってもいい存在だしな」

 

 殆ど独学で魔法を習得した俺だが、その切っ掛けに関しては確かにエヴァの指導があった為だ。他にも、初心者用の杖や魔法教本。そして闇の魔法が暴走して混沌精霊になった時に俺自身の身体に吸収された腕輪型の魔法発動体。それらを無償で与えてくれたのもエヴァだ。

 

「さて、それはともかくとしてだ。エザリア、近い内に俺はギアスの世界、コーネリアの出身世界の方に出向く事になる。向こうに行ってもそれなりの頻度でこっちに戻って来る事は出来るだろうが、基本的にはギアス世界での用事を済ませるまでは向こうに集中するつもりだ。その為、SEED世界のウズミ、ネギま世界の近右衛門辺りにはその辺を話しておいてくれ。もっとも、以前からギアス世界に向かうというのは言ってあるから、話が拗れるような事はないだろうが。それに技術班の作った通信機があれば向こうの世界にいても通信は繋がるしな」

「……ギアス世界か。一応、お前はこのシャドウミラーを率いる立場にあるんだぞ? それなのに、そんな人物が危ない場所に突っ込んでいくというのはあまり勧められないな」

 

 微かに眉を顰めるエザリアだったが、俺は指を軽く鳴らして右腕を白炎へと変化させる。

 その炎の熱で周囲が数℃程暖かくなるのを感じながら、口を開く。

 

「見ての通り、今の俺に物理的な攻撃は通用しない。ネギま世界のように魔法や気でも無い限りはな。だから安心して俺に任せてくれればいいさ」

 

 炎の状態から元の右腕に戻し、驚愕の表情を浮かべているスティングとアウル、良く分かっていない様子のステラを前に、諦めの溜息を吐くエザリアだった。……そう言えばスティング達には俺の身体の事は教えてなかったか?

 何はともあれ、こうしてギアス世界に出向く準備は着々と完了しつつあった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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