転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0590話

「では、アクセルとの再会を祝して……乾杯」

『乾杯』

 

 ギルフォードの声に合わせ、俺とクラウディオもまたコップを掲げる。

 もっとも、俺はアルコールが苦手という理由もあって、ギルフォードとクラウディオの2人は午後からも仕事があるからという事で、それぞれがお茶での乾杯だが。

 それでも、こうして料理を目の前にしての乾杯であれば……そして、幾度となく共に戦場を駆け抜けた戦友と卓を囲んでいる状況は嬉しいものがあるのは事実だった。

 それぞれのコップを空けた後、テーブルの上に広がっている料理へと手を伸ばす。まだ昼食という事もあってそれ程重い料理では無いが、それは俺以外の2人に関してだ。俺は普通にこの程度の量なら大丈夫だと、ピザやパスタ、あるいはサンドイッチやカルパッチョといった物を次々に腹の中へと収めていく。

 にしてもイタリア料理……いわゆるイタ飯が多いが、EUと戦っている中でいいのか? まぁ、料理に貴賤は無いって事なんだろうが。

 とにかく料理を食べている間はコーネリアの話はしないというのが暗黙の了解となり、俺達はブラックリベリオン前の出来事を話のネタとして食事を進めていくのだった。

 そしてデザートとしてケーキと食後の紅茶を済ませ……

 

「さて。食事も終わったし、そろそろ本題に入ろうか」

 

 俺がそう呟くと、ギルフォードとクラウディオの顔が鋭く引き締まる。

 

「ここは盗聴の類は?」

「問題無い。店に入る前にも言ったが、ここはブリタニア軍人も良く使うからな。ある程度上の人間も使うだけに、その辺はブリタニア軍が前もってきちんと調査してあるし、ここの職員にしても退役したブリタニア軍人だ」

 

 ……へぇ。まぁ、今の俺達みたいに食事をしながらの会話を考えると、それも無理はないのか。微妙に心配なのが、ヴィレッタが所属している機密情報局だが……それに関してはさすがにルルーシュの住んでいるアッシュフォード学園内以外で監視カメラとかを仕掛ける訳にもいかないだろう。特にここはブリタニア軍御用達の店らしいし。

 

「なるほど、なら安心だな。……これを読んでくれ」

 

 食器の類は綺麗に片付けられたテーブルの上に、懐から取り出した手紙を置いてギルフォードの方へと滑らせる。

 

「これは……? っ!? 姫様からの!?」

「っ!?」

 

 封筒の差出人の位置に書かれている名前を見て、小さく叫ぶギルフォード。そしてその隣で様子を見ていたクラウディオもまた、その言葉に息を呑む。

 

「そうだ。……クラウディオ、コーネリアが今俺達と共にいるというのは聞いてるか?」

「はい。アクセルさんの所属している傭兵団と一緒にいると聞いてますが」

 

 なるほど。まぁ、それも間違いではない。実際以前にコーネリアに雇われている時には傭兵として雇われていた訳だし、クラウディオがそう判断するのは間違いではない。

 

「ギルフォード?」

「……君達が普通の集団でないというのは理解している。君の部下だというエキドナが持ってきたゲートシステムとやらをこの目で見ては、な」

「だろうな」

「ギルフォード卿?」

 

 ギルフォードの言っている意味が分からなかったのだろう。クラウディオがそう尋ねるが、ギルフォードは何を答えるでもなく俺へと視線を向けてくる。

 

「これまでは姫様に止められていた事もあって、敢えて詳しい事情は聞いていなかった。けど、アクセル。君がこの地に戻って来て、さらには姫様の手紙を持ってきた。これ等の事を考えると、これ以上黙っている訳にはいかないと思うが」

「……そうだな。まぁ、確かにそう思っても仕方が無いか。実際、俺はお前達に色々と頼んだりすると思うし、コーネリアの手紙を読む上でも俺の……俺達の存在を知っておいた方がいいのは事実か」

 

 そこまで告げ、視線に力を込めて俺の方を見ている2人へと向かって口を開く。

 

「だが、これからする話を聞いた以上は足抜けする事は出来なくなるぞ。それでも無理に抜けようとするのなら、俺は実力行使をせざるを得ない。……それでも聞くか?」

「当然だ。私は姫様の騎士なのだから」

「グラストンナイツの一員として、私も……そして他の者達もコーネリア様は忠誠の対象です」

 

 即座に、何の躊躇もなく告げる2人に思わず笑みを浮かべる。そうだったな、クラウディオの方は殆ど面識がないが、ギルフォードとはこの世界にいる時は一番長い付き合いをしている間柄だ。こんな風に返してくるというのは予想出来ていた。なら、いいだろう。今まで告げていなかった、俺の……俺達の素性を話そう。

 

「世界というのは、似たような世界が幾つも重なっている。そんな話を知っているか?」

「何?」

「例えばだ。ブリタニアが存在しない世界、魔法というものが存在している世界、遺伝子操作されて生まれてきた人類がいる世界、宇宙人に幾度となく地球が襲われた世界。……そんな世界があるというのを信じられるか?」

「それは、いわゆる平行世界とかいう概念か?」

 

 ギルフォードの言葉に頷く。そして、それだけでギルフォードが俺の正体を理解するには十分だった。

 

「つまり、アクセル。お前はいわゆる異世界人だ、と?」

「それだと少し大袈裟な表現だな。今も言ったように異世界というよりは平行世界だ。俺やエキドナは、こことは似ているようで違う平行世界で生を受けた存在だ」

「……そんな、とてもじゃないけど信じられません……」

 

 クラウディオの呟き。まぁ、それも無理はない。普通目の前にいる人物が平行世界で産まれた人物ですと言って、すぐに信じる方が……

 

「そうか、分かった」

 

 ……何?

 ギルフォードの呟きに、思わず動きを止める。それはクラウディオもまた同様で、信じられないような目でギルフォードへと視線を向けている。

 

「ギルフォード卿?」

「何だ、おかしいか? 私はアクセルの言う事を信じる、と言ったんだ。友の言葉を信じてやれなくては騎士の名折れだろう? それに、以前からアクセルの使っていた機体には不自然さを覚えていた。確かにランドリオンにしてもガーリオンにしても、KMFとは別の設計思想で開発された機体なのだろう。だが、そのような機体を開発出来るような勢力はこの世界にいるかと言われれば、否と答えるしかない。EUが開発したパンツァー・フンメル、中華連邦が開発したガン・ルゥ。そのいずれにしても我が国の開発したKMFの焼き直しか、劣化版でしかない。とてもではないが我が国のKMFと同等の……あるいは、より性能高い機体を開発出来るような技術力は存在していない。それに、もし万が一そんな新型の機体を開発出来たとしたら国威発揚の意味も込めて大々的に発表しているだろう」

「……確かに、それはそうですが」

 

 ギルフォードの説明に納得しながらも、それでも尚俺が平行世界の住人であるというのは信じられないのだろう。だが、このクラウディオの態度こそが普通なのであって、ギルフォードがあっさり俺の言葉を信じた方が普通ではないのだ。

 

「それに……ブラックリベリオンの時にアクセルが使っていたグロウセイヴァーとかいう機体。中華連邦が繰り出してきた艦隊をいともあっさりと全滅させたその戦力や、短期間で太平洋まで移動出来る機動力。あのような性能を持った機体は、とてもこの世界の技術で開発出来る物ではない筈だ。あるいは、ゼロの使っていたガヴェインなら攻撃力だけで言えば匹敵したかもしれないが……」

「……」

 

 これに関しては沈黙するクラウディオ。まぁ、この世界の技術力じゃ転移装置なんて想像も出来ないか。俺達にしろ、システムXNの大本であるアギュイエウスはギリアムがいないと入手出来なかったんだしな。

 さて、ここで駄目押しといくか。

 

「まぁ、あの機体だけで俺が平行世界の住人だと理解するのは難しいというのは理解出来ないでもない。ちなみに、さっき俺が口にした言葉を覚えているか?」

「……口にした言葉、ですか?」

 

 クラウディオの問いかけに小さく頷き、口を開く。

 

「そうだ。この世界とは違う世界。魔法のある世界もある、といった言葉だ」

 

 その言葉と共に、指をパチンッと慣らして無詠唱で影槍を使用する。

 すると次の瞬間、椅子に座っていた俺の影から先端の尖っていない影槍、影の棍とでも呼ぶべき様なものが伸び、ギルフォードとクラウディオの前で停止する。

 

「こ、これは……」

「影……?」

 

 さすがに影槍という存在は予想外だったのだろう。唖然とした表情の2人。

 

「これが魔法の存在する世界で俺が身につけた力だ。ちなみにこんな事も出来るぞ?」

 

 再び指を鳴らして影槍を解除し、同時に右手の指先5本に白い炎を宿す。

 フィンガーフレアボムズ……いやまぁ、出来ない訳でも無いけどな。これはただの演出だ。そもそも実はこれ、魔法じゃなくて混沌精霊としての力だし。

 

「白い、炎?」

 

 再び唖然として呟くクラウディオ。その言葉に頷きながら炎を弄ぶようにして手へと絡みつかせる。

 

「正解だ。白炎。俺の知る限りでは、俺のみが使える魔力により生成される炎だ。もっともこの炎の温度は俺の魔力に影響される。現にこの部屋の温度に変化は無い筈だ」

 

 呟き、再び指を鳴らして炎を消滅させる。

 

「ご覧の通り魔法というものは存在しているし、誰でも習得が可能となっている。もっとも、ある程度以上のものを習得するとなると才能が必要になってくるけどな。……ちなみに、コーネリアも一般的な魔法を使えるようになってきてるぞ?」

 

 少なくても、魔法の射手は放てるようになっていた。……いつの間にやら。

 

「姫様もっ!?」

 

 さすがにこれには驚いたのだろう。ギルフォードが驚愕の声をあげる。

 

「ああ。俺達の組織には魔法を教えるための特別顧問として、600年以上を生きる真祖の吸血鬼が存在しているからな」

『なっ!?』

 

 再び上がる驚愕の声。しかも今度はギルフォードとクラウディオの2人が揃って上げた声だった。

 

「吸血鬼だと!? そんなものが実在していると!?」

「何だ、俺の言葉は信じるんじゃなかったのか?」

 

 思わず問い返してきたギルフォードに、苦笑を浮かべつつそう尋ねる。

 

「いや、確かにそうは言ったが……だが、しかし」

「分かってるよ。そんなのが出て来るとは思ってなかったというんだろ? まぁ、普通はそうだろうからな。気にするな」

「あ、ああ。……しかし、アクセル。お前の組織というのは……」

「そうだな、どう説明したらいいか。簡潔に言うと世界と世界の狭間。次元の狭間に本拠地を持ち、複数の平行世界と交流を持つ組織。1つの組織でありながら、世界その物を敵に回しても勝つ事が可能な軍事力を持つ組織。未知の技術の収集を目的とした組織。色々な側面はあるが……シャドウミラー。それが俺やお前達が以前会ったエキドナ。……そして、今のコーネリアが所属している組織の名であり、俺が率いている組織の名だ」

「何っ!?」

 

 これまでで、最も大きい声を上げて立ち上がるギルフォード。その視線は鋭く俺を見据えており、帝国の先槍との2つ名に相応しい迫力を放っている。

 そしてクラウディオもまた、ギルフォード程ではないにしろ鋭い視線を俺へと向けている。

 

「アクセル。今の話は本当なのか?」

「そうだ。言っておくがシャドウミラーに所属するというのは、コーネリア自身が望んだ事だ。全ては、ユーフェミアの汚名を晴らす為にな」

「ユーフェミア様の……?」

 

 俺の言葉に若干視線の力を弱めたギルフォード。コーネリアがどれだけユーフェミアを可愛がっていたのかを知っていたからこそ、可能性としてはあり得ると思ったのだろう。

 

「ユーフェミアを知っているお前は、不思議に思わなかったか? あの優しい……否、甘いとすら言ってもいいユーフェミアが日本人に対して虐殺命令を出すというのを」

「それは……」

「だが、その出された命令がユーフェミアの意図したものでなかったとしたら? 何らかの超常の力が働いていたとしたら」

「……魔法っ!?」

 

 つい先程の光景を思い出したのだろう。思わず叫ぶギルフォードだが、俺はそれに首を振る。

 

「似てはいるが違う。コーネリアはそれを知って、最愛の妹の汚名を晴らす為にブリタニアという国を捨て、シャドウミラーへと参加を決意した。そして、もうじきコーネリアのその悲願が果たされようとしている。何しろ、その行動を起こすために敢えて手を出さずにいたこの世界に再び接触する事を決めたんだからな。……それを理解して、尚コーネリアに対する忠誠心が揺るがないというのなら、手紙を読むといい」

 

 ギルフォードの目の前に置かれている手紙へと視線を向けながら、覚悟を決めるように促すのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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