転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0049話

「……と、言う訳だ」

 

 エクアドル基地に戻ってきた俺とキロノ大尉、エキドナの3人は早速ヴィンデルに呼び出され、今回の反乱が起こった経緯を説明していた。

 と言っても、話しているのは基本的にキロノ大尉でたまにヴィンデルが質問の為に口を開くくらいだが。

 

「そう、か。……すまない。ちょっと1人にしてくれないか。詳しい話はまた後で話そう」

 

 何かを押し殺したようなヴィンデルの口調に、俺達はただ頷く事しか出来なかった。

 

「アクセル、2時間後、17:00時にレモンと2人でまたここに来てくれ」

「ああ、分かった」

 

 小さく頷き、ヴィンデルの執務室を出る。

 

「中尉、これから俺はどうすれば?」

「そうだな、まずは部下の見舞いにでも行ってやれ。エキドナ、キロノ大尉を医務室へ案内を」

「了解しました、隊長」

 

 エキドナがキロノ大尉を連れてその場を離れてから数秒。

 ドガッという何かを叩きつけるような音がヴィンデルの執務室から聞こえてきた。

 そして同じような音が数回。

 

「はぁ」

 

 溜息1つ。

 ヴィンデルの中で何が起きているのかは原作知識がある身としてなんとなく予想が出来る。ギリアムが転移してから既に1年。時期的に考えてもおかしくはない。

 

「レモンに会いに行くか」

 

 何故か無性にレモンの顔を見たくなったので、研究室へと向かう。

 

「レモン、ちょっといいか?」

 

 ノックをして扉を開くが、研究室の中には誰もいなかった。

 

「いや、1人いるか」

 

 研究室の中に並べられているシリンダーへと視線を向ける。

 そこには緑がかった銀色の長髪をした1人の女の姿がある。

 W17……いや、ラミア・ラヴレスというべきか。いずれはWナンバーズの中で初めて完全な感情を持ち、創造主であり、母であるレモンから独立するレモンの最高傑作。

 

「アクセル?」

 

 ラミアを見ていると、ふと声が掛けられる。

 声のした方を見ると、研究所の入り口にレモンの姿があった。

 

「どうしたの?」

「いや、ちょっとレモンの顔を見たくなってな」

「その割にはW17を熱心に見ていたようだけど」

 

 多少拗ねているように感じるのは、俺の独りよがりな思い込みではないと信じたい。

 

「Wナンバーズの最新ロットはどういうものなのか考えていただけだよ。それよりも17:00時に俺とレモンでヴィンデルの執務室へと来てくれとさ」

「今回の作戦の事で何かあるのかしら?」

「多分な。それより鹵獲してきた機体の方はどうだ? レイディバードはもう戻ってるんだろう?」

「最新型のエルアインス4機は数日で修理が完了するわね。あの斬り口はアダマン・ハルパーかしら?」

「ああ。遠距離・中距離に関しては文句無しだが、近距離が苦手だったグロウセイヴァーにとってはありがたい武器だな」

「ファントムで破壊された方も特に問題無く修理可能よ。で、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだけど、こちらは半分程損傷の酷い機体があるわね。うちの主力機種でもあるんだし、修理というよりは部品取り用にまわす事にしたわ」

「ガーリオンは?」

「こちらもアダマン・ハルパーで倒した2機は問題無く修理可能。残り3機は1機が修理可能、残り2機は部品取り用にまわすわ」

「となると、今回の収穫はエルアインス4機に、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとガーリオンが3機ずつの合計10機か」

 

 数はともかく、最新量産型のエルアインスが手に入ったのはラッキーだった。4機ある事だし、マルティンやバリソンが乗る事になるんだろう。アル、ボビー、フルストに関しては、フルストが索敵担当なんだし今回は割を食うか?

 

「鹵獲機体に関してはこれでいいでしょう。さて、アクセル。ファントムを12機も壊してくるなんてどういうつもりかしら?」

 

 あ、やばい。口元では微笑を浮かべているものの、目が笑っていない。

 

「補給が厳しいのは分かっているでしょう? 幸い今回はあの基地から使えそうなものを洗いざらい持ってきているからなんとか新規にファントム12機の製造は出来るけど、次からは気をつけてよ?」

「ちょっと待て。あの基地にファントムを製造する為の物資があったのか?」

 

 言うまでもなくファントムの正式名称はT-LINK対応型ソードブレイカーだ。新規製造するにはT-LINK関係の物資が必要になる。

 

「ええ、念動力関連のものが一通り揃ってたわ。どうやら例の特脳研にあった人工的な念動力者の作成とかいう戯言を本気にして実験してたみたいよ?」

 

「特脳研でも無理だった実験を、専門家でもない者が? ちょっと無理がないか?」

「ええ、だからでしょうね。人体実験が失敗したと思われる報告がかなりあったみたい」

「人体実験、か。被験者はもちろん軍人ではなかったんだろう?」

「ええ、そのようね。ちょっと調べてみたんだけど、あの基地の周辺で行方不明になってる人はかなりの数になる。でも不思議な事に、捜索願は出ていても実際に警察が動いている様子は全くといっていい程無かった」

「揉み消し、か」

 

 叩けば埃が出る身とは良く言うが、カールとかいう基地司令は叩けば叩く程埃以外は何も出てこないな。

 そんな感じでヴィンデルに呼ばれている約束の時間まで2人で話をして時間を潰し、17:00になったので執務室へと向かう。

 

「ヴィンデル、俺だ。レモンもいる。入っていいか?」

「ああ、入ってくれ」

 

 執務室の中に入ると、何かを決意したような顔のヴィンデル。これは決まりだな。

 

「座ってくれ。何から話すべきか。……アクセル、レモンに今回の反乱騒ぎの詳細は話したか?」

「いや、大体の事しか話してない」

「分かった。ならレモンはこれを読んでくれ。今回の反乱騒ぎに関して捕虜達から聞き出したものを纏めた報告書だ」

 

 レモンに差し出されたのは1cm程の紙の束。恐らく、あの紙全てに基地司令のカールが行ってきた犯罪が書かれているのだろう。

 報告書へと目を通すレモン。俺とヴィンデルはたまに眉を顰めながら報告書を読み進めるレモンをただ待っていた。

 そして10分程が経ち、最後のページを読み終わる。

 

「はぁ、連邦軍も末期なのかもしれないわね」

 

 苦い溜息と共に、口に出す。

 

「ああ、私もそう思う。……だが、何故こうも軍や政府に汚職、いやそれでは生温いな。腐敗が広がって行ったと思う?」

「少なくてもインスペクターとの戦いの最中はそんな事はなかったのよね?」

「ああ。地球の命運を賭けて戦っている中でそんな馬鹿な事をする程に愚かな奴はいなかったと思いたい」

「ならヴィンデルの言う腐敗が広がったのは戦争後、平和になった後って事ね」

「そういう事になる。つまり」

 

 そこで一端言葉を止め、何かを確かめるような目で俺とレモンを見るヴィンデル。

 

「平和は政治を腐敗させる。そしてその腐敗は酷く感染性が高い為に軍上層部や巨大企業のトップのような、地位や権力を持った者へと感染する」

 

 とうとう言った、か。

 

「それに対して戦乱が続いた場合、トップが私利私欲で動く事は無い……とは言い切れないが、平和な時と比べると確実に少なくなるだろう」

「確率的に言えば確かにそうだろうな」

 

 ヴィンデルの言っている事は極端だが、ある意味間違ってはいないのだ。

 もっとも、それは戦う人間にとっての理想で、一般人にしてみればたまったものではないだろうが。

 

「そして、戦争は技術を爆発的に進歩させる為の起爆剤でもある」

 

 ヴィンデルの言葉にレモンが続ける。

 

「戦争があるから、破壊があり……同時に新たな創造が始まる」

「そうだな。テスラ・ドライブやインスペクターの残した技術、EOT。そして極東方面にあるという念動力者の特殊部隊は、トロニウムというその辺のEOTでは及ばない動力源を使用していると聞く」

「確かにそれは否定出来ないな」

 

 実際、戦争によって発展した技術なんて枚挙に暇が無い。

 

「つまり、人間は戦争によって進化の兆しへと辿り着く」

 

 一端言葉を止め、溜めを作る。

 こういう所がヴィンデルの優れている所だ。分かっていても、その言葉へと引き込まれていく。

 

「すなわち、永遠の闘争。絶えず争いが行われている世界。それが我々の目指すべき理想の世界だとは思わないか?」

 

 チラリ、とレモンがこちらへと視線を向ける。

 それは無言でこのままでいいのか、と聞いているようだった。

 本来の歴史通りなのか疑問に思ったのだろう。

 無言でレモンに頷き、ヴィンデルへと向かって口を開く。

 

「何を言いたいのかは分かった。ヴィンデルの言っている事にも理がない訳じゃない。だが、それを俺とレモンに聞かせてどうしたいんだ?」

「ああ、今回の事でようやく踏ん切りが付いた。既に今の連邦軍は腐りきっている。ならば私達がその膿を切り捨て、理想である永遠の闘争を目指すべきだ」

「つまり?」

「私は、シャドウミラーを中核とした反乱を起こそうと思う。アクセル、レモン。協力して貰えないだろうか?」

 

 いよいよ反乱の始まり、か。脳裏に今まで世話になった人物達の顔がよぎる。

 幼年学校、士官学校の同期生。教官達。フェル博士、モントーヤ博士、ユーリア、ラウル、フィオナ、ミズホ、ラージ。既に何年も会っていない父親と母親。……そして、キョウスケ。

 俺はこの世界に転生してから、今まで生き残る為にこれまで行動してきた。その結果の1つが今日、示されたのだ。

 

「……了解だ。士官学校時代からの長い付き合いなんだ。付き合ってやるよ」

「アクセルが行くのなら、私が付き合わない訳にはいかないわね」

 

 こうして、いよいよシャドウミラーの反乱が始まる。




名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35

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