転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0594話

 中華連邦の総領事館に忍び込んで星刻とファーストコンタクトを取った翌日。俺の姿は政庁の近くにある公園にあった。

 以前俺がこのギアスの世界に来た時に、エキドナと話した場所だ。

 そして今、俺の前には昨日話したギルフォードとクラウディオ以外にも4人の人物がいる。金髪のアルフレッド、黒髪のバート、茶髪のデヴィット、銀髪のエドガーの4人。即ち、グラストンナイツの4人だ。

 

「で、こうして集まったということは……覚悟が決まったと思ってもいいのか?」

「ああ。私の覚悟は元より決まっている。昨日も言ったが、私の国は姫様のいる場所だ。ブリタニアという国そのものに未練が無いとは言わないが、それでも姫様と比べられる程の物では無い」

 

 ギルフォードがきっぱりとそう告げ、続けてグラストンナイツを代表してかクラウディオが1歩前に出る。

 

「私達も昨日、じっくりと話し合いました。そして出た結果は同じです。グラストンナイツにしても、国とは即ちコーネリア殿下のいる場所。そして何より、養父上もそれを望んでいると思いますから」

 

 そんなクラウディオの言葉に、他の4人も無言で頷く。

 

「……そうか」

 

 さすがはブリタニアの魔女と言うべきだな。他のブリタニア貴族のように背後で命令するだけではなく、自らが先頭で戦ってきたからこそ、ここまで心酔されているのだろう。もちろんコーネリアという人物のカリスマがあっての事だろうが。

 

「じゃあ、これが最後の確認だ。お前達はコーネリアの為にシャドウミラーに入隊する。それでいいんだな? もし抜けるなら、今が最後のチャンスだ。以降の離脱は認めないが」

『……』

 

 ギルフォードとグラストンナイツの5人は無言で俺の言葉に同意する。

 

「いいだろう。お前達6人をシャドウミラーに歓迎する。ただし俺達の本拠地に連れて行くのは暫く待ってもらう。こっちで色々とやる事があるんでな。時が来るまでは今のまま暫くブリタニア軍に所属していてくれ。そして時が来た時、恐らく新国家の樹立に手を付けた時になると思うが、その時はこっちから連絡する。それまでは……そうだな、怪しまれない範囲でいいからKMFの設計図やら技術情報やらを集めておいてくれると助かる。それと、新型のKMFの情報とかもな」

「分かった。ブリタニア軍での活動に関しては任せて貰おう。では、アクセル。その時が来たら……」

「ああ、お前には真っ先に知らせるよ」

 

 出来ればホワイトスターと繋がる通信機を渡しておきたいんだが、ブリタニア軍に所属した今のままだと見つかった時に誤魔化すのがちょっと厳しいだろう。それに、OGs世界の技術がベースになっている俺達の機器はこの世界だと悪目立ちするというのもある。俺の空間倉庫みたいに絶対に他人に見つからない隠し場所があるのならともかく、まだブリタニア軍に残るギルフォード達に渡すのは色々と拙い。特にギルフォードはエリア11の新総督でもあるカラレスに、いい意味でも悪い意味でも注目されているしな。

 

「では、私達はこの辺で失礼します」

 

 クラウディオが小さく頭を下げ、他のメンバーと共に政庁へと戻っていく。ギルフォードも俺の肩に軽く手を置き、小さく頷いた後でそのまま去って行った。

 その後ろ姿を見送り、俺もまた今日の予定であるフランスへと向かう前に星刻を拾うべく中華連邦の総領事館へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 ギルフォード達とのやり取りをした後、電車を乗り継いで中華連邦の総領事館近くにある駅へと到着する。そのまま近くにある路地裏に移動し、昨日同様に顔を隠す為のヘルメットを被る。その後、周囲から注意を向けられていないのを確認して影のゲートを作り、身を沈めていく。そして……

 

「っ!?」

 

 総領事館にある、目的の部屋。その部屋にある影から姿を現した俺に、星刻は反射的に飛び退って距離を取る。

 

「慌てるな、俺だ」

「……心臓に悪いな」

「お前がそれを言うのはちょっと洒落にならないな。ただでさえ病弱の身なんだし」

 

 俺のその言葉が不愉快だったのだろう。眉を顰めつつも、反射的に半ば抜いていた剣を鞘へと納める。

 

「それなら、こんな風に怪しい術で出てこないで欲しいものだがな」

「そう言うな。魔法という手段はこの世界には存在しない。それ故に、こうして1国の総領事館の中にでも平気で侵入出来る」

「……公人としての立場から言わせて貰えば、あまり嬉しく無い状況だがな。せめてもの救いは、その魔法とやらを使えるのはお前だけだという事か」

「そうだな。今は俺だけだが……この先、異世界間貿易をする事になればどうなるかは分からないぞ?」

「残念だが、まだお前の話の全てを完全に信じ切った訳では無い」

「分かってる。それをこれから確認しに行くんだろう? 数時間程この部屋を留守にするが、問題は無いな?」

「ああ。前もって高亥にはその旨連絡をしてある。……ふんっ、嫌味を言うしか脳の無い奴だが、コントロールしやすいという意味ではこれ以上ない木偶人形だ」

 

 余程高亥に……いや、正確に言えば大宦官に対して含むものがあるのだろう。星刻とは思えない程にキツイ言葉だった。

 

「よし、なら早速行くとするか。俺の近くで服に触ってくれ」

「……こうか」

 

 剣や縄鏢、連絡用の通信機と思われる物といった風に素早く準備を整えてから、俺の服を掴む星刻。

 

「お前も見た通り、影を使って他の場所に転移する。影のゲートという転移魔法だが、身体に悪影響は無いから心配するな」

「分かった。やってくれ」

 

 その声を聞き、再び影のゲートを展開。星刻と共に沈み込んでいく。

 影に沈むという未知の感触に微かに眉を顰めた星刻だったが、それをしっかりと口に出す前に身体は影に完全に沈み、次の瞬間には総領事館から1km程離れた路地裏にその姿を現していた。

 

「ここは……一体どこだ?」

 

 混乱するように周囲を見回す星刻に、遠くの方に見えている総領事館を指差してやる。

 

「総領事館はあそこだ。なら大体の場所は分かるんじゃないか?」

「……なるほど」

 

 一瞬の混乱をあっさりと鎮め、感心したように頷く星刻。

 まぁ、ここで色々と説明してもいいんだが、今日の本番はメギロートの性能試験だ。そのまま星刻を連れて影のゲートを何度か使って移動し、少し離れた場所にある森の中へと姿を現す。

 

「こんな場所に来て、どうする?」

「フランスまで行くのに影のゲートを使うのは魔力を消耗しすぎるからな。これを使う」

 

 呟き、空間倉庫からASRS装備のソルプレッサを取り出す。

 俺の空間倉庫を見て再び驚いていた星刻だったが、そのまま後部座席に乗せてフランスへと向かって出発するのだった。

 

 

 

 

 

「どうやら間に合ったか」

 

 フランスのとある地方にある海岸付近。現在、そこではブリタニアの主力KMFであるサザーランドやグロースターと、EUの主力KMFのパンツァー・フンメルが激戦を繰り広げられていた。どちらかと言えば近接戦闘を重視しているブリタニア軍のKMFに、射撃戦に特化したEUのKMF。特にパンツァー・フンメルに関して言えば、ガン・ルゥの上位互換といってもいい性能を持っているだろう。戦況としては一進一退。ブリタニア側が間合いを詰めようとするのを、EU側が阻止しようとしているといった形だ。こうやって見るとEU側の方が一方的に攻撃をしているようにも感じられるのだが、パイロットとしての腕はブリタニア側が圧倒的に上だった。射撃を回避しつつ接近し、間合いを詰められたのに対処する為に腰から放たれたパンツァー・フンメルのスラッシュハーケンを回避、あるいは弾き、一撃を入れている。だがEU側もそうはさせじと砲撃を集中させて……といった具合か。

 そして俺と星刻はそんな状況を戦場から10km程離れた丘の上で見物している。もちろんこの距離では俺はともかく星刻の視力では戦場を見渡せない為に、技術班特製の双眼鏡を使ってだが。

 尚、ソルプレッサのような戦闘機を空間倉庫から取り出したのには唖然としていたようだが、おかげで双眼鏡を空間倉庫から取り出したのを見ても特に何も言わずに、どこか達観した表情を浮かべていた。

 

「さて、じゃあ準備はいいな? 見逃した、とかは無しにしてくれよ」

「問題無い。お前達の戦力というのを出してくれ」

 

 戦場を俯瞰していた星刻が双眼鏡から目を離し、俺の方へと視線を向けてくる。

 その様子に小さく頷き、脳裏に空間倉庫のリストを展開。メギロートを1機だけ選択する。

 すると次の瞬間には丘の上に全長10m程の虫型の機体が姿を現していた。

 

「これが、お前達の主力兵器……?」

「ああ。メギロートという。見ての通り虫型の機体だが、性能は昨日言ったように第8世代KMFと同程度のものを持っている」

「いや、だが……さすがにこれは……」

 

 言葉に詰まる星刻。まぁ、無理も無い。兵器と言えばKMFとなっているこのギアス世界では、虫型のメギロートはまさに異形にしか見えないだろう。……ジェレミアが使っていたナイトギガフォートレス――KGF――という存在もあるのだが、あの機体は一般的ではないしな。

 ……いや、待てよ? ギアス響団をこっちで占領すれば鹵獲出来るかもしれないな。V.V.が原作で使ってたし。

 

「これでも、うちの戦力の中じゃ小さい方なんだけどな。殆どの兵器は20m程度はあるし」

「……何?」

 

 俺の言葉に、ピクリと反応する星刻。何か気になる事でもあったか?

 そう思いつつも、大人しく俺達の前で待機しているメギロートへと視線を向けて口を開く。

 

「行け、お前の力を脆い人形共に見せつけてやれ」

「……」

 

 AIだけに特に何の反応もしなかったが、メギロートは丘の上へと浮かび上がり、そのまま真っ直ぐにブリタニア軍とEUが戦っている方へと向かって飛んでいく。

 

「空を飛ぶ兵器、だと? だとすれば……いや、そう考えれば確かに」

「どうした? メギロートにしてみればこの程度の距離はあっという間だぞ? お前自身が見たいと言った俺達の戦力だ。見逃してくれるなよ」

「……ああ。そうさせて貰おうか。お前達の……お前の持つ戦力をしっかりとこの目で確認させて貰おう」

 

 何かを呟いていた星刻だったが、すぐに双眼鏡を使い戦場へと視線を向ける。

 俺もまた素のままの状態で視線を戦場へと向けて、戦場の混乱する様をしっかりと視界に刻み込んでいく。

 まず最初に空を飛ぶメギロートに気が付いたのは、ブリタニア軍の後方で援護射撃を行っている部隊だった。この辺は、全機が射撃用であるパンツァー・フンメルと、近接戦闘担当の部隊がいる為に他へと向けている注意力の差だったのだろう。

 バズーカを持っているサザーランドの集団が、その砲口を向ける先で迷ったのだ。そして恐らく上官からの指示が出たのだろう。半数程が未確認機であるメギロートへと砲口を向ける。そしてEU側もようやく気が付いたのか、パンツァー・フンメルの両手に内蔵されている射撃武器の銃口をメギロートへと向ける。

 だが、その行動は遅かった。正確に言えばメギロートの射撃武器であるサークル・レーザーの射程を低く見積もりすぎたと言うべきか。

 まず最初に放たれたリング状のレーザーは、パンツァー・フンメルへと接近しようとしていたグロースターとサザーランドの集団の真横へと叩きつけられる。

 この場合、KMFが全長5m程度の大きさであるというのがある意味では幸運だったのだろう。頭部やコックピットには一切ダメージが無いままに、脚部だけがランドスピナー諸共にレーザーで切断されていく。その為、ほぼ全てのパイロットがコックピットブロックをKMFから切り離して本陣の方へと脱出していた。

 そのまま幾度となくサークル・レーザーが発射され、更には虫型の巨大な機体という見慣れない存在が混乱に拍車を掛け、碌な抵抗が出来ないままパンツァー・フンメルへと突っ込んでいったサザーランドやグロースターはその殆どが撃破されていく。

 ここにいたって、ようやくブリタニア軍もメギロートを明確に敵機だと認識したのだろう。後方から援護射撃を行っていた部隊の射撃武器全てがメギロートへと向けられる。

 だが、それは甘い。そもそもKMFの武器は同じKMFへと攻撃するために開発された物だろう。あるいは、最も装甲の厚い敵として戦車といったところか。基本的には機動力を重視しており、紙装甲といってもいいようなKMFを撃破するための武器がメギロートに……それも、幾多もの惑星を占領、あるいは殲滅してきた戦闘用AIの操る機体を撃破出来る筈も無かった。

 もちろん1発の被弾も無いという訳では無い。だが、どうしても被弾しなければいけない時は装甲の厚い部分で攻撃を受けて被害を可能な限り出さないようにしている。

 そして、次にメギロートが標的としたのはブリタニアの援護射撃部隊……では無く、EUのパンツァー・フンメル部隊だった。メギロートが最初に標的にしたのがブリタニア軍だった為に、どこの誰かは知らないが自分達の味方だとばかり思っていたのだろう。もちろん完全に警戒を解いた訳では無かったのだろうが、それでもブリタニア軍に対して攻撃しているのを見れば油断は起きる。……あるいは、未知の兵器であるメギロートに圧倒されていたのかもしれない。そして戦闘用AIはそんな隙を見逃さずにEU軍へと突撃していく。

 元々が射撃特化型のKMFだ。近接戦闘用の武器がある筈も無く、パンツァー・フンメルはメギロートに噛み千切られ、角で突き刺され、体当たりで弾き飛ばされ、あるいはサークル・レーザーを放たれて壊滅的な被害を受けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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