転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0601話

「……始まった、か」

 

 視線の先にあるのは、バベルタワー。その頂上から赤紫色の煙幕が降りてきている。恐らく既にタワーの中では黒の騎士団の残党達がルルーシュの記憶を取り戻す為に作戦を開始しているのだろう。

 

「そして……」

 

 次に視線を向けるのはブリタニア政庁。

 あそこでは現在、カラレス総督と大宦官の高亥。いや、俺としての重要度で言えばギルフォードと星刻の初顔合わせが行われている筈だ。この状況で俺にやるべき事は……実は無かったりする。

 何しろ、俺達が新国家を建国するには相応の混乱が必要だ。全世界の混乱はもとより、特に俺達が国土を切り取る為に必要なのはその対象でもある中華連邦の混乱だ。そしてそれには黒の騎士団がエリア11を出て星刻の手引きで蓬莱島へと移動するその時が俺達の立つべき時としてこれ以上ない好機。

 だというのに、ここでブリタニアに……より正確にはカラレスに味方をするというのは、黒の騎士団自体を弱める可能性が高い。いや、率直に言えば俺が味方をした時点でルルーシュの記憶を戻すこの作戦は失敗するだろう。ルルーシュが記憶を取り戻そうと、それに失敗しようと、ニーズヘッグが出て来た時点で終わりなのだから。

 かと言って、ここで黒の騎士団に協力するというのも悪手だ。ランスロットの量産型であるヴィンセントをブリタニアから奪っている以上は、ロロが黒の騎士団と戦う時に乗るのはグロースターかサザーランド。機体性能の差は圧倒的だし、ロロがギアスを使ってようやく互角に持っていく……というところか。

 

「ん? あぁ、そう考えるとヴィンセントを奪ったのは予想外の効果もあったんだな」

 

 バベルタワーの様子をみて騒いでいる通行人の間から、ホットドッグを口へと運びながら思わず呟く。

 ルルーシュの弟役としてギアス響団から派遣されているロロ。そのギアスは、対象範囲にいる者の体感時間を止めるというものだ。即ち、使われた当人にしてみれば時間が止まっているのも同様という強力極まりないギアスだ。

 だが、それだけの強力なギアスが何の代償も無く与えられている訳でも無い。いや、体質的な問題だったか? とにかく、ロロはそのギアスを使っている間は心臓が停止するというリスクを背負っている。

 ギアスが脳に影響を与える以上、混沌精霊へと進化した俺にとっては全く問題の無い能力のギアスだが、シャドウミラーの幹部である人間達にとってみれば致命的とも言える効果だ。

 せめてもの救いは量産型WやWナンバーズでもあるエキドナ、後はWシリーズの技術を使って蘇生したレモンには効果が無いというところか。

 あぁ、それとシャドウミラーのメイン戦力でもあるメギロートもAI制御である以上は効果が無いな。

 とにかく、人間に対しては致命的な効果を持つギアスだ。そのギアスを原作以上に使用して結果的に寿命が短くなってくれるというのなら、俺にとっては最良の結果だろう。

 

「さて、考え事をしている間に事態が進みすぎるのも何だしな。行動に移すとするか」

 

 この作戦が行われている中で俺がやるべき最優先事項は、ギルフォードとグラストンナイツの回収だ。それと可能であれば6人のKMFも同様に。

 ……とは言っても、現時点でギルフォード達が乗っているKMFはグロースターのみだ。確かにKMFとしての性能は十分ではあるが、それでもヴィンセントに比べると数段落ちる。まぁ、技術班にしてみればシャドウミラーが確保しているKMFはガン・ルゥしかないんだから、あるだけ持ってきて欲しいというのも分からないではないが。ヴィンセントは俺の空間倉庫の中だし。

 そういう意味だと、メギロートの性能実証試験をした時にEUのパンツァー・フンメルも入手しておけば良かったかもしれないな。

 そんな風に思いつつ建物の影へと移動して影のゲートを展開、身を沈めていく。

 周囲の者達の殆どがバベルタワーの方に意識を集中している為か、俺の存在に気が付く者は1人もいなかった。

 もっとも例え気が付いても、影に沈んでいく人間なんて気のせいとしか思えないだろうが。

 そして影のゲートを経由して、昨日も姿を現した政庁と隣接しているブリタニア軍の基地へと姿を現す。

 ……そう言えば、星刻に連絡をとっておいた方がいいか? 大宦官はゼロのギアスで言いなりに……いや、大丈夫か。確か星刻が合流した時には既に大宦官はギアスに操られており、同時にその後のルルーシュはアッシュフォード学園へと戻っている筈だからな。TVで復活を宣言するゼロはC.C.が入れ替わっている。そうなればギアスを使われる心配は無いだろう。

 それに、現時点でルルーシュは星刻の能力を理解はしていないからな。不必要に星刻とルルーシュを接触させる機会を増やす事もないか。

 だが大宦官がギアスを使われた以上は、そろそろ星刻にもギアスの件を話しておかないといけないな。俺という存在を既に見ている以上、頑なにはならないと思うが。

 

「アクセル!」

 

 そんな風に考えつつ、ギルフォード達と待ち合わせをしている場所へと向かっていると背後から声を掛けられる。声のした方へと振り返ると、そこにいたのは予想通りにギルフォードとクラウディオを始めとするグラストンナイツ達。

 

「揃っているな。データの方は?」

「ああ。何とか手に入れた。だが、相当に強引な真似をして入手したから、既に私達はブリタニア軍に見つかると捕縛される可能性が高い」

「それでも構わないんだろう?」

 

 からかうように告げると、全員が躊躇無く頷く。

 

「無論だ。以前も言ったが、姫様のいるべき場所こそが我が国なのだから」

「そうか。一応全員にブリタニア軍をこのまま抜けてもいいのかどうかを聞こうかと思ったんだが……いらない心配だったらしいな」

 

 俺のそんな言葉に、いらぬ心配は無用だとでもいう風に笑みを浮かべるギルフォード。

 

「それで、機体に関してだが……」

「やっぱり多くのKMFが出撃しているこの状態ではグロースターを持ち出すのは難しそうか?」

 

 半ば確認の意味を込めて尋ねたその台詞だった。だが完全に俺の予想外な事に、ギルフォードは首を横に振る。

 

「いや、カラレス総督が自分の指揮権で動かせるKMF部隊を全てバベルタワーに投入した。それどころか、近隣の基地からも呼び寄せている」

「……何?」

 

 呟き、バベルタワーの方へと視線を向けて半ば納得する。現在黒の騎士団に占拠されているバベルタワーを中心にして、ナイトメアVTOLが大量に空を舞っているのが見えたからだ。そう言えば、確かに原作でもこんなシーンがあったが……

 

「この状況が陽動だったりしたらどうするつもりなんだ?」

「何かあったら私達に任せるつもりだったのだろうな。本来であれば私達の戦力もバベルタワーに展開させたかったのだろうが、客将的な扱いとあっては無理もさせられなかったといったところか。中華連邦に対する砲艦外交をやっているつもりなのだろう。そのおかげで現在この基地は必要最小限の……いや、それ以下の戦力しか残っていない状況だ」

「中華連邦か。……そう言えば星刻には会ったか?」

 

 その言葉に、笑みを浮かべつつ頷くギルフォード。

 

「ああ。随分と切れ者のようだった。それに剣の冴えに関してもな。武人としてはかなりの凄腕だろう」

 

 基地の中を堂々と歩きながら会話をするが、相手がギルフォードとグラストンナイツというだけあって、特に誰も声を掛けて来たりはしない。

 あるいは俺に対して不審の目を向けてくる者もいるのだが、そちらも同様にギルフォード達に遠慮してかそのままスルーしている。

 どうやらブラックリベリオン前にこの基地にいた者は、殆どが既に存在していないらしい。

 

「あそこが私達の機体が納められている格納庫だ」

 

 ギルフォードが視線の先にある格納庫を見ながら告げる。

 

「それでこの後だが……」

「お前達には一旦ホワイトスターに退避して貰う。そこでシャドウミラーという組織がどんなものなのかをその目で確認してこい。そして、もう少し時が経って動くべき時が来たら……コーネリアと共にこの世界に来て貰う事になるだろう」

 

 その言葉にギルフォードは笑みを浮かべ、クラウディオを始めとするグラストンナイツもまた嬉しそうな声を上げて喜びを顕わにする。

 ギルフォードはこの前ホワイトスターに連れていったが、グラストンナイツはギルフォードに後を任されていたからな。久しぶりに主君に会えるんだから無理も無いか。

 そんな風に会話をしながら進んでいると、やがて目標の格納庫へと到着する。

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 ギルフォードが持っているカードキーを使い、格納庫の扉を開け……その中には6機のグロースターの姿があった。MVSを装備しているのがギルフォードの機体だろう。

 

「じゃあ、収納するぞ」

 

 一応6人に断り、それぞれが頷くのを見ながら一番近くにあるグロースターの足へと触れる。

 

「収納」

 

 その言葉を呟いた次の瞬間、俺が触れていたグロースターはそこにあったのが幻だったとでも言わんばかりに姿を消していた。

 

『おおっ……』

 

 KMFが一瞬にして空間倉庫に収納されたその様子に、思わず驚愕の声を上げるグラストンナイツ一同。

 自分も一度通った道と、ギルフォードは苦笑を浮かべてその様子を眺めていた。

 

「さて、驚くのはその辺でいいだろう。そろそろこの場所から離脱するぞ。カラレスの死も近い」

「……アクセルさん、本当にカラレス総督は負けるのですか? 黒の騎士団とは言っても、既に残党に過ぎません。それにあの戦力差を考えると……」

 

 クラウディオの質問に思わず小さく笑みを浮かべる。実際、相手がゼロで無ければ……ルルーシュでなければ、確かにあの戦力差で勝ち目はないだろう。故に。

 

「まず間違い無くな。残念ながらカラレスではゼロに勝てない」

 

 断言する。

 ただでさえカラレスに勝ち目が無いのに、そこから更にヴィンセントの戦力が引かれているのだ。どう考えてもカラレスの生き残る道は無い。

 ……まぁ、元からロロにカラレスに協力する気はないだろうが。機密情報局のメンバーでもあり、その中でも更にギアスの使い手として派遣されているのだ。重要度の高い情報を、間違って聞かれたというだけで機密情報局の同僚ですら殺すのだから、カラレスに対して何らかの助力をする可能性はまず無いと思っていい。

 

「……分かりました。アクセルさんがそう言い切るのなら、恐らくそれは真実なのでしょう」

 

 そう言葉を返してくるクラウディオだが、やはりどこか不満そうな……いや、仲間に対する後ろめたさか? そんなのがある。

 

「もし抜ける機会があるとするのなら今だけだぞ。当然、俺達シャドウミラーの事は誰にも話さないように手を打たせて貰うが、ここから先に進めばもう2度と戻る事は出来無いだろう。場合によっては……いや、確実にかつての同胞でもあるブリタニア軍と戦う未来が待っている」

 

 空間倉庫から鵬法璽を取り出しつつ、クラウディオに尋ねる。だが、クラウディオはすぐに首を振って俺の言葉を否定した。

 

「いえ、大丈夫です」

 

 それは他のグラストンナイツも同様だった。

 

「そうか。なら俺達シャドウミラーの本拠地、ホワイトスターに案内しよう」

 

 呟き、鵬法璽を空間倉庫へと収納してからSEED世界のアラスカで入手した大型VTOL輸送機を取り出す。

 グロースターが消えたのと同様、次の瞬間には基地の中にいきなり姿を現したVTOL輸送機。もちろん技術班にASRSを付けて貰っている代物だ。

 再び上がる驚愕の声を聞きながらコックピットへと向かおうとした時、不意に背後のギルフォードから声を掛けられる。

 

「……アクセル。この機体なら別にグロースターをお前がどうにかしなくても良かったんじゃないか?」

「そうかもしれないが、何かあった時にこの機体は捨てても構わないが、グロースターは技術解析的な意味で絶対に必要だしな」

「そういうものなのか?」

「ああ。俺達シャドウミラーは少数精鋭の戦力も自慢だが、何よりも他の組織を圧倒しているのは技術力だ。俺達の元々の世界であらゆる手段を使って得た技術、他の世界で得た技術。それらを解析し、自分達のものにしてきたからこそ今の俺達シャドウミラーという存在がある。そんな技術を誇る者達がグロースターのような代物を見逃すと思うか? 以前この世界に来た時はガン・ルゥで精一杯だったが……」

「……なるほど」

 

 俺の言葉に苦笑を浮かべるギルフォード。KMFモドキと言われているガン・ルゥだ。それ程の技術力を誇る集団では満足しなかったと理解したのだろう。

 まあ、一通り調べてすぐに倉庫行きになったのは間違い無いんだが。一部はサクラダイトに興味を示してはいたが、後でもっといい機体が手に入ると説得したので結局はそのままになってしまっていた。

 もっとも、ガン・ルゥはガン・ルゥでミツコとの取引に使ったように完全に無価値という訳では無かったんだが。

 

「詳しい話はホワイトスターに戻ってからだ。行くぞ、全員乗ってくれ」

 

 その言葉に、6人が乗り込むのを見て俺もまたコックピットへと向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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