転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0603話

 中華連邦での出来事から数日。俺の姿はブリタニアの首都ペンドラゴンにあるホテルの部屋にあった。そして、ここにいるのは俺だけではない。

 

「ほう、ルルーシュが先に行動に移したか。ギルフォード、黒の騎士団の幹部を捕らえていた収容所の警備はどのような具合だったのだ?」

「カラレス総督がかなり警戒して警備を強化していましたが、バベルタワーでルルーシュ様に敗れて以降は政府を治める者がいなかったのでしょう」

 

 部屋の中でTVでやっているニュースを見ながらコーネリアとギルフォードが話している。

 もちろん、この2人の名前で部屋を取った訳では無い。そもそもこの部屋はあくまでもシングルルームであって、本来なら1人部屋なのだ。その部屋で俺はベッドに腰を掛け、コーネリアは椅子に座って足を組んでTVを見ており、ギルフォードはコーネリアの側に立って控えている。

 この部屋をとったのは俺で、部屋に来た後で影のゲートを使って外にいた2人をこの部屋に呼び寄せたのだ。

 何しろコーネリアは第2皇女で、尚且つブリタニアの魔女としても名高い。ブラックリベリオンまでは、ある意味でブリタニア軍の象徴ともいえる人物だったのだ。そしてギルフォードはそんなコーネリアの騎士であり、帝国の先槍とも呼ばれる異名を持つ。こちらもまた同様に有名人である以上は、迂闊に人前に顔を出せる筈が無かった。

 まぁ、その結果がシングルルームに3人という微妙に狭いこの状態なんだが。もう少し等級の高いホテルならシングルルームでもそれなりの広さがあったのだろうが、そういうホテルは予約必須で基本的に飛び込みで部屋を取れないしな。

 

「にしても、黒の騎士団から先に行動に出たか。ちょっと予想外だったな」

 

 コーネリアの見ていたニュースを見ながら、俺もまた口を出す。

 

「ん? 何が予想外だったのだ?」

「ブリタニア軍の方が先に行動を移すと思っていたんでな。まさか、カラレスが死んだ後の主導権争いをここまで引っ張るとは思わなかった。黒の騎士団の反撃で捕らえていた幹部達を奪取されて、ブリタニア軍がどうにかこうにか指揮系統を整えてみたところで、既に黒の騎士団は全員中華連邦の総領事館から姿を消していた、か」

「それも大宦官を始末してという事になっているらしいな」

 

 TVで新たに流れたニュースを見ながらコーネリアが呟く。

 黒の騎士団が原作で中華連邦の総領事館から消えるのは、ナナリーがエリア11に向かっているのを襲撃したあの戦いの時だ。だが、この歴史ではカラレス総督死後のゴタゴタで権力闘争をやっている隙を突くかのように捕虜を救出してその姿を消していた。

 あるいはギルフォードが向こうに残っていれば指揮を執ってカラレスの後釜争いは起きなかったんだろうが。

 

「まあ、正確に言えば黒の騎士団を追い出したどさくさ紛れに星刻が手を下したというのが正しいんだろうがな」

「だろうな。あれ程の傑物を大宦官如きが御し得るはずもない。猿が龍に首輪を付けられると思うか?」

「ん? コーネリア、いつの間に星刻を知った?」

 

 俺のその疑問に、コーネリアは笑みを浮かべてギルフォードへと視線を向ける。

 

「ギルフォードと星刻とやらが連絡を取り合っている時にな。いや、正直驚いたぞ。アクセルに聞いてはいたが、あれ程の傑物が中華連邦に眠っていたとは」

「有能な人物だからこそ、だろうな。今の中華連邦で上に行けるのは大宦官に連なる者か、媚びへつらう者だけ。そんな中でも大宦官付きの駐在武官としてエリア11に派遣されるまでになったんだから、そこはある意味凄いと言ってもいいが」

 

 そこまで言い、TVのニュースを消して改めて視線をコーネリアへと向ける。

 

「それで今夜皇宮に侵入する訳だが……本当に一緒に来るつもりなのか?」

「当然だ。オデュッセウス兄上を説得するにしても、連れ去るにしても、見ず知らずのアクセルがやるよりも妹である私が付いていた方が都合がいい筈だ」

「そして、姫様が行くと言っている以上は騎士である私も付いていくのは当然だろう」

「……ふぅ」

 

 頑固な2人の様子に、思わず溜息を吐く。

 俺が今日ここに来ているのは新国家の名目上の代表にする予定のオデュッセウスを確保する為だ。本来であれば俺1人で忍び込む予定だったのだが、その話を聞いたコーネリアが自分も行きたいと言い出した。

 これが単純な我が儘だったら即却下だったのだが、オデュッセウスを捕獲する時に相手を警戒させないとか、あるいは皇宮の中を良く知っているとか言われてはこちらとしても余計な騒ぎを起こさない為には……となった訳だ。

 出来ればフレイヤの情報も入手したかったところだが……この件は後回しになりそうだな。さすがに3人も4人も影のゲートで運ぶとなると俺の魔力が持つかどうか。

 

「ふぅ、分かったよ。確かに皇宮内部の構造を知ってる奴がいるってのは便利だしな」

 

 スライムを使っての探査が必要無くなるというのは、確かにありがたいのだ。

 

「忍び込むのは人目に付きにくい夜だ。それまではこの部屋で我慢していてくれ」

「うむ。私にしてもまさか高級ホテルのスイートに案内しろ、とまでは言わないさ」

 

 笑みを浮かべつつそう告げるコーネリア。さすがにホワイトスターで俺と共同生活……もとい同棲をしている為に、この広さの部屋にも慣れたものなのだろう。

 まぁ、元々が皇女よりも軍人としての面が強かったコーネリアだ。蝶よ花よと育てられた他の皇女のようにその辺に対する拘りは薄い。

 

「私としても姫様がいいのなら問題ありません」

 

 ギルフォードにしても、特に問題はないようだった。

 さて、そうなると今は昼だから半日程時間を潰すとするかね。

 TVのチャンネルを適当に回しながら、コーネリアと共に夜まで時間を潰す。

 ちなみに食事は怪しまれるといけないので、俺が外に出掛けて大量に買い込んできたサンドイッチやら何やらで済ませる事になった。

 

 

 

 

 

「準備はいいな?」

「うむ。私は問題無い」

「こちらも姫様同様に問題は無い」

 

 夜、俺の言葉にコーネリアとギルフォードがそれぞれ答える。

 2人の服装は、コーネリアは以前と同様の皇女の格好。ギルフォードもまた同様に以前と同じ格好で、俺のみが闇に紛れるような黒ずくめの格好をしており、同時に顔を隠すためのバイザーを被っていた。

 一応、皇宮で誰かに見つかってもコーネリアやギルフォードならある程度誤魔化せるだろうが、単独行動をする可能性も高い俺はなるべく人目につかないようにする為にこの格好だ。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

 指を鳴らして影のゲートを展開。俺の近くに集まっていた2人諸共に影へと沈んでいく。

 

「正直、あまり慣れない感覚だな」

 

 半身程を影へと沈めながら、ポツリと呟くギルフォード。それはコーネリアもまた同様だったのか、苦笑を浮かべて頷く。

 

「まあ、影に沈み込むという体験は殆どする事はないから無理も無い」

 

 そんなコーネリアの声と共に、俺達は完全に影へと沈み込むのだった。

 そして、次に影から姿を現した時には、既に皇宮の一画だった。それも、人の殆ど通りかからない寂れた場所だ。

 もっとも、だからこそここを選んだのだが。ここがオデュッセウスの部屋に一番近い人の少ない場所なのだから。

 

「アクセル、魔力はどうだ?」

 

 コーネリアの心配そうな声に、小さく頷く。

 

「確かに3人をホテルからブリタニア皇宮まで直接運んだから、かなりの消費はある。それでも許容範囲内だ。少しここで休憩すれば回復するだろう」

「そうか。私の記憶が確かなら、ここは殆ど人が通らない場所の筈。つまり暫くは安全だ」

「ですが姫様、私達が皇宮にいたのはもう随分と前です。そうなると誰かが来る可能性は低くありませんが……」

 

 そんなギルフォードの言葉に、コーネリアは笑みを浮かべて懐から小さな杖を取り出す。その杖は一見すると玩具の杖にしか見えないが……俺はそれが何であるのかを知っていた。

 

「姫様?」

 

 シャドウミラーに所属してまだそれ程経っておらず、魔法の存在を知ってはいても実感はしていなかったのだろう。あるいは、自らの主君でもあるコーネリアが魔法を使うというのが予想外だったのかもしれない。

 だがコーネリアは、ギルフォードに近付くように言うと素早く杖を振るって認識阻害の結界を構築する。

 

「……認識阻害を使えるまでになっていたのか。随分と上達したな」

「ふふっ、私とてエヴァに訓練を受けていた身だ。この程度の魔法を使えるようになるのは当然だろう」

 

 自慢そうな笑みを浮かべてそう告げたコーネリアだったが、次の瞬間には軽く眉を顰める。

 

「もっとも、ネギま世界以外では魔法を使うのに大量の魔力を消費するからな。今の私では3人が隠れる程度の認識阻害を使うだけで精一杯だ」

 

 まぁ、そうだろうな。魔力が有り余っている今の俺ですらもネギま世界以外では大規模な魔法を、そうおいそれとは使えない。それを考えれば、魔法を習ったばかりのコーネリアがこの程度の規模とは言っても認識阻害の結界を張る事が出来たのはむしろ上出来と言えるだろう。

 

「姫様が魔法を……」

 

 ギルフォードの呆然とした声を聞きながら、微かに笑みを浮かべるコーネリア。

 

「ギルフォード、シャドウミラーに所属した以上は常識というものは捨てておいた方がいいぞ? シャドウミラーやアクセルの常識外れの行動には、私も慣れるまでには色々と苦労したしな」

「は、はぁ。……では、私も魔法を覚えた方がいいんでしょうか」

「そうだな。俺はともかく、コーネリアが使っている魔法は基本的に誰でも覚えられるレベルのものだからな。魔法球を使えば、そう遠くないうちに習得出来るだろうよ。もっとも、シャドウミラーの魔法顧問は600年を生きている真祖の吸血鬼だがな」

「……姫様?」

 

 俺の言葉を確認するようにコーネリアの方を見るギルフォードだが、コーネリアはその答えに何も言わずにただ頷く。

 

「……真祖の、吸血鬼」

「別に驚く事じゃないだろう? ブリタニアにも吸血鬼がいるんだし」

 

 確かナイトオブラウンズでそんな異名を持つ奴がいた筈だ。原作ではカレンにあっさりと倒されてたが。

 

「いや、それでも人は人だろう。だがアクセルの言っているのは文字通りに本物の吸血鬼なんだろう?」

「まあな。……さて、魔力も大分回復してきた。そろそろ今夜の最終段階に入るとしようか」

 

 脳裏に表示されたSPの数値を確認しつつ、再び影のゲートを作りだして身を沈めていく。

 突然の行動に若干驚いた様子の2人だったが、特に何を言うでもなくそのまま大人しく影へとその身を委ねるのだった。

 

「……ここだな。ちょっと待ってろ」

 

 コーネリアの指示通りにやってきた部屋の中。豪華なベッドに1人の人物が眠っているのが見える。早速とばかりに影から出ようとしたコーネリアだったが、それを止めてスライムを数mm程度の細さにして伸ばしていく。そして寝室の中や、寝室に続いている扉の向こうを調べ……

 

「やっぱりな」

 

 寝室と繋がっている部屋に数人いる事に気が付き呟く。

 恐らくは喉が渇いた時に世話をするメイドや護衛だろう。コーネリアのように武術の嗜みがあるのならともかく、オデュッセウスは能力的には凡庸極まりない男だ。護衛の1人も付いているのは当然というべきか。

 そのままスライムを操作し、頸動脈を締めて一瞬で気絶させる。

 護衛とメイドの床に、あるいはテーブルへと倒れ込む音がここまで聞こえて来た。

 ……しまったな。ちょっとやり過ぎたか?

 俺を見ているコーネリアとギルフォードが微妙にジト目になっているような気がするが、不可抗力だと言っておきたい。何しろ最も安全な方法はスライムで殺してしまう事だったのだが、それだと色々と拙いと思って気絶にしたのだから。

 だが、それよりももっと大きなミスが判明する。

 

「ん? 今の音は……君達、大丈夫かね?」

 

 眠っていた筈のオデュッセウスが、そう声を出したのだ。

 ちっ、てっきり熟睡しているとばかり思っていたんだが……

 

「どうする?」

「こうなっては仕方あるまい。このままオデュッセウス兄上が騒ぎ出してしまうと面倒な事になる。……アクセル、私を影の外へ」

「分かった。任せたぞ」

 

 コーネリアに頷き、影からその姿を出してやる。

 

「……オデュッセウス兄上。お久しぶりです」

「その声は……コーネリア!? 何故ここに? 君は行方不明になっていたと聞いていたが。いや、もしかしてこれは夢じゃないだろうね? まだ私は眠っているとか」

「いえ、夢ではありません。私はコーネリア・リ・ブリタニア。正真正銘兄上の妹です」

 

 突然出て来たコーネリアに対しても、驚きは見せるがすぐに笑みを浮かべて歓迎をするオデュッセウス。

 この様子を見ていると、確かに善良な人物であるというのは正しいらしい。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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