転生とらぶる   作:青竹(移住)

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最低文字数が設定されているので、それに満たない番外編は本編と一緒に投稿します。


0051話&番外編001話 0051.5話

「隊長、来ました」

 

 ラミアの声を聞き、レモン特製のバイザーで暗闇の向こう側を覗き込む。

 そこにいたのは数人の男達に前情報通りの81式PTキャリアが2台。1台に付きコンテナが5台連結されているが、これは10分程前に見た時と変わらない。新しく来たのは黒い車だ。いかにも高級車といった雰囲気を醸し出している。乗っている人物が人物なので、恐らく防弾性能も高めてあると予想される。

 

 シャドウミラーが反乱を起こす事を決めてから1月。今日の俺の任務はとうとうロールアウトしたラミアを部下としてエルアインスの密売取引を襲い、機体を奪ってくる事だ。後ついでに金も。

 ラミアを連れてきたのは、エキドナと同じ理由で経験を積ませて自我を確立させて欲しいとレモンに頼まれた為だ。

 

 この任務に対する俺の意気込みはかなり強い。なにせ、こいつらはアルバート・グレイの組織の人間だからだ。政治家としては3流の能力しか持たないアルバート・グレイがどうやって最新鋭量産機のエルアインスを入手したのかは分からないが、その密売取引の情報はバリソンを通してシャドウミラーに合流してきたDC残党からもたらされた。

 アフリカでDC残党狩りをやっていたバリソンが、何故DC残党に頼られたとかの疑問もあるが、俺だってあいつに隠し事を色々としているだけに追求するつもりはない。

 

「W17、量産型Wの準備は?」

「いつでもいけます」

 

 現在、俺とラミア以外の量産型Wは自分の機体で待機しており、こちらの襲撃命令を待っている。

 

「よし。なら客が車から出てきて、現金を見せたら作戦開始だ」

「了解しました」

 

 にしても、ラミアの服装を見て思わず苦笑する。エキドナしかりラミアしかり。何でレモンはWナンバーズにここまで露出度の高い服装をさせたがるのだろうか。やはり趣味か?

 ちなみに俺は普通に夜に溶け込む黒をメインにしたボディスーツにレモン特製の多機能バイザーだ。

 

「銃の準備はいいな?」

「はい、いつでも行動可能です」

 

 シャドウミラー隊員用の銃を持ち、答えるラミア。

 シャドウミラー隊員に配られている銃はレモン率いる技術班が開発した物なので、その辺の銃とは比べるのが悪い程に高性能な物に仕上がっている。

 一説によると、EOTが使われているとか、テスラ研の技術が使われているとか噂されているが、真実を聞くのはちょっと恐くて出来ていない。

 

「……行け!」

 

 金の受け渡しが始まると同時に出した命令で待機していた量産型Wが動きだし、装備していたM950マシンガンを発射する。

 本来は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの正式装備ではないこの武器だが、メガ・ビームライフルやスプリットミサイルよりは威力が低く牽制には丁度いいという理由で今回採用された。

 ちなみに原作では弾数も多く、地形適応もオールAで改造費用も安いというもの凄く優秀な武器だったりする。

 

「うわああぁぁぁぁ」

 

 牽制の銃撃とは言え、本来はPT等の人型兵器に撃ち込む為のものだ。それが人間に向けられ撃ち込まれたのだから、現場で悲鳴が上がるのもおかしくはない。

 

「W17、俺は81式PTキャリアを奪取する。お前は金を回収してからもう1台の81式PTキャリアを奪い取れ」

「はっ!」

 

 ラミアの声を聞きながら、M950マシンガンの弾着によって起きた土煙に紛れ81式PTキャリアに近づく。

 空間倉庫からスライムの触手を伸ばし、81式PTキャリアの中を索敵。

 

「よし、運転手1人のみ。しかも混乱中か。ありがたい」

 

 ドアの近くまで移動し、スライムでドアを切断。

 

「な、何だ!?」

 

 襲撃されている状況で危機感の足りない運転手が突然切断されたドアから顔を出した瞬間、額へと銃弾を撃ち込んで永遠に眠らせてやる。

 ちなみにスライムで殺さなかったのは、斬殺すると血で運転席が汚れる為だ。

 これから運転するのは俺なのだから、わざわざ血で汚れた運転席で運転なんてしたくない。

 そのまま死体を地面へと放り出し、81式PTキャリアの運転席へと潜り込む。

 ちらりと正面を見ると、ラミアが素早い動きで金の入ったカバンを奪取し、もう1台の81式PTキャリアへと向かっていた。

 

「よし、かかった!」

 

 81式PTキャリアのエンジンが始動し、アクセルを目一杯踏み込む。

 心臓に火をいれられた81式PTキャリアは取引現場で突然起こった事態に右往左往している者達を無視し、この場で唯一こちらを追跡可能になると思われる高級車を踏み潰しながら走り去る。PTを運搬する為の81式PTキャリアだ。防弾性能がある車だろうとなんだろうと関係なく踏みつぶす事が可能だ。

 

「W17、そっちは?」

 

 ボディスーツから通信機を取り出し、ラミアへと通信を送る。

 現金が入っていると思われるカバンを奪ったのは見ていたから、後は81式PTキャリアの奪取が上手くいったかどうかだが。

 

「隊長、こちらは問題ありません。このまま指定の場所まで移動します。追跡に関しては偵察仕様のW3で警戒に当たらせます」

「分かった。じゃあさっさと家に帰るとするか」

「家ではなくてギャンランドですが」

「物の例えって奴だよ」

 

 軽口を叩きながら運転する事約1時間。心配していた追っ手等も特に無く、81式PTキャリア2台は無事目的のポイント、海岸へと辿り着いた。

 

「クラル。聞こえるか? こちらは任務成功。無事到着した。ステルス・シェードを解除して格納庫を開けてくれ」

 

 ここにいる筈のギャンランドへと通信を送ると、すぐにステルス・シェードが解除され平べったい形をした艦が現れる。

 下から見ると分からないが、上から見た場合はトライロバイトの名前通り三葉虫に見えるのだろう。

 

「大尉、お疲れさん」

 

 声を掛けてきたのはクラル。正確には元キロノ、現クラルと言った所か。

 ブラックバード中隊はヴィンデルの説得に応じ、全員が名前を変えてシャドウミラーに所属する事になった。ただ隊員全員がキロノの下で働きたいと希望した為に俺達のように量産型Wを部下とするのではなく、ブラックバード中隊全員を1部隊として扱う事になった。顔に機械が埋め込まれている量産型Wでは無理な情報収集等が主な仕事だが、その他にも今回のように人手が足りない場合は出張ってくる事がある。

 まぁ、ぶっちゃけると雑用全般だな。

 あ、ちなみにブラックバード中隊による反乱を無事鎮圧したとして俺とレモンは大尉に、ヴィンデルは大佐へと昇進している。

 どうせ後半年もしないうちに反乱を起こすから無意味になるとは言え、昇進すれば給料が高くなるので嬉しくないと言ったら嘘になる。あちらの世界に転移する前に今まで貯めた金を全て使い果たす予定だ。

 

 ギャンランドの格納庫へと81式PTキャリアを運び込み運転席から降りるのと、ラミアの運転する2台目の81式PTキャリアが入ってくるのは殆ど同時だった。

 近くにいる技術班の整備員へと目を向ける。

 ちなみに、俺の特殊処理班にしてもレモンの技術班にしてもシャドウミラーからの離脱者は1人も出なかった。ヴィンデルがブラックバード中隊が何故反乱を起こしたかというのを一切隠さずに公表したからだ。後、今まで俺達がやってきた腐った連中の尻ぬぐいに関しても隠す事なく公表した。

 

「大尉、お疲れ様でした。早速中身をチェックしたいのですが」

 

 俺に見られていた整備員がこちらへと近寄ってきて声を掛けてくる。

 元々整備員との仲は悪くなかったが、レモンと付き合ってる事が知られてからは親しいというよりは敬われる? そんな感じになってしまった。

 これは間違い無くレモンの関係なんだが、恋人になっただけで敬われるというのを怒ればいいのか、喜べばいいのか、悲しめばいいのか。正直微妙な感じだ。

 

「ああ、頼む。一応中身の確認はしっかりとやってくれ。発信器なんかがついていたら俺達の事がバレてしまうからな」

「はい、分かりました」

 

 整備員が頷き、早速81式PTキャリアに接続されているコンテナのうち、1つを開く。中にあったのは情報通りエルアインスだ。数は1機。恐らくコンテナ1つに付きエルアインス1機が入っているのだろう。

 その予想は整備員が次々に開けていったコンテナが証明してくれた。

 

「あれ?」

 

 と、ラミアの乗ってきた81式PTキャリアのコンテナを開いていた整備員が声を上げる。

 

「どうした?」

「いえ、てっきり全部でエルアインス10機かと思っていたんですが、どうやら機体は8機で残り2つのコンテナには補修部品や消耗品が入っているようです」

「ま、確かに故障した時や消耗品の事なんかを考えるとその辺は必要だな」

 

 と言うか、アルバート・グレイにその辺の事を考える脳みそがあった事に驚く。いや、この場合は側近の誰かの入れ知恵か?

 

「隊長、任務無事完了しました」

 

 81式PTキャリアの運転席から降りてきたラミアがそう声を掛けてくる。

 顔の造形は美しいのだが、その無表情ぶりを見るとどうしても無機質的なものを感じてしまう。

 そんなラミアだがレモンのお気に入りなのは間違い無く、反乱まで時間的余裕がそうある訳でもないのに、ラミア専用機を作っているらしい。

 原作通りに考えるならアンジュルグの事だろう。

 原作ではあっちの世界であれをイスルギによる次期主力機と偽ったんだが……連邦軍人、特に中年以上の男のパイロットにあの機体が配備されたら凄い事になりそうな気がする。

 

「隊長?」

 

 妙な妄想をしていた俺を訝しんだのか、ラミアから再度声が掛けられた。

 っと、いかんいかん。

 

「いや、何でもない。後は特にやる事も無いだろうし基地に到着するまでは休んでいていいぞ」

「了解しました」

 

 敬礼をして格納庫を出て行くラミアを見送っていると、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ3機が帰還してきた。

 81式PTキャリアの強奪後、追跡がないか警戒していたのだろう。

 

「さて、後は基地に帰るまで暇だし、俺も一休みするかね」

 

 一眠りするべく格納庫から出ようとして、ふと、81式PTキャリアの方へと振り向く。

 

「アルバート・グレイ、今回は密売品のPTだけだが次はお前の命を奪いに行かせて貰う」

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 スイスにあるジュネーブ、EOT特別審議会の一員であるアルバート・グレイは怒っていた。

 

「何故私ばかりがこんな目にあう!」

「アルバート議員、怒っていても奪われたエルアインスは戻ってきません。それよりもカール・シュトレーゼマン議長にお願いして手を貸して貰い、襲撃者を捜すというのはどうでしょう?」

「あまり笑わせないでくれ。そんな事をすれば私が無能だと議長に証明するようなものではないか!」

 

 秘書の男は内心で思った事を顔に出さずにアルバート・グレイを宥める。

 

「しかし、今回の取引は議長の紹介で行われたものです。いずれ知られるのなら、こちらから話した方が誠意ある対応と思われるのでは?」

「うるさい、貴様は私を誰だと思っている! そんなみっともない真似が出来るか! それよりも、襲撃者の情報は何かないのか!?」

「それが、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを使った襲撃だったらしく」

「なら、その機体をどこが使っているのか調べれば分かる事だろう!」

 

 その台詞に秘書の男は溜息をもらし、口を開く。

 

「アルバート議員、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは現在の連邦軍で正式採用されている量産機です。誰が使っているのかを特定するのは無理です」

「こ、この無能が! そんな事だからどこの誰とも分からぬ輩に出し抜かれるのだ! いいか、お前が責任を持ってきちんとこの件を処理するんだぞ! 命令だからな!」

 

 秘書はこの時、辞表の用意を真剣に考えた。




名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:25
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:36

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