転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0613話

「ん……」

 

 ブリタニアの首都ペンドラゴン。そこにある比較的高級なホテルのスイートルームで、俺は隣に眠っているスレイの寝顔を眺めていた。

 スイートルームを取るのは無理だと言っていたスレイだったが、意外や意外、フロントで尋ねてみたところ空きがあるので1発OKが出たのだ。

 もちろん最高級という訳じゃなく、比較的高級というクラスのホテルだったからこそ出来た荒技なんだろうが、それでも十分に広くて過ごしやすい部屋だったので文句は無かった。

 

「ん? んー……アクセルー……」

 

 まだ寝ぼけているのか、下着も着ていない裸のままで俺へと抱き付いてくるスレイ。

 そして目を開けて視線を俺の顔に向け……数分程経ってから、やがてその目にしっかりとしたスレイの意志が宿り……

 

「ア、ア、アクセル!? え? 何で私のベッドに……しかも裸!?」

 

 スレイ同様に何も着ていない俺を見て驚き、そして自分もまた俺同様に裸であるのに気が付き、毛布で身体を覆うように隠す。

 ……思い切り力を込めて身体を毛布で押さえている為か、胸が半分程はみ出て余計に扇情的な格好になっているんだが。

 

「ほら、落ち着け」

 

 スレイを半ば強引に引き寄せ、裸のままに抱き合う。

 いつも冷静なスレイとは思えない程にあうあうと腕の中で暴れていたが、やがて落ち着いたのだろう。怖ず怖ずと俺の身体へと手を伸ばす。

 

「思い出したか? 昨日はこのホテルで一緒に過ごしただろう」

「その……すまない。寝起きで混乱していた。……おはよう、アクセル」

 

 短く挨拶をし、唇を重ねてくるスレイ。

 それを受け止め、昨夜のように深いキスをしながらその女らしい身体を抱きしめる。

 

「んっ!? んうぅっ!」

 

 そのまま1分程唇を交わし、スレイの身体の力が抜けて俺へとしな垂れかかって来たところでスレイから唇を離す。

 

「ア、アクセル……こんな朝から発情をされても、その、こ、困るぞ」

「そうか? 俺としては全く問題は無いんだがな。……いや、駄目か。今日の昼くらいまでには帰るように言われてたな。もう少ししたらチェックアウトの準備でも……」

 

 そう言いながら、何気なくTVのスイッチを付けた時だ。突然画面に驚愕の表情を浮かべている20代程のアナウンサーが映し出される。

 

『繰り返します、エリア11の新総督、ナナリー・ヴィ・ブリタニア様が再建すると宣言した行政特区日本に、あの黒の騎士団を率いるゼロが協力をすると声明を出しました!』

 

 ……なるほど。となると、政庁にいるスザクを始めとした者達とゼロの秘密会談も終了していると。

 

「行政特区日本と言うと、確かコーネリアの……」

「ああ、そうだな。コーネリアの妹であるユーフェミアが作ろうとした物だ。……スレイ、悪いが2人で昼近くまでゆっくりとこの状態で過ごすというのは取りやめだな。この件がTVで放映された以上は、こっちも準備を急いだ方がいい」

 

 しなやかでありながらも、滑らかなスレイの肩を抱きながらそう告げる。

 

「そうだな。ホワイトスターの方にも連絡を……連絡を……連……絡……を」

 

 呟きながら、次第に小さくなっていくスレイの声。

 

「スレイ?」

「いや、分かっているんだ。私がアクセルに告白した事や、それをアクセルが受け入れたというのをレモン達に話さないといけないのはな。それに……」

 

 そこまで言って、チラリと俺に艶めかしい視線を送ってくるスレイ。

 男と身体を重ねるのは昨日が初めてだった筈だが、既にその視線は強く女を感じさせるものになっている。

 

「アクセルに、その……抱かれた事もな」

「……身体は大丈夫なのか?」

 

 今更ながらそう尋ねるが、初めての時は強烈な痛みがあるというのはこれまでの経験から知ってはいる。

 

「まぁ、その……何だ。平気とは言えないが、幸い痛みには強い為か行動するのに支障は感じない。まだアクセルが私の中にいるような感じはするが、な」

 

 頬を赤く染めながらも告げてくるスレイに再び唇を重ね、昨夜の汚れを洗い流す為に2人でシャワーへと入り……まぁ、その、数時間がまた必要になり、最終的には腰が抜けた状態のスレイと共にチェックアウトをする事になった。

 

 

 

 

 

「アクセル、スレイ、済まないな。折角の休日を途中で切り上げるような真似をさせて」

 

 ソルプレッサと影のゲートを駆使して、昨日洪古達と別れた小屋へと戻って来た俺達へと声が掛けられる。誰かと言えば、当然洪古だ。星刻はエリア11の総領事代行に、香凛は新たな総領事と共にエリア11へと向かっている今、中華連邦に残された星刻の組織で実質上のトップに立つのが洪古なのだから。

 

「気にするな。さすがにあの放送を聞いては急いで戻らざるを得ないのは分かっているからな」

「……それでも十分ゆっくりしてきたようだが?」

 

 チラリ、と洪古の視線が意味あり気にスレイへと向けられる。

 その視線を受けたスレイは、昨夜起きた出来事を見透かされたと理解したのだろう。頬を赤く染めながらも、気が付いていない振りをする。

 さすがにこのままという訳にもいかないので、苦笑を浮かべつつ口を開く。

 

「とにかく、星刻との連絡を密にしてくれ。そして、特区日本の式典がいつになるのかを連絡して欲しい。その日こそが……」

「建国の時、か」

 

 感慨に耽った様子で呟く洪古に頷き、これからやるべき事を考える。

 切り取り予定の土地については、星刻や香凛、洪古が頑張って根回しをしてくれたおかげで、話を持っていった代表者達は俺達の建国については特に異論は無い。いや、むしろ今の苦しい生活状況を変えられるのなら来るべき時が早く来て欲しいと願われている程だ。

 もちろん、その地域のトップである者達に関しては基本的に大宦官の勢力下にある者だから、そいつらは時が来たら始末しなければいけないだろう。

 中華連邦の軍隊に関しても同様で、司令官クラスは軒並み大宦官の支配下にある者が多いが、実戦指揮官達は俺達に……というか、星刻達に協力してくれる者もかなりの数いるらしい。話を持っていった者達は軒並みこちらの味方になってくれているとか。……いやまぁ、元々がそういう相手に限定して話を持っていっているんだから説得の成功率が高いのは当然なんだが。

 そしてホワイトスターからシャドウミラーの戦力をこちらへと持ってくる事。

 正直に言えば今のうちにゲートシステムを無人島からこっちに移したいのだが、時差の関係や、何よりもゲートシステム自体がかなり大きい為に迂闊な場所に設置出来ないというのが痛い。もし下手な場所に設置して、それを大宦官の勢力下にある者が目に止めたりしたら洒落にならないしな。

 その為、取りあえずシャドウミラーの戦力をこっちに持ってくる時は俺が空間倉庫を使うしか無いだろう。人員に関してはASRS装備の輸送機か何かを使えば問題は無いだろうし。

 そして、俺達が決起する前にやっておかないといけない中で最も重要で、尚且つ面倒なのは、天子を確保しておく事だ。

 洛陽にある天子の……というよりも、大宦官達の居城ともいえる場所への侵入は魔法を使えば何とかなるだろうが……問題なのは天子をどうするかだ。

 いや、もちろん連れてくるというのは分かっている。だが、どうやって連れてくるかが問題なんだよな。原作ではかなり臆病な性格だったが、そんな天子の近くで影から俺が姿を現したらどうなるか。まず間違い無くパニックに陥るだろう。最善の結果でも気絶といったところか。……いや、気絶なら逆に連れ出すのに向いているんだけどな。

 それに影のゲートが見つからなくても、俺自身は天子と初対面でしかない。そうなると、当然俺を信用する筈も無く……

 

「駄目だな、手詰まりだ。結局星刻に骨を折って貰うしかないか」

「ん? 何がだ?」

 

 思わず呟いた俺の言葉に、洪古が反応する。

 

「いや、天子を洛陽から連れ出すにしてもどうしたものかと思ってな。俺がこのまま行っても信用されないだろうし、そうなればやっぱり天子と直接顔見知りの星刻に映像データか何かを録画して貰って持っていくくらいしか思いつかない」

「……だろうな。俺にしても天子様とはあの時の一件以来会った事が無いから、星刻とは違って顔見知りとは言えないし」

「という訳で、星刻に連絡して映像データを録画して貰えるか? 俺の紹介と、俺に付いてくれば星刻と一緒に暮らせるとでも言っておけば大丈夫だろう」

 

 箱入りで育って来たが故に、一度信頼した相手に対しては絶対とも言える信頼を抱くのがあの天子の性格だ。

 

「うむ、了解した。……お主等はこれからどうするのだ?」

「一旦ホワイトスターに戻って戦力をこっちに持ってくる。そうだな……」

 

 俺達幹部に、量産型W、技術班は来るかどうか分からないが……

 

「取りあえず、200人程度が姿を隠しておけるような場所を用意してくれると助かる。基本的にはこっちの旗艦で暮らしておきたいんだが……何しろ、現在改修中でな。まだ作業が完了していない可能性が高い」

「……200人、か。さすがにそれはちょっと難しいぞ。新国家に組み込む予定の地域にある街でも、まだ上は大宦官の手の者が多い。そうなると、迂闊に体育館や集会場のような場所を使う訳にもいかないしな。ある程度の人数に分けられないか?」

「量産型Wがいる以上はちょっと難しいだろうな」

 

 人造人間という性質上、やはりどうしても臨機応変さには欠ける。

 これが戦闘に関する事ならこれまでの蓄積データからレモンもどうにか出来るのだろうが、交渉が必要な事態になるとちょっと厳しいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「しょうがない、か。なら分かった。こっちで何とかしよう」

「待て、アクセル。何とかするとは言っても、どうするんだ?」

 

 俺と洪古の会話を聞いていたスレイが、抱き付いていた腕を引っ張ってそう告げてくる。

 そんなスレイの様子を見て洪古が生暖かい視線を送っているように見えたが……まぁ、気のせいだろう。

 

「現状のままのシロガネをこっちに持ってくる。別に改修中とは言っても動かせない訳じゃないだろう? なら最悪改修作業についてはこっちでやればいい」

「作業に適している場所だとは思えないが。……まぁ、しょうがないと言えばしょうがない、か」

 

 俺の言葉でスレイも納得しかけたその時、待ったを掛けるように言葉を挟んできたのは洪古だった。

 

「ちょっと待ってくれ。200人以上が暮らせる生活環境が整っている艦? それは当然巨大なんじゃないか? そんなのが海に浮かんでいれば、当然他の者達に知られる事になる。そうすれば俺達の行動が察知される可能性があるぞ」

 

 ん? 海? 洪古の言葉に思わず首を捻るが、すぐに何を言っているのかを理解する。そう言えばシロガネに関しては教えてなかったか。

 

「大丈夫だ。その艦にはミラージュコロイドという視認出来なくする為のステルス装置がついている。それと、海じゃない。シロガネというその艦は空に浮かんでいる艦だ。この世界でもブリタニアにアヴァロン級とかがあるだろう? もっとも、性能に関しては大人と子供程も差があるだろうが」

 

 少なくても、そのまま宇宙に出る事が可能だというのはこの世界だと圧倒的なアドバンテージだろう。

 

「……なるほど。さすがと言うべきだろうな。あのアヴァロン級と同様に空を飛べる戦艦か」

「一応言っておくけど、シャドウミラーの幹部達と合流したとしても、決してアヴァロン級と同様だとかは言うなよ? 性能的に考えればシロガネの方が圧倒しているんだし。特に重力波を使った攻撃はアヴァロン級どころか、重アヴァロン級でも数隻纏めてあっさりと撃沈出来るだけの実力がある筈だ。恐らくアヴァロン級や重アヴァロン級が10隻、20隻と纏めて掛かって来てもシロガネに勝つのは無理だろうな」

「それが事実だとすれば……いや、アクセルの言っている事なんだから事実ではあるだろうが、頼もしいとしか言えないな。もっとも、シャドウミラーはあくまでも俺達の同盟国という扱いになるだろう。こっちはこっちでなんとか戦力を用意しないといけないだろうな」

 

 シロガネの性能に唖然としつつも、難しい顔をする洪古。

 この辺、さすが星刻の下で軍を率いているだけはあるよな。

 

「ロンダンやターロンダンがあるだろう? 確かに空を飛べるというのは有利だが、アヴァロン級程度に脆い艦を使うのを考えたら、地上戦艦の方が使いやすいと思うがな」

「……まぁ、お前達にすればそうなんだろうがな」

 

 苦笑を浮かべている洪古へと視線を向け、次にスレイへと視線を向けてから洪古へと声を掛ける。

 

「じゃあ俺達は一度ホワイトスターに戻る事にするが……」

「ああ。こっちも情報収集、根回し、訓練とやるべき事がたくさんある。なるべく早く戻って来てくれよ」

「向こうでの出来事がすんなり行けば、すぐに戻ってこられるだろうな」

「……そうだな」

 

 俺と恋人関係になったスレイが、レモン達と顔を合わせづらいのか、俺の腕を抱きしめながらそう呟くのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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