転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0619話

『天子様! ご無事でしたか!』

「星刻? 星刻よね? 星刻!」

『はい、そうです。黎星刻です。大宦官達の手からお救いするのが遅くなって大変申し訳ありません。それに、朱禁城の外を見せるという約束に関しても、私が果たせずアクセルに任せてしまい……』

 

 通信機を使った会話の為にお互いに声だけの会話だが、それでも特に困った事は無いらしい。さすがに天子命の星刻だな。

 とりあえずシロガネの食堂にいた面々に視線を向け、その場から2人にするべく立ち去っていく。折角久しぶりの会話なんだ。俺達がいない方がゆっくりと出来るだろう。

 

「麗華、俺達は食堂の外に出てるから星刻と思う存分話をしておけ。……まぁ、もう数日で合流するけどな」

「うん! ありがとうアクセル!」

『待て、アクセル! 貴様、何故天子様の名を呼び捨てにしている!?』

「その天子様直々に許可を貰ったからだよ」

 

 俺の言葉を通信機が拾ったのだろう。今にも通信機から星刻の怒りが物質化して飛びだして来そうな程の剣幕で怒鳴られる。

 

「そうよ、星刻。アクセルは星刻のお友達でしょう? なら私にとってもアクセルはお友達よ! それにお城から連れ出してくれたし! あの、影のゲートっていうのは凄かったのよ。星刻も使った事があるんでしょ?」

『は、はぁ……アクセル、お前天子様に影のゲートを使ったのか……』

「というか、そうでもしないとさすがに他の者達に見つからないように朱禁城から麗華を連れ出すのは無理だったしな」

 

 正確に言えば、ニーズヘッグを使えばそれだけで中華連邦を潰す事は出来る。だが、中華連邦はある種の贄だ。コーネリアの出してきた作戦通りに進むのなら、恐らくは贄の中核となる存在……いや、中核は黒の騎士団か?

 

「とにかく、折角誰にも気兼ねなく2人で話が出来るんだ。俺に構わずゆっくりと話してくれ」

『……そうだな、その点だけは感謝する』

「その……アクセル、ありがとう」

 

 ペコリ、と頭を下げる麗華。元々非常に小柄だというのもあるが――具体的に言えばネギま世界の鳴滝姉妹と同程度――それだけに愛らしさが目立つ。

 

「ああ、気にするな。それより、お前もこれからは多少大変になるかもしれない。その辺の事は星刻から聞いておけ」

 

 それだけ言い、麗華に対する乱暴な言葉使いで再び頭に血が昇った星刻の怒鳴り声を背にしながら食堂から出て行くのだった。

 

 

 

 

 

「まさかシャドウミラーで子供の面倒を見る事になるなんてね」

 

 食堂から出て来た俺を待っていたレモンが笑みを浮かべながらそう言ってくる。

 

「子供と言っても13歳。あやか達とそれ程年齢差はないけどな」

「そうねぇ。それと年上の相手に恋しているのも同じかしら」

「……恋、なのか? 俺から見ると、麗華が星刻に抱いているのは友情みたいに見えるんだが」

 

 そう告げた俺に、浮かべていた笑みを苦笑へと変えるレモン。

 

「あの表情は恋する乙女よ。……まぁ、それが憧れかどうかまでは私にも分からないけど、確実に星刻を男として意識しているでしょうね」

 

 自信満々にそう言い切るレモン。恐らく同じ女であるだけに感じるものがあったんだろう。

 

「それはいいが、機体の準備はもういいんだよな?」

「ええ。新型機であるシャドウも量産型W達にきちんと疑似経験を読み込ませ済みよ。他の機体も同様にね」

「そうなると……いよいよ明後日……」

 

 呟き、食堂の時計で既に日付が変わっていたのを思い出す。

 

「いや、もう明日だな」

「そうね。私達が表舞台に立つべき時は、もうすぐそこよ。そうしたらコーネリアの……」

「分かっている。ギアス響団……奴等は早いうちに潰してしまわないといけないだろう。それと、俺の予想通りに進んでいるのならギアス響団にはジェレミアがいる筈だ」

 

 ブリタニア軍時代に俺とは関わりが無かったが、純血派であっただけに上手くいけばコーネリアが引き込める可能性がある。……その場合、重要なのはアーニャの中にマリアンヌがいるのを隠し通す事と、ゼロの正体がルルーシュであるのを知られない事だが……

 いや、御輿がオデュッセウスで、その後ろ盾にコーネリアのいる組織がついていても、やっぱりブリタニアじゃなきゃ無理か? 個人的には嫌いじゃないんだけどな。

 

「アクセル?」

 

 そんな風に考え事をしていると、食堂から顔を出した麗華が声を掛けてくる。

 手には通信機を持っており、俺に差し出すようにして持ち上げていた。

 

「どうした?」

「星刻がアクセルに話があるって」

「……俺は構わないが、麗華はもういいのか?」

「うん! 星刻と一杯話せたから、私はいいの。もう少ししたら会えるって言ってたし。……それに、新しく作る国でもずっと私と一緒にいてくれるって言ってたから!」

 

 満面の笑みを浮かべる麗華に、俺とレモンもまた釣られて笑みを浮かべる。

 

「そうか。じゃあ、お前も一応役目があるんだから頑張らないとな」

 

 ポンッと麗華の頭に軽く手を乗せ、手に持っていた通信機を受け取る。

 そこでふとレモンの方を見ると、何故か笑みを浮かべながら俺の方を見ているのに気が付いた。

 しかもその口元に浮かんでいる笑みは、どちらかと言うと生暖かいと表現すべき笑みだ。

 

「……どうした?」

「いえ、別に。ただ、そうしているのを見ていると、まるで親子のように見えただけよ」

『親子?』

 

 麗華と声が重なり、思わず視線を合わせる。

 

「せめて兄妹にして欲しいんだが。この年齢で父親ってのはちょっと嫌だぞ」

「あら、そう? そう言えばそうね。あやか達を恋人にしようとしているんだから、それを考えたら……ねぇ?」

「何を言いたいのかは分からないが、とにかくレモンは麗華を部屋に連れて行ってやれ。俺が連れて行こうかと思ってたんだが、星刻との話があるからな」

 

 どこか憮然としたように響いた俺の言葉に、クスクスと笑いながら麗華の方へと視線を向けるレモン。

 

「さ、麗華。部屋に案内するから行きましょ。貴方が今まで暮らしてきたような豪華な部屋じゃないけど、星刻と合流するまでは我慢してね。諸々の世話は量産型Wにさせるから。ほら、あのヘルメットを被ってる人達」

「うん」

 

 レモンの言葉に頷き、とてとてと擬音が聞こえるような感じで通路の先へと消えて行く。どちらかと言えば俺よりもレモンと麗華の方が親子に見えるな。……待て。その場合、麗華は俺とレモンの子供になるのか?

 星刻に知られたら剣で真っ二つにされそうな事を考えつつ2人を見送ってから、食堂へと戻り通信機へと声を掛ける。

 

「もう少しゆっくりと話していても良かったんだぞ?」

『この時間だからな。天子様もお休みになった方がいい』

 

 そう告げてくる星刻の声は、どこか明るい。やはり大宦官の手から救い出せたのが嬉しいのだろう。……まぁ、原作通りの流れだと麗華をブリタニアに売り払……ん? そう言えばオデュッセウスがこっちにいる以上はもし麗華と政略結婚をさせるとしてもその相手は誰になったんだろうな? 普通に考えれば第2皇子のシュナイゼルだが。……何かそれをあっさりと受け入れそうで微妙に困る。基本的に自分というものが無いシュナイゼルだ。政略結婚が有益だと判断し、更に他に適任がいないとなれば自分が政略結婚するくらいは普通にするだろう。

 

『それで、早速だが決起の時の事を相談しておきたい』

「大体はもう決めてあるだろう?」

『最終確認だ。いざという時にこちらとそちらの足並みが乱れるのは困るからな』

「そうか。ちなみにお前や香凛がこっちと……というか、洪古と合流するのはいつになる?」

『明日には問題無く合流出来る。色々と大宦官の手の者の目を誤魔化す為にエリア11に長期間駐留せざるを得なかったが、ようやく知られても困らない時期に来たからな』

「だが、今の中華連邦は麗華の行方不明という事態で大騒ぎになっている筈だ。そこで麗華と近い存在であるお前も姿を消すと……」

『その程度は承知している。それら全てを含めて準備が整ったのだから』

 

 なるほど。俺達がホワイトスターで色々とやっている間にも星刻はエリア11から手を伸ばして建国の準備を進めていた訳か。この辺、武力特化の俺とは違って政戦両略ってところだな。

 

「話は分かった。こっちも前もって指示されてある場所にいつでも出撃が可能だ。後は肝心の合図を待つばかり、だな」

『我々が行動を起こすのは黒の騎士団が海氷船でエリア11を脱出した後でいいのだな?』

「ああ。蓬莱島については既に話がついているんだろう?」

『そうだな。私経由で大宦官の方に連絡が行っており、既に許可も出ている』

「なら問題は無い。折角世間の注目が黒の騎士団に集まっているんだ。その注目を利用させて貰うとしよう」

 

 当初は黒の騎士団が蓬莱島に到着した時に建国宣言をする予定もあったのだが……それが最終的に行政特区日本の式典に乗じる事になったのは、偏に世界中の注目が式典に注がれているという理由からだった。

 後はコーネリアがナナリーを相手にした複雑な思いというのもあるだろうが。何しろナナリーはユーフェミアにギアスを掛けたルルーシュの妹だ。コーネリア本人としても可愛がっていた記憶があるだけに、どうしても複雑な気持ちがあるのだろう。

 しかもナナリーを総督に任命したシャルルに関してはギアスを研究している大本だし。

 っと、そうだった。それよりもギアス響団について聞いておかないとな。

 

「それよりも、以前から何度か話していたギアス響団に関してだが……」

『ああ、この中華連邦に拠点を構えているとかいう』

「そうだ。だが、どこにあるのかまでは大雑把な位置しか分からない。だから取りあえずその大雑把な位置に関してはこっちの新国家に取り込むという事にした訳だが、どうやってその詳細な位置を見つけ出せばいいと思う?」

『色々と考えてはいるんだが……難しいな』

 

 俺の言葉に、短く呟く星刻。

 

『中華連邦内にある以上は、絶対役人なりなんなりが関わっているのは明らかだ。これは間違い無い。だが、だからといってその対象を特定するのは短時間ではまず不可能といってもいいだろう。……そうなると、ギアス響団とやらと関係ある者を探すのではなく、直接その場所を特定する方が難しくない』

「直接……か」

 

 原作でのルルーシュにしても、ギアス響団の所在地を見つけるのは大宦官達を排除した後に物資の流通、電力の供給、通信記録といった膨大なデータから情報を収集していき、最終的にはジェレミアを仲間に引き込んでその場所の特定に成功している。それを指摘すると、星刻は通信機の向こう側で溜息を吐く音が聞こえてきた。

 

『そうだろうな。電力の供給、通信記録はデータ上の操作で幾らでも誤魔化しが効く。だが、物資の流通に関しては直接運ばなければ行けない以上は絶対に関係している者がいる筈だ。……まさか毎回ギアスを使って記憶を消したりしている訳じゃない限りはな。それに他の2つに関しても、平行して洗い出していけば矛盾を見つける事は出来るだろう。データを弄って誤魔化したとしても、絶対にどこかおかしなところは出て来る筈だしな』

「その辺に関しては中華連邦に対して慣れている星刻に任せる。……あぁ、それと今更だが新たな国の名前はもう決まっているのか?」

 

 事を起こす前になって国の名前を尋ねるというのも何だが、そう言えば国の名前を聞いてなかったと思い尋ねる。

 

『陽光。遍く太陽の光を国民全てが感じられるようにと思ってつけた名前だ』

 

 陽光――ようこう――か。確かに今の大宦官にひたすら搾取されている国民にとっては救いの光となるんだろう。

 

『それに……』

 

 何かを言い掛けるも、言い淀む星刻。

 

「どうした?」

『その、何だ。いいか? 1度しか言わないから良く聞けよ。お前達シャドウミラー……即ち、影に相対する者としての光。お前達と表裏一体という意味も込めてある』

 

 どこか照れたような風にそう告げる星刻に、思わず笑みを浮かべる。

 

「なんだ、また妙に律儀だな」

『ふんっ、だから言いたく無かったんだ。……だが、天子様を大宦官の手から救い出し、全てとまではいかなくても多くの国民を救えるのは、間違い無くお前達のおかげだ。それだけは感謝している』

「妙にしおらしいな。らしくないぞ」

『だから言いたく無かったんだ……』

 

 溜息と共に吐き出されるその言葉に、笑みを浮かべつつ口を開く。

 

「それに礼を言うのはまだ早い。礼を言うのなら建国宣言とそれに伴う戦いが上手くいってからだろう」

『……そうだな。確かにそうかもしれないな』

「ああ、そうしたらもちろん礼はたっぷりと貰うさ。だから安心してお前は戦いに備えろ。その身体の病気を治すにしても、暫くは頑張ってもらわなきゃいけないんだから」

『ふっ、任せろ。これまで付き合ってきたこの身体だ。もう暫くは持ち堪えてみせる』

 

 その後、数分程の後会話を終えて、星刻との通信が終わって恋人達が待っている寝室へ向かう。

 そして時が流れ……いよいよ建国の時を迎える事になる。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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