転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0621話

「さて、これで俺達がこの世界の存在でないという事は理解して貰えたと思う。……そうだな、今のままだとまだトリックだとか何とか言われる可能性もあるか。ちなみに、こんな真似も可能だ」

 

 グリを少し離れた場所に待機させ、そのまま混沌精霊としての力で空中へと浮遊する。

 まぁ、それこそグリの存在と違いトリックだと言われそうだが。

 そして空中を指差し……

 

『紅き焔!』

 

 その言葉と共に、俺の指差した先に巨大な炎が姿を現す。

 

『おおおおおお』

 

 グリとは違い、これに関してはまだ許容出来る範囲だったのだろう。集まっていた民衆達から驚愕の声が上がっていた。

 これ以上無い程に興奮した無数の視線に晒されつつ、俺の姿は空中から先程までいた壇上の上へと降り立つ。

 個人的には異形化状態を見せても良かったんだが、それだとこの陽光という国が悪魔と取引をした国だ何だと言われそうなのでやめておく。

 

「……ご覧の通り俺は正真正銘の魔法使いであり、星刻からの紹介にもあったようにシャドウミラーという国の代表だ。同時に、この世界で唯一陽光という国を同盟相手として選ばせて貰った。もちろん他にも国があるのは知っている。ブリタニア、EU、中華連邦。だが、その全てが共に在る存在としては認める事が出来無い。それ故に、この陽光という国を建国する手伝いをする事にした。そして……」

 

 チラリ、と星刻へと視線を向けると小さく頷くのを確認する。

 

「この場にいる者達は向こうの画面に集中して欲しい」

 

 視線の先にある巨大なモニタを指差しながらそう告げる。

 周囲にいた者達の視線がモニタへと移ったのを確認したその時、唐突にモニタに映し出されていた映像が9分割程される。その中の1つは相変わらずここの映像が映し出されているが、残り8つは違う。その全てにメギロートやシャドウ、あるいはシャドウミラー幹部達の操る機体が映し出されており、ガン・ルゥを一方的に蹂躙する光景が映し出されていた。

 放たれるビームが数機のガン・ルゥを正面から貫通し、同時に弾丸が真横から襲い掛かって火の玉へと変えていく。重力波砲を食らった機体は10機近くが圧縮されるようにして爆発する。

 あるいは、ミサイルランチャーを装備したガン・ルゥ達から放たれた100近いミサイルがロンダンへと次々に着弾しては爆発を巻き起こし、ガレスの両手から放たれたハドロン砲が数機のガン・ルゥを纏めて爆破する。ヴィンセント・ウォードのMVSが滑らかにガン・ルゥを斬り裂き、爆発する前に移動して姿を消す。

 そんな一方的な戦闘が画面に映し出される俺達以外の8つで繰り広げられていた。

 

「ご覧の通り、現在新国家である陽光に参加したいと希望している者達の場所に戦力を派遣している。どちらが優勢なのかは映像を見て貰えば語るまでもないだろう。……それと、この中にはメギロート、あの虫型の機体に見覚えのある者もいると思う。以前何度か戦場に乱入した事があったからな。俺達シャドウミラーの主戦力がこのメギロートだ。KMFを相手にして圧倒的なキルレシオを叩き出すこの兵器は俺達の技術……つまり、異世界の技術で作り出されている物であり、当然KMFのようにサクラダイトを使用したりはしていない。その為、どこかの組織が得意としているユグドラシル・ドライブを停止させる装置も役には立たないと宣言しておこう。同時にこのメギロートは無人機であり、持久戦に持ち込んでパイロットの疲労を誘うような作戦も無意味だと断言しておく。更に、俺達シャドウミラーはメギロートを数千、数万単位で所持しているし、尚且つ幾らでも量産が可能だ。故に中華連邦には現在襲撃を受けている地域を諦め、素直に撤退する事をお勧めする。……己の無能さを明らかにするような行為は慎んで貰えると幸いだ」

 

 そこまで言い、場所を星刻へと代わって先程まで座っていた椅子へと戻る。

 そんな俺の座った椅子の隣にグリが巨体を伏せている為か、麗華が緊張でカチコチに固まっており、オデュッセウスは物珍しそうにグリへと視線を向けている。

 ……意外とオデュッセウスって度胸あるよな。

 グリの気性を知れば、そのうち麗華も慣れはするんだろうが。

 

「さて、我々陽光からの建国式典はこれにて終了させてもらう。……それと、我が国を認めないというのなら、それも結構。あるいは反乱軍として討つというのなら受けて立とう。我等陽光は、何人の挑戦でも受けて立つ! ただし私達に戦いを挑むという事は、それ即ち挑んだ者も私達に蹂躙される覚悟があると見なさせて貰う。また同様に、以後私達が行う予定のシャドウミラーを通した異世界間貿易についても厳しく制限が掛かるという事をここに宣言しておこう」

 

 俺の最後の言葉と同様に、激しく大宦官達を挑発するように演説を締めくくる星刻。こちらの主目的としては、大宦官達に攻めてきて貰うのを大前提として計画を進めているからこその挑発だ。

 自分達をこれ以上ない程に虚仮にし、更には魔法、異世界間貿易という甘い蜜も用意した。同時に麗華を取り返すという事や、占拠された土地を取り戻すという大義名分もある。これで攻めてこないという事は無いと思うが……オデュッセウスを取り戻すという名目でブリタニアも手を出したいだろうが、それでも最初の攻撃は大宦官達に譲らざるを得ないだろう。

 

「では……陽光の民に、遍く恵みの光あれ!」

 

 星刻のその言葉と共に、静まり返った住民達から万雷ともいえる拍手が送られる。その拍手の音が残ったまま、やがて世界中へと放映されている映像が途切れていくのだった。

 

 

 

 

 

「で、そっちの様子はどうだ?」

 

 政庁の執務室でシロガネへと通信を入れる。この場にいるのは、俺と星刻、そして星刻の秘書役をやっている香凛の3人のみだ。本来であれば政治家や官僚といったものもここにいてもいいのだが、それ等は早速国を動かす為の仕事がある為にそちらへと回っている。それ故、ここにいるのは現在の陽光を実質的に動かしていく俺達のみとなっていた。

 ちなみに象徴である麗華と代表であるオデュッセウスはさすがに疲れたという事もあり、2人共部屋で休んでいる。オデュッセウスはともかく基本的に表に出る事の無かった麗華だけに、全世界に映像が放映されている場に出るというのは精神的にも肉体的にもかなり疲労したんだろう。

 

『こっちは勿論問題無いわ。どの部隊も基本的には被害らしい被害が無いままに中華連邦の部隊を撃破しているわよ』

「そうか、なら部隊の方はいいとして……」

 

 呟きつつ、視線を星刻へと向ける。

 

「うむ。陽光の領土として中華連邦から切り取り予定の街や都市はほぼ全てで予定通りに民衆が蜂起をしている」

 

 この時ほぼとなったのは、切り取り予定の地となっている街や都市の中にもトップに立っているのが大宦官の手の者ではない場所があったからだ。

 ……もっとも、決まってそんな場所は不毛の土地だったり、あるいは何らかの問題があったりするような場所であるのを考えれば当然なのかもしれないが。

 

『で、蜂起の結果はどうなったの?』

 

 シロガネのブリッジが映し出されているマリューからの質問に、星刻は小さく頷く。

 

「お前達に用意して貰った武器や物資のおかげで被害は軽微だ。もちろん死者の1人も出ていないとは言わないが、我々が予想していたよりかなり少ないのも事実」

「何しろ街の実質的な実力者達はこっちに取り込み済みだしな」

 

 以前洪古と共に会った丈雲の顔を思い出しながらそう呟く。

 幾ら自分達が街の支配者だとでかい顔をしていても、街の住民達がそいつに従わなければそれは蟷螂の斧、あるいは張り子の虎でしかないのだから。

 

「ふむ、国土の切り取りに関しては概ね予定通りか。なら各国の反応はどうなっている?」

「香凛」

「はい、星刻様。各国の反応についてですが、まず当然の事ですが中華連邦からは建国を認めないとの公式発表がありました。更に陽光を名乗る集団が不法占拠している土地を直ちに明け渡し、無条件で武装解除して所有している兵器全てを提出し、シャドウミラーと名乗る集団を拘束して引き渡せと。ああ、それとアクセルが召喚したあのグリフィンドラゴンのグリ……でしたか? そのグリも大人しく引き渡せと言ってましたね。何でもこの地は代々自分達の土地である以上、異世界と繋がっているその先も自分達の所有物であるとの事です」

『……』

 

 香凛の口から出た、あまりと言えばあまりのその発言に俺と星刻の2人は思わず黙り込む。いや、中華連邦というのが無茶苦茶だというのは理解していたが、ここまでとは。……ある意味さすが中華連邦と言えるな。

 

「……どうする?」

 

 そう呟き視線を俺に向けてくる星刻に、小さく肩を竦める。

 

「この国は俺の国って訳じゃない、お前達の国だ。俺はあくまでも協力者に過ぎない以上、俺が口出しすべきじゃないだろう」

「……本音は?」

「中華連邦なんて存在に関わったら、俺まで面倒な事になるに決まって……あ」

 

 絶妙のタイミングで出された香凛の言葉に、思わず本音を口にしてしまう。

 そんな俺を、星刻はジトリとした目で眺めている。

 その目は、自分が関わるのが嫌だから自分に投げるのかと考えている目だろう。

 

「まぁ、無難に『寝言は寝てから言え。……いや、寝てから寝言を言うとうるさいだけだから、あの世で言ってろ玉無し共』とでも返事をしておけばいいんじゃないか?」

「また、随分と挑発的な返答だな」

 

 呆れた様な星刻に肩を竦める。

 

「俺達の計画通りに進めるのなら、中華連邦には暴走して貰うのがベストだからな。向こうの頭に血を昇らせるのは効果的だろうよ」

「しかしそうなると、黒の騎士団はどうする? 中華連邦に蓬莱島を譲渡されている以上は向こうに協力するんじゃないか? いや、計画の1つとして黒の騎士団と中華連邦を合流させるというのは知っているが……今の黒の騎士団だと勢力が大きすぎるだろう」

 

 俺の言葉にそう呟く香凛。その言葉に小さく首を振ってから口を開く。

 

「問題無い。黒の騎士団に対しては蓬莱島に到着後、1度釘を刺して動き出すのを遅らせる予定だ」

 

 ……そう。俺という釘を、な。

 確かにゼロは俺よりも格段に頭がいいだろう。そしてギアスはこの世界に存在する者にとって致命的な力となるのも事実だ。だが……その全てが俺には効果が無い。知略を尽くして俺を止めようとしても力尽くで強引に突破される。ギアスに関しては混沌精霊と化した俺には効果が無い。そして……

 空間倉庫の中にある鵬法璽へと思いを馳せる。

 正直に言えば、これを使ってゼロを……ルルーシュを俺に従わせるのがベストなのだろう。だが、コーネリアの気持ちを考えるとそれは出来ない。つまり……

 

「……そうか。ならブリタニアからの連絡は?」

 

 黒の騎士団に関する事を考えている間にも、星刻と香凛の話は続いていたらしい。考えに耽るのを止め、改めて意識をそちらへと向ける。

 

「一応連絡は入ってきていますが、取りあえずオデュッセウス殿と話をさせて欲しいという内容ですね」

「いつも強気のブリタニアにしては妙に大人しいな」

「ええ。恐らくはアクセルの使った魔法に興味があるんでしょうが……自分達で火中の栗は拾いたくないといったところだと思います」

「なるほど。まずは大宦官に焼き栗を拾わせようとしている訳か」

 

 星刻が頷くように呟き、それにピンとくるものがあった。

 

「となると、ブリタニアで糸を引いているのは恐らくシュナイゼルだな。皇帝ならそんなのを気にせずに攻め込んでくるだろうし」

「なるほど。EUの半分近くを切り取ったシュナイゼルか。何を企んでいるのやら」

「さあな。俺に思いつくのは、今香凛が言っていたように火中の栗を拾うのを大宦官に任せようとしている程度といったところだが」

「……この国の事だし、取りあえずシュナイゼルへの対応はこちらに任せて貰って構わない。アクセルはシュナイゼルのような者を相手にするのは苦手だろう?」

「そうだな。戦場で戦うのなら問題無いし、他の勢力を結集して攻めてくるのでもそれ程苦労はしない。だが舌戦となると俺には向いていないのは事実だ」

 

 そんな俺の言葉に、苦笑を浮かべる星刻。香凛もどこか呆れた様に俺へと視線を向けている。

 

「全く、シャドウミラーも国家と名乗る以上は交渉にも慣れておいた方がいいと思うがな。……まぁ、いい。シャドウミラーに関しては砲艦外交が基本となるだろうし。それでEUは?」

 

 星刻の視線を受けた香凛は俺へと向けていた苦笑とはまた違った苦笑を浮かべる。

 

「EUに関してはかなり友好的ですね。どうやら私達の持っている戦力に興味があるようです」

「EUは国土の半分近くをブリタニアに奪われているから必死なんだろうよ。だが、衆愚政治に凝り固まっているEUと組むというのはあまり気が進まないな。星刻、その辺はどうだ?」

 

 俺の言葉に、何かを考え込むようにして座っていた椅子へと体重を掛ける星刻。

 

「確かにEUに対しては私もいい印象を持っていない。エリア11がブリタニアに占領された時には真っ先に国内にいる日本人達を隔離するような国だしな。朝令暮改が罷り通る衆愚政治以外の何ものでもない。恐らく陽光と何らかの条約を結んでも、あっさりとそれを撤回する可能性が高い。そう考えると、最低限のやり取りで済ませるべきだろうな。……もっとも、こんな風に出来るのもシャドウミラーがいるからだが。もしシャドウミラーがいなければ、EUのような相手とも同盟を結ぶ必要があっただろう」

「星刻様、ですが衆愚政治だからこその使いようもあるのでは?」

 

 香凛の言葉に星刻は頷く。

 

「香凛の言っている事は間違ってはいない。だが、それも国内がある程度落ち着いてからとなるだろう。今はまず中華連邦だ」

「……なら俺は早速、その中華連邦に協力しそうな黒の騎士団に対して釘を刺しに行ってくるとするか。星刻、国内が落ち着いたらギアス響団の方もよろしく頼む」

「ああ、任せろ。既に手は打ってある。大まかな場所は聞いているし、後は向こうがこちらの手に引っ掛かるのを待つだけだ」

 

 星刻のその言葉に小さく頷き、俺は執務室の扉へと足を向ける。

 ……さて、現在海氷船で移動中の黒の騎士団。それが蓬莱島に到着したら、いよいよゼロとの……いや、ルルーシュとの対面だな。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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