転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0625話

 陽光の国境付近。現在俺はそこで中華連邦の部隊と対峙していた。

 こちらの戦力は陽光から派遣されたミサイルランチャーを装備した遠距離支援型のガン・ルゥが50機に、ガン・ルゥを収容する為のロンダンが1隻。前衛を務めるメギロートが100機。そして量産型Wが操るシャドウが10機と……最後にニーズヘッグ。

 敵は通常のガン・ルゥが500機にロンダンが10隻、ターロンダンが1隻。

 正直、数で言えば圧倒的にこっちが負けている。何しろこちらは200機未満に対し、向こうは500機を越えているのだから。だが、これを純粋な戦力で考えるとあっという間に戦力比は逆転する。いや、むしろニーズヘッグだけで敵を殲滅出来る戦力を持っているだろう。

 

「とは言っても、今回はシャドウをメインにしないといけないんだけどな」

 

 呟き、映像モニタに映し出されている10機のシャドウへと視線を向ける。

 確かにスレイが実戦で性能評価をしたシャドウではあるが、それでもやはり1人だけの実戦証明というのは、技術班的にいまいち不満らしい。なので、今回の出撃にあたりシャドウミラー幹部達には出来るだけ量産型Wにシャドウで戦闘を経験させるように技術班……というよりも、レモンから要請が来ていた。

 正直、普通なら断るところなのだが……何しろシャドウは最新鋭量産機であって、戦闘データの蓄積が不足している。そう言われれば、確かに敵がガン・ルゥだけであるこの戦場はデータ収集には最適なんだよな。

 ロンダンやターロンダンは動きの鈍さと攻撃力もそれ程高くないから俺達にとっては的でしかないし。というか、恐らくその2種類が俺の攻撃対象になるんだろう。

 

「アクセル殿、この場の指揮権はそちらにありますので、よろしくお願いします」

「ああ。とは言っても、正直ガン・ルゥ部隊は後方から援護としてミサイルを発射して貰うくらいしかやる事が無いからな。お前達がやるのは、出来るだけミサイルの命中率を上げるのを意識する事だ」

「はい、その辺は星刻様から聞いております。正直に言えば前線をシャドウミラーに任せるのは心苦しいのですが」

 

 やはり自分の国は自分で守りたいのだろう。悔しげな顔を浮かべながら通信モニタ越しにこちらを見ている。

 特にガン・ルゥに乗っている陽光軍の者達は、星刻の理想に共感して建国に協力した者達が殆どだ。なのに自分達がやるのは遠距離からの射撃だけってのは納得出来ない……いや、納得したくないんだろう。

 

「気にする必要は無いさ。俺達シャドウミラーは陽光の同盟国だからな。それに今はガン・ルゥしかないが、徐々に新型のKMFが配備されていく予定になっている。だからそれまでは俺達に任せておけ。そもそもメギロートは無人機だから、どれだけ撃破されても人的被害は全く無いし」

 

 そんな風に軽くガン・ルゥ部隊の指揮官へと言葉を掛けていると、敵の中からターロンダンが前へと出て来る。

 ……指揮官か?

 

『陽光を名乗る反乱軍に告げる。貴様等が占拠している土地は我等が中華連邦の領土だ。ただちに武装解除してこちらの指示に従え。素直にこちらの指示に従った場合は命の保証はしよう。だが、従わない場合はこちらの全戦力をもって攻撃を行う事になる。そちらの賢明な判断を期待する』

 

 オープンチャンネルによって聞こえてきた通信に、思わず笑みを浮かべる。

 まさか事ここに至って、それでもお互いの実力差を把握していないとは。

 一瞬返答に関してはガン・ルゥ部隊の隊長に任せようかとも思ったが、この部隊の指揮官は俺ということになっている以上、ここは俺が答えるべきだろう。

 

「全機、俺の合図があり次第いつでも攻撃可能なように準備をしておけ。もし戦闘が始まったら最初はガン・ルゥ部隊のミサイル一斉発射により先制攻撃を仕掛ける」

「了解しました」

 

 先程通信した、ガン・ルゥ部隊を率いている人物から承諾の返事を貰った俺は、そのままニーズヘッグで前に出る。既に機体はPS装甲の効果を発揮しており、この時点でガン・ルゥを始めとした中華連邦のKMF部隊が俺にダメージを当てるのは不可能だろう。

 さて、こちらの返答を聞いてどう出るか、だな。

 ツイン・ドライブの性能により、空中を浮かびながら前に出るニーズヘッグ。その機体を目にしたのだろう。ターロンダンから再びオープンチャンネルによって通信が送られて来る。

 

『誰だ、お前は? そんな小型機では話にならん。この部隊を率いている者を出せ』

 

 小型機、ね。これでもガン・ルゥの3倍近い全長があるんだがな。まぁ、ターロンダンに比べると圧倒的に小さいのは認めるが。どこぞの誰かの台詞をもじってこう言ってやろう。機体の大きさが絶対的な戦力差でない事を教えてやる、と。

 

「安心しろ。俺がこの部隊を率いている者だ」

 

 オープンチャンネルによって映し出されたのは、中華連邦風の衣装に身を包んだ40代程の中年の男だった。……しかし、こいつ軍人か? その割には随分とブクブク太っているが。……いや、大宦官の命を受けてきたんだ。その時点でどこの派閥なのかは分かりきっているか。

 

『貴様、アクセル・アルマー!?』

「正解だ。シャドウミラーの代表、アクセル・アルマーだ。建国宣言の中にあったように、俺達は陽光と同盟を結んでいる。その同盟国に対して侵略の魔の手が伸びている以上、同盟条約に基づいて戦力を派遣するのは当然の事だろう」

『ふざけるなっ! 誰も陽光等という国の存在は認めていない! 貴様等がもし同盟を結ぶとしたら、それは陽光等という反逆者共ではない。中華連邦とだろう!』

「ふんっ、むしろ俺が聞きたいな。何故わざわざ地雷であると分かっている大宦官と手を組む必要がある? ……いや、見える地雷は地雷とは言わないのか。権力欲に取り付かれた無能、と言い換えるべきか?」

 

 敢えて意図的に放たれた挑発だったが、大宦官の派閥にいるだろう相手が黙って聞いている筈も無く……

 

『ふざけるなぁっ! この世界の中心である中華連邦。その中華連邦を動かしている大宦官の方々に向かって何たる暴言! 何たる非礼! これ以上は許しておけん! 全機突撃せよ! あの虫型の機体と黒い人型、それとアクセル・アルマーが乗っている小型機は鹵獲しろ! ガン・ルゥに関しては全てパイロット諸共に破壊して構わん!』

 

 ……まさかこうも簡単に挑発に乗るとはな。いや、むしろこの程度の能力しかないからこそ大宦官にしても使いやすいのか。物量で相手を圧倒するような戦い方をメインにしている以上、際だった能力は必要無いだろうしな。

 顎の肉と頬の肉をプルプルと震わせてその命令が降ったのを見て、俺もまた部隊へと命令を下す。

 

「聞いたな? 戦闘開始だ。ガン・ルゥ部隊、全機攻撃開始」

『了解!』

 

 その言葉と共に、隊列を組んでいたガン・ルゥが装備していたミサイルポッドからミサイルを一斉に発射する。その数1機につき24発。それが50機いるので1200発のミサイルが放たれた訳だ。まさにミサイルの雨としか表現出来ないようなその攻撃に、間合いを詰めようとしていた中華連邦側のガン・ルゥが次々と撃破されていく。あるいは、撃破されて地面に倒れた機体に躓き、そのまま巻き込まれるようにして地面へと激突する。

 何しろガン・ルゥは2本の足では立つ事が出来ず、尻尾に近い3本目の足を使ってバランスを取っているような機体だ。それだけにバランス感覚は酷く悪い。

 こちらのガン・ルゥに関しても3本足なのは変わらないが、技術部の作り出したプログラムによりバランス感覚はかなり改善されている。というか、そうでもなきゃミサイルポッドなんて武器を装備させたら、まともに動く事が出来ずに転んでいただろう。

 本当は3本目の足を撤去したりといった事も考えてはいたのだが、どうせガン・ルゥは今ある分を使い潰してしまえばこれ以上生産の予定はないのだ。ガン・ルゥ以降はヴィンセント・ウォードとガレスが陽光の主力KMFになるのだから。

 なので、手間を考えた結果プログラムでバランス感覚を補正するだけというお手軽な修正になっていた。そのプログラムにしても、KMFのOSを確認するという意味で作られたものなので、技術班にしてみればついでといったところだろう。

 

「次、メギロート部隊出撃しろ」

 

 下された命令に従い、100機のメギロートが空へと飛び立つ。それを近づけさせまいとガン・ルゥ側から両手に装備されたキャノン砲が放たれる。迎え撃つのはリング状に形成されたサークル・レーザーだ。それぞれの攻撃が丁度メギロート部隊とガン・ルゥ部隊の中間地点でぶつかり合う。そして……押し勝ったのは、当然というべきかサークル・レーザーだった。それでも中華連邦側にとって運が良かったのは、ある程度はキャノン砲で威力を相殺しあった事だろう。俺が予想していたよりも、かなり少ない被害でメギロートの攻撃を切り抜けていた。

 

「シャドウ隊、出撃しろ」

『了解』

 

 次に下された指示に、シャドウに乗っていた量産型Wから返事が重なって届く。

 そのままテスラ・ドライブによって空を飛び、10機が編隊を組んでガン・ルゥへと向かって行き……地獄が始まった。

 10機のシャドウが、全機共タイミングを合わせたように――量産型Wだから実際に合わせたんだろうが――右肩に装備されているビームガトリング砲をガン・ルゥの群れへと向かって撃ち放ったのだ。

 スレイがテストパイロットとして性能試験をやった時には、シャドウ1機でガン・ルゥ100機近くを相手にしてほぼ完勝と言ってもいいような結末だった。そして今俺の目の前で繰り広げられているのはその時の光景の焼き直し……いや、シャドウの数が多い分、更に凄惨な光景だ。

 両手に装備されたキャノン砲とマシンガンをシャドウへと放ち続けるガン・ルゥ。だがその殆どは回避され、あるいは命中弾もG・テリトリーによって無力化される。

 そこに返されるのは、横殴りに叩きつけられるビームの雨。スレイが使った時とは違い、ある程度射角の自由度がある為にビームを放ちつつ砲門自体が左右に動き、更にガン・ルゥの被害を増していく。

 また、ビームガトリング砲は肩に装備されている武器である以上、両手が開いている。その為、開いている両手に持たされたM950マシンガンやリニアレールガン、ビームライフルといったものや、ウェポンラックに装備されているスプリットミサイルが撃ち出され、中華連邦軍の損害は加速度的に増していく。

 ほんの数分。それだけで半数以上のガン・ルゥが破壊され、地面に骸を晒していた。それを見て逃げようと反転する機体も出て来た時……仕上げとばかりに、左肩に装備されたグラビティ・キャノンが放たれる。

 重力波砲によりひしゃげ、圧縮し、あるいは爆発していくガン・ルゥの様子は、まさに一方的な蹂躙と呼んでも良かった。その圧倒的な攻撃力の前に、ガン・ルゥ達の動きが鈍る。同時に、その隙を突くようにメギロートの群れが突っ込んで行く。体当たりで破壊し、口で噛み千切り、蹂躙が始まった。そして……メギロートの群れに対して手も足も出ないガン・ルゥへと更に絶望が襲い掛かる。シャドウ10機が近接戦闘へと参加したのだ。両腕に装備されているプラズマ・バックラーで大きさの違いを活かして頭部を殴り、殆ど何の抵抗すらも感じさせずにガン・ルゥの装甲を破壊する。同時に、両膝に付いているプラズマ・ステークで掬い上げるようにしてガン・ルゥを空中へと吹き飛ばし、その衝撃でパーツごとに粉々に砕け散っていく。

 この時、もし中華連邦の使用しているKMFがサザーランド……いや、せめてグラスゴーなら、コックピットを射出して無事に済んだ者もいただろう。だが、ガン・ルゥは所詮KMFモドキと呼ばれている機体だ。コックピットブロックの脱出機構が付いている筈も無く、次々にその命を散らしていく。

 

「全機、逃げだした敵は相手にするな。俺達の強さを存分に大宦官達に語って貰わなきゃいけないからな」

 

 その言葉と共に攻撃が停止される。

 ほんの数分。10分も掛からずに500機を越えるガン・ルゥはその8割がスクラップと化して、1割が文字通りに消滅し、残る1割がどうにか戦場から逃げだしていた。そして。

 

「……さぁ、覚悟はいいな。バリオン創出ヘイロウ、起動!」

 

 ニーズヘッグに装着されているバリオン創出ヘイロウがT-LINKシステムを通して起動し、T-LINKフレームが赤い輝きを放ち、後部ヒュドラに内蔵されているブラックホール・ランチャーの砲口がターロンダンへと向けられ……

 

『ま、待て! 降伏す……』

 

 最後まで喋らせずにトリガーを引き、次の瞬間にはターロンダン、ロンダンの全てが強力な重力波砲により、その存在全てがこの世から消滅していた。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:55
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:520

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