転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0053話

「んん……」

 

 隣でなにやら艶めかしい声が聞こえ、深い睡眠の中にあった筈の意識を急激に覚醒させていく。

 目に入ってきたのは、見覚えのある部屋。と言うかレモンの寝室だった。

 当然、俺の隣には全裸のレモンが眠っている訳で。

 

「……あぁ、そうか」

 

 いよいよシャドウミラーの反乱が始まるまでの日数があと3日となった昨日の夜、突然ヴィンデルから1日の完全な休暇を言い渡された。

 準備のラストスパートというこの時期だったので断ろうと思ったのだが、ここの所働き過ぎだという事で、反乱決行日の前に十分な休養を取って体調を万全にしておくようにと言われては断れる筈も無く。

 そして俺と同じような理由で休暇を取らされたレモンと久しぶりに恋人としての逢瀬を楽しんで、今にいたる。

 隣で眠っているレモンの髪を、なんとなく撫でながら呟く。

 

「いよいよ、か」

 

 反乱における準備は手を抜く事なくやってきた。

 アルバート・グレイの組織からエルアインスを盗み出したのを始め、仲間になるべくシャドウミラーに合流してきたDC残党やレジスタンスから情報を貰えば、すぐに調べてその組織から盗めるものはなるべく多く盗み出した。

 ちなみに、俺の空間倉庫にはそういう組織から盗み出した銃器やら爆弾やらヴィンデルに黙って着服した金塊なりがたんまりと入っていたりする。

 また、ヴィンデルが言っていたグラスマン・グライエンとの繋がりも無事出来た。この辺はさすがの政治力という感じだ。

 ただ、やはりその部下のケネス・ギャレットに関しては良い印象を覚える事は出来ない。顔を合わせたのはほんの数度だが、あからさまにこちらを見下しているのがその態度でまる分かりだ。

 士官学校の同期だったジーベルを思い出す相手だった。恐らくジーベルも将来的にあんな風になるのだろう。

 ……いや、アインストに滅ぼされる可能性の高いこちらの世界だ。将来なんてあってないようなものか。

 ともかく、グラスマン・グライエンと手を組んだり、ADやVCを製造している企業のフレモント・インダストリー社やZ&R社とも手を組んだおかげで補給の心配がいらなくなった俺達だったが、念には念をと盗まれた事が公に出来ない所からの物資強奪を重ねてきた。

 その結果、戦力的にはPTやAM等の人型兵器だけでざっと500機。戦闘機や戦車等を含めるとざっと600機を超える数の戦力がシャドウミラーのものとなった。

 もっとも、こちらの世界での負け戦で失われる数や次元転移に失敗する数も考えると、結局あちらの世界へと渡る事が出来るのは原作通りに200~300機程度となるだろう。

 また、ヴィンデルがどう政治工作をしたのかは知らないが、連邦軍に所属している軍人でもいざとなったらこちら側についてくれる奴もいるらしい。

 いわゆる埋伏の毒って奴か?

 

「ん、アクセル?」

 

 髪を撫でている感触で目が覚めたのか、寝起きでまだ意識がはっきりしていない状態のレモンがこちらをぼんやりと眺めている。

 

「ほら、起きたならシャワーでも浴びてこい。目覚ましにも丁度いいだろ」

「ええ、そうね」

 

 寝起きの気怠げな様子のまま、シャワー室へと向かうレモン。

 と言うか、せめて何かで身体を隠すなりなんなりして欲しいんだが。

 

 俺の要望で完成したトライロバイト級も当初は3隻の予定だったのが最終的には5隻もの数がロールアウトする事が出来た。反乱が始まった後は俺達の拠点として知られているここは放棄され、基本的にはトライロバイト級5隻が拠点となる。

 補給に関してはヴィンデルのおかげで特に心配する必要もないしな。

 

「ねぇ、アクセル。そういえば貴男宛に妙に荷物が一杯届いていたようだけど、あれって何だったの?」

 

 シャワー室から出てきたレモンがバスタオル1枚の格好で尋ねてくる。

 

「あぁ、あれか? 反乱を起こせばどうせすぐに俺の身元なんかは特定されて、銀行口座やら何やらその辺の足取りを追えそうなものは監視されるだろ。だから今のうちに預金を全部引き出して使えそうなものを片っ端から買ったんだよ。ヴィンデルにも買い物の量で呆れられたが、これから忙しくて買い物する暇がないから纏め買いだと言ったら納得してくれたし」

「そんなに一杯買っても、ギャンランドの部屋には持ち込めないでしょうに。アクセルの部屋に行ったら荷物で部屋が埋まっていて、ドアを開けた途端雪崩を起こすなんて事になったら嫌よ?」

 

 レモンの言葉に、空間倉庫を展開して見せる。

 

「俺にはこの便利な空間倉庫がある事を忘れたのか? もう全部この中だよ。結構急いで詰め込んだから、梱包されたままのものが多いのは事実だが」

「何度見ても便利よね、それ。科学者としての興味はスライムの方が強いけど、日常生活を送る上でどっちが欲しいかと言われたら絶対にその空間倉庫よ」

「確かに便利なのは認めるけどな」

「きちんと確かめた訳じゃないけど、容量無制限、念じれば何が何個入っているのかが頭の中で確認可能で、それによる出し入れも可能。おまけにその中は時間が止まってるですって? 普通の科学者がそれを知ったら貴男を解剖したくなるわよ」

「おい、物騒な事は言わないでくれないか、女科学者さん」

「言ったでしょう? 普通の、科学者ならよ」

 

 微笑を浮かべるレモン。

 

「科学者と言えば、聞くのを忘れてたんだが結局リュケイオスってどうなったんだ?」

「リュケイオス? あれならもう完成した筈よ。私は結局開発の途中で抜けてしまったけど」

「抜けた?」

「いくらなんでも、反乱の準備と転移装置の開発を同時にやれる訳ないじゃない」

 

 そう言われれば確かにそうだ。

 だが、あちらの世界への転移の事を考えると出来るだけレモンにはリュケイオスに関わっていて欲しかった所だ。

 

「そういえばアギュイエウスは十字架状の装置だったが、リュケイオスもやはり似たような形なのか?」

「いえ、外見はアギュイエウスとは随分と違うわね。モノリス状のものが4機あって、それを四方に設置してあるわ。その4つのモノリスを総称してリュケイオスと呼んでいるのよ」

 

 なるほど、4つのモノリスか。原作ではアギュイエウスはともかくリュケイオスはアクセル転移の時にちょっと話に出てきたくらいで形状の説明なんかは全くしていなかったからな。その事を知る事が出来たのは運が良かった。

 

「ねぇ、アクセル。貴男もちょっとシャワー浴びてきたら?」

「目は覚めてるんだが?」

「昨日の残り香をそのままにしておきたいなら別にいいけどね」

「……あぁ」

 

 レモンが何を指して言っているのかを理解し、そのままシャワー室へと向かう事にする。

 熱めのシャワーを浴びて、レモンの部屋へと戻るとそこには良い匂いが漂っていた。

 テーブルを見ると、目玉焼きに厚めにカットされたベーコン。サラダにパンと紅茶とテンプレ的な朝食が用意されていた。

 

「ほら、食べましょ」

「レモン、料理出来たのか」

 

 思わず、といった感じで口に出すと脇腹を軽く抓られる。

 

「このくらい、料理でもなんでも無いわよ。いいから座りなさいな」

 

 その言葉に従い、レモンの向かいの椅子へと腰を下ろす。

 

「じゃ、食べましょ」

「ああ、頂かせて貰う」

 

 目玉焼きは半熟、ベーコンは焼きすぎずにジューシーさが残っている。

 朝食では定番のカリカリに焼かれたベーコンだが、俺としては噛み応えがあるこちらの方が好みだ。

 と言うか、目玉焼きにしろベーコンにしろ、何で俺の好みを知ってるんだ? 話した事あったか?

 

「なぁ、レモン。俺の好みって話した事あったか?」

「いいえ、貴男からは聞いた事は無いわね」

「じゃあ誰から?」

「フィオナよ」

「フィオナ? 仲が悪いとばかり思ってたんだが……違うのか?」

「聞いたというよりは、自慢されたという方が正しいんでしょうね。フェル博士との手紙のやり取りでその辺の話を書いた事あったんでしょう? それを見せて貰ったフィオナが自慢してきたのよ。……慕われてるわね」

 

 そういえば、以前フェル博士に送った手紙にその辺を書いた事があったような気がする。何せ随分と前の話だけに詳しくは覚えていないが。

 

「そうだな。シャドウミラーに所属する前からの仲だからな。フェル博士が亡くなり、後見人だったモントーヤ博士もアルバート・グレイの手に掛かった。あの4人の保護者役が出来そうなので残ったのはそう大して年の離れていない俺だけだからな」

「……その保護者が反乱を起こす。いいのね?」

「ああ。もうあの4人も随分と大きくなったし何かあっても自分達でどうにかするだろう。ただ、気がかりがないでもない、かな?」

「気がかり?」

「ラウルとミズホはそれなりに良い雰囲気を出している。付き合う事になるのはそう遠い話じゃないだろう。でも、ラージとフィオナがなぁ」

 

 原作では最終的に恋人同士になったラージとフィオナだが、何故かこの世界ではお互いを異性として見るのではなく、良き友人という感じで落ち着いてしまっている。

 世話焼き癖があるフィオナにしてみれば、ラージは世話を焼く筆頭になると思うんだが、その辺の気配は一切無い。

 

「ラージにしろ、フィオナにしろ。恋人が出来るのはいつになるのやら」

「貴男ねぇ……」

 

 先程まで普通に食事や会話をしていたレモンが、頭を押さえて俯いている。

 

「レモン? 風邪か?」

 

 あと数日で反乱を起こすというこの時期に、技術班のトップであるレモンが風邪というのは有り難くない話だ。もしかしたらそれが理由で数日程反乱を起こすのが遅れてしまうかもしれない程に。

 

「いえ、何でもないわ。アクセルがそういう人だってのは分かってた事よ」

「そうか。具合が悪いんじゃなきゃいいんだが」

 

 こうして、最後の安息日はゆったりとした雰囲気の中で過ごした。




名前:アクセル・アルマー
LV:19
PP:45
格闘:182
射撃:200
技量:192
防御:189
回避:217
命中:239
SP:294
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:40

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